長期宇宙滞在で、視力はどんな影響を受ける?

同じ姿勢を続けていると脚がむくんだり、急に立ち上がると目まいするのは、誰でも経験することですね。 国際宇宙ステーションに長期滞在中の宇宙飛行士の実験が、こうしたよくある症状に関係がある、というお話です。

宇宙では重力がありませんから、宇宙飛行士の体は様々な影響をうけます。骨や筋肉が無重力で弱るというのは聞いたことがありましたが、目にも大きな影響があるというのは知りませんでした。宇宙飛行士には視力の変化が起こり、目の形も違ってくるほどだそうです。その理由は、体液の移動。地球上でも、立ちくらみやむくみが起きる理由は、血液などの体液が移動してなかなか戻らないことによる症状なのだそうです。

公園の遊具に頭を下にしてぶら下がったり、逆立ちをしたりした時、頭の中や目の後ろが変な感じがして、目が見えにくくなったことありませんか?子どもの頃の遊びですし、ほんの短い時間のことなので、頭に集まっていた体液はすぐに元に戻ります。しかし、ずっと無重力で、何週間も何か月も過ごしている宇宙飛行士は、常に上半身に体液が集まっている状態だそうで、頭の中の圧力はいつも高く、目にも圧力がかかり続けます。視力の変化は、この体液の移動による圧力が原因ではないか?という仮説が立てられました。

米航空宇宙局(NASA)は、今年の3月からOne-Year Mission を実施します。アメリカ人宇宙飛行士スコット・ケリーさんが、国際宇宙ステーション(ISS)に1年間滞在するミッションです。1年宇宙に滞在するのは、通常のISS滞在機関の倍で、アメリカ人宇宙飛行士としては最長です。

そのミッションの中で、視力の変化と体液の移動の関係について、実験が行われる予定です。

~~The visual impairment category will include the Fluid Shifts and Ocular Health investigations to examine what happens when fluids shift into the upper body in a low-gravity environment. Researchers will collect physiological data using non-invasive tools to study visual impairment and intracranial pressure caused by prolonged weightlessness. 視力障害のカテゴリーでは、体液移動と眼の健康に関して実験がおこなわれる。低重力環境下で、上半身に体液が移動するとどういう変化が起きるかを調べる実験だ。非侵襲性の方法で生理学的データを集め、長期にわたる無重力の状態が、視力障害と頭蓋内圧に与える影響を調べる。~~

こうした実験によって集められたデータを研究することで、地球上で高血圧などに悩んでいる人たちも恩恵を受けるかもしれません。

健康上のリスクのある宇宙ステーションの1年滞在ミッションですが、将来、宇宙旅行にどんな備えが必要かを知ることができる大事なデータが集まるというわけです。火星探索をする布石とも言えますね。1年宇宙に滞在する飛行士の皆さんの安全を祈念します。

https://www.youtube.com/watch?v=cd0HpsoWmPE

http://www.nasa.gov/exploration/humanresearch/#.VN4kbvmsV8E

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