「どれだけ愛せるか」、『マリー・アントワネット』甲斐翔真インタビュー(上)

甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

2021年1月28日(木)から2月21日(日)まで東急シアターオーブで、3月2日(火)から3月11日(木)まで梅田芸術劇場メインホールで、ミュージカル『マリー・アントワネット』が上演されます。『エリザベート』『モーツァルト!』のミヒャエル・クンツェさんとシルヴェスター・リーヴァイさんが手掛けた日本発のオリジナルミュージカル。同じ“MA”の名を持つ王妃マリー・アントワネットと庶民の娘マルグリット・アルノーの運命が、フランス革命の嵐の中で交錯する物語をベースに、マリー・アントワネットとフェルセン伯爵の悲恋を美しくロマンティックに描き出します。2006年に初演され、その後、日本での凱旋公演やドイツ・韓国で上演。日本では2018年に新曲を追加した新バージョンが上演されました。新キャストでフェルセン伯爵を演じる甲斐翔真さんに、歌稽古を経て立ち稽古が始まったタイミングでインタビューし、歌稽古でのエピソードや、フェルセン伯爵役でWキャストになる田代万里生さんと話された内容、大好きだというこの作品への思いなどについて伺いました。

甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳
甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

ーー今、稽古はどのくらいされていますか?

昨日初めて立ち稽古をしました。冒頭の「マリー・アントワネット」という曲のところです。それまでは、歌稽古でした。

ーー歌稽古をされて、ご自分が歌う歌については、どう思われていますか?

今までやったことのない曲調で、クラシカルです。僕は『デスノート THE MUSICAL』と『RENT』をやってきましたが、どちらもロックでした。『デスノート THE MUSICAL』を作曲した(フランク・)ワイルドホーンも、めちゃくちゃロックだし、『RENT』も言わずもがな。今回は、その曲調とはまったく違うフルオーケストラで、楽譜を見ても三連符がたくさんあるなと(笑)。『RENT』とは出てくる音符も歌い方も違って、もっと高貴な感じで歌います。その役になっていたら自然にその歌い方になるという感じなので、本当に僕にとっても挑戦です。僕は、歌が好きな理由が元々はカラオケが好きだったからなのですが、カラオケではやったことがない曲調ですし(笑)。

ーーカラオケには出てこない曲調ですね。

ロックやR&Bはあるかもしれませんが、こういうクラシカルな曲を歌うことは今までにないので、本当に新境地です。歌稽古のときにも苦戦しました。でも、やったことのないことをやるのは、楽しいです。

ーー今まで出したことがない歌い方などで、新鮮なところはありますか?

喉の、声帯の使い方、呼吸の使い方が違うんです。だから、自分はこんな声が出るんだと思う瞬間があります。こんなに響くポイントが、ここにもあったんだとか。一番いいところに落としこみたいので模索中です。本当に実力者の方々が集まっていますし、グランドミュージカルなので、いろいろなものを盗みながら、やっていきたいです。周りに置いていかれないように。前回から続投の方々がほとんどで、その波に乗っていかないといけないのですが、大波なので溺れないようにします。

ーー皆さんとお話ししたことで、印象に残っていることはありますか?

まだ歌稽古の段階なので、そんなに役同士でディスカッションするようなことはないのですが、(田代)万里生さんにお会いしました。『デスノート THE MUSICAL』のときに観に来てくださっていたのですが、お会いできなくて。僕はいろいろな舞台で万里生さんを拝見していますが、初めてちゃんとお会いできて、めちゃくちゃ安心しました。優しすぎて(笑)。万里生さんはフェルセンですから、「いや、それフェルセンじゃないよ」と言われたら、どうしようと思っていたので。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ミュージカル『マリー・アントワネット』でフェルセン伯爵役でWキャストになる田代万里生さんと甲斐さんが話されたことや、韓国でもこの作品を観たことなどについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。1月16日(土)掲載予定のインタビュー「下」では、マリー・アントワネット役のおふたりと会った時の印象や、続投キャストの中に新たに入っていくことについて、甲斐さんがミュージカルを好きになったきっかけ、今の状況について思うことなどについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■万里生さんは「デスノートも素晴らしかったよ」と言ってくださって

■フェルセンは調べれば調べるほど辛い、悲劇に巻き込まれる人

■韓国版も観て、さらに『マリー・アントワネット』が好きになりました

■悲劇を大事にとは、どれだけマリー・アントワネットを愛せるかということ

<ミュージカル『マリー・アントワネット』>
【東京公演】2021年1月28日(木)~2月21日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2021年3月2日(火)~3月11日(木) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/ma/

<関連リンク>
甲斐翔真公式ブログ 
https://lineblog.me/kai_shouma/
甲斐翔真|アミューズWEBサイト 
https://www.amuse.co.jp/artist/A8774/
甲斐翔真Twitter 
https://twitter.com/kai_shouma
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甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳
甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■万里生さんは「デスノートも素晴らしかったよ」と言ってくださって

