あたたかな空気が会場中に…、福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演ルポ

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

セカンドアルバム『Voce -ヴォ―チェ-』を2019年1月30日にリリースした福井晶一さんが、アルバム発売記念コンサートを開催中です。コンサートは、2月1日に大阪で、2月2日に名古屋で開かれ、2月14日(木)に東京の白寿ホールで開かれるコンサートが、締めくくりとなります。アイデアニュースでは、大阪のライブレストラン「フラミンゴ・ジ・アルーシャ」で開かれた大阪公演を取材させていただきましたので、当日の様子をご紹介します。

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

ピアノ、チェロ、コントラバスというアコースティックな編成で、『クレイジー・フォー・ユー』の「Slap That Bass」の曲に合わせて登場した福井さんは、まずジョージ・ガーシュインの生涯をリーディングとピアノで描いた『アメリカン・ラプソディ』(2018年12月上演)で、土居裕子さんとデュエットした「S Wonderful」と「Embraceable You」を、軽やかに披露。

そして、今回のアルバム収録曲から、『アスペクツ・オブ・ラブ』の「恋のさだめは」を伸びやかに、続いて『ジャージー・ボーイズ』の「My Eyes Adored You」を華やかに歌い上げます。『ジャージー・ボーイズ』については「昨年、ツアーがありまして、大阪でも新歌舞伎座で上演できましたが、観に来ていただけた方はいらっしゃいますか?」と福井さんが会場の参加者にたずねると、ほとんどの人がサッと手を上げ、さすがだなと思いました。

会場となったライブレストラン「フラミンゴ・ジ・アルーシャ」には、ステージの後ろに大きなスクリーンがあるほか、客席にも映像を映し出すモニターがあり、歌っている福井さんを真横からとらえた映像などが次々と切り替わって映し出され、まるで巨大な野外コンサート会場のよう。ズームやパンを含めて、カメラワークがとても素敵だったので、コンサート終了後にスタッフに「いったい何台のカメラを使っていたんですか?」とたずねたら「4台です」とのことでしたが、8台ぐらい使っているのかと思ってしまうほど、見事な映像です。

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

続いて、北海道旭川市出身の福井さんが「尊敬している」という、旭川出身の玉置浩二さんの曲「メロディー」を、流れるような揺れるような空気感で歌います。曲の途中には、会場のすみっこを指さす仕草もあり、「メロディー」の歌詞の中で、店のすみっこに置いている寄せ書きが出てくる部分と、自然に重なりました。

その後、福井さんは、おもむろに「ここで、今日一番の挑戦をさせていただきます」と話し出しました。舞台の袖からスタッフが持ってきたもの。それは、1本のギターでした……。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、コンサートの中盤から後半の模様を紹介したルポの全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■中学時代に同級生が「尾崎豊って知ってる?」とギターを弾いて歌ったのを聞いて…

■『ライオンキング』で、シンバのオーディションを受けろと言われたことがあって

■アルバムの選曲をしていた時に北海道で地震があり、どうしてもこの曲を入れたいと

■テレビ画面では触れることができない「あたたかな温度」が、隅々に広がっていく

<福井晶一セカンドアルバム『Voce -ヴォ―チェ-』発売記念コンサート>
【大阪公演】2019年2月1日(金) フラミンゴ・ジ・アルーシャ(この公演は終了しています)
【愛知公演】2019年2月2日(土) 名古屋[ブルーノート](この公演は終了しています)
【東京公演】2019年2月14日(木)18:30 白寿ホール
サポート:桑原まこ(Pf)/荒井桃子(Vn)東京のみ/渡邉雅弦(Vc)/岸徹至(Cb)
★Special Guest 美野春樹(Pf) 東京のみ
チケット一般発売はこちら
https://l-tike.com/order/?gLcode=51411
お問合せ先:(有)プランニング・クレア voce@pcrea.co.jp 03-3449-5866

