汚れた手でもソフトコンタクトレンズを扱える器具、震災経験から誕生

コンタクトレンズを使っている方はよくご存じでしょうが、ちゃんと洗った手で扱わないと、レンズはすぐ汚れるし、菌が繁殖して目にも大変よくないわけです。普通なら、水道で手をよく洗って、コンタクトレンズをつけたりはずしたりすれば良いわけですが、災害時にはそれがかないません。きれいな水がないところで、飲み水も十分確保できない時に、ちゃんと手を洗うことが出来ない・・・避難するとき、コンタクトレンズを荷物に入れていても、汚れた手では扱えない・・・そういうときにこそ、使ってほしいという製品があります。メディトレック株式会社が開発販売している、ソフトコンタクト用つけはずし器具meruru(メルル)です。(ValuePress!2015年3月10日より)

メディトレック社代表取締役の斎藤和子さんは、こう書いておられます。

東北大震災に寄せて

月日が流れるのは早いもので、あの日からもう4年も経ってしまったのですね。4年前の私は“meruru”を作ろうと決めてから、1年半が経過しているにもかかわらず、思うような物が作れず、苛立ちだけが積み重なっていました。

そんなとき、あの大きな揺れに東京で襲われました。当初、震災地は東北だという以外の情報は入らず、日が変わってから目にする悲惨な状況に涙が溢れてくるばかりで、何もできませんでした。

“meruru”を作るなんて、どうでもよくて…何もする気がなくて…ただ被災地に物資を送ることしか思いつかなくて…

気がつくと、半年が過ぎていました。

そんなとき、被災地から避難してこられた方がコンタクトを作りに私の勤務する眼科にみえたのです。

「大変でしたね… コンタクトはどうしてらしたんですか?」と声をかけた私に、その方は「手なんて洗える状況じゃなかったんです」。

少し怒ったように、私は感じました。

そのとき、半年間放り出していた“meruru”を早く完成させなくてはいけない。それも、ケースやブリスター(買ったときにレンズが入っている容器)から取り出すときも指を使わなくてもできるものにしなくては…という想いが湧き上がってきました。

実は、当初“meruru”は、目から取り出すピンセットと指でレンズをセットしてから目に入れるラッパ部しか考えていませんでした。ケースやブリスターから取り出すためのスティックも作る必要があると思ったのは、この一言があったからなんです。

“つけるだけ” “はずすだけ”の器具は他にもありますが、このスティックを考えたことで、一切指を使わなくても、ソフトコンタクトを目に入れられ、取り出せる商品になったのです。

まだまだ、認知度が低い“meruru”ですが、いずれ、コンタクトを使う全ての方が、シーンや状況にあわせて指かmeruruを選ぶようにしてもらえれば、より安心で、安全にコンタクトを使えると信じております。
2015年3月11日 斎藤 和子

メディトレック株式会社のページはこちら

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA