「個々の経験を活かし、世界で勝負していきたい」、「Gen・Rin」インタビュー(下)

(左から)濵野杜輝さん、藤川大晃さん、竹内將人さん、大橋征人さん

2021年5月にファーストアルバム『EPIKOS』をリリースした、クラシカル・クロスオーバーユニットの「Gen・Rin」。メンバー4人(竹内將人さん、濵野杜輝さん、大橋征人さん、藤川大晃さん)のインタビュー後編です。アルバムタイトル曲でもある「EPIKOS」についてのほか、それぞれ思い入れのある曲、今後の抱負などについて伺った内容を紹介します。

(左から)濵野杜輝さん、藤川大晃さん、竹内將人さん、大橋征人さん
(左から)濵野杜輝さん、藤川大晃さん、竹内將人さん、大橋征人さん

ーーアルバムタイトル曲でもある「EPIKOS」は、退却船に乗り遅れた平氏の若武者・平敦盛(たいらの・あつもり)が、源氏の武将・熊谷直実(くまがい・なおざね)に討たれる能と幸若舞(能や歌舞伎の原型といわれる曲舞)の『敦盛』が題材になっている曲ですね。

藤川:能楽のエッセンスを、ポップな形に落とし込みたいという思いを、この曲で初めて実現することができました。能楽って、日本のミュージカルだとずっと思っているんです。

ーーたしかに劇的なお話が描かれていて、ミュージカルのようですね。

藤川:能楽には「言葉だけではなく、音楽でストーリーを表現する」という特徴があるので、その要素を使った曲作りを試みました。「EPIKOS」には、「ヴォカリーズ」という「母音」だけで歌う手法を使っている部分があり、音楽だけで「敦盛が直実に討ち取られる瞬間」を描けたと思っています。

ーー「母音」だけで歌う…。

濱野:濵野の歌う直実が「一度生を受け 滅せぬ物のあるべきか」と歌う部分で、竹内の歌う敦盛が「Ahー」と、叫びのようなヴォカリーズを重ねてきます。

藤川:ここでは、時間軸の異なる二つの場面が交わってもいるんです。

竹内:敦盛が討ち取られた場面のように聞こえながらも、敦盛を討った直実が後日、討たれた敦盛を弔って祈っているシーンでもあるんです。

ーー敦盛と同じように若い息子を戦いで失ったばかりの直実は、同じように若い敦盛を討ったことで苦しみ、出家する…。

藤川:曲のラスト1分間では、直実と敦盛、二人のヴォカリーズだけで、「直実に敦盛が討ち取られた」ことを表現しました。

濱野:曲全体を通して、竹内の歌う敦盛の方が、濵野の歌う直実より高い音程で歌っているんですが、このラストの部分では、この2人の音程関係が拮抗していき、だんだん濵野の直実パートの方が高くなっていき、最後には直実が敦盛を圧倒して終わるんです。

ーー濵野さんのヴォカリーズの高い音程で、直実が敦盛を討った瞬間を表しているんですね。

藤川:野球に例えると、最後のヴォカリーズの前までが「プロ野球中継」、ヴォカリーズの部分は「今日のハイライト」という感じです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、自身にとってのイチオシの曲や、Gen・Rinの今後の目標などについて伺ったインタビューの後半の全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■竹内:「永遠(とわ)」は、自分をすごく出せた曲。メロディーは「SAKURA」が一番好き

