スペクタクル時代劇『真田十勇士』の再演で、初演時の由利鎌之助から、霧隠才蔵に役替わりで出演することになった加藤和樹さんの合同取材の様子の「下」です。有料会員向け部分には、7月に行われる加藤和樹さんの「全曲ライブ」などについてうかがったお話も掲載しています。(インタビュアー:橋本正人ほか、執筆:きたあつこ)
■ずっと走りっぱなしで戦ってる感じがあって、すごくハード
――初演はハードでしたか?
ハードでした。やはり、1公演1公演の立ちまわりの分量も多いですし、夏の陣なんかもずっと走りっぱなしで、その道中で仲間たちが1人1人欠けていく。泣けるシーンでもあったんですけれども、その体力のすり減り方とかがすごくリアルだったんですよね。ホントに戦ってる感じがあって、家康本陣を目指して行くっていう。すごくハードだったけど、充実していましたし、1公演1公演やりきった感がすごくありましたね。今回はどの位ハードになるのか、立ちまわりも手が付いたりするのか…。色んなことを考えていますけど、何があってもいいように、体作りだったりとか、そういうものはしていこうと思っています。でも、みんな言ってるのは、「もうあれから2年経ってるんだよね」って。
――体力が落ちてるってことですか?
勘九郎さんも含め、加藤雅也さんも言ってましたけれども、(加藤雅也さん風に)「わしも、もう今回は最後やで。でもやるからにはやらんとなぁ」って(笑)。映画の時に言ってらしたので、「ついていきます。親方さま」ってことを、みんなで言ってました(笑)。
■台本にはないんです。ないんですけど、やるんです(笑)
――勘九郎さんは、加藤さんは声がいいから歌を歌わせたいって「動画コメント」でおっしゃってました。
それはもう、電話でも言われましたね。
――あるかも?(笑)。
分らないです。監督も言ってるので。
――監督も?
この間、映画のアフレコでお会いした時に、「一曲やってもらおうかな」って。「勘弁してもらっていいですか」って言いましたけれども(笑)。でもこの人たち、ホントにやらせるので、こっちがNOと言ってもYESになるんです(笑)。
――ミュージカル「真田十勇士」?
ホント(笑)。エンターテイメントの要素が色々盛り込まれているので。前回の桃李くんも色々やらされていたので、むちゃぶりとか。
――確かに、ユニークで面白いシーンもありましたね。
台本にはそんなものはないんですよ。ないんですけど、やるんです(笑)。
■とりあえず監督に見せて、「それおもしろいね」ってなったりとか
――勘九郎さんとかアイデア出してアドリブとかされてて、面白かったらそのままGOとか?
とりあえず監督に見せて、「それおもしろいね」ってなったり、監督も「これちょっとやってみて」って、日替わりネタができたりとか。で、面白くなかったらやめようってなるんですけど。結構そういうのがあるんですよね。1番面白いのは高橋光臣さんの筧十蔵。ゲイキャラなんですけど、そもそもは、そんなキャラ設定じゃなかったんです。芸州浪人の筧十蔵が駆け込んでくる最初の登場シーンがあるんですけれども、それを見て堤さんが「ゲイだったらどうなるの?」って言って、光臣さんも「じゃ、ちょとやってみます」ってなって。「じゃ、それでお願いします」ってことで、彼の役作りが180度変わる。稽古場でめちゃめちゃ悩んでましたからね。「俺、そんな役作りしてきてない」って。そこで生まれたキャラクターでもあるんで、鎌之助との関係性も変わってくるんです(笑)。本当にみんなで作り上げる作品なんですよね。
<スペクタクル時代劇『真田十勇士』>
【東京公演】2016年9月11日(日)~10月3日(月) @新国立劇場 中劇場
【横浜公演】2016年10月8日(土)~10月10日(月・祝) @KAAT神奈川芸術劇場
【関西公演】2016年10月14日(金)~10月23日(日) @兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
<関連サイト>
スペクタクル時代劇『真田十勇士』 ⇒ http://sanadajuyushi.jp/
Kazuki Kato official web site ⇒ http://katokazuki.com/index.html
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「惚れ惚れする才蔵に」、スペクタクル時代劇『真田十勇士』出演の加藤和樹(上) ⇒ https://ideanews.jp/backup/archives/22586
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加藤和樹さん、2016年9月からの舞台「真田十勇士」で霧隠才蔵役に ⇒ https://ideanews.jp/backup/archives/19179
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■10周年、1789、真田十勇士…今年は頑張り時、踏ん張り時
■「全曲ライブ」は、このタイミングでしかできないこと
■映画で「敵将の馬を奪って突っ込んでいく」シーン、大変でした
■手に汗握るスペクタクル時代劇『真田十勇士』、是非体感を
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■大河ドラマをはじめ真田ブームの中にいるのはどうですか?
