「色褪せない演劇を」、『血の婚礼』安蘭けい(下)

安蘭けいさん=撮影・NORI

2022年9月15日(木)から10月2日 (日)までBunkamuraシアターコクーンで、10月15日(土)と10月16日(日)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される舞台『血の婚礼』で、母親を演じる安蘭けいさんのインタビュー後編です。下では、今回の「母親」役のこと、 久しぶりのストレートプレイへの想い、芝居のこと、この作品の魅力などについて伺った内容と、読者の方へのメッセージを紹介します。

安蘭けいさん=撮影・NORI
安蘭けいさん=撮影・NORI

――『ジェイミー』の取材でも伺いましたが、これまで何度か母親役をされてきました。その中でも今回はお名前がなくて「母親」という役名ですが、今回のこの母親役は、 どんな風に組み立てていらっしゃいますか?

すごく不幸な設定の役ではありますが、その不幸な出来事を生きる糧にしていく、とても強い、生きるエネルギーに満ちた女性だなと思っています。

母性がすごく強いというよりも、『血の婚礼』という題名でもあるように、古い因習や血筋などにすごくこだわっている田舎の女性、という感じですね。

――「母親」というのは個人というより属性に当たると思うのですが、演じる時に意識されるものでしょうか。人物を組み立てる時に、「母親」という肩書きが付いてくるのは、どのような感覚でしょうか?

ただ「母親」と書いてあり名前がないだけなので、名前がないことにはこだわりはないですね。今回の「母親」は、もしかするとスペインに多い女性像なのかもしれません。作家のロルカは、かなりマザコンだったので、彼のお母さんをモデルに描いたのだろうと田尻さんがおっしゃっていました。彼が理想としている母親像なのかもしれないですし。登場人物のうち、「花婿」はロルカ自身、唯一具体的な名前があるレオナルドは、ロルカにとっての理想の男性と解釈しています。

私たちには、スペイン人がどのような感覚を持っているのかなどは、実際のところ、よく分からないじゃないですか。何となく、スペインは暑くて乾燥していて、闘牛士やフラメンコのイメージ。人もすごく熱くて、日本人とは全然違うのかなぁという感じですよね。そんな我々が、いざスペイン人を演じるとなると、本当に自分たちが思い描いている通りの熱い人間像が正しいのかどうか、はっきり分かりません。そういう感覚を持ちながら、母親という役名ならば、 スペインの「ザ・母親」なのかなと想像して、キャラクターを作っています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、 久しぶりのストレートプレイへの想い、芝居のこと、この作品の魅力について伺った内容や読者の方へのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

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■演じる「母親」は、古い因習や血筋から逃れられず、自らの人生を壊していった人物

■久々のストレートプレイが嬉しい。ミュージカルも芝居がしっかりとした作品が好き

■ミュージカルはアウトプットで、演劇はインプット。全ての経験が役作りに活きる

■古い時代の戯曲だが、今の時代でもあること。「女性は強いな」と思われるかも

<『血の婚礼』>
【東京公演】2022年9月15日(木)~10月2日(日) Bunkamura シアターコクーン
【大阪公演】2022年10月15日(土)~16日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/chinokonrei2022/

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安蘭けいさん=撮影・NORI
安蘭けいさん=撮影・NORI

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■演じる「母親」は、古い因習や血筋から逃れられず、自らの人生を壊していった人物

――今回の「母親」役の個性は、どのようなところに感じられていますか?

古い因習や血筋にこだわっていて、その血筋から逃れられず、自らの人生を壊していった、そういうイメージです。私の周りには、モデルになる人はあまりいないのですが、何となく想像はできています。私自身は韓国人ですし、韓国の女性って、すごく激しいんですよ。親族にも、激しく熱い人がいるので、そういうところをヒントにイメージしています。

安蘭けいさん=撮影・NORI
安蘭けいさん=撮影・NORI

■久々のストレートプレイが嬉しい。ミュージカルも芝居がしっかりとした作品が好き

――1年ぶりにお話を伺っていますが、その間に出演された『ジェイミー』や『ネクスト・トゥ・ノーマル』に対しては、今、どのようなことを感じていらっしゃいますか?

しばらくミュージカルが続いていたので、『血の婚礼』は久々のストレートプレイ。嬉しいです。もちろん、私はミュージカルが好きなのですが、芝居がしっかりとしている作品を好んでいるので、特に、芝居のスキルをしっかり上げていかなければいけないと思っています。もちろん歌もそうなのですが、芝居も、きちんと学んできているようで学べていなかったりする面もあるので、芝居をやっていらっしゃる先輩方、役者の方々を拝見して、いろいろ学びたいです。

安蘭けいさん=撮影・NORI
安蘭けいさん=撮影・NORI

■ミュージカルはアウトプットで、演劇はインプット。全ての経験が役作りに活きる

 『ビリー・エリオット』『ジェイミー』などでも、自分には子供がいないので、 母親を演じるには想像するしかないんですが、想像ができるのも、いろいろな役者さんをさまざまな現場で見てきたからこそです。

それをどのように舞台に活かすかということも、経験があってこそですので、この1年だけでなく、全てが私の役作りにとても役立っています。ミュージカルはアウトプットで、演劇はインプット。そういう感じかもしれません。

――定期的にそこが繰り返されていくと、きっととても良い循環になっているのですね。

そうなんですよ。いい感じに、新しいことをさせていただいていると感じます。今回も、インプットします。

安蘭けいさん=撮影・NORI
安蘭けいさん=撮影・NORI

■古い時代の戯曲だが、今の時代でもあること。「女性は強いな」と思われるかも

――『血の婚礼』上演に向けて、見どころや楽しみにされていることなどを含め、読者の方へのメッセージをお聞かせください。

読んだ時は、なかなか難しい戯曲だなと思いましたが、稽古が進んでいくにつれて、本に描かれていないところを、役者の皆さんが体で表現していたりして、どんどん面白い作品になっています。杉原さんの演出も、美的感覚といいますか、こだわりもすごくありそうですし、早く舞台装置を見たいです。

私が経験したことがないことを、かなり経験させていただけそうで、私自身もそこが楽しみですし、きっとお客さまも、 「おー! 」とびっくりされることがあると思いますので、期待していただきたいです。

ひとりの女性をめぐる男性ふたりの戦いの話です。古い時代の戯曲ですが、今の時代でもあることですし、リアルタイムで面白く感じていただける話なのかもしれません。そして、残された女たちはどう生きていくのか。「女性は強いな」と思われるかもしれませんが、そこも今の時代にぴったりなのかもしれないですね。「色褪せない演劇」を観ていただけるのではと思います。

安蘭けいさん=撮影・NORI
安蘭けいさん=撮影・NORI

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“「色褪せない演劇を」、『血の婚礼』安蘭けい(下)” への 1 件のフィードバック

  1. もとさん より:

    安蘭さんの記事を掲載して下さりありがとうございます。
    安蘭さんのお芝居に対する熱い思いを聞くことが出来て嬉しいです。
    お写真も美しく、読み応えのある記事でした。お芝居を見る上で参考になりました。
    素敵な記事をありがとうございました。

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