被爆者の新たな証言を集めたドキュメンタリー映画『a hope of NAGASAKI 優しい人たち』の全国の映画館での上映が2021年7月29日から8月19日まで行われ、9月から自主上映会の受付が始まりました。海宝直人さんが歌う主題歌「坂道」のCDは、2021年8月6日から『a hope of NAGASAKI 優しい人たち』の上映映画館での販売が始まり、映画館での上演終了後も、Yahoo!ショッピングとSTORESで販売されています(数量限定)。アイデアニュースでは、松本和巳監督と、海宝直人さんにお話を伺いました。上、下に分けてお届けします。写真は、舞台挨拶の際に撮影したものです。インタビュー「上」では、海宝さんが主題歌を歌うことになった経緯や、松本監督が撮影時に意識したこと、海宝さんが映画を観て感じたことなどについて伺いました。9月23日(木・祝)午前11時0分掲載予定のインタビュー「下」では、レコーディング時の様子や、編曲を担当した森亮平さんのエピソード、松本監督が映画を通して伝えたい想い、松本監督と海宝さんが考える平和について伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
――2020年の8月にZOOMで上映された時に、海宝さんが主題歌を歌うということで映画を知り、拝見しました。
松本:戦後75年の節目の年でご覧いただいたのですが、海宝さんをきっかけにご覧いただいた方々と、被爆者の証言を観たいという方々と、両方の方々にご覧いただきました。今回の映画はそれが大事だと思っているんです。戦争や平和の活動をやってきた方々だけに届くものではだめですし、どちらかというと少し遠ざかっていたとか、少し関心が薄かった方々に観てもらう。そこから何が生まれるのかということが、大事だと思います。
――この映画の企画はいつから動いていたんですか?
松本:撮影は、2019年の春ごろから始まりました。2019年末には映画館公開の話がありましたが、2020年1月にコロナの状況でいろいろと難しくなり、2021年5月に公開する予定でしたが、日程が伸びたおかげで、海宝さんからのご提案で、8月9日(長崎に原爆が投下された日)という特別な日に舞台挨拶をさせてもらえたのは、これもひとつご縁だと思います。今回の映画は、このようないい節目が続いています。人のつながりもそうですし、だからこそ本当に繋いでいかなければという思いが強いです。
――海宝さんが主題歌を歌うことになったのは?
松本:「坂道」の作詞作曲をされ、英語字幕版の翻訳をしていただいた井筒節さんは東大の先生ですが、井筒さんが「僕はぜひ海宝さんに歌ってもらいたいと思う」と。海宝さんは『アリージャンス』出演のために戦争のことをいろいろ調べていたタイミングで、ご快諾いただきました。
海宝:『アリージャンス』を通して、自分のきちんと知らなかった歴史があるということを知りました。知っているのと、知らないのは、全く違いますし、いろんなものの考え方や感じ方まで大きく変わってくることだなと思いました。「坂道」のお話をいただいたときに、僕は長崎に行ったこともないですが、被爆者の方々お話を聴けるということが今はなかなかないですし、多くの方に観ていただきたいという思いもあり、ぜひやらせていただきたいと思いました。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、映画撮影がどのように進んだかや、小野華那子さんによるアルパ演奏について、海宝さんがこの映画を見て感じたことなどについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。9月23日(木・祝)午前11時0分掲載予定のインタビュー「下」では、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』などのミュージカル作品でオーケストラを指揮してきた森亮平さんが編曲した「坂道」を聴いた時の松本監督の思いや、森さんはこのお話をいただく前に語り部の方のお話を聴きたいと長崎に聴きに行っていたことなどについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■松本:マスコミの看板で行ってしまうと構えてしまう。今回は知り合いの方からのお話で
■松本:伝えなければいけないことがあるので、シンプルな響きのアルパ1本でいいと
■海宝:戦争を憎んでも、アメリカ兵に対する憎しみはないと皆さんお答えされて
■海宝:韓国の俳優さんに接する機会がありますが、国同士状況が悪くても個人は違う
<映画『a hope of NAGASAKI 優しい人たち』>
2021年7月29日~8月19日 全国ロードショー(映画館での上映は終了しています)
自主上映会:2021年9月から受付開始
公式サイト
https://nagasaki.cc/
<「a hope of NAGASAKI 優しい人たち」主題歌CD「坂道」>
アーティスト:海宝直人
発売日:2021年8月6日
数量限定発売(AQC1-77504)
価格:1,000円(税込)
Yahoo!ショッピング:
https://store.shopping.yahoo.co.jp/slagoods/cd0001.html
STORES:
https://simplelifegoods.stores.jp/
<関連リンク>
a hope of nagasaki 優しい人たち 公式Twitter:
https://twitter.com/ahopeofnagasaki
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■松本:マスコミの看板で行ってしまうと構えてしまう。今回は知り合いの方からのお話で
――映画のために、10人の被爆者の方々にお話を聴かれたということですが、どういうきっかけで集まってくださった方々ですか?