――NHKの大河ドラマ「真田丸」をはじめ、真田ブームの中にいるのはどうですか?
とても光栄なことですし、世の中が盛り上がって、誰もが知ってる物語を演じるというところで、期待感とプレッシャーというのものあるんですよね。その中で霧隠才蔵という役を演じられるということはチャレンジでもあるなぁと思いますね。個人的には、今年アーティストデビュー10周年だったり、帝国劇場のミュージカル「1789」という作品で、主演をやらせて頂いたり、今年は自分にとって頑張り時というか、踏ん張り時だと、すごく思うんですよね。そして、大きな作品が続くことが、大きなイベントに重なるっていうことも含めて、やはり運命的なものを感じますし、だからこそ、中途半端にもできないし、ちゃんと名前を残せるようにしなくてはならないという…。さっきもちょっと言いましたけれども、使命感みたいなものも感じています。もちろんその「真田丸」とかでは、十勇士の方はあんまり描かれない(真田)幸村の方がメインでいきますけれども、この作品はそことも違うアナザーストーリーとして、「こういうことが、実はあったんじゃないか」っていうところを思わせたら勝ちじゃないかって思いますし、この舞台の作品テーマが「嘘かまことか…」というところで、嘘でもつき通せば本当になるというところを、僕らは押していきたい。やはりその為に命を落としてヘタレの幸村さまを本物にしていくんで、この時代にこれをやるっていう、ある意味「使命感」みたいなものは感じてますね。
■「全曲ライブ」は、このタイミングでしかできないこと
――今年は大活躍で、7月にはデビュー以来の曲を全曲、ライブで歌われますが、体力的に大丈夫ですか?
大丈夫です(笑)。自分の好きな言葉というか、モットーにしているのが「やればできる」という言葉で、「やるしかない」って所も、もちろんありますし、やってできないことはないなとは思ってはいるんですね。できないことはやってみて、できなかったら「できませんでした」って言いますけれど、でも今、目の前にあるものは全てできると思っているので。あとはそこに向かって「できる」のその先ですよね。「どれだけできるようにするのか」っていうのは、もう自分次第だと思うので。そこは生半可な気持ちではやりたくないな、という思いはありますね。全曲ライブにしても、今、このタイミングでしかできないことだと思いますし、それは自分の中の挑戦でもあるし、応援してくださる方の感謝の気持ちも込めて、その全曲をやるっていうことを…それをやりきった先に、また新たな道が見えてくるんじゃないかと思います。
――何曲くらいあるんですか?
