脳幹出血で倒れてから7年半、「宮ぷー」が初めて飛行機に乗りました  | アイデアニュース

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脳幹出血で倒れてから7年半、「宮ぷー」が初めて飛行機に乗りました 

筆者: 松中みどり 更新日: 2016年9月6日

2016年9月3日(土)、仙台の電力ホール(定員1000名)で、かっこちゃんこと山元加津子さんの初監督映画「銀河の雫~はじまりはひとつ~」が初上映されました。脳幹出血で倒れてから7年半、初めて飛行機に乗って講演会に参加する宮ぷーこと宮田俊也さんも無事に会場に到着。かっこちゃんやたくさんの仲間と共に映画を鑑賞し、何か月もかけて準備した挨拶文をたずさえて晴れの舞台に上がったのでした。筆者も、伊丹空港と仙台空港を日帰りで利用して弾丸ツアーで参加してきましたので、その報告をお読みください。映画については、こちらをお読みください→「かっこちゃん」が初監督した映画「銀河の雫」、9月3日に仙台で初上映

■かっこちゃん初監督作品「銀河の雫」を初上映、しかも1000人(=仙人)規模の会場で

全国に先駆けて、かっこちゃん初監督作品「銀河の雫」を初上映、しかも1000人(=仙人)規模の会場で、宮ぷーも登壇するという会を主催されたのは「宮ぷーとかっこちゃんを心から応援する会」“快調”の佐藤とよこさんと“福快調”の佐藤茂雄さんです。

「銀河の雫」初上映主催の佐藤とよ子さん・佐藤茂雄さん=撮影・岩崎靖子さん

「銀河の雫」初上映主催の佐藤とよ子さん・佐藤茂雄さん=撮影・岩崎靖子さん

講演会で配られたチラシの中には、このように書かれていました。

宮ぷーとかっこちゃんを心から応援する会とは、「宮ぷー」こと宮田俊也さんと、「かっこちゃん」こと山元加津子さんの考え方、生き方に賛同し、宮田俊也さんと山元加津子さんの活動を心から応援しようという任意の集まりです。会則も会費もなく、「快調」「福快調」「福福快調」と勝手に命名し、みんなで楽しく宮田俊也さんと山元加津子さんを応援する会です。

このような思いで開催された会ですから、始まる前から会場には温かく、初めて出会うのに懐かしいような、同窓会をしているような嬉しい楽しい雰囲気がただよっていました。

上映前のロビーでかっこちゃんと宮ぷー=撮影・松中みどり

上映前のロビーでかっこちゃんと宮ぷー=撮影・松中みどり

そしていよいよ山元加津子さん初監督映画「銀河の雫~はじまりはひとつ~」が12時から上映されました。

「銀河の雫・シナリオ本」も限定販売されました=撮影・松中みどり

「銀河の雫・シナリオ本」も限定販売されました=撮影・松中みどり

映画は、小さなあたたかい光から始まりました。バターランプの光です。

バターランプの光=「銀河の雫シナリオ本:写真野村哲也さん」より

バターランプの光=「銀河の雫シナリオ本:写真野村哲也さん」より

ネパールではお祈りをするときにバターランプに火を灯すのです。みんながちゃんとお祈りできるように、バターを溶かしてランプの準備をするおじさんは、かっこちゃんが身振り手振りで話しかけると、やってみたいかっこちゃんの気持ちが分かって、バターを削らせてくれたり、バターを注がせてくれたり、お別れに握手がしたいかっこちゃんに、「手が油で汚れてるから……」と遠慮したり。異国の、見ず知らずの女性にどこまでも優しいネパールの人の姿を映して、映画は静かに静かに、ひとつの命を生きるすべての人、動物、そこに存在するものの物語を語り始めました。

かっこちゃんが11年前、初めてネパールに行った時、旅のお世話をしてくれたギータちゃん。幸い今度の大地震でも無事でいてくれたギータちゃんは再会したかっこちゃんに語りかけます。

ギータちゃん:「植物、テーブル、この床も神様ですし、ランプもカメラも、木も鳥も、全て神様ですね。……人間がお世話になるものすべてが神様」

■大いなる循環の中で、なにもかもがいいふうに、大丈夫なように出来ている

人間は死んでも、その体が燃やされて灰になったら、大地を肥やし、植物や動物の新しい命を支える。その大いなる循環の中で、なにもかもがいいふうに、大丈夫なように出来ている。何度でも生きて、何度でも死ぬ。私たちはいつも守られている。このことを、本当は分かっているのに、心から納得し安心してゆだねることが出来ない私たちなのですよね。でも、地震で家が崩れたり、食べ物や身の回りの品が十分でなかったりする大変な中で、優しい気持ちを失わず祈りに包まれて暮しているネパールの人たちの様子と、風景と、かっこちゃんの言葉が一体となって、映画の1時間36分を一緒に旅をして、やっぱりすべては大丈夫なのだと思えたのでした。

