元宝塚歌劇団男役トップスターたちが、男性ボーカリストのJ-POPナンバーを歌うカバーアルバム「麗人 REIJIN―Season2」が、2016年1月6日(水)にリリースされました。2015年1月に第1弾が発表された「麗人―REIJIN―」と同年7月の「麗人 REIJIN -Showa Era-」に続く第3弾に当たる今回は、宝塚100年の歴史にひときわその名を輝かせるトップスターたちが集結。30年もの学年を越えたレジェンドたちが、それぞれの魅力で“男唄”を聴かせます。このCD発売を記念して、1月23日(土)、タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペースにて、トークイベントが開催されました。ゲストにはアルバム参加者中、最上級生となる榛名由梨さん、高汐巴さん、そして最下級生の壮一帆さんの3名を迎え、笑顔の絶えないにぎやかなトークに、約200名のお客様も大喜び。今回はこのトークイベントの様子と、その後の囲み記者会見、そして、壮一帆さんの単独インタビューの様子をご紹介します。※囲み会見と壮一帆さん単独インタビューは、アイデアニュース会員(月額300円)限定コンテンツです。
【トークショー】
――49期生の榛名由梨さん、58期生の高汐巴さん、82期生の壮一帆さんと、30年を超えるスターが集まるのは本当にすごいことですね。これまでもお互いの接点はあったのですか?
榛名「高汐さんとは宝塚を辞めてからも、狸御殿やOG公演などでご一緒する機会が多かったんですよ。壮さんは……ないよね(笑)」
壮「榛名さんは、私のお披露目公演だった「ベルサイユのばら」で演技指導に入っていただきましたので、私にとっては榛名先生とお呼びした方がいいのですが(笑)。お稽古場の板の上ではご一緒させていただきました」
榛名「お客さんの前ではなく、鏡の前でね」
壮「高汐さんは私がファン時代、一方的にお慕いしておりました」
高汐「壮さんとは今日初めてお話しました。実は行きつけのステーキ屋さんで、偶然なんですけど、壮さんのご両親とはお会いしたことがあるんです」
壮「今日の話も帰ったら両親に真っ先に報告します。きっと喜びます(笑)」
――それぞれ歌われた曲について、教えてください。
榛名「私は石原裕次郎さんの『粋な別れ』を選びましたが、皆さんがまだ生まれてない、もっともっと前の時代の曲ですね。宝塚時代、下級生の麻生薫がどこかへ行くたびにこの曲を歌っていて上手だったんですよ、今回の話をいただいた時にふとそれが思い浮かんだんです。ちあきなおみさんもこの曲を歌っていましたが、みなさん知らない? 私もちゃんと歌えるかしらと緊張感が蘇ってきました」
高汐「榛名さんの声は、清く正しく美しく。透明感があります」
壮「榛名さんの歌は、裕次郎さんでもない、麻生さんでも、ちあきなおみさんでもない、榛名さんのお人柄がそのまま声に出てらっしゃるようで、うっとりしながら聴いておりました」
榛名「ものすごい嬉しいです!」
高汐「私は京都の生まれなんですが、宝塚にいた頃、大阪はごちゃごちゃしたイメージがあるなあと思っていました。でも最近は年齢を重ねて来たせいか、大阪の独特な良さがわかってきたんです。そんな時に、男性の歌を歌わせていただくことになり、関西弁で情景が浮かんでくる、上田正樹さんの『悲しい色やね』しかないなと思いました。私の琴線に触れる歌なんです」
榛名「私もカラオケで歌ったことがあって、大好きです。ペイさん(高汐さんの愛称)にぴったり」
壮「高汐さんのお声が…すみません!下級生が言うのもなんなのですが、色っぽくていらっしゃって(場内沸く)耳元で歌ってもらってるような(笑)聞いててドキドキするんですよね」
高汐「歌いましょうか」
壮「今日、ご一緒させて頂いて良かったです(笑) 私が選んだ『ロビンソン』も琴線に触れてきました。数ある候補曲の中で、聴いた時にすぐ情景が浮かんだので、これは相性がいいかもしれないと思ったんです」
――ほかの候補曲にはどんな歌があったのですか?
