「人が動かないと、経済も心も回らない。劇場へ足を運んで」、福士誠治(下)

福士誠治さん

『INTO THE WOODS』に、ジャック役で出演する福士誠治さんのインタビュー、後編です。「下」では、本作の個性豊かなキャストのこと、『LUXE』のこと、福士さんが物事を選択する指針、ご自身のブログのこと、ソンドハイムさんの曲のこと、作品を通して伝えたいこと、2022年の始まりに際して読者の皆様に伝えたいことなどについて話してくださった内容を紹介します。

福士誠治さん
福士誠治さん

ーー本作には、いろいろな場で活躍されているキャストの皆さんが集まっていますが、クリエイトしていくなかで、それぞれの違いを感じるところはありますか?

「表現をしてきた」という大きな部分で似ているところはありますが、それぞれの違いが、キャラクターに合っていますね。というよりも、個性が出ているのかなとも思います。これまでに皆さんが表現してきたものによって、それぞれの「武器」と言えるものがあったり。

ーー例えば、福士さんが2021年に出演された『LUXE』は、いろいろな分野のスペシャリストが集まったカンパニーでしたよね。今回は「演じる」という同じ分野とはいえ、今おっしゃった、いろいろな「武器」を持った方が集まっています。それぞれの「武器」をどのように見ていますか?

『LUXE』はスケートと陸上のコラボで、あの「異種格闘技戦」具合に比べると、今回は何よりも「板の上にいる」というジャンルがみんな一緒。『LUXE』は、海の生物と陸の生物がごちゃ混ぜで乗せられたような感じがあったので(笑)。それと比べたら、「とりあえず陸上で戦っていた」という点で、同じ感じはあります。それが山岳なのか、平地なのかは分かりませんが、陸上というのはあると思います。

ーー「言語は同じ」という感じですか。

言葉は通じると思います(笑)。急に「アクセル」とか「トゥループ」が出てきて、「何なに?」ということにはならないです。

ーー確かにそうですね(笑)。

楽譜の中には、僕も分からない言葉がありますが、それをしっかりわかっている方に、教えてもらいながらやっています。宝塚出身の方、オペラ歌手、劇団☆新感線の方、歌手など、すごく個性があふれていますし、いい意味で統一感がないカンパニーなので、見ていてもおもしろいと思います。それを熊林さんがどう料理されるのか、表現していかれるのかですよね。

ーー福士さんご自身は、舞台、映像、バンドといろいろな活動に加え、さらにスケートのように抜群の運動神経を発揮されていたり、いろいろなことをなさっていますよね。

そうですね。最近は、自分が何者か分からなくなってきています(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、福士さんが物事を選択する指針、ご自身のブログのこと、ソンドハイムさんの曲のこと、作品を通して伝えたいこと、2022年の始まりに際して読者の皆様に伝えたいことなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■ワクワクするものは、やる。失敗と言われても、僕の人生にとっては失敗ではないから

■いいことも悪いことも突然起こるので、それを受け止めていけるようにやっている

■『INTO THE WOODS』を観ることは、美術館に行っていろいろなものを感じるイメージ

■2022年は『INTO THE WOODS』を皮切りに、いろいろな作品に足を運んでいただきたい

<ミュージカル『INTO THE WOODS』>
【東京公演】2022年1月11日(火)~1月31日(月) 日生劇場
【大阪公演】2022年2月6日(日)~ 2月13日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://www.umegei.com/itwoods2022/

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■ワクワクするものは、やる。失敗と言われても、僕の人生にとっては失敗ではないから

ーーどのような指針で、物事を選んでいますか?

お話しをいただいてスケジュールが空いていれば、いろいろなものに挑戦したいと思っています。自分がワクワクするようなイメージのものは、心情的にやりたい。スケートもそうですが、「横浜アリーナでスケートで滑りながらお芝居をするんだけど、やる?」と言われたら、「やりたい!」って。誰かに「失敗」と言われても、僕の人生にとっては失敗ではないはずですから。

ーーワクワクする気持ちが、原動力になっているのですね。

今回の『INTO THE WOODS』も、熊林さんの初ミュージカル演出作品ということで、どんなことをやるんだろうなとワクワクする感じはすごくありました。言葉で言うのは簡単ですが、新しい何かを生み出すのは難しい。

子どもの頃は何をやってもワクワクするんですよね。知らない公園に行ったり、知らない遊具に出会っただけでもワクワクするし、学生になって恋愛や部活でドキドキしてもいいし。大人になればなるほど学習能力がついてしまって、やっていないことですらも「これは多分こういうものだから」と思って、新しいことをやらない。「サーフィンって、波に乗って楽しい?」と、やっていない奴が言うなと。

