2022年2月7日(月)から2月20日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで、2022年2月25日(金)から2月27日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演されるマーティン・クリンプ脚色版『シラノ・ド・ベルジュラック』にシラノ役で出演される古川雄大さんのインタビュー後編です。「下」では、シラノのラップのこと、ラップとミュージカルで歌うときの違い、古川さんの「言葉」に対する思い、「言葉」が生まれたプロセスについて調べたこと、映像作品に出演して思ったこと、仕事の選択において大切にしていること、35歳を迎えるにあたっての思いなどについて話してくださった内容やお客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは、1月中旬に行いました)
――今回の『シラノ・ド・ベルジュラック』の新しさには、ラップでの表現もあるかと思います。台本を拝見すると、ラップで表現される部分は、かなりの量があるという印象でしたが、実際に取り組まれていかがですか?
序盤に立て続けに登場するので、僕も多いなと思いましたが、お芝居全体でみるとそこまで多くはないんです。いわゆる王道なラップばかりではなくて、時には歌うようなラップもあったりと、いろいろあります。ラップのプロではない人が表現することで、ラップとしてバラエティ豊かな表現になると思うんです。
ラップは、ビートがあるかないかで大いに違うんです。どの部分でビートが入るかは、まだ決まっていないのですが、ビートが入ったらもっとラップになるのかなと。「これもラップなんだ」と思っていただけるようなものも入っていますし、「YO!」みたいな感じだけではなく、さまざまなラップを聴いていただけると思います。
――ミュージカルの中でナンバーを歌うのと、この戯曲の中でラップを語るのは、まったく違うものですか?
そうですね。僕のラップは戦いというか、「ラップバトル」みたいな感じです。相手を言いくるめたり、「俺はひとつの“鼻”というワードでこんなに言葉が出るぜ」と見せつけるようなところがあり、そういうところに違いがある気がします。
ラップではセリフを言っているわけでもなく、その時の状況や心情を説明しているわけでもないので、ミュージカルの中でナンバーを歌うのとは、また違った感覚です。
――シラノは「言葉」を語る人ですが、古川さんはご自分で作詞作曲もされますよね。古川さんの「言葉」に対する思いをお聞かせください。
「言葉って難しいな、深いな」と改めて考えています。まず、詞を作る段階で、いろんな言葉が、何通りもあって。その構成の仕方や組み合わせに至る前に、言葉を思いつくところから始まります。そこから文字になって、誰かに与えられて、読んだ時、人によっていろんな解釈がある。その人が発する言葉の音や響き、その言い方などで、それが何通りにも広がっていくみたいな。だから言葉とは、すごく深いものなのだなと感じながら、それを操る人を演じる難しさも同時に感じています。
言葉ってどういう風に生まれたんだろうと思い調べたら、いろんな説がありました。その中の一つに、狩りに行く時に、とある音を発して、それが習慣にされていき、「こういう時に、このメロディが来るということは、狩りに行く合図」みたいなところから言葉が生まれたと。言葉のベースが「歌」というのは、すごく面白いなと思いました。
――言葉が生まれた経緯に、そんな説があるのですね。古川さんは、今回の作品を経て、言葉に対する考え方も広がりましたか?
広がっていますし、難しいなとも思いました。だからこそ、伝え方も、受け取り方も無限なのだなと。
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――共演者の皆様とご一緒されていて、特に気になったり、面白いと感じている方はいらっしゃいますか?
