「劇団ならでは…」、小沢道成・一色洋平『もうひとつの地球の歩き方』対談(上)

小沢道成さん(左)と一色洋平さん=撮影・伊藤華織

2018年1月19日(金)に開幕する虚構の劇団の2年ぶり新作『もうひとつの地球の歩き方〜How to walk on another Earth.〜』に出演する小沢道成さんと一色洋平さんにインタビューしました。フライヤーに書かれている「これは記憶とシンギュラリティと天草四郎の物語」という作品について、ネタバレにならないように語っていただきました。

小沢道成さん(左)と一色洋平さん=撮影・伊藤華織

小沢道成さん(左)と一色洋平さん=撮影・伊藤華織

――「虚構の劇団」久々の新作『もうひとつの地球の歩き方』、どんな作品でしょう?

小沢:2年ぶりの新作です。内容は、本当に鴻上(尚史)さんの話って全部ネタバレになっちゃうんですけど、鴻上さんがすでに話していることで言うならば、フライヤーに書かれている「これは記憶とシンギュラリティと天草四郎の物語」っていうのが、既に内容を知っている僕たちが「あぁ、なるほど!!確かにそうだわ。」って思えるという物語です。

一色:うんうん。

小沢:多分「シンギュラリティってなんなんだ?」とか、よくわからなかったり「天草四郎って、誰だっけ?有名な人だよね?」っていう感想だと思うんですけど。

――そうですね。

小沢:「シンギュラリティ」っていえば、ざっくり言うと…なんていうんでしたっけ?

一色:「シンギュラリティ」は、「技術的特異点」っていう言葉だとWikipediaで(笑)。

小沢:そう、それでも難しい言葉なんです。コンピューターが人間の知能を超えること、超える力、超える瞬間のことを「シンギュラリティ」って言うんです。説明として出てくるんですけど、最近でいうと囲碁とか。

一色:パソコンが勝手に囲碁をしたりとかね。

小沢:よくある、パソコンが人間に勝った!とか、そういうことですよね。そういうのが人間の能力を超える人工知能のことを「シンギュラリティ」っていうんですけど、2045年にはそれがもう人間を完全に越えるであろうということが言われているらしい、という。2045年っていったら、もうすぐじゃないですか。

――あっという間ですね。

小沢:なんかそういう「シンギュラリティ」っていうことと、あとはまぁ、その「AI」ですよね。人工知能の話。その「シンギュラリティ」というのと、あとは「天草四郎」が出てきたりもする、…かもしれない。

――かもしれない?

小沢:僕たちも「天草四郎」が出てくるかもしれないって情報だったから、ネットとかでどんどん調べていったんですけど、例えば“盲目の少女の眼を治した”とか、“海の上を歩いた”とか…。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、「劇団」でしか出来ない作品の意味や、一色さんが今回はオーディションに来たということなどについて語ってくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。16日掲載予定のインタビュー「下」では、お互いの印象や、お2人のユニット「一色洋平×小沢道成」について語っていただいたインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■小沢:「天草四郎」って、すごい謎な人物なんですよ。調べれば調べるほど

■一色:小沢さんが「これ、次の新作かも」と言うんです。で、ホントに出てる

■一色:「つき合いがあるけど、オーディション受けて大丈夫かなぁ」って(笑)

■小沢:オーディションってこうやって勝ち取ればいいんだ、って見せて貰った

<第13回公演『もうひとつの地球の歩き方〜How to walk on another Earth.〜』>
【東京公演】2018年1月19日(金)〜1月28日(日)座・高円寺1
【大阪公演】2018年2月2日(金)〜2月4日(日)ABCホール
【愛媛公演】2018年2月10日(土)〜2月11日(日)あかがねミュージアム あかがね座
【東京凱旋公演】2018年2月15日(木)〜2月18日(日)東京芸術劇場 シアターウエスト

<関連サイト>
『もうひとつの地球の歩き方』
http://kyokou.thirdstage.com
虚構の劇団 Twitter https://twitter.com/kyokou_gekidan
小沢道成プロフィール
http://www.thirdstage.com/management/ozawa.html
小沢道成 Twitter
https://twitter.com/MichinariOzawa
一色洋平プロフィール
http://www.grand-slam.co.jp/Artist/yoheiIsshiki.html
一色洋平 Twitter
https://twitter.com/yohei_isshiki
EPOCH MAN
http://epochman.com/index.html/

