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YouTubeで学ぶ英語:(16)「日本は人道支援先進国になるべき」 高遠菜穂子さん報告

筆者: 松中みどり 更新日: 2017年7月30日

2017年7月13日から16日まで、高遠菜穂子さんの関西スピーキングツアーがおこなわれました。毎年各地で行われる彼女のイラク現状報告、今回も2度参加してきました。そのときのレポートをお送りします。報告会の少し前の7月10日、イラクのアバディ首相は、イラク北部の都市モスルを「IS(イスラム国)から奪還した」と勝利宣言を出しました。日本では、節目の大きなニュースの時しか話題にならないイラクですが、実際には現場で何かおきているのか、海外メディアの報道と合わせてぜひご覧ください。

2017年7月14日、イラク最新報告会での高遠菜穂子さん=撮影・松中みどり

2017年7月14日、イラク最新報告会での高遠菜穂子さん=撮影・松中みどり

今回の講演会でも、高遠菜穂子さんはまず歴史的な背景を説明しました。イラクにおけるイスラム教の中のシーア派とスンニ派の対立の歴史です。

2003年に米軍を中心とする連合軍によってサダム・フセイン政権が倒されるまで、イラクではスンニ派が支配層でした。その後、新しい政府も軍隊もシーア派が中心となり、対立が深まります。スンニ派弾圧を止めるよう求める市民から多くの犠牲が出ました。米国中心の占領軍もスンニ派地域を攻撃、「イラクの米軍刑務所がなければ、ISは存在していない」というIS幹部の言葉が全てを物語っているように、ISの苛烈な尋問・拷問のやり方は米軍占領下の刑務所に入れられた人たちが、自分の受けた拷問から学んだものでした。

ISはスンニ派。シーア派が多数のイラク軍はISを攻撃すると同時にスンニ派市民への弾圧を激化させていきます。憎しみと暴力の連鎖は、現在、「モスル奪還」の勝利宣言の陰で市民に紛れて逃げるIS戦闘員や、ISに関わりがあるとみなされた人たちへの拷問や殺害に引き継がれました。

2017年7月14日 イラク最新報告会で使われた画像より=撮影・松中みどり

2017年7月14日 イラク最新報告会で使われた画像より=撮影・松中みどり

このままでは、ISがたとえ壊滅しても、第二第三の”IS的なもの”が生まれる可能性があると菜穂子さんは言います。ISのメンバーやその協力者を人間ではなく、モンスターだと考え、殺されても仕方がないと思う人たちがたくさんいるからです。

モスルは解放されたけれど、モスルの人々の闘いは終わっていないし、この負の連鎖を断ち切るための人道的な支援はこれからますます必要になるでしょう。日本は、軍事ではなく、「人道支援先進国」になるべきだと菜穂子さんは提案しています。

関西でのイラク報告会を行う直前、菜穂子さんから「素晴らしいレポート。こういう記事を日本の人の読んでもらいたい」と送られてきたのがIRIN(Integrated Regional Information Networks:統合地域情報ネットワーク)が7月6日に出した記事「Starving civilians and suicide bombings: The terrible truth of liberating Mosul:飢えた市民たちと自爆テロ:モスル解放の恐ろしい真実」です。これから見ていただく動画はその記事の中で使われていたものです。最後までISの抵抗が続いたモスル旧市街、荒れ果てた町をイラク軍のHumvee ハンビー(High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle 高機動多用途装輪車両)に同乗したIRINの記者が記録した映像をご覧ください。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分では、IRINの動画の英語全文のスクリプトと筆者による試訳、高遠菜穂子さんのイラク報告会の後半と、会で紹介された動画~Elite Iraqi troops torture, execute civilians in footage captured by photojournalist~が載っています。英語を自習したい方も、高遠菜穂子さんのイラク最新情報を深く知りたい方も、ぜひ有料ページをご利用下さい。

<有料会員限定部分の小見出し>

■イラク・モスル旧市街をIRINの記者が撮影した動画の英語テロップ解説と日本語訳

■平和国家の日本のイメージは過去のもの。顔の見える「人道支援先進国」を本気で目指したい

■日本のODAやNGOのやっていることを知ること。岩井文男 在イラク日本大使は中東で大人気

■子どもたちのあこがれの職業が、NGO援助ワーカーや国際援助団体で働く人になったら

■情報鎖国を克服して世界のニュースを知り、世界から見た日本の姿をチェックして

■米ABCニュースが製作した番組の動画より(拷問や殺人のシーンを含みます)

■次の”IS的なもの”を生まないためにも、人道的な支援に本気で取り組んでいくことが必要

<関連サイト>
イラク・ホープ・ダイアリー
http://iraqhope.exblog.jp/
イラク・ホープ・ダイアリーのイラク支援カンパ振替先
http://iraqhope.exblog.jp/13592012/
高遠菜穂子 フェイスブック
https://ja-jp.facebook.com/nahoko.takato

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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