<福井晶一2ndアルバム『Voce』>
発売日:2019年1月30日(水)、品番:KICC-1476、定価:2,037円+税
【収録楽曲】
1. スターズ~『レ・ミゼラブル』より
2. One Song Glory~『レント』より
3. 恋のさだめは~『アスペクツ・オブ・ラブ』より
4. 見果てぬ夢~『ラ・マンチャの男』より
5. My Eyes Adored You~『ジャージー・ボーイズ』より
6. ユー・レイズ・ミー・アップ
歌:福井晶一 編曲:美野春樹 美野春樹(Pf.)、加瀬 達(W.B.)、ミルトン冨田(Dr.)、堀沢真己(Vc.)
Voce 福井晶一 KING RECORDS OFFICIAL SITE
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICC-1476/

<ミュージカル『レ・ミゼラブル』>
【プレビュー公演】2019年4月15日(月)~4月18日(木) 帝国劇場
【東京公演】2019年4月19日(金)~5月28日(火) 帝国劇場
【愛知公演】2019年6月7日(金)~6月25日(火) 御園座
【大阪公演】2019年7月3日(水)~7月20日(土) 梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】2019年7月29日(月)~8月26日(月) 博多座
【北海道公演】2019年9月10日(火)~9月17日(火) 札幌文化芸術劇場hitaru
公式サイト
https://www.tohostage.com/lesmiserables/

<関連リンク>
福井晶一 オフィシャルウェブサイト
http://shouichifukui.com/official.html
福井晶一 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/shouichi-fukui/
福井晶一 オフィシャル instagram
https://www.instagram.com/shoichi.fukui/
福井晶一 Twitter
https://twitter.com/shouichifukui

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■中学時代に同級生が「尾崎豊って知ってる?」とギターを弾いて歌ったのを聞いて…

福井さんのところに持って来られたのは1台のフォークギター。「このコンサートで何か新しいことにチャレンジしようと思って、曲を作ろうかとも考えたんですが、才能がなくて(笑)というか忙しかったのもあってうまくいかなくて。じゃあ、なにしようかって、こうなったんです」とギターを持ち上げると客席から大きな拍手が。「クリスマスぐらいにギターを買って、まだ1カ月ぐらいしかたっていない。わかりますね。みなさん、今、だいぶハードル下げてますからね」と客席を笑わせながら、椅子に腰かけてギターを構えました。

福井さんは、中学時代に少しだけ合唱部に所属したことがあり、その時に同級生の女の子が「福井君、尾崎豊って知ってる?」と言って、音楽室にあったギターを弾いて聞かせてくれたのが尾崎さんの曲との出会いだったと説明。そして「こんなにも人の心に響く歌を歌う人がいるんだ」と衝撃を受けて尾崎さんの歌が大好きになった福井さんは、尾崎さんが旭川にコンサートで来ると聞いて、アルバイトをしてお金をためたそうです。しかし、その後、尾崎さんは亡くなり、福井さんが尾崎さんのコンサートに参加することは、永遠にできなくなってしまいました。そして、この日、福井さんがギターを抱えて歌い始めたのは、中学時代に音楽室で同級生がギターを弾きながら歌ってくれた、尾崎豊さんの「シェリー」でした。

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井さんの真っすぐな歌声から、「シェリー」の歌詞のような人生のいろいろなシーンが浮かんできます。ギター演奏は、ストロークだけのシンプルなスタイルですが、それがかえって「シェリー」の雰囲気にピッタリで、メロディーと歌詞のひとことひとことが、会場の2階後方席で取材している私の元にまで迫ってきます。福井さんが歌い終わると、割れんばかりの拍手が会場を満たしました。「いやあ、ギターっていいですね。なんだろ、わかんないけど」とコメントしたのが、とても福井さんらしかったです。

