2019年3月16日(土)から、下北沢トリウッドで公開される映画『美しすぎる議員』に、ドキュメンタリーディレクターの村上一朗役で出演する青柳尊哉さんに、インタビューしました。インタビューの前半では、この映画のみどころや撮影中のエピソード、五藤利弘監督や、「美しすぎる議員」田中愛役の川村ゆきえさん、カメラマン役の聡太郎さんについて伺いました。
――どのような映画なのか教えてください。
『美しすぎる議員』という構えそうな題なんですけど、「美しすぎる」というキャッチーな言葉のレッテルを貼られた人の、真実なのか偽物なのか分からない、その虚像に迫る物語ですかね。メディアの方の仕事を通して、メディアが作り出したものに向き合う。世の中の人がどことなく腫物のようにしている部分の、行間みたいな映画です。 “美しすぎる”というのを、多面的に捉えた、氷山の一角になるような映画です。
――レッテルを貼られた人は、その裏側で、色々な体験をしていたんでしょうね。
映画だと台詞とか物語の気になる言葉に、ひとつずつ引っかかっていくんです。それがきれい事だから、すごく腹立つところもいっぱいある。「その向こう側に向かいたい」っていう五藤監督の実験的なところもあるんだろうなと、僕は感じてます。
――五藤監督は、いかがでしたか?
監督自身がドキュメンタリー出身なので、行間を繋ぐというか、物語の前後を繋ぎ、その前後に関してもお客さんに委ねて行く監督という印象です。間に立った時に、本音と建て前の、その真ん中を取っていければと。僕と聡太郎君が演じるドキュメンタリーディレクターとカメラマンが劇中で撮影しているという設定のカメラの映像も映画の本編で使うということだったので、僕らは本当に撮影していたんです。同時にカメラが回っている、面白い感じになっています。
――青柳さんたちが撮影した映像が、実際に使われるということですね。
そういうことを、楽しもうと。深く考えすぎず、純粋な興味でこの田中愛議員というフィクションの世界の人と向き合ってくれればいいと言われました。
聡太郎君演じるカメラマンが、劇中で「なんか嘘くせ~な」っていうんですけど、きれい事が並びすぎると嘘くさく見えるし腹が立つ。「その向こう側に行きたい」っていう村上の思いがあるんですけど、「向こう側なんか無いよ」っていうのが議員の思いで、「何が言いたいんですか」って。でも、建て前の向こう側のどす黒い部分を観たいっていう世間のゲスさを描きたいというのが、五藤監督の狙いの中にあったんでしょうね。
台詞や物語ではない、人間の目みたいなのがいっぱいこの映画にはあるなって思うんです。寄りかかりづらい映画だとは思いますが、決して他人事では無い。観ている人も、どこか当事者になれる映画になったと思います。
※こちらは公式サイトに掲載されている映画「美しすぎる議員」特報(30秒)映像です。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、演じた村上というディレクター役のジレンマなどについてや、共演した川村ゆきえさん、聡太郎さんについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月10日(日)掲載予定のインタビュー「下」では、青柳さんが絵を描いている月刊ヒーローズのWEBコラム「青柳尊哉の徒然なるままに」や、青柳さんらがYouTubeで配信している短編連ドラについて、青柳さんが目指していることなどについて話してくださった、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■撮る側は、社会性を踏み越えて嫌われなきゃいけない。でも人間を捨てきれない
■撮りたい画のために、苦しいこと汚いことがある。その行間を観てもらいたい
■聡太郎君に至っては「尊哉さん。僕、台本もらってないんだけど…」って(笑)
■僕は田舎の人間なので、取手の田園の風景を見ていると、ただそれだけで十分
<映画『美しすぎる議員』>
【公開】2019年3月16日(土)から 下北沢トリウッドにて公開ほか全国順次