松本:別のプロジェクトで動いている時に、ご一緒していた長崎の地元の人たちがいて、被爆者でお話を伺える方はいないかなと尋ねたら、いるんじゃないかなと。テレビ局の方から「もうそういう人はいないですよ」とも言われたのですが、探していったら出て来られたんです。
――それは探し切れていなかったということですか? それとも今だから話そうということでしょうか?
松本:探す時にマスコミの看板で行ってしまうと構えてしまうんですよ。でも、今回は知り合いの方からのお話で行っていますので「あの人が言うなら話してもいいか」みたいな、人がつなぐ感覚が強いのかもしれません。「無理です。しゃべりたくありません」と言った方もいましたが、大切なことだから残しましょうよと言う方もおられて。カメラを1台か2台置いて、世間話をしながら撮らせてもらっているんです。ご覧いただければ分かると思うんですが、本当に普通で、「言わなきゃ」とかがない。
――表情が自然ですね。
松本:長崎で上映しているところでは、自分のおじいさんおばあさんのお話を聞いているみたいな感覚ににもなるそうです。すっと入ってくるということですよね。気持ちを構えずに観られたというのは、褒め言葉だと思っています。
■松本:伝えなければいけないことがあるので、シンプルな響きのアルパ1本でいいと
――顔に寄ったアングルが印象的です。
松本:特に映画ということを意識したんですが、やはり人間の感情は目からすごく出るので、「この人は何を伝えたいと思っているのか」という部分を拾う時は、目から出ているエネルギーを我々がちゃんと理解すべきだと思います。もうひとつは、今はスマホの時代なので、スマホで観たときにちょうどいい大きさなんです。引きの絵のままだと、感情の伝え具合が変わってしまうんですよね。
――スマホの時代に作る映画なんですね。
松本:これから遺すものは、そうであるべきだと思います。映画なんだから映画館でと媒体を絞ってしまうと、ハードルが高くなる。でも、スマホでも十分に伝わるんです。
――音楽にアルパの音を選んだのはどうしてですか?
松本:元々、小野華那子さんを知っていて、彼女の曲も聴いていて、その力を感じていました。彼女とコラボレーションすることで何か化学反応が起きるのではないかという期待感があり、一曲聴いた時に、お任せしたほうがいいなと。いろんな音を重ねるのではなく、シンプルな響きの中で、アルパ1本でいいと思いました。他に伝えなければいけないことがあるので、そこをしっかり理解してもらうには、すごくマッチングしているかなと思います。
■海宝:戦争を憎んでも、アメリカ兵に対する憎しみはないと皆さんお答えされて
ーー海宝さんは、映画を観てどんなことを感じましたか?
海宝:映画は、まず皆さんの笑顔が印象的でした。もちろん戦争を憎む思いは同じですが、「アメリカ兵に対する憎しみはありますか?」という問いに、皆さんが「それはないですね」とお答えされている姿を拝見して、純粋にそういう気持ちなんだと思うんです。それぞれに「それはどうだろうかと……」自分の想いを探すようななかでも、「やっぱりないですね」とおっしゃっていて。人間同士なら話せばわかる。個人と国同士では、感覚が全然違うと。
■海宝:韓国の俳優さんに接する機会がありますが、国同士状況が悪くても個人は違う
海宝:それって、今に通じるなとすごく感じます。例えば、日本で仕事をされている韓国の俳優さんに接する機会がありますが、韓国と日本の状況が国同士は悪くても、個人個人は違うんですよね。お互いに文化に対するリスペクトがあります。だから、繰り返している歴史だなと。人種、国家間など、ついつい大きな感覚で、嫌いとか、憎いとか、考えてしまいますが、ああいう経験をされた皆さんの言葉だからこそ、響くというか。そういう言葉は、経験していない人がいくら言ってもかなわない。だから、ものすごく価値のある映像だと感じました。
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