■『ライオンキング』で、シンバのオーディションを受けろと言われたことがあって

続いて、今回のアルバム収録曲の「見果てぬ夢 ~『ラ・マンチャの男』より」を高らかに歌い、福井さんは、いったん舞台袖へ。そして、桑原まこさん(ピアノ)、渡邉雅弦さん(チェロ)、岸徹至さん(コントラバス)の3人による「メモリー」のインストゥルメンタル演奏が終わると、会場後方から黄色いタキシードを着て、カクテルの入ったグラスを持った福井さんが登場。客席の中をゆっくりとめぐりながら、「美女と野獣メドレー」を披露しました。

その後、桑原さん、渡邉さん、岸さんとのエピソードなどを紹介したあと、『ライオンキング』から「終わりなき夜」を高らかに歌います。「じつは、ライオンキングで初演の頃にシンバのオーディションを受けろと言われたことがあって。とてもキーが高いんですが一生懸命練習して、でも2小節で止められて。それを披露する場がなかったので、今日、披露しました!」と話し、笑いと拍手を受けていました。そして岩谷時子さんのメモリアルコンサートに出演していることから、シャンソンの「私の心はヴァイオリン」「枯葉」を艶やかに歌い上げました。

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

■アルバムの選曲をしていた時に北海道で地震があり、どうしてもこの曲を入れたいと

続いて、劇団四季の『ウェストサイド物語』から「マリア」。福井さんはトニー役の人がケガをしたことから1週間後にトニー役で出演したことがあり、その時、簡単には人を褒めない浅利慶太さんから「お前のトニーは、今までにない力強いリーダーとしてのトニー像だ」と言われたと振り返りながら、力強く「マリア」を披露。さらに、今回のアルバム収録曲から、『レント』の「One Song Glory」を若々しく熱唱しました。

最後の曲は、『レ・ミゼラブル』から「スターズ」。福井さんは、2019年4月15日(月)に帝国劇場でプレビュー公演が開幕する『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役を演じますが、今回のアルバムに収録し、この日の最後の曲として披露したのはジャベール警部役でかつて歌った「スターズ」。ステージが、コンサート会場から『レ・ミゼラブル』の舞台に一瞬にして変わってしまったかのような、ドラマティックな「スターズ」が響き渡りました。

アンコール曲は、アルバム収録曲から「ユー・レイズ・ミー・アップ」。「今回のアルバムは、ミュージカルの曲を入れようという企画だったのですが、どんな曲を入れようかと考えていた時に、北海道で地震があって、その時に、この曲の歌詞が飛び込んできて、どうしてもアルバムに入れたいとキングレコードの方に相談して認められた曲です。祈りを込めて、最後、歌わせていただきます」と話した福井さんは、祈るような姿勢でマイクをしっかりと握り、歌い始めました。「まだ見ぬ君」は、地震で被災した「君」なのか、震災後ちょうど1年になる時期に開かれる『レ・ミゼラブル』北海道公演で会う「君」なのか、そんなことを考えながら聴き入りました。

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

■テレビ画面では触れることができない「あたたかな温度」が、隅々に広がっていく

福井さんのコンサートに参加させていただくのは私は今回が初めてですが、会場で一番感じたのは、不思議な「温度」。「熱さ」ではない「あたたかさ」。それが、ステージ上の福井さんから、ピアノの桑原さん、チェロの渡邉さん、コントラバスの岸さん、そして会場に来ている女性、男性、カップル、家族に、ボワーンと広がっていくように感じられました。

『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役、『ジャージー・ボーイズ』のニック・マッシ役、そして2019年の元日の夜にNHK FMで放送された『サウンドミュージカル 雪色オルゴール』の竜次役と、誠実に生きる男の役柄で歌えば天下一品の福井さんならではの深い声。そしてお芝居の役ではない、リアルなお人柄が、手を伸ばせば届きそうなところから、伝わってきます。福井さんのコンサートは、モコモコのボアカバーのついた布団に包まれているような、とてもあたたかな空気に触れるひとときでした。

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

福井晶一『Voce』発売記念コンサート大阪公演より=(C)Hideaki Okamatsu

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