「愛することと、愛されること」、『クラウディア』、廣瀬友祐・田村芽実対談(下)

廣瀬友祐さん(左)と田村芽実さん(右)=撮影・岩村美佳

2022年7月4日(月)から7月24日(日)まで東京建物 Brillia HALLで、2022年7月29日(金)から7月31日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される、岸谷五朗さん・寺脇康文さんが主宰する演劇ユニット「地球ゴージャス」のプロデュースによる音楽劇『クラウディア』で、毘子蔵(ヒコゾウ)を演じる廣瀬友祐さんと(小栗基裕さんとダブルキャスト)、クラウディアを演じる田村芽実さん(門山葉子さんとダブルキャスト)のインタビュー、後編です。

下では、毘子蔵という役について廣瀬さんが考えていること、クラウディアと「愛」について、お客さまに届けたいこと、初めての地球ゴージャス公演出演への想いについて伺った内容と、お互いへのエール、お客さまへのメッセージを紹介します。

廣瀬友祐さん(左)と田村芽実さん(右)=撮影・岩村美佳
廣瀬友祐さん(左)と田村芽実さん(右)=撮影・岩村美佳

(※このインタビューは5月に実施したものです)

ーー毘子蔵という役について、廣瀬さんはどのようなことを考えていらっしゃいますか?

廣瀬:役割的にもクラウディアは、めいめいが言ったように、背負っているものが大きいと思うんです。でも、毘子蔵は一国の長ではありますが、このクラウディアの世界観よりは、ただその瞬間を必死に生きている男だと思うんです。だから、クラウディアや細亜羅などは気づいてしまっているがゆえのつらさ、悲しさ、儚さが最終的に出ると思いますが、それ以外の人間は気づいてないからこその悲しみが出るのだと思うんです。最終的に愚かさに辿り着くまでの道筋が違うので、その辺りをどう見せるかはこれからの稽古で仕上げていくんだろうなと思います。

この作品で、「愛すること」と「愛されること」が、すごく僕の中で引っかかるんです。「愛すること」と「愛されること」、自分はどっちに最初に気づくのだろうと。「愛してしまったから、愛というものに気づくのか、愛されたから気づくのか」ということを、今自分の中で考えていて、そこが変われば捉え方も変わるだろうなと思っています。

ーー今の段階では、どちらが先だと思っていらっしゃいますか?

廣瀬:まだあまり深くは考えられていませんが、ストーリーの流れで考えると「愛すること」なのかなと思っています。今のところそうですが、最終的に愛されることにも気づくので。その気づき具合の威力が、どっちの方が破壊力があって、最終的な毘子蔵の生き様みたいなものに繋がっていくのかは、これからかなと。五朗さんは「毘子蔵はあまり分かっていなくていい」みたいなことを、ちらっとおっしゃっていました。

稽古の段階で、このメンバーで作りあげていったときに感じ取るもの、見えてくるものが変わってくるのだとしたら、そういう方向性も可能性としてはあるので、これからどうなるかなと。クラウディアとの関係から変化していく部分もあって、そこで最初の愛というものに触れるのだとしたら、そういう作り方になっていくかもしれませんし、愛されることによって、もっと違うものになるかもしれません。でも本当に大雑把に捉えていて、今はとにかく怪我をしないようにしようと思っています。

ーーそれは大事なことですね。田村さんは、今の廣瀬さんの話についてお話ししたいことはありますか?

田村:クラウディアは愛することを止められない、川の流れのように愛情があふれ出てしまう女性だと思いますが、やはり毘子蔵など、ほかの人の愛の捉え方は、彼女とはまったく違うなと思っています。本読みをした時点で、織愛と毘子蔵の最後のシーンを読んでいるのを聞いているだけで涙が止まらなくて、本当に心を打たれて感動するシーンなんです。一番泣いてしまうシーンなので、そこはふたりの愛の答え合わせのようだなと感じました。自分の感情というところから紐解くと、愛される、愛するということはこの作品の大きなパート、テーマになっているなと、今の廣瀬さんのお話を聞きながら感じていました。

ーーそこが大きな主題でもあるし、観客にも届けたい部分でしょうか。

田村:お客さまも心を打たれるのではと思います。主役の細亜羅とクラウディアの大きな恋愛が動いているシーンも、もちろん心を打つと思いますが、実はその裏で、織愛は毘子蔵を愛していく。その一番最後の恋愛のシーンは、本当に胸を打つものがありました。

ーーでは、廣瀬さんはそこが見せ場になりますか?