ーー万里生さん、イコール、フェルセンですね。

フェルセンに何を言われるかドキドキしていたんですが、ものすごく優しくて、「デスノートも素晴らしかったよ」と言ってくださって。だから万里生さんと一緒にやれることは楽しみにしています。万里生さんと一緒にやれることなんて、なかなかないじゃないですか。声楽を学ばれてきた方なので、その歌い方を盗みたいですし、教えていただきたいです。

ーー田代さんは知識人でもいらっしゃいますね。

そうですよね。「溢れ出る知性」という感じがします。フェルセンがぴったりです。僕も知性が出るように頑張ります。

甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳
甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

■フェルセンは調べれば調べるほど辛い、悲劇に巻き込まれる人

ーーフェルセンや、この時代についての知識も豊富ではないでしょうか。

僕も頑張って調べているんですが、フェルセンは調べれば調べるほど辛いなと。マリーがかわいそうなように、彼も悲劇に巻き込まれていく人で、最期は民衆に撲殺されますし…。

ーーこの作品の中ではフェルセンの最期は描かれませんが、そうでしたね。

マリーが殺されて自暴自棄になって、あんなに優しかったフェルセンが、人が変わったようになってしまい、国民の反感を買って撲殺される。本当に切ない最期を迎えるし、マリー・アントワネットとの関係も切ない結末を迎えます。

甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳
甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

■韓国版も観て、さらに『マリー・アントワネット』が好きになりました

ーーミュージカル『マリー・アントワネット』という作品については、どうですか?

僕はこの作品自体の大ファンで、韓国版も観ました。

ーー韓国へ観に行かれたんですか?

行きました。

ーー観劇目的で行かれたんですか?

そうです。僕は、韓国に行くときはミュージカルのために行っています。マチソワも平気でしますし、ご飯とミュージカルが目的ですね。

ーー観にいかれていかがでしたか? 韓国のミュージカルは、技量や歌のパワーもすごいですよね。

それこそ万里生さんもそうですが、韓国は声楽を学んで演劇科やミュージカル科を出て、舞台に立つのが通常の世界と聞いていて。だからこそ隙がなくて、音楽的にもそうですが、エンターテイメントとしても素晴らしく、さらに『マリー・アントワネット』が好きになりました。日本版も観てすごい作品だと思っていましたが、その韓国版が上演されるということで、行って観たいと思いました。

甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳
甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

■悲劇を大事にとは、どれだけマリー・アントワネットを愛せるかということ

ーー本当に、この作品がお好きなんですね。

僕が好きな作風というか、ただのハッピーエンドで終わらない、人の醜い部分や後悔など、そういうマイナスな感じが意外と好きなんですよ。そういうものは、作品と向き合っていないと感じられないことじゃないですか。人によるかもしれませんが、マイナスのことなんて普段はあまり考えない。僕はよくポジティブと言われることが多く、日常でマイナスのことを考えることがないんです。だから、本当は知っていなければいけない教訓だったり、物事の流れ、どうして自分はここにいて、それに対する犠牲はなんだったのかなど。「生きるとは」の答えは、僕も明確にはわかりませんが、そういうことを考えるキッカケになる作品なんじゃないかなと思います。

こういう人がいたんだよと。こんなに悲惨な終わり方をしている人もいるし、あのときこうすればよかったなど。当時のフランスのことを調べれば調べるほど、本当になりたい自分になれないこともあったのだと分かります。今では、なりたい職業ランキングがあるくらい、なろうと思えば何にでもなれるじゃないですか。でも、昔は身分も決まっているし、今もそうかもしれませんが、お金があるのとないのとで、全然違う生活になりますよね。それが王家だったらもっとすごかったと思います。一つの階級でも全然違うでしょうし。でも、マリー・アントワネット自身もフェルセン自身も、王妃になりたかったわけではないし、伯爵になりたかったわけじゃない。生まれた環境が、時代が、彼女らを、彼らをそういう悲劇に落としこんでしまった。

ーー結果、そうなってしまったと。

現代に生きていれば、もしかしたら純粋な恋愛をしている二人になったかもしれない。しかし、当時のフェルセンにとって、これは叶わぬ恋になる。だから、悲劇をすごく大事にしたいと思います。

ーーこの作品の中で、その悲劇的部分が主軸になりますね。

悲劇を大事にするとは、どれだけマリー・アントワネットのことを愛せるかということだと思うんですよね。こんなに愛しているのに、最期は処刑されてしまう。こんなに助け出そうとしたのに、助け出せない。悲劇の裏側やなぜ悲劇なのかを考えながら、演じたいですね。

甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳
甲斐翔真さん=撮影・岩村美佳

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“「どれだけ愛せるか」、『マリー・アントワネット』甲斐翔真インタビュー(上)” への 9 件のフィードバック

  1. ui より:

    以前一度有料会員になっていましたが、甲斐翔真くんのファンなので今回記事を掲載していただいたことをきっかけに久しぶりに有料会員登録させていただきました…!アイデアニュースさんのインタビューは毎度内容が濃く本当に大好きです。本記事もとても大満足でした。翔真くんがどれほどこの作品を愛しているかが強く伝わってきて、とても嬉しいです。ミュージカル界で本当に有名なレベルの高い続投キャストがほとんどの中、絶対に誰でも不安や緊張で押し潰されそうな状況下であるのに、この素晴らしい機会を自分のものにしようと、ハングリー精神旺盛に挑む心持ちを持っている彼を今まで以上に尊敬しました。これからもずっとついて行きたいと思います。素敵なインタビュー、お写真を心からありがとうございます!