壮「藤井フミヤさんの『TRUE LOVE』などがありましたが、『ロビンソン』は歌ってみると自分の声にもはまりましたね」
榛名「誰のうた? スピッツ? シェパードなら知ってるけど(笑)」
高汐「ロビンソン・クルーソーは知ってたけど(笑)でもステキな曲ですね」
榛名「今回のアルバムには知らない曲が結構ありましたが、いい曲ばかりですよ。壮さんの歌も声に合っていて、思わず、うまい!と唸りました」
――壮さんは前回のアルバムで、水原弘さんの『黒い花びら』を歌っていましたね。
壮「私がまだ生まれる前の歌だったんですが、今回は95年の作品で、幅広い年代に渡って歌わせていただいています。今の曲は言葉数が多いのですが、『黒い花びら』は多くを語らずに、聴いている側に想像してもらう構成が魅力的ですよね。男役として歌うのにいいと思いました」
――最後にみなさんから、一言ずつお願いします
壮「身近な歌詞なんですが、壮大な曲です。私なりの『ロビンソン』を聴いて下さる皆様にもお伝え出来ればいいな、と心を込めて歌いました。前回のコンサートでは司会をしながら袖で上級生の歌を聴かせて頂きましたが、これまでの人生や宝塚で培っていらしたものが、それぞれの歌の厚みにつながっていらっしゃるなと、生意気にも感動してしまいました。こうして先輩方とお仕事をさせていただいて本当に嬉しく思います」
高汐「全員がトップスターとして卒業し、辞めてからもいろんな経験を重ねています。そんなみなさんの歌を聴かせていただきながら、私自身もいろいろ振り返ることが出来ました。とてもステキな仕上がりになっていますので、このCDを一人でも多くの方に聴いていただきたいと願っています」
榛名「麗人という題名にまず、うわあっと声が出たほど、感動しました。最上級生でレジェンドだとか言われますが、今、流行ってるんですかね(笑) とても緊張しますが、同世代の汀夏子さんや安奈淳さんも参加されるのは、心丈夫なことでした。さらに瀬戸内美八、平みちもいて、その下にもずーっとトップスターが連なっていて、この12人を見るだけで宝塚の歴史がわかるよう。これはすごい! これは買うべきだ! 私も自分でも買いますよ! それくらい力入りました。みんな素晴らしかった。宝塚を辞めてからもみんな勉強しているんですね。現役の時よりも冗談抜きにうまくなってる(笑) 成長過程を聞いてください」
榛名さんの率直で明るいトークにお客様はすっかりハートをつかまれ、何度も爆笑の渦に巻き込まれました。そんな様子を、今も男役の香りを残したシャープなルックスと、穏やかな笑みを絶やさない高汐さんが見守り、2人の大先輩から温かく受け止めてもらって、すっかり可愛い後輩になった壮さんの楽しさいっぱいな様子で、トークショーは終始なごやかに繰り広げられました。
その後はお客様と一緒に撮影会。CDへの記念サイン会も行われ、ファンのみなさんも大満足な1日となったことでしょう。
<関連リンク>
⇒Victor Entertainmentの「REIJIN」のページ (試聴・ダウンロード可能)
⇒壮一帆さんのプロフィールページ(キューブ)
⇒壮一帆さんのオフィシャルファンクラブ「SO CLUB」
<プレゼント>
ニューアルバム発売イベントを記念して、特別に抽選でアイデアニュース有料会員1名さまに、壮一帆さんのサイン入り「麗人 REIJIN―Season2」CDをプレゼントします。以下のフォームからご応募ください。応募締め切りは2月26日(金)。当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。(このプレゼント募集は終了しました。ご応募くださった方、ありがとうございました)
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【アイデアニュース会員限定コンテンツ】
<囲み会見より>
■卒業したら冷たい水に浸かる経験も
■オーケストラの雰囲気に鳥肌が立った
■芸能界は厳しいと言われますが…
<壮一帆さんアイデアニュース単独インタビュー>
■スピッツの『ロビンソン』は、どのようにして?
■宝塚の時は、より深く、より太く
■学んだことで、役立ってるなあと思うことは
■え! しゃべるのが苦手だったんですか?
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<囲み会見より>
■卒業したら冷たい水に浸かる経験も
――レコーディングでは、ほかの方たちとご一緒されることはありましたか?