■濱野:僕の一番は「風に寄する歌」。すごくいい曲に詞もうまくハマった

■大橋:ヴァイオリンとチェロが一人ずつ、ダビング技術を最も試せた「EPIKOS」

■藤川:濱野から大橋への無茶振りの注文を実現した「BUJIN」、マジですごい

■竹内:個々の経験を活かしながら、世界で勝負していけるアーティストを目指したい

■大橋:音だけで「Gen・Rinの音だね」とわかってもらえるものを作りたい

■藤川:歴史を変えてきた2人と並んで「世阿弥、ワーグナー、Gen・Rin」に

■濱野:オリジナル楽曲コンサートと、ミュージカルなどの舞台制作を絶対に実現したい

<「Gen・Rin」1stアルバム『EPIKOS』CD>
歌:竹内將人  濵野杜輝  
作曲:大橋征人  藤川大晃
¥2,800(税込)
受付期間:2021年5月31日~2021年10月31日23:59
※数量限定(期間内でも限定数量に達し次第販売終了)
cubit club plusオンラインショップ:
https://store.cubitclub-plus.com/product/detail/?id=CU-CU-0596
Apple music:
https://music.apple.com/jp/album/epikos-ep/1564202730
Spotify:
https://open.spotify.com/artist/6yB3MpO7AygDdnHkS0KR2s

<関連リンク>
Gen・Rin 公式twitter
https://twitter.com/ugen6ring
Gen・Rin 始動ニュース
https://www.cubeinc.co.jp/archives/3784
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濵野杜輝 twitter
https://twitter.com/manmos_t
藤川大晃 twitter
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大橋征人 twitter
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濵野杜輝 オフィシャルページ
https://www.tokihamano.com
杜のうた工房 twitter 
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kefuno.「月に惑ふ」シリーズ YouTube
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濵野杜輝さん
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竹内將人さん
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※ここから有料会員限定部分です。

■竹内:「永遠(とわ)」は、自分をすごく出せた曲。メロディーは「SAKURA」が一番好き

ーーご自身にとってのイチオシの曲を教えてください。

竹内:一番よく聴くのは、1曲目の「永遠(とわ)」です。普段歌い慣れている音域に近いこともあり、自分の良さをすごく出せた曲だと思っています。でもメロディーとしては、「赤とんぼ」をベースにしている2曲目の「SAKURA」が一番好きなんです。演奏家として一番楽しかったのは4曲目の「BUJIN」でした。

藤川:全然、一曲に絞られていない(笑)。

竹内將人さん
竹内將人さん

■濱野:僕の一番は「風に寄する歌」。すごくいい曲に詞もうまくハマった

濱野:絞るのは難しいですが、僕にとっての一番は、5曲目の「風に寄する歌」です。歌いながらいつも、すごくいい曲だなと感じるんです。自画自賛になってしまいますが、詞もうまくハマった作品になったと思っています。

ーー濱野さん作詞、藤川さん作曲ですね。

濱野:イギリスの墓地を歩きまわりながら生まれた歌詞です。先に曲ができていたので、藤川が弾いてくれているピアノのメロディーを聴きながら作詞しました。

ーー資料によると『EPIKOS』に収録されている中で唯一、全パートを同じ空間で収録した曲とのことでしたね。

濱野:歌も演奏も一発録りしているので、バンド的な感じに仕上がっていると思います。

濵野杜輝さん
濵野杜輝さん

■大橋:ヴァイオリンとチェロが一人ずつ、ダビング技術を最も試せた「EPIKOS」

竹内:他の4曲は、ヴァイオリンとチェロを一人ずつ順番に収録した音源を重ねて作っているんです。

大橋:「弦のダビング」という技術を使っています。ヴァイオリンとチェロを一人ずつしか呼べない、でも分厚いオーケストラが欲しいというときに、弦をファースト、セカンド、サードと増やしながら録音するという手法を使います。

濱野:この技術が大橋の得意分野なのは、Gen・Rinの強みです。打ち込みを入れたり、音を付け足したりとテクニックを満遍なく使えるので、音楽的に面白く仕上げられます。

大橋:技術的な面で思い入れがあるのは、3曲目の「EPIKOS」です。弦の数が一番多くて大変でしたが、ダビング技術を最も試すことができた曲でした。

大橋征人さん
大橋征人さん

■藤川:濱野から大橋への無茶振りの注文を実現した「BUJIN」、マジですごい

ーー藤川さんはいかがですか。

藤川:大橋の曲なのですが、作曲家としての観点から一番よくできていると思うのは4曲目の「BUJIN」です。「この無茶振りをどうやって実現するんだろう」と、濱野から大橋への注文を横で聞いていたので、仕上がった曲を聴いて、「マジですごいな!」と思いました。

濱野:「BUJIN」は、奇をてらった曲が欲しくて、構成にかなり凝りました。敢えて詩の中に3か国語を入れたり、ダンテを引用したりしています。大橋が、僕が想像もしていなかったような素晴らしい曲をつけてくれました。すごくいいものになったと思います。

藤川大晃さん
藤川大晃さん

■竹内:個々の経験を活かしながら、世界で勝負していけるアーティストを目指したい

ーー『EPIKOS』をリリースされた今、次はどのようなことを目指していらっしゃいますか?