「銀河の雫シナリオ本」撮影・松中みどり

「銀河の雫シナリオ本」撮影・松中みどり

映画が終わり、休憩に入る前に今回の映画に尽力された方々が登壇しました。

みんなの力が集まって、映画が出来ました=撮影・松中みどり

みんなの力が集まって、映画が出来ました=撮影・松中みどり

写真の左から、映画監督で、今回配給技術応援をしているハートオブミラクルの岩崎靖子さん。

「最初にかっこちゃんに映画を撮ってと言われて、すみません、国内で撮りたい人がたくさんいるから、ごめんなさいと断っちゃったんですね。今日映画を見て断って良かったと思いました。私にはこんな映画は作れないな。やっぱりかっこちゃんだったんだな。この映画の影の功労者は私じゃないかなと思っています。映画を精一杯応援していきたいと思います」

靖子ちゃんのとなりにいるのは、電子書籍の出版や白雪姫プロジェクトの応援、そして今回の映画の配給を担当している一般社団法人「ろばの耳」の石川弘子さんと後田雅子さん。

真ん中黒一点、かっこちゃんのサポートを長く続けておられ、今回の映画に出演された小林正樹さん。

「“助演男優賞”を受賞した小林です(笑)。人類の長い歴史の中で時々神様はとんでもない人をこの世に送り出してくれる。山元加津子は、そういう人なんです。大変な方向音痴に生まれて下さったので、こうして付き人をさせていただいているわけです。これからもご支援よろしくお願いいたします」

映画のナレーションと主題歌を担当された声優の佐久間レイさん。

漂白剤で色を抜いて柄を描いたオリジナルの手作りワンピースで登場のかっこちゃんこと山元加津子さん。

どの人もどの人も、この映画を支え、応援したいという気持ちがあふれた素晴らしいスピーチをされました。気持ちが伝わって泣き笑いをしてしまいました。ここで特にご紹介したいのは、佐久間レイさんと、「ろばの耳」のおふたりです。

■「ああ アンパンマン やさしい君は 行け! みんなの夢まもるため」に涙

佐久間レイさんは、アンパンマンの「バタコさん」役や魔女の宅急便の「ジジ」役で有名な声優さんで、宮ぷーがレイさんの大ファンなのだというエピソードも披露されました。今回の映画ではナレーションと主題歌を担当。この日は特別なプレゼントとして「アンパンマンマーチ」を歌ってくださいました。レイさんの美しい声が会場を包み、やなせたかしさんの温かい歌詞が胸にしみこんでいきました。

そうだ うれしいんだ

生きる喜び

たとえ胸の傷がいたんでも

被災地訪問もされているレイさん。被災された方が最初の3行で涙を流されたという歌詞が、本当に深く心に響きました。歌の後半、レイさんがかっこちゃんの肩を抱きしめて歌ったこの部分も涙がこぼれました。

ああ アンパンマン

やさしい君は

行け! みんなの夢まもるため

アンパンマンの主題歌を歌う佐久間レイさん=撮影・松中みどり

アンパンマンの主題歌を歌う佐久間レイさん=撮影・松中みどり

■私の知る限り、いちばん地道で大変な部分を、地元で支えている石川弘子さんと後田雅子さん

「ろばの耳」の石川弘子さんと後田雅子さんは、チーム宮ぷーのメンバーとして宮田俊也さんの毎日の生活を支えているおふたりです。

まずマイクをにぎったのは、まこちゃんこと後田雅子さん。

「電子書籍を販売する法人の“ロバの耳”を作ったとき、まさか映画の配給をすることになるとは思いませんでした。去年、ネパールのことが頭から離れないの、寝ても覚めてもネパールのことが気になって仕方がないとかっこちゃんが言い出した時、いや~な予感がしたんです。やっぱり映画撮ろうかなって。出た~!かっこちゃん、どうしたって湧き上がってくるんでしょってききました。湧き上がったら終わりです。必ずするんです。そして彼女のすることは天のすることだと私は思っています。いつもかっこちゃんのすることを応援したいと思っています。今日ここにお越し下さった皆さんもきっと、私よりもずっとかっこちゃんを支援してくださって、これからも応援してくださるのだと思います。銀河の雫の上映会、よろしくお願いいたします!」

次にマイクをにぎったひろ子ちゃんこと石川弘子さんもこう話されました。

「実は、一般社団法人ろばの耳の代表は、宮田俊也さんなんです。その下で働かせていただいています。かっこちゃんは次々といろんなことをやっていくけど、どうしてそんな風に出来るの?ときいたらかっこちゃんは“来たバスに乗るの”と言いました。来たバスに乗ったらどこに行くかの分からんし、遠回りするかもしれない、とてもじゃないけどそんなこと出来ないといったら、やっぱりかっこちゃんですね。来たバスには意味があるし、遠回りにも意味があるんだと言いました。今日は、かっこちゃんのいう通りに素直にバスに乗りましたら、皆さんのところへ、仙台までやってくることが出来ました。ありがとうございました!」