榛名「基本的にはみなさんバラバラでしたが、ペイさんと安奈さんとはご一緒出来ました。宝塚を辞めたら会う機会はめったにないので、元気そうな顔を見れたのは嬉しかったですね」
――壮さん、今日は大先輩のトークに触れて、いかがでしたか?
壮「トークもさることながら、榛名さんも高汐さんも、たくさんの方を魅了されてこられたので、たとえ一言であっても、お客さまをつかむ魅力が備わっていらっしゃるなあと改めて感じました」
――宝塚の先輩・後輩の関係の良さは?
榛名「宝塚時代にトップを経験した人間は、ピラミッドの頂点でみんなを束ねていましたから、人間的にも成長しています。でも卒業したら冷たい水に浸かる経験もするでしょう。温かな宝塚から解き放たれて、どれだけ自由に羽ばたけるか、活躍できるか、私たちも期待しています。私たちは常に後輩たちの味方。それが宝塚のいいところだと思います」
高汐「姉妹みたいな感じですよね。姉で妹みたい。芸能界の他の方から、とてもうらやましがられるんですよ」
榛名「上下関係があっても、仲がいいのが特長です」
高汐「体育会系みたいですね。在籍した時代が違っても、気持ちは変わらない」
■オーケストラの雰囲気に鳥肌が立った
――レコーディングで印象に残ったことはありますか?
榛名「舞台の上ではドラマチックに歌うでしょう。でも今回は声を出し過ぎてはいけない。聴いている人にマンツーマンで語りかけるような歌い方を勉強させてもらいました」
高汐「抑えてタイトに声を出すのが、ナマの舞台とは違うのでいい経験になりました」
壮「フルオーケストラで厚みが違っているので、曲の雰囲気も変わります。歌ってみると、音楽に助けてもらったりする部分もありますし、そんな違いもお聴きいただけたら嬉しいです」
榛名「オーケストラの皆さんはベテランが多く、後ろから応援団のように後押ししてくださる雰囲気には鳥肌が立ったほどでした」
高汐「しびれるような経験になりましたね」
――お2人から壮さんを含め後輩へのアドバイスはありますか?
榛名「みなさん、宝塚を卒業した誇りと“清く正しく美しく”の気持ちを背負って生きていると思いますが、その培ってきたものにプラスアルファしていくのはこれから。劇団のフォローがなくなって一匹狼になったら、自分の実力だけで勝負しなければいけません。宝塚のスターという誇りを忘れずに、壮さんも頑張って欲しい。応援しています」
高汐「先輩の存在は心強いです。卒業してから女優としてやっていくのに不安な部分はありましたが、大黒柱みたいな榛名さんがいてくださることで、いつも安心しています」
榛名「同じ時代に生きた仲間意識っていいよね。互いに切磋琢磨して、成長して行こうというみんなの姿勢が楽しい」
■芸能界は厳しいと言われますが…
壮「小さい頃に憧れていたスターさんと、宝塚を辞めてからもこうしてお話できる機会があるのが嬉しいです。芸能界は厳しいと言われますが、諸先輩方がこうして立派に道を歩かれていらっしゃるのがどれだけ自分にとって心強いかを、今日改めて感じました。だから私も頑張って行けるんだと思います」
高汐「私たちが下級生に教わることも多いですよ。これからも頑張ってくださいね」
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<壮一帆さんアイデアニュース単独インタビュー>
2014年6月~「一夢庵風流記 前田慶次/My Dream TAKARAZUKA」で、宝塚を退団した元雪組トップスター、壮一帆さん。退団後は、壮一帆firstコンサート『Feel SO Good』やディナーショーなどを開催し、この春にはブロードウェイミュージカル「エドウィン・ドルードの謎」への出演も決まるなど精力的に活動し、ますますの活躍が期待されています。そして今回、元宝塚歌劇団男役トップスターによる男性ボーカリストのJ-POPカバーアルバム第2弾「麗人REIJIN―Showa Era」に続き、1月6日にリリースされた「麗人REIJIN―Season2」にも参加され、その豊かな歌声にますます磨きをかけています。1月23日にタワーレコード梅田NU茶屋町で開催されたトークショーを前に、壮さんの単独インタビューを行いました。
■スピッツの『ロビンソン』は、どのようにして?