銀(粉蝶)さんと、堀部(圭亮)さんです。よくお話させていただいています。おふたりとも素晴らしい方です。銀さんとは「ちょっとここどういうことだろうね?」みたいな話や、プライベートな話をさせていただいたり。堀部さんとはゴルフの話をしました。堀部さんは、先日ミュージカルに初めて出演されたそうですが、「面白い世界だね」とおっしゃっていました。
――お芝居についてはもちろん、広くコミュニケーションもとれているんですね。
そんながっつりのコミュニケーションではないですが、「何か吸収できないかな」という目線で拝見しています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、映像作品に出演して思ったこと、仕事の選択において大切にしていること、35歳を迎えるにあたっての思いなどについて話してくださった内容やお客さまへのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■映像作品では「ここを見る」と目線が固定されたり。繊細なものを求められると感じた
■出演作は、自分だけでは決めない。客観的な目が大切だと思っているので、周りに相談
■ずっと「頑張ろう」と思ってきたけど、それはみんな一緒。僕はその中の一員だと思う
■「言葉って深いな、表現にはいろんな可能性があるんだな」と思っていただける舞台に
<『シラノ・ド・ベルジュラック』>
【東京公演】2022年2月7日(月)~2月20日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
【大阪公演】2022年2月25日(金)~2月27日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
公式サイト
https://www.cyrano.jp/
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■映像作品では「ここを見る」と目線が固定されたり。繊細なものを求められると感じた
――2021年は、映像作品にたくさん出演されていた古川さん。映像作品を拝見しながら、例えば瞳や表情筋の動き方など、細かい表現に引きつけられました。映像のお芝居も加わることで、舞台の表現方法が増えたと感じることはありましたか?
初めてではなくて、元々は映像のほうを多くやらせていただいたので、「こんなに違うんだ」というようなカルチャーショックはありませんでしたが、映像ではすごく繊細なものを求められるなと思いました。舞台は、演じる中で、いろいろなところを自由に見ることができますが、映像では目線が「ここを見る」みたいなことが決められています。とはいっても…よくわかんないです(笑)。
――(笑)。舞台に久しぶりに戻って来られると、表現方法が増えたりするのかな、特にそんなに関係ないものなのかな、どっちなんだろうなと思ったんです。
たぶん、そこまで増えてはいないと思います。
――ボーダレスに、行き来されているものなんですね。
そうですね。良い具合にやらせていただいている気がします。
■出演作は、自分だけでは決めない。客観的な目が大切だと思っているので、周りに相談
――ありがとうございます。もうひとつお伺いしたいのですが、お忙しい中で、いろいろなオファーを受けられているのではと想像します。どのようなことを考えて決めていらっしゃいますか?
「どういう役をやりたい?」というお話をよくスタッフさんとしています。基本的には舞台は「こういうのどう?」とご提案いただいて、話し合います。誰かに客観的に見ていただく目が、すごく大切だと思っているので、自分だけでは決めないですね。意見を聞いて、相談します。
――「客観的な目も大切」とは、これまでに歩まれた道を経た今だからこそ思うことでしょうか?
はい、そうですね。
■ずっと「頑張ろう」と思ってきたけど、それはみんな一緒。僕はその中の一員だと思う
――今年、35歳を迎えられます。ひとつの節目かなとも思うのですが、未来に向けて、どのようなことを考えていらっしゃいますか?
まず、まだまだハングリーにいかないといけないんだなと思っています。選択をするのではなく、もっともっと力をつけていかないといけない。「どんなことを」というよりは、与えられたものをちゃんと全うして、評価が上がっていかなければいけない段階だと思います。
――これまでの歩みの中で、よりハングリーになりたいと思った節目はありますか?