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■撮る側は、社会性を踏み越えて嫌われなきゃいけない。でも人間を捨てきれない
――村上には、濁りを撮る時のジレンマもあるんでしょうか。
難しいですよね。社会性の中にいるんですけど、やっている事が社会性から剥がされたところにいて仕事をしている人達だと思うんですよ。議員なんてまさにそうで。社会の中で働いている象徴。社会を作るっていう社会性の部分も持っているのに、化けの皮だと言われてしまう。
低予算でドキュメンタリーを撮るディレクターは、「社会に訴えかける」っていう社会性を持っているんだけど、それを踏み越えなければ撮れない。嫌われなきゃいけない、イヤがられなきゃいけないという人間としてのメンタルの部分もあったと思います。
そこに、お互い、カメラ側にしても田中議員側にしても人間らしさが垣間見えるんじゃないかな。人間をどこか、捨てようとしながらも、捨てきれない。そこに、醜さと美しさがあったと思います。
■撮りたい画のために、苦しいこと汚いことがある。その行間を観てもらいたい
――「本当に撮りたい画のために100の事をやってきた」っていうセリフと、議員の「本当にやりたい政策のために100の事をやってきた」という言葉が韻を踏んでいる感じがしました。
そこは、やっぱり五藤監督の本音だと思うんです。100の事をしてきたと言っても、100のキレイなことをしてきたわけではないと思うんです。撮りたい画という1のために、良き事の1を細分化していくと、苦しいこと汚いことがあって、100の何割かがこの映画にはあるんじゃないかなって思います。
その行間かな~、観てもらいたいのは。誰かにとっては生きづらさの支えになってくれるかもしれないし、誰かにとってはエンジンになってくれるかもしれない。肯定されるかもしれないし、真っ向から否定したくなる強さになるかもしれないし。何かの材料になるかなって思います。
■聡太郎君に至っては「尊哉さん。僕、台本もらってないんだけど…」って(笑)
―共演者の方々は、いかがでしたか。
茨城県取手市で合宿して、川村さんも聡太郎くんも1歳しか違わないので、3人で過ごす事が多かったです。皆、みずがめ座だったんですよ(笑)。ロマンティストなみずがめ座で、皆、誕生日がやってくるっていう(笑)。
(チラシの聡太郎さんの画像を指さしながら)聡太郎くんはこの見た目だから怖いんじゃないかなとか、やりづらいんじゃないかなって思ったんですけど。でも、ものすごく柔らかい人で。
川村さんには、こっちも構える部分があって、どのくらい踏み込めるかなって思うところもあったんですが、ポンッて「これ、私、台詞いえるかな」とか「難しすぎるんだけど大丈夫かな」って言ったり、素敵な柔らかい人で。
聡太郎君に至っては「尊哉さん。僕、台本もらってないんだけど…」って(笑)。ペラのプリントアウトしたものしか渡ってなくて。僕は製本された台本なんですけど(笑)。「うそ!」って言ったら、「いや、僕、ちゃんとやりますよ(笑)」、「僕だけいじめられてるんですかね(笑)」「いや、絶対そんなことないよ(笑)」って。初日からそんな感じで。
聡太郎君とは一緒にいる時間が多かったので、2人でディスカッションしながら、「どこを撮る?」って話し合いながら。自分達が撮影したものが本編でも使われるので、「どういうアングルでいこうか」って、耳打ちしているような場面は本当に劇中でも使われています。そういうことが積み重なっていって、随所に面白いシーンが出来あがったかなって、思います。
■僕は田舎の人間なので、取手の田園の風景を見ていると、ただそれだけで十分
――いい感じの現場だったんですね。
ディベートのシーンに出演した若いメンバー達も、すごく前のめりに参加してくださって、熱量を上げてくださったなって思います。
僕自身は、田舎の人間なので、取手の田園の風景を見ていると、僕はただそれだけで、もう十分。朝が早かろうがなんだろうが、ぼーっとしていられたので良かったです。
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