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小沢道成さん=撮影・伊藤華織

小沢道成さん=撮影・伊藤華織

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■小沢:「天草四郎」って、すごい謎な人物なんですよ。調べれば調べるほど

――天草四郎の「逸話」ですね。

小沢:Wikipediaとかに書いていたりするんです。でもそれは嘘だっていうことを言ってる人がいたり、はたまた何か違うサイトを見たら、天草四郎とはこういう人物だ、っていうのを全く違うことを言ってたりするから「天草四郎」って、すごい謎な人物なんですよ。だから調べれば調べるほど結構、なんか…(笑)。

一色:そうそう(笑)。いやもうホント掴めない。掴もうとして調べているのに、全然掴めないっていうすごい不思議な人物で。

小沢:例えば大河ドラマになってるような人物だと、すごく歴史がちゃんとしっかりしていて、ちゃんと誰かの史実を元に、証言を元に構成されたりするけど「天草四郎」っていう人間は、結構なんかね「噂話」で成り立っているに近いような。

一色:うん。

小沢:実際それを見た人って居るの?っていったら、実際居なかったりする、とか。なんかちょっとね、面白い存在なんですよ。

一色:そうなんです。そのわからなさというか掴めなさっていうのが、存分に作品の中では出てくるんです。だから鴻上さん的に「天草四郎ってのは、これだ!」みたいな感じで出てくるのではなく、その掴めなさも面白みとしてそのまんま出てくる、っていうか。すごくミステリアスに出てくるので。

小沢:だから「記憶とシンギュラリティと天草四郎の物語」って書いて、ちょっと難しく考えちゃう人は、全然そんな難しく考えずに、ノー知識で来て貰ってもいい舞台なんです。

一色:そうそう、全然大丈夫なんですよ。「記憶」とか「シンギュラリティ」とか1個1個すごい扱うものがおっきいんですけど、でもわからないところは、逐一台詞で説明はされていきますし、だけどそのわからなさ、膨大さ、おっきさとか、それがどんどん暴走していく感じを本当に難しく考えずに楽しめて貰えればな、っていうのはありますね。

小沢道成さん=撮影・伊藤華織

小沢道成さん=撮影・伊藤華織

■一色:小沢さんが「これ、次の新作かも」と言うんです。で、ホントに出てる

小沢:でもすごいよね、だって鴻上さんはこのチラシに載ってる言葉を書いてるときはまだ台本書いてない訳だから(笑)。それで今僕たちが台本見て「あ、なるほどなぁ!」って思えることってすごいことだと思いますよ!

一色:ものすごい逆算なんですよね、これね(笑)。

小沢:(笑)。でもだからこそ、よく新作で鴻上さんが言うけど、やっぱり「劇団」でしか出来ないのって、そこだなぁって思うわけですよ。

――劇団でしか出来ない?

小沢:もう、正直言うと今台本が完成するかしないかの段階なんですよ、まだ僕たちは1ヵ月も稽古が出来るから安心なんですけど、それって普通のプロデュース公演だったら許されないことと言うか(笑)。

一色:「劇団」ならではの鴻上さんの進め方というかね。

小沢:在ったんでしょうね、鴻上さんの中で、もうこれを書こうって。

一色:何かがね。どうとでも行けるように。

小沢:確かに「記憶」だし、「シンギュラリティ」だし、「天草四郎」なんだよね。

一色:うん。

――鴻上さんの作品には「おっ?!」というようなキーワードが毎回登場しますね。数多ある情報の洪水の中からどうやってひとつの「言葉」をすくい上げてこられるのか。

一色:そうですね。

小沢:気になりますね。

一色:その点すごい鋭いなって思うのは、割と僕らプライベートでもちょこちょこ会うんですけど、ご飯一緒に食べたりするときにネットニュースとかを見てて、小沢さんが「あ!これ鴻上さん、次の新作引っかかるかもな」みたいなことをよく言うんですよ。で、実際その雑談で交わされた会話で「これ出るかも」って言ったのがホントに出てるんですよ、今回。

小沢:うそ?!

一色:本当。

小沢:全く覚えてない!