ミュージカルに出会った時です。到達できないものが目の前にドンとあって、それに向かっていくことで可能性が広がり、頑張れば前に行けるんだなと思ったので、ハングリーというか、頑張ろうと思うようにしています。
――「頑張ろう」と、ずっと思い続けているのですね。
ずっと思っています。でもみんなと一緒です。みんな頑張っているじゃないですか。その中の一員だと思います。
――いまは、力をつける時期だということですね。
はい、今までと変わらずにという感じです。
■「言葉って深いな、表現にはいろんな可能性があるんだな」と思っていただける舞台に
――最後に、『シラノ・ド・ベルジュラック』を楽しみにしてくださっているお客様に、メッセージをお願いします。
「言葉って深いな、表現にはいろんな可能性があるんだな」と思っていただける舞台だと思います。いまは、谷さんがイメージされているものを伝えていただいている段階ですが、これがちゃんとお客さまに伝われば、きっとすごいものになるでしょう。谷さんが思い描いていらっしゃるものをすべて表現したいという気持ちで、残り少ない稽古を頑張りますので、ぜひ観にいらしてください。
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いつも素敵なインタビューとお写真ありがとうございます。他のインタビューでは聞けないような、お仕事を選ぶ基準や今後の目標のようなものも聞けてとても興味深く最後まであっという間に読んでしまいました。またぜひ古川さんのインタビュー、楽しみにしています。
ジャンルを問わず沢山のお仕事を経験し、経験したことを確実に身に着けて次のお仕事に活かしていらっしゃるお姿はいつも頼もしく、ファンとして誇らしくも思います。この人を推していてよかったといつも感じています。これからも作品を通してさまざまな表現を見せてくださると思うと楽しみです。素敵な記事をありがとうございました。
(上)のインタビューに続いて舞台の『言葉』について、読んでいくと本当にシラノという舞台が楽しみになりました。
(下)では共演者の方々のお話、お仕事を受ける時など舞台以外のお話も沢山聞けて良かったです。
今回のお写真も本当に素敵なカットばかりです!ありがとうございます。
他のインタビューでは聞けない、深い部分も聞いてくださる、岩村さんのインタビュー、大好きです。
今後、どんな作品に出演するのか、今からたのしみてす。
お写真、どれも素敵に撮っていただきありがとうございます。
どうやって出演作を決めるか…とても興味深い内容でした。
今年、35歳になる雄大君の今の心境、変わらずカッコいいなと…
深いところまで引き出して頂きどうもありがとうございました。
言葉のルーツを探るって古川さんらしいエピソードですね。今、感じておられるモノに対しての探究心が凄い!だから古川雄大さんの舞台は惹きつけられるし、また観たくなります。
古川さんの目線をはずした写真は、色気たっぷりです。岩村さん、ありがとうございます!!
前編に引き続き、シラノでのラップについて、他の俳優さんとの交流、ご本人の仕事選びについて、ご自身の立ち位置について、聞いてみたいけど自分ではどうしようもないことなので、全部聞いてくださりありがとうございます!
岩村さんのインタビューと写真には愛情を感じます。
岩村さんのインタビューは、いつも聞きたい所を聞いてくれる、痒いところに手が届く感じがしますし、雄大くんはよりナチュラルに自然体でお話しされてるのかなと感じます〜お写真もいつも素敵です。アイデアニュースさんの記事はいつも本当に楽しみです。早く雄大くんの戦う姿が観たいです!
この作品に対する想いがまっすぐ伝わる濃厚なインタビューでした!
今まで無意識だった「言葉」についても考えさせられました…「言葉のベースが歌」というのもとても素敵だなと思いました。
舞台、映像、音楽活動も可能性が無限な古川さんのこれからのご活躍も楽しみです(^ ^)
古川さんの魅力と、シラノへの意気込みがよく伝わる濃いインタビューでした!ラップ、言葉、セリフに対する解釈が変わるような気がします。いつもながら美しい写真もありがとうございます!久々のストレートプレイ、ますます楽しみになりました。
あまり他の記事で出てこないような深いお話が嬉しかったです!言葉の始まりについてのお話など特に興味深かったです。
古川さんの今後の出演作もさらに楽しみになりました。ありがとうございました。
美麗な写真にうっとりです。ミニマムな衣装なのになぜこうも気品溢れるのか…顔がもうホントにどうにもできない程、気貴い(笑)いつも掘り下げたインタビューをありがとうございます!こちらでは、他の取材ではあまり聞く事が出来ない、作品に対する古川くんの深い心情が語られるので、とてもありがたいです!
出演作品を客観的に決めるお話やまだまだ貪欲に吸収しようとする雄大くんの姿勢がかっこいいですね!素敵なインタビューありがとうございました!