優しく切なくスピーディーに13人の物語、『光射す場所へ歩く君たちへ』 | アイデアニュース

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優しく切なくスピーディーに13人の物語、『光射す場所へ歩く君たちへ』

筆者: 達花和月 更新日: 2016年7月25日

2016年6月8日~12日に東京・中野のテアトルBONBONで上演された、山本夢人さん脚本、三上陽永さん演出の、AUBE GIRL’S STAGE第1回公演 『光射す場所へ歩く君たちへ』。女性キャスト総勢26名が、夏組・空組の2チームに分かれ、入れ替え無しのWキャストで上演されたこの公演の、夏組公演を拝見しました。

「AUBE GIRL’S STAGE第1回公演『光射す場所へ歩く君たちへ』」フライヤーより

「AUBE GIRL’S STAGE第1回公演『光射す場所へ歩く君たちへ』」フライヤーより

■舞台と客席の境界を曖昧にしてゆく開演前の舞台

舞台上のセットは、どこか可愛い雰囲気の漂う談話室風な部屋。その床や、見せる収納を兼ねた長椅子と思われる低めの棚の下には、色とりどりの丸いクッションが配されています。照明はうっすらと差し込み、暗い色の勝つ舞台奥のホリゾントには、キラキラした多角形が重なった文様がやわらかく映し出されいて、闇の中の光や掘り出された原石のようなイメージを連想させます。

開演5分前には、出演者である制服姿の女子高校生たちが舞台上に現れ、暫くそのまま留まって楽しそうに談笑をしていました。会話の内容まではハッキリわかりませんでしたが、その様はまるで楽屋?イエイエ、さながら友達の家に放課後に集まって、くつろいだ様子で、好きなアイドルの話や恋バナなどに興じているようで、聞こえてくる弾ける明るい笑い声や、ふざけてクッション投げをする彼女たちの姿を見ているうちに、最初は「お?始まったのかな?」と、緊張してシーンとなった客席も、徐々にその緊張を緩めて、こちらもくつろぎながら舞台上の彼女たちを見守る体に変わっていって、本来であれば舞台と客席、明確に境界で分けられる空間が、その境界が曖昧になり、馴染んだような、劇場全体に不思議にあたたかい空気感を感じました。

そして、開演時間。元のように無人になった舞台から物語が始まりました。

AUBE GIRL'S STAGE第1回公演「光射す場所へ歩く君たちへ」キャスト

AUBE GIRL’S STAGE第1回公演「光射す場所へ歩く君たちへ」キャスト

■「胡散臭い」と言いながら、自己啓発セミナーに参加した女子高生たちは…

最初に現れたのは、学校帰りと思しき、愛莉(あいり:荒木未歩)、七海(ななみ:大串泉)、心音(ここね:助川紗和子)の仲良し高校三年生3人組。女子高校生が対象の「女子高生プランニング」という自己啓発セミナーにハマっっている心音は、いつもマイペースで思った事がすぐ口に出る性格の七海が、最近元気がない事が心配で、高校三年生の思い出作りと称して、夏休みに2泊3日の自己啓発セミナー合宿に参加しようと誘います。最初は、そんなの宗教みたいで胡散臭いと言って及び腰の七海ですが、心音の勢いに押されて、実はやりたいことが見つからず、今は焦っている状態だと話し、真面目な性格でしっかり者の、教師になることを目指している愛莉も巻き込み、3人一緒に合宿へ参加することになります。

場面は一転し、合宿当日。彼女達3人の他に高校生の参加者は5人。スマホ依存でそこからの脱却を誓う高校二年生の玲奈(れな:桑原藍)。幼馴染の間柄で共に高校二年生、自分に自信が持てず、引っ込み思案ですぐに自分の世界へ閉じこもる、こちらもスマホ依存の瑠香(るか:矢野愛璃)と、何でもそつなつこなし、マサチューセッツ工科大学への進学を目指す、秀才の芽吹(めぶき:細川詩織)。両親が自分のなにもかもを束縛していると感じて反発し、親への不満を募らせている高校三年生の萌子(もえこ:田中麻衣花)。そして、周囲と明らかに距離を置き、何もかも冷めた反応を示す、最年少高校一年生の彩香(さやか:花井円香)。

さらに、今人気の自己啓発セミナーに学び、そのノウハウを地域の活性化に生かしたいと考えている、中野区役所地域振興課の公務員、”パッション”が身上の、明るく熱血感な金子(かねこ:赤沼杏奈)と、その上司で、冷静な頭脳派、野島(のじま:片渕真子)の体験参加2人。セミナーのプランナー兼講師の、やさしく穏やかな風情の美貴(みき:玲々美)と、そのアシスタントで、関西人独特のノリで場を賑やかす陽香(はるか:和林亜希)。そして、美貴の姉で彩香の母にして愛莉の中学時代の恩師、美香(みか:都倉有加)。物語は8人の女子高校生達と、5人の大人達で紡がれていきました。

「AUBE GIRL’S STAGE第1回公演『光射す場所へ歩く君たちへ』」フライヤーより

「AUBE GIRL’S STAGE第1回公演『光射す場所へ歩く君たちへ』」フライヤーより

<AUBE GIRL’S STAGE第1回公演『光射す場所へ歩く君たちへ』>
【東京公演】2016年6月8日(水)~12日(日) テアトルBONBON (この公演は終了しています)

<関連サイト>
AUBE GIRL’S STAGEオフィシャルサイト

<アイデアニュース関連記事>
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「死ぬっ程大変です!」、山本夢人・三上陽永『光射す場所へ歩く君たちへ』対談(下)

<次回公演情報>
第2回公演「ざわつくから叫んでみたんだ」2016年10月15日(土)~25日(日)@GEKI地下リバティ

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 遠方の友人を誘って観たお芝居との出会いをきっかけとして演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、さまざまな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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