廣瀬:僕は怪我しないようにする…(笑)。

(一同笑)

廣瀬:本当に衰えを感じているんです(笑)。

田村:今おいくつでしたか?

廣瀬:今年37歳。

田村:本当に? イケメンですよね。

廣瀬:ははは! よく言うわ! 去年1年間コロナの影響を受けて、僕も舞台に立てなかった人間なので、その分フィジカル的にだいぶん落ちたんですよね。この間、『INTO THE WOODS』を久々に全公演できましたが、あの作品はフィジカル的に大変な作品ではなかったですから。今回、アクションも久々にやりますし、汗をかきながら肉体を動かすことに対して、今ビビりながら体を作り直している最中でもあります。とにかく、怪我をしたくないですね。

ーー殺陣も見どころですよね。

廣瀬:そうですね。

田村:めっちゃかっこいいと思う。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、初めての地球ゴージャス公演出演への想いについて伺った内容と、お互いへのエール、お客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■廣瀬:五朗さんや寺脇さんがこの作品をご覧になって、悔しがるくらいのものにする

■田村:マット運動での五朗さんの熱量。私も五郎さんに同じくらいの熱量をぶつける

■田村:あまりにもタイムリーな作品。それを体現する者として、覚悟をもって挑む

■廣瀬:僕らができることはすごく微力。でも、とても大事な変化の一歩目になるかも

<Daiwa House Special音楽劇『クラウディア』Produced by 地球ゴージャス>
【東京公演】2022年 7月4日(月)~24日(日)東京建物 Brillia HALL
【大阪公演】2022年 7月29日(金)~31日(日)森ノ宮ピロティホール
公式サイト
https://www.claudia2022.com

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田村芽実さん=撮影・岩村美佳
田村芽実さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■廣瀬:五朗さんや寺脇さんがこの作品をご覧になって、悔しがるくらいのものにする

ーーおふたりとも、地球ゴージャスの公演には初めてのご出演ですが、いかがですか?

廣瀬:地球ゴージャスなのに、看板のおふたりが舞台にいらっしゃらないじゃないですか。だから、すごく複雑な気持ちになるんですが、僕としては逆に、地球ゴージャスなのに代表ふたりがいないのであれば、むちゃくちゃにしてやれ!と思っています。ある種、それが礼儀ではないかと思うくらい。五朗さんや寺脇さんがこの作品をご覧になって、悔しがるくらいのものに。「還暦でファーストキスはキツい」とおっしゃっていましたが、それでもやりたかったなと改めて思わせたい願望はあります。こんな機会はそんなにないと思いますので、きちんとリスペクトの気持ちをもちながら、気概としてはそんな気持ちで取り組みたいなと思います。

廣瀬友祐さん=撮影・岩村美佳
廣瀬友祐さん=撮影・岩村美佳

■田村:マット運動での五朗さんの熱量。私も五郎さんに同じくらいの熱量をぶつける

田村:本当にそうですね。私は、地球ゴージャスの作品がもともと好きだったので、出演させていただけること自体は嬉しくて楽しみですが、廣瀬さんもおっしゃった通り、代表のおふたりがいらっしゃらないと伺って、最初びっくりして、寂しいなとも感じました。五朗さんの演出を、まだしっかりとは受けてはいないのですが、マット運動をしたりするんです。そのときの熱量がすごいので、今回、五朗さんの演出を受けられるだけで、もう私は幸せだなと感じました。ご一緒していたら、隣でお芝居をして、その熱量を感じていたかもしれませんが、今回は目の前の演出家席に座っていらっしゃる五朗さんに、同じだけの熱量をたくさんぶつけようと思っています。

ーー地球ゴージャスのコント的な笑いの部分は新鮮かなと思います。

廣瀬:僕と、めいめいで爆笑をかっさらいます。

田村:(笑)。

ーーそれも楽しみにしていいということですね。

廣瀬:楽しみにしててください!

