ミュージカル『モダン・ミリー』が、2022年9月7日(水)から9月26日(月)まで東京・シアタークリエで、10月1日(土)から10月2日(日)まで大阪・新歌舞伎座で上演されます。1967年公開の同名ミュージカル映画が、約30年を経て楽曲をほぼ一新して舞台化された本作は、2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞しました。1920年代のニューヨークを舞台に、仕事に恋にと頑張る主人公ミリーを、朝夏まなとさんが演じます。
アイデアニュースでは、ミリーの親友であるミス・ドロシー・ブラウンを演じる、実咲凜音さんにインタビューしました。上、下に分けてお届けします。「上」では、2020年に公演が中止となってしまった時のこと、カンパニーの雰囲気、作品のこと、実咲さんが演じるミス・ドロシー役のことなどについて話してくださった内容を紹介します。「下」では、朝夏まなとさんのこと、ドロシーが歌う曲の音域のこと、退団後に音域を広げるためにトレーニングしていたこと、タップダンスのことなどについて話してくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
――本作は、2020年には残念ながら開幕直前で上演中止になってしまいましたが、当時の率直な思いをお聞かせください。
2020年の4月は、ちょうど初めての緊急事態宣言の時でした。「悲しい、悔しい、なんでできないの?」というよりは、「仕方ないな」という感覚の方が結構強かったんです。状況が状況でしたから。でも、舞台が無くなる経験は初めてでしたので、「本当に無くなるんだ」って、現実を突きつけられた感情がどっときました。演出の小林香さんが、みんなに送ってくださった手紙の文章も覚えています。「長い延期ということで、またそれぞれ成長して会いましょうね」と書いてくださっていたことが、今回実現して、良かったなと思います。「キャストは、皆さん揃ったのかしら」と最初に気になりました。前回、一緒にお稽古をして開幕直前まで作り上げていましたから……。製作発表の場所で、変わらないメンバーの皆様に会えたのは、本当にホッとしています。
――あの止まった時以来、みなさんが揃ったのは、製作発表ですか?
朝夏さんとは、プライベートでも一緒に観劇にも行かせていただいていますし、お仕事でもお会いしていましたが、他の皆さんとは、それぞれご一緒のお仕事があればという感じでした。「お久しぶりです!」という方が多かったです。
――2020年に作り上げた『モダン・ミリー』のカンパニーはどういう雰囲気でしたか?
小林香さんは、比較的自由にさせてくださった覚えがあります。コメディとして、台本を真剣にやればやる程面白くなる作品なんですよ。だからまずは「台本の通りに、役をどう飲み込むか」と、毎回自分で考えてきたものを、それぞれが披露するという自由な現場でした。ミス・ドロシーはお嬢様育ちでいわゆる「天然」なキャラクターなのですが、この間、久しぶりに台本を読んだり、残っていた映像を見たら、「今の私にできる? こんな、お嬢様を!?」となりました(笑)。やはり2年間というこの時間に、少なからず何かを経験して、歳を重ねて積み重なっている部分もあって、「今、できるかな」とちょっと不安な気持ちに陥った自分もいました。
――ミス・ドロシーの「天然の可愛らしさ」みたいなところでしょうか?
そうです。本当に裕福なお家に育った令嬢の役なので、嫌味のない感じで、純粋さといいますか。
――悪気なく言ってしまうし、行動してしまうというような……。
はい。だから、計算でもないですし、ドロシーとして本当にそう思ってやっているのに、そこがわざとらしく見えてしまうといけないなと。今改めて考えてみると、もう少しこうしたほうがいいかなと思うところなど、自分で客観的に捉えられる部分があります。そういう意味では、今演じさせて頂くことになって良かったのかもしれないと、ポジティブに思えたりもしています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、カンパニーの雰囲気、作品のこと、実咲さんが演じるミス・ドロシー役のことについて話してくださった内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2日掲載予定のインタビュー「下」では、朝夏まなとさんのこと、ドロシーが歌う曲の音域のこと、退団後に音域を広げるためにトレーニングしていたこと、タップダンスのことなどについて話してくださった内容と、お客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■濃いキャラクターばかりの登場人物。「面白みのある役者」だからこその面白さ
■「天然キャラ」なだけではなく、思い切ってもうちょっと濃いめなドロシーを
■初めてご一緒する一路さん。他愛もない会話からの親近感に嬉しいギャップが
■予備知識がなくてもゲラゲラ笑って、ハッピーエンド。そこがこの作品の魅力
<ミュージカル『モダン・ミリー』>
【東京公演】2022年9月7日(水)~9月26日(月) シアター・クリエ
【大阪公演】2022年10月1日(土)~10月2日(日) 新歌舞伎座
公式サイト
https://www.tohostage.com/modern_millie/
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■濃いキャラクターばかりの登場人物。「面白みのある役者」だからこその面白さ
――今回、前回途中まで作り上げたドロシー像を踏まえながら役作りされていますか? それとも、完全に新しくリセットする感じですか?