竹内:世界に挑戦していきたいという気持ちがとても強いです。「SAKURA」のような英語だけの曲も作りましたし、濱野と僕はイギリス留学の経験があるので英語を話せるし、藤川も今ドイツにいます。メンバー個々の経験やバックグラウンドも活かしながら、世界で勝負していける日本のアーティストを目指したいです。

竹内將人さん
竹内將人さん

■大橋:音だけで「Gen・Rinの音だね」とわかってもらえるものを作りたい

大橋:僕は、「Gen・Rinサウンド」というものを確立させたいです。音だけで「Gen・Rinの音だね」とわかってもらえるアイコニックなものを作り上げるのが大きな目標です。そこができれば、自ずと皆様に面白がっていただけるのかなと思っています。

大橋征人さん
大橋征人さん

■藤川:歴史を変えてきた2人と並んで「世阿弥、ワーグナー、Gen・Rin」に

藤川:能楽の話ばかりで申し訳ないのですが、僕は「世阿弥」になりたいんです。もともとは、ワーグナーのオペラに感銘を受けて、クラシックの作曲を勉強し始めたんですが、大学に入って初めて能を観て、研究するうちに、ワーグナーも世阿弥も、やっていることは一緒だと思いました。どちらも音楽劇を形にするために、必要な作曲も作詞も台本制作も、全部自分で作っています。そうやって、2人が歴史を変えてきたように、僕たちもそうでありたいなと思います。「世阿弥、ワーグナー、Gen・Rin」という並びを目指したいです。

藤川大晃さん
藤川大晃さん

■濱野:オリジナル楽曲コンサートと、ミュージカルなどの舞台制作を絶対に実現したい

ーープロデューサーの濱野さんは、いかがですか。

濱野:2点あります。まず絶対に実現させたいのは、コンサート活動です。クロスオーバーの大物たちのコンサートには、フルオーケストラやバンドなどの派手な音楽に、照明を駆使した豪華な演出を加えるなど、ショービジネスの全ての要素が詰まっていると思うんです。Gen・Rinのコンサートでは、そういった音楽や演出を意識しつつ、そこに日本のエッセンスを詰め込んでいきたいです。

ーー2点目の目標は何でしょうか?

濱野:ミュージカルなどの舞台制作です。竹内というミュージカル俳優がメンバーの中にいるのも大きいですし、そもそも、ミュージカルって元々クロスオーバー寄りで発展してきたジャンルなので、Gen・Rinの活動にもマッチしやすいと思っています。いずれにせよ、まずはもっと曲を作らねばと思っています。まだ5曲しかありませんから。

ーー珠玉の5曲ですよね。

濱野:コンサートをするなら、10曲や15曲は準備したいです。いつか開催できたら、『EPIKOS』の収録を上回る熱量で歌いたいです。

ーーその日が楽しみです。またぜひお話を伺わせてください。本日はありがとうございました。

濵野杜輝さん
濵野杜輝さん

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“「個々の経験を活かし、世界で勝負していきたい」、「Gen・Rin」インタビュー(下)” への 1 件のフィードバック

  1. めれんげ より:

    メンバーの出会いと活動に至るまでの過程を知れるのはファンとしては嬉しい。それにしても、4人とも目指しているものがハッキリしていてすごいーって感心するばかり。
    それから、メンバーが曲に込めた想いを知ることができて良かった。明日聞くときには、その想いと向き合って聴いてみたいな。また違ったように感じるのかな。
    これからのさらなる活躍に期待!

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