――ご本人は覚えてらっしゃらないみたいで(笑)。

一色:そう(笑)。多分小沢さんってそういう思考で一杯だから、何気なく言ったと思うんですけど、小沢さんが言ったのでひとつね、ポンって出たのがあって、やっぱ鋭いなって思いましたよね。

小沢:へー。

一色:(鴻上さんとの)10年のつき合いがね。

小沢:でも鴻上さんやっぱり今の時代を書くからね。

一色:ね、そう。なんか時代をおっきく切る人っていうよりも、スパーンって本当にピンポイントでストン!ストン!って、沿って切っていくみたいな感じもありますよね、すごく。

一色洋平さん=撮影・伊藤華織

一色洋平さん=撮影・伊藤華織

■一色:「つき合いがあるけど、オーディション受けて大丈夫かなぁ」って(笑)

――その鴻上さんの演出ですが、一色さんは今回初めてになりますか?

一色:初めてです。

――そうなんですね。確かお付き合いは以前からおありだったと。

一色:厳密にいうと4年前からになります。「虚構の劇団」の『エゴ・サーチ』(2013年)っていう公演で、身体のトレーナーみたいな感じでワークショップの講師として稽古場に2回お邪魔したんです、っていうのが始めだったんです。元々は僕が2010年に早稲田の演劇研究会に入って、鴻上さんは演劇研究会のレジェンドで神のように崇められている存在で、初めて劇研で2人芝居を打ったときに、勇気出して鴻上さんにTwitterで「良かったら観に来てください」って送った覚えもあります(笑)。やっぱり演出を受けるのは初めてなので、ちょっと本当に今もまだやっぱりワクワクしてますね。

――それでは今回のオファーは嬉しかったですね。

小沢:実はね、これは面白いんですけどね。一色は今回オーディションに来たんですよ!

――オーディションで出演が決まったんですか!

小沢:でもね、やっぱりもう普段もあらゆる所で活躍してるじゃないですか。だからいろんな場所を知ってて経験もあるから、そのときのオーディションがやっぱり素晴らしく面白くて、実力で(役を)得たというか。鴻上さんもやっぱり「うん、上手いな」って言って。「一色とやりたい」ってことになって、オーディションで採用されたんですよ。

一色:そう。小沢さんに相談もしたんですよね。「大丈夫かなぁ。つき合いがあるけど、オーディション受けて大丈夫かなぁ」って(笑)。

小沢:っていうのがあったから「受けなよ」って。

一色:後押ししてくれて。

小沢:別に遠慮することでもないし、むしろ面白い機会になるかもしれないし。

一色:そうそう。一応4年前から付き合いはあったから、今どうなんだろうな、行っていいもんかな?とか悩んだんですけども、行って良かったですね。

一色洋平さん=撮影・伊藤華織

一色洋平さん=撮影・伊藤華織

■小沢:オーディションってこうやって勝ち取ればいいんだ、って見せて貰った

――一色さんのオーディションのお話といえば、『ゴールデンスランバー』(2016年)で「演劇集団キャラメルボックス」2作品連続ゲスト出演を果たされたのは記憶に新しいです。

一色:『嵐になるまで待って』(2016年)という作品に出演中のときに、次回公演『ゴールデンスランバー』のオーディションがあるって知って、急いでプロデューサーに「受けてもいいですか?」ってメールをして。そしたら「見るだけ見るよ」って、それで演ることになっちゃったんですけども(笑)。

小沢:本当に審査する側からすれば迷惑な(笑)。

一色:そうそう、ホントに迷惑なんだよ(笑)。成井さん(成井豊氏「演劇集団キャラメルボックス」代表)も「なんで受けに来たんだ?」って(笑)。

小沢:(笑)だって今ゲストで演ってる人間がね。

一色:見たらさ、駄目とも言いにくいしさ(笑)。

小沢:言いにくいし。ま、でもそこはやっぱり大人の世界だから、それはもうYES、NOを出さなきゃいけないし。

一色:そう、出さなきゃいけない。興行的にもね。

小沢:だからやっぱりね「YES」とさせるくらいの面白さがあるんですよね。僕も今回は勉強になりました。オーディションってこうやって勝ち取ればいいんだ、っていうのを見せて貰ったというか。本当にね、会場全体、オーディション受けに来ていた方たちも全員楽しんでたんですよ。その空気感はすごいですよね、やっぱり。

一色:楽しかったですね、すごく。

小沢道成さん(左)と一色洋平さん=撮影・伊藤華織

小沢道成さん(左)と一色洋平さん=撮影・伊藤華織

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