■いいことも悪いことも突然起こるので、それを受け止めていけるようにやっている

ーー確かに、大人は先に頭で考えてしまいますね。

大人になれば守りに入ってしまいます。その感覚が邪魔といったら変ですが、好奇心を求めたときに、僕の中では少しでも「おもしろそうだな」と思うことが大事。熊林さんは、そこが大きな魅力だと思います。「何させられるんだろう」みたいな(笑)。お客さんの気持ちをどう動かしていくのか。そういうワクワクした気持ちを大事にしているので、そういう意味では新しいことに挑戦するようにしています。バンド活動や、演出の機会もいただきました。一生懸命やりたいですし、新しいワクワクみたいなものは、プライベートとともにこれからも大事にしていきたいと思っています。

ーーブログを拝見していても、いつも楽しそうだなと。根本はそこにあるんでしょうね。

僕の中では「意味のないブログ」と思っています(笑)。とりあえず日課のように天気のことを書いて、一日一日を皆さんと一緒に、いいスタートを切れたらなという思いです。朝起きた瞬間から、「今日つらいな」と思うよりは、素敵なものに出会えるかもしれないという可能性をもって。出会いも突然だと思っています。いいことも悪いことも突然起こるので、それを受け止めていけるようにやっております。

■『INTO THE WOODS』を観ることは、美術館に行っていろいろなものを感じるイメージ

ーースティーヴン・ソンドハイムさんの曲は、歌ってみていかがですか?

難しいです。どのミュージカルに出演したときも、難しくないと思ったことはないですが、やはり一番は海外の言葉を翻訳したときに、符割が違うところですよね。なじみのない発音を稽古中に直していますが、やはりなじみのない曲に聞こえてしまいます。ソンドハイムさんの曲のすべてを語ることはできませんが、熊林さんにこの作品の楽譜の意味を聞くと、同じメロディなのに、「ここは実は少し不協和音が入っている」というようなこともあることが分かります。

それが、登場人物の人生の、生きる上での違いだったりします。例えば同じ場所に行くときに、初めてのときはワクワクしますが、2回目は学習してから行くので、また違う気持ちになりますよね。音楽にもその違いが入っていて、どう表現するか、やはり難しいなと思います。

ーーこの作品を通して、お伝えしたいことはありますか?

『INTO THE WOODS』を観終わってから「明るくて、楽しくてメルヘンな感じだったね」という人もいれば、「この題材めちゃくちゃ重くない?」という人もいると思います。それくらい、人によって受ける印象も違う作品だと感じます。

僕の中では、「欲」が大きなテーマとしてありますが、「欲求を我慢してきた自分たち」という面は、今、みんなにあるじゃないですか。抑制されてきたという意味で、通じる部分があるのではないかと思います。この作品を観て、何を感じるかは人それぞれなので、「こう思ってください」というのはあまり言いたくないのですが、美術館に行っていろいろなものを感じるイメージでしょうか。だからチラシが額縁なのかもしれません。

ーー確かにそうですね。

今、偶然繋がって、興奮している自分がいます! この額縁は、そういうことなのかもしれないですね。ご覧いただく方によって、感じるキャラクターや、どこに感情移入するかも違うと思いますし、幅広い世代の方に『INTO THE WOODS』を楽しんでいただけると嬉しいです。

■2022年は『INTO THE WOODS』を皮切りに、いろいろな作品に足を運んでいただきたい

ーー最後に、2022年のはじまりに、読者の方にお伝えしたいことをお願いします。

キャスト、スタッフ共々、お正月返上で頑張っている作品を観ていただきたいという思いはありますが、ここ1〜2年で演劇離れをした方々も、たくさんいらっしゃると思います。コロナの存在で劇場へ足を運んで作品を観て、心を動かすことが、できなかった2021年まで。

1月11日から始まる、この『INTO THE WOODS』を皮切りに、いろいろな作品に足を運んでいただきたいというのは、演劇人、表現者としても一番の思いですね。人が動かないと、経済は回らないですし、心も回らないものだと思います。億劫になることが多くなるので、この『INTO THE WOODS』のように「森に行け」という意味ではありませんが、皆さんもひとつ、勇気を持って動ける時代がきてほしいなと思います。万全にお迎えする対策ももちろんしていますので、ぜひ観にいらしてください。

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