前回を踏まえたもので良いと思っていますが、客観的に映像を見たり、ふと思い出したりすると、ミリーとジミー以外は、全員濃いキャラクターなんです。製作発表でみなさんも仰っていたように、本当にみんな面白いです。敢えて面白くしようとしているわけではなく、それぞれのキャラクターを、そもそも面白みのある素晴らしい役者さんが演じるので、さらにすごく面白いという状況になっているんです。
■「天然キャラ」なだけではなく、思い切ってもうちょっと濃いめなドロシーを
だから、「ドロシーは天然キャラ」というと簡単に終わってしまうので、もうちょっと濃いめに見えてもいいかなと、思い切ってやってしまおうと思っています。例えば「そんなにびっくりするかしら」というところも、すごくびっくりしたほうが、あの濃さのなかでは際立つんじゃないかと。そこを踏まえて、2年前に一度作り上げた「お嬢様」に挑戦していきたいと思います。
――濃いキャラクターたちに、ドロシーが埋もれてしまわないようにという視点もあるんですね。
その視点も、「作品が良くなるために必要」というところで繋がるので、思い切った部分がもう少しあったほうがいいなと、自分のなかでは感じています。
■初めてご一緒する一路さん。他愛もない会話からの親近感に嬉しいギャップが
――2年前の稽古場も踏まえつつ、共演者の皆さんの印象は、それぞれいかがですか?
一路(真輝)さんは、この作品で初めてご一緒させていただきました。2年前も席が近くて、すぐ後ろに一路さんがいらっしゃったのを覚えています。お芝居の話というよりも、すごく他愛もない話を気軽にしてくださったので、親近感を感じていました。とてもお優しい方だという印象があります。今日改めてお会いして、さらに好きになりました。『エリザベート』初演でトートをされた方というイメージが強かったのですが、「こんなに柔らかい方なの!?」と、ギャップのようなものをさらに感じました。またお稽古場でご一緒できるのが嬉しいので、失礼のないように、近くで学ばせていただけるように、積極的にお話しにいきたいと思っています。素敵な方です。
――前回の稽古があるからこそできることですね。
本当にそうです。当時は、マスクをつけてお稽古していませんでしたから、普通に表情を見てコミュニケーションもお芝居もできました。 マサ(中河内雅貴)さんは、製作発表ではご自身の役のことを「個性がない」と仰っていましたが、それこそマサさんが個性ですから、「そのまま演じられても、その個性で素晴らしく存在していらっしゃいましたよ」と、後ろから言いたくなりました(笑)。本当に、みんなで楽しくわいわい稽古していた覚えがあります。
■予備知識が無くてもゲラゲラ笑って、ハッピーエンド。そこがこの作品の魅力
――作品全体の魅力については、どう感じていらっしゃいますか?
「笑うと、心が元気になるよ!」と思っています。予備知識なく、ぱっと、観にきていただいて、ゲラゲラ笑って、ハッピーエンド。そこが魅力かなと思います。笑ってほしいです。みなさん、笑ったら免疫力あがるよ!
――大事なことですね!
本当に、笑う要素が散りばめられています。製作発表で、みなさんがあれほどにも口を揃えて、芝居が面白いとおっしゃっていたように、本当に稽古場がすごかったんですよ。お客様に観ていただける時がやっと来ましたので、心の栄養を摂りにきてください。
――先日、宝塚花組公演『TOP HAT』を拝見して、朝夏さんとの『TOP HAT』を思い出しました。(2015年宝塚宙組公演は朝夏さんと実咲さんが出演されました)
懐かしいですよね。確かに『モダン・ミリー』も、ああいう感じにちょっと似ています。オーバーチュアから始まって、プロローグ的な場面があって、芝居が始まって。ドタバタしつつも最後はハッピーなんです。良いですよね。
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