廣瀬友祐さん=撮影・岩村美佳
廣瀬友祐さん=撮影・岩村美佳

■田村:あまりにもタイムリーな作品。それを体現する者として、覚悟をもって挑む

ーー最後に、おふたりからお客さまへのメッセージと、お互いへのエールなどがありましたらお願い致します。

田村:お客さまに対しては、ウクライナやロシアの問題や、いまだに収まっていないコロナウイルスの影響があったり、下向きな暗い世の中だと思いますが、そういったこの今の時代にやる意義のある、あまりにもタイムリーな作品だなと感じています。そういった時代に、こういう作品をやることに対して私自身もきちんと、それを体現する者として生半可な気持ちではなく、しっかりとした覚悟をもってこの作品に挑みたいと思っているので、どうか楽しみにしていてほしいなと思います。

廣瀬さんに対しては、いろいろお話をさせていただいて嬉しかったですし、感謝しています。今日は何度も自分の気持ちを伝えられたりして、廣瀬さんの思っていることも聞くことができました。私たちは、稽古場ではあまり話したことがなくて、挨拶程度しかしたことがなかったのですが、なんとなく心と心の部分、コネクトの部分を感じていました。今日、廣瀬さんの気持ちを知れましたし、私も自分の気持ちを話すことができて、この場が本当にすごく私にとって幸せな時間でした。

田村芽実さん=撮影・岩村美佳
田村芽実さん=撮影・岩村美佳

■廣瀬:僕らができることはすごく微力。でも、とても大事な変化の一歩目になるかも

ーーそう言っていただけますと、私もとても嬉しいです。では、廣瀬さんいかがでしょうか。

廣瀬:同文です!

田村:ほんとですか!

廣瀬:お客さんに対しては、めいめいが言ってくれたことに間違いないと思います。あとは、自分的には「劇場で会いたいな」ということに尽きるんですよね。もし劇場で出会えたならば、その瞬間をスタッフ・キャスト一同、命をかけて最高のエンターテインメントを届けて、何かお客さんの心を掴みたい、心に触れたいと思っています。そういう時間をお届けするので、「ぜひ劇場でお会いしましょう」というのがすべてです。

あとは「体に気をつけてね」ということですね。めいめいや五朗さんも言っていましたが、僕らができることはすごく微力です。でも、その微力がとても大事な変化を生む一歩目になるかもしれない。その力をもっている仕事だと思うから、そこには謙虚に誠実に命を注ぎたいなと思います。

めいめいに対しては、僕も嬉しい限りです。まだ、23、24歳で、これからいろんな変化があると思うんです。共演は3作目ですが、今、同じ作品を作ることができていることに、まずは感謝です。でも、このインタビューではそう言ってくれていますが、本番が終わったら変わっているかもしれない。「廣瀬しょうもねぇな」って(笑)。

田村:ふふふ(笑)。

廣瀬:その可能性もゼロではないから(笑)。出会えたことや、同じ時間を過ごして、さらに同じ作品に携われることはある意味、奇跡だと思うから、めいめいとのやりとりも含めて、その時間を僕も大切にしたいです。廣瀬を嫌いにならないでね、とも思います。

田村:私の方こそです!

廣瀬:ははは!

廣瀬友祐さん(左)と田村芽実さん(右)=撮影・岩村美佳
廣瀬友祐さん(左)と田村芽実さん(右)=撮影・岩村美佳

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“「愛することと、愛されること」、『クラウディア』、廣瀬友祐・田村芽実対談(下)” への 5 件のフィードバック

  1. パンダうさぎ より:

    廣瀬さんと田村さんの共演舞台を拝見するのは3回目になりますが、とても個性的で感受性豊かなお2人なので、観ていても色々な面から楽しめます。今回廣瀬さんは特にかっこよさが際立つ殺陣のシーンが、印象的です。お二人の益々のご活躍をこれからも楽しみにしています。

  2. さんみみ より:

    意外にも二人の良きバディ感が垣間見える記事で、とても面白かったです。週末の初観劇がさらに楽しみでなりません。

  3. しふぉりん より:

    いつも読み応えのあるインタビューをありがとうございます。お二人の役への思いを知ることができて 大阪公演の観劇がますます楽しみになりました。

  4. 甘栗 より:

    このお二人の組み合わせは意外でした!
    これまでとは一味違う、とても新鮮な対談ですね。
    今回の作品についてのみならず、色々と興味深く読ませて頂きました。
    そしてクラウディアについては、初日観劇の際に感じたことの答え合わせが出来た部分もあり、次回の観劇が更に楽しみになった部分もあり…次の観劇が待ちきれません!
    素敵な記事とお写真、ありかとうございました!

  5. ゆっきーな より:

    すごく穏やかでありながらも、作品への愛が溢れる素敵な対談だと思いました。素晴らしいお写真もありがとうございます!
    作品を通じてさらに2人の表現からたくさんのことを感じたいと思いました。
    素晴らしいインタビューありがとうございました!

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