80曲ちょっと位ですかね(笑)。2日間に分けてやるんですね。東京、大阪、名古屋と。
――耐久レースみたいですね。
そうですね、ホントにそうです(笑)。この間、4月にワンマンライブをやったんですけども、「みなさん夏までに頑張って体力つけましょう、みんなで頑張りましょう」って言いました(笑)。みんなで頑張るライブになりそうです。「休憩時間とかあるんですか?」ってファンの人に聞かれたりして「作りましょう、屈伸とかしましょう」って言ったりとか(笑)。ホントにファンの人たちに支えられて舞台に立たせてもらっているので、そこはみんなと作り上げるものだと思っています。今回の舞台もそうですよね。お客さんが笑ってくれて、グッと前のめりになる気持ちを抑えて観る、舞台の雰囲気っていうのはお客さんが作るところもあるので、ホントに笑ってもらえるところは思いっきり笑って欲しいし、そういうことが許される舞台だと思うんで。
■映画で「敵将の馬を奪って突っ込んでいく」シーン、大変でした
――今回の『真田十勇士』は、上演と同時期に映画も上映されますが、いかがですか?
もちろん、ストーリーは同じなんですけれど、描き方も違いますし、やはり映画は2時間ちょっとにシーンを凝縮させなければいけない。立ちまわりのシーン1つにしろ、たった3秒のシーンだとしても10分くらいあったりするわけじゃないですか。そこの見応えは、映画の方がスケール感はものすごく大きい。それこそ千葉や和歌山に行かせて頂いて、ホントに何にもないだだっ広い野っ原で、徳川軍、真田軍が、「はーっ」ってやる合戦のシーンも、エキストラさんに200人とかその位、毎朝集まって頂いて。みんなの協力で描いた合戦シーンっていうのは、すごく見応えがありますし、そこには映像CGなんかも入ってきて。撮ってる最中に映像を観させていただいたんですけれども、「とてつもなくスケール感のでっかい作品だな」と思いました。自分自身も馬に乗らせて頂きました。台本に「鎌之助が敵武将の馬を奪って、敵陣に突っ込んでいく」ってことが書いてあって。馬の上で槍を振り回して、すれ違いざまに切るっていう…そういうことを含めて、やはりそれは映像でしかできないですし、それはそれでもう「映画」真田十勇士として観て頂きたいなと思っています。舞台は舞台で、同じ作品だけれども別のものとして、やはりキャストも違いますし、そっちはそっちの良さがあるので、同じ作品を違う形で観る、これって結構贅沢だと思うんですよね。しかも同時期に観られるっていうことで。自分自身も映画を観に行ってから舞台に立ったら、またちょっと気持ちが違うかもしれません。
――馬のシーンなど、そこだけ他の人を使うとかはしないのですか?
やりたいんですよね。そこは「是非やらせてください」って言いましたし、「できるでしょ?」って言われたので、「やります」って言って。たった3秒なんですけど、乗馬クラブに通って、まずは歩くところから。「敵の馬を奪って」ですので、普通に馬に乗れるだけじゃないんですよね。その馬の乗り方、馬の動かし方って、生きている動物だけど乗り物を扱うのですごく難しくて、いつも走り慣れている乗馬クラブでなく現場で、柵も何もない所で馬たちも走らされるので、やっぱりみんなが「わーっっ」って雄叫び上げたりするとビックリしちゃうんですよ。それで走り出さなかったりとか、馬のコントロールがすごく大変だったので、そこは徹底的にやりましたね。
■手に汗握るスペクタクル時代劇『真田十勇士』、是非体感を
――最後に、舞台の「真田十勇士」についてお願いします。
初演を観たという方も、まだ観たことないよっていう方も、絶対に笑って泣ける作品だと思います。中村勘九郎さんを筆頭に、これだけのキャストが集まるということも、そうそうないと思いますし、それが生で見られる。立ちまわりなんかは、本当に手に汗握るぐらい壮絶な立ちまわりになると思うんですよね。目で見て楽しめる、実際に僕らの呼吸も感じられると思いますし、生まれ変わった「真田十勇士」というのも是非体感して頂きたいなと思います。
――ありがとうございました
ホント、何、やらされるかわかんないんです。
――馬が出てくるかもしれないとか?
前はちょっと馬に模したものが出てきたんですけどね。「ホントの馬出したい」って言いかねませんからね(笑)。