私の知る限り、いちばん地道で大変な部分を、宮ぷーとかっこちゃんの地元で支えているチーム宮ぷーのおふたりの飾らない言葉が、会場の笑顔と涙を引き出して、初上映会の第一部が締めくくられました。

脳幹出血で倒れてから7年半、初めて飛行機に乗って移動することが出来た宮ぷー=撮影・岩崎靖子さん

脳幹出血で倒れてから7年半、初めて飛行機に乗って移動することが出来た宮ぷー=撮影・岩崎靖子さん

■本当に長い長い文章を、何か月もかけて用意していた宮ぷー。待ちに待った宮ぷーの講演

そして午後2時半になり、とうとう宮ぷーがかっこちゃんと一緒に舞台に登場して、第二部の仙人講演会が始まりました。

初めての飛行機はどうですか?と聞いたら「200パーセント不安」と答えたという宮ぷー。7年半前に脳幹出血で倒れた宮ぷー、ベッドの上からどこにも行かない方ですから車椅子もいらないでしょうとお医者様に言われた宮ぷー。飛行機に乗って、仙台にやってくることが出来ました。無事にこられて本当に良かった!まだ言葉が出ない宮ぷーがどうやって思いを伝えているのか、「あかさたなスキャン」のやり方を教えてもらいました。アイウエオの上の段を読み上げ、該当する行を読み上げるシンプルな方法です。それから、宮ぷーが使っている意思伝達装置レッツチャットのデモも見せてもらい、いよいよ宮ぷーの講演が始まりました。私たちがパソコンやワープロで文章を作るのと比べると100倍くらいの時間がかかるのに、本当に長い長い文章を、何か月もかけて用意していた宮ぷー。会場の人たちが待ちに待った宮ぷーの講演が始まりました。

皆さん、今日は、銀河の雫の初上映会に、来てくださってありがとうございます。映画はいかがでしたか?僕は白雪姫プロジェクトを、応援したり、この映画の配信をしている、一般社団法人、ロバの耳の代表理事をしているみやぷうこと、みやたとしやです。

このように 自宅から 遠く離れた 仙台の地まで 飛行機に乗って 僕が来られるとは 以前の僕には 予想もできませんでした。われながら 驚いています。僕のように 普段、座位保持装置に乗っているひとが 飛行機に乗るためには 航空会社をふくめて 多くの人たちが じつにいろいろの 事前の用意が 必要です。

はたしてそんなことができるだろうかという迷いもありました。けれど、多くの方が僕の背中を押してくれました。僕が、いま、このステージに立つまでには多くの物語があったと感じています。

宮ぷーはひらがなで打っているので、読みやすいように漢字に直したのはかっこちゃんですが、文章はすべて宮ぷーのものです。機械が読み上げる宮ぷーの言葉を、会場に集まったひとたちが心を合わせ、ひとことも聞きもらしたくないと耳を澄ませました。その時間、私たちはずっと銀河の雫のひとつぶになって、仲間のひとつぶが一文字一文字つづった言葉を体の中に取り入れていったのでした。

宮ぷーが文章をつづったレッツチャットの説明をするかっこちゃん=撮影・岩崎靖子さん

宮ぷーが文章をつづったレッツチャットの説明をするかっこちゃん=撮影・岩崎靖子さん

<関連ページ>
◎白雪姫プロジェクト→http://shirayukihime-project.net/
◎銀河の雫 はじまりはひとつHP→http://eiga377.wixsite.com/robanomimi-eiga

※ここからはアイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分です。宮ぷーの講演内容全文、かっこちゃんが伝えたかったこと、この映画を通してのネパール支援についてお伝えします。

<宮田俊也さん講演内容全文の小見出し>(小見出しはアイデアニュース編集部でつけたものです)
■前日まではおろか、当日の昼も、病気の気配はまったくありませんでした
■4人のドクターのうち、3人が、「このまま死なせてあげたら」と
■何かを伝えたくても、何もできない。そのときに、かっこちゃんの顔がいつも目の前にあって
■死ぬことを考えたのは一度だけでした。妹に殺してくれと頼んだとき……
■「回復するしないは、ドクターが決めるのではない。宮ぷーが決めるのだ」と
■今のぼくがあるのも、チームみやぷうのみなさんのおかげです
■体が動かないものが、自分に誇りを持って生きることは簡単ではないと思います
■泥棒や殺人を犯してしまう人はいらないという気持ちは、誰かを差別する気持ちにつながる
■大地震の後も、優しさを忘れずに、相手を思う姿や、世界中の人々の幸せを祈るネパールの人たち
■たくさんのみなさんにお願いしたいです。「かっこちゃんをおねがいします」
■誰もが大切で、争わなくてもいいということが、本当のことなんだとわかる映画に
■ぼくには、大きな役割ができました。ぼくは、これからも、がんばります

かっこちゃんの講演会では・・・

ネパールの人も、病気や障害のある方とそのご家族も、みんなで一緒に幸せになろう

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. 仙台のとよちゃん より:

    みどりちゃん、9月3日の「銀河の雫」仙台初上映会にご参加いただきまして本当にありがとうございました。

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