2016年9月5日、月組新体制スタート。トップを4年余り務めた【龍真咲】さんが、『NOBUNAGA<信長>』をもって宝塚歌劇団を退団。代わって、新進気鋭のホープ【珠城りょう】さんがトップに就任します。入団9年目の珠城りょうさんのトップ就任は、1980年代にタカラヅカのスターシステムが確立してからは、天海祐希さん(入団7年目でトップに就任)に次ぐ抜擢となります。(※アイデアニュース編集部より。今回の濱さんの原稿は、9月5日に出稿されたものです。宝塚歌劇団が9月30日に発表した組替えについては、宝塚歌劇団のこちらのページをご覧ください。http://kageki.hankyu.co.jp/news/20160930_004.html)
■入団17年目の憧花ゆりのさんが月組の組長に
月組で新体制となるのはトップスターだけではありません。管理職も、約3年にわたり組長を務めた【飛鳥裕】さんが専科に組替え。副組長の【憧花ゆりの】さんが、組長に昇格し、【綾月せり】さんが副組長に就任します。
憧花さんは入団17年目。他組の組長が、花組・高翔みず希さん(27年目)、雪組・梨花ますみさん(36年目)、星組・万里柚美さん(33年目)、宙組・寿つかささん(27年目)と超ベテランばかりなので、若くして就任することが目をひきます。
<月組の今後の舞台>
『アーサー王伝説』・・・珠城りょう新トップお披露目公演
⇒http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2016/arthur/
文京シビックホール10月14日(金)~ 10月19日(水)
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ:10月28日(金)~ 11月9日(水)
『FALSTAFF』~ロミオとジュリエットの物語に飛び込んだフォルスタッフ~
⇒http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2016/falstaff/
宝塚バウホール:2016年10月10日(月)~10月21日(金)
※主な配役 星条海斗(専科)
『グランドホテル』/『カルーセル輪舞曲(ロンド)』・・・珠城りょう新トップ大劇場お披露目公演
⇒http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2017/grandhotel/
宝塚大劇場:2017年1月1日(日)~1月30日(月)
東京宝塚劇場:2017年2月21日(火)~3月26日(日)
<こからアイデアニュース有料会員限定部分>組長の役割や、憧花ゆりのさんについてさらに詳しく書いています。
■組長って何をする人なの?
■歌唱力と演技力に優れた、憧花ゆりの新組長の魅力
■新生月組に大いに注目
■組長って何をする人なの?
「組長」というと反社会的な集団のリーダーを思い浮かべがちですが、宝塚歌劇団では「その組の最上級生で、組の生徒達(組子)の指導者として公私の面で面倒をみている」(宝塚歌劇団ホームページより)人を意味します。最上級生で舞台経験も豊富で、統率力もあるタカラジェンヌが選ばれます。それでは組長は具体的にはどのような役割をするかというと、wikipediaには次のように書かれています。
・公演中、組子の演技や役割はもちろんのこと、かつらや衣装・小道具のことまで全体を見なければならない。
・初日・千秋楽の挨拶。退団者の紹介スピーチが組長の主な役割としてよく知られている。
・公演中にトラブルが発生したときの対応(例:ダンスの振りを間違えたり出遅れたりするなど舞台上で失敗した組子の謝罪を聞き、二度と同じ間違いを繰り返さないよう注意を促すなど)。
・公私に渡って組子のケアにつとめる。
このように組長は、組のまとめ役としてふさわしい人柄や責任感のある方でないと務められません。目立たない存在ですが、組長の働きがあればこそ、トップスターや組子が舞台に専念できるわけです。いわば組長はトップと両輪となって組を支える、きわめて重要な存在です。
■歌唱力と演技力に優れた、憧花ゆりの新組長の魅力
月組組長に就任する憧花ゆりのさんといえば、歌唱力と確かな演技力に定評があり、注目されてきました。『スカーレット・ピンパーネル』(2010年)ではマリー・グロショルツ役を好演。『PUCK』(2014年)では妖精の女王・タイテーニア役となって、公演ポスターにも登場したほどです。実力抜群で重厚感のあるベテランとして、舞台を脇から引き締めているところが、大きな魅力です。
管理職としては、2013年に月組副組長に就任しています。『THE KINGDOM』(2014年)や『風と共に去りぬ』(2015年)では、組長に代わって舞台を取り仕切りました。
私は観劇をする時に、ほとんど予習をしていきません。そのため、芝居では主要キャスト以外は誰なのか分からず、全員が同じ衣装を着て登場するショーでは、誰がどこにいるのか分からないことがほとんどです。ところが憧花ゆりのさんの存在は舞台でひときわ目立ち、どこにいてもすぐに分かってしまいます。
また憧花ゆりのさんの重厚な存在感は、芝居のストーリー中重要な役どころを任され、ひときわ目をひきます。『舞音』ではキーマンの「紅い蛇」が、物語が進む前から憧花ゆりのさんであるとすぐに分かってしまいました。何しろ、一見地味だがキーマンとなる役を出来るのは、他に考えられなかったからです。
■新生月組に大いに注目
娘役なのにカッコよさすら感じてしまう憧花ゆりの新組長。ハキハキして、しっかりとした性格で組子からもファンからも慕われるパーソナリティは、月組にとってなくてはならない存在となっています。月組新体制は、トップ・管理職ともに若くてフレッシュ感にあふれます。新生月組に大いに注目したいと思います!