  2. ぽん より:

    有料部分1枚目のお写真の表情が大好きすぎて、それだけでも久しぶりに有料会員に復帰してよかったなと思えます。
    素敵な表情を掲載いただきありがとうございます!
    MAは大好きな作品ですが、1幕前半のマリーのキラキラした姿を除いて、大半が胸が締め付けられる感情になるし、フェルセンも柔らかい表情なことが少ないので、こういう優しい表情の翔真くんが見られて安心しました…。

    他のインタビューでは「フェルセンとは?」「最後の問いかけについて?」等の質問が多いようなイメージがありますが、作品のファンであり新キャストの翔真くんに、万里生さんはじめ共演者の方について質問してくださっていたのが嬉しかったです!
    ミュージカルファンとしては、好きな方々の共演ってそこがとても気になるので。笑

    いちファンとしての目線も持って記事にしてくださる岩村さんの記事が好きです。
    これからも楽しみにしてます!

  3. あべ より:

    本日やっと観劇することができましたが、マリーを愛し、やさしさを持って真っ直ぐに生きる甲斐フェルセンが本当に素敵で、気持ちが高まったまま、記事を拝読したく会員登録いたしました。
    貪欲に、そして熱心に学ぼうとするその姿勢や、東宝ミュージカルの独特かつ出来上がった世界観に怖気つかず楽しみながら挑戦する甲斐くんの真っ直ぐさがインタビューからひしひしと伝わり、フェルセンの姿とも重なり、勢い余ってチケットを追加購入しました。笑
    デスミュ→RENT→MAと、板の上に乗れば乗るほど成長する甲斐くんの今後に心から期待しつつ、これからも応援させていただきます!
    素敵な記事をありがとうございました!

  4. チャコちゃん より:

    岩村美佳さま&アイデアニューススタッフの皆様 いつも素敵な写真と読み応えある記事を ありがとうございます。
    今回から新しく参加なされる甲斐翔真さん記事を拝読させていただき、とても魅力溢れる方で観劇が益々楽しみになりチケットを追加購入しました。翔真フェルセンが新たな伝説を作ってくださるような予感が致します‼︎ お稽古も本番が始まっても不安な日々が続くと思いますが
    気負わず翔真さんらしいフェルセンを
    私達に届けてくださいませ‼︎期待しております。

  5. もねち より:

    甲斐くんの記事を全て読みたくて有料会員になりましたが、とても読み応えがありました!
    記事から甲斐くんの『マリー・アントワネット』という作品に対する情熱をすごく感じることができ、わたしもますますミュージカルを観に行けることが楽しみになりました。ミュージカルを観に行くに当たって、マリー・アントワネットのことを自分なりに勉強中ですが、この記事のおかげで人物やその時代背景など様々な面から学ぶことができる歴史の1ページなのだということが分かりました。まだまだ勉強中の身ですが、初日までに自分なりに頭に入れてから観に行けたらと思います。
    マリー・アントワネットを沢山勉強をした甲斐くんがどんなフェルセン伯爵を演じるのかとても楽しみです!素敵な記事をありがとうございました。

  6. あの より:

    翔真くんが役や作品を通して考えたことを教えてもらえてうれしいです!
    一生懸命な姿に励まされています。
    早く甲斐フェルセンに会いたいです♡

  7. ざきやま より:

    翔真くんめあてで有料会員になってしまいました〜!笑
    写真もかっこよくて、何度も読み返しちゃいます…!あまり発信されない稽古の様子も、翔真くんがマリーアントワネットにかける想いも感じることができて、さらに楽しみになりました!

  8. れん より:

    マリーアントワネット、そしてフェルセンにかける甲斐さんの思いの熱さにますます観劇が楽しみになりました。
    悲劇=愛、この意味を私自身も考えながら観たいと思います!
    素敵なインタビューありがとうございます!

  9. あかね より:

    甲斐翔真さんのインタビューが読みたく有料会員となりましたが、限定記事内の写真も見られてとても嬉しかったです☺︎
    色々な媒体で舞台の内容を話してくれて、しっかりと向き合い挑む翔真くんの演技を心ゆくまで感じられる日々がいまかいまかと楽しみで仕方ありません。アイデアニュースさんの記事を読んでさらにまたその気持ちがふくらみました。ありがとうございます。

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