――今回、スピッツの『ロビンソン』は、どのようにして選ばれたのですか
何曲か候補をいただいて、最終的に自分で選びました。この曲が一番耳なじみが良くて、聞いた瞬間に私の中で世界観が広がったんです。
――もともとこの曲はご存知でしたか
はい。知ってましたよ。
――ボーカルの草野マサムネさんはハスキーで、かなり個性的な声ですが
大丈夫でした。私もハスキーですので(笑)
■宝塚では、より深く、より太く
――退団して歌い方などは変わりましたか
今は音域を広げようと、高音部をトレーニングしています。あと、発声法が変わりました。現役の時の方が、もっと押し込むような声の出し方をしていましたから。
――男役の声は独特ですものね
より深く、より太く、心掛けるように、常に言われていました。今は、どれだけいい声を楽に出せるかというトレーニングをしています。
――ということは、本来の声の高さも生かせ、歌いやすくなったんじゃないでしょうか
男役の時の歌い方と明らかに違いますね。まず、太さが全然違いますし、音色的にもバラつきが少なくなってきたと思います。男役の時はすごく高い音になるとまったく違う質感の声になっていたのを、今はそのボーダーラインをなくそうとしている感じです。太く押し殺した声ではなく、全体にまとまりのある声質になるよう、目指しています。
――先輩方とご一緒するこういった企画について、どう思われますか
先輩方とお仕事させていただくことはこれまでもありましたが、変わらない宝塚の伝統を毎回、強く感じます。私も今は壮一帆として、組や劇団に所属していない一個人でやっていく中、先輩方がそれぞれの道で活躍されているのを垣間見るだけで勉強になります。
――卒業後もみなさんステキですものね
今回もとても楽しみでした。みなさん、歌い方も現役時代とは変わられていて、年齢を重ねるごとに深みを増していらっしゃる。私もこんな風に歌いたいなあと思います。
――元男役だから出せる味もありますし
男唄なので、普通の女優さんが歌うのとは明らかに違うんじゃないでしょうか。自分も参加しているので客観的には見られませんが、そこは絶対に違うと確信しています。
■学んだことで、役立ってるなあと思うことは
――前回は、水原弘さんの「黒い花びら」という選曲で、ファンのみなさんも驚かれたんじゃないですか
なぜこの曲なの?って、すごい反応されました(笑)私が生まれる前の曲なんですが、歌ってみると宝塚に通じる感覚があったんですよ。今回の『ロビンソン』は現代的なので、また全然違う魅力が面白いですね。
――宝塚で学んだことで、今、役立ってるなあと思うことはありますか
ストイックとまではいかないし、もっと努力をしている人はたくさんいらっしゃると思いますが、物事を一つ成し遂げるために、負うべき責任感であるとか、それをまっとうするためのエネルギーとか、そんなことを学びましたね。私ってもともと自分に甘い人間なんですよ。
――宝塚が大人にしてくれた?
いつもいつも甘い考えだった私が宝塚に入って、「ここまでちゃんとやらなきゃだめなんだよ」という事を、身を持って教えていただいたと感じます。ほんとに“甘ちゃん”だった人間が、少しは成長したのかなあって…すごく思いますね。
――あそこまでがんばったから、次は何があっても乗り越えられる!という強さも身に付いたのではないでしょうか
そうなんです! あそこでここまでやったんだったら、じゃあこれも出来るんじゃないかと思えますよね。単純にキャパシティが増えたと感じますし、あと、いろんな方とお話する事が怖くなくなりました。
■え! しゃべるのが苦手だったんですか?
――え! しゃべるのが苦手だったんですか?
人見知りでもなかったんですが、必要がなければ、仲がいい人としかしゃべらなかったかもしれません。でも作品をつくるうえでいろんな人と交流を重ねるうちに「あ、このタイプの人はこういう面白いところがあるんだ」といった発見もしながら、自分の好きなタイプの人間の幅が広がりました。そしてそれを楽しんでいる自分がいますね、フフ。
――春にはミュージカルの舞台も待っていますが、大きく将来の夢を教えてください
現役の時に、ある演出家の先生から「ダンスはいつか体が動かなくなって踊れなくなるリミットが来る。けれど歌は一生歌い続けられるから、あなたは歌って行きなさい」と言われました。忘れられない言葉です。たとえ声が細くなっても、その年齢でしか出せない味があるはず。私は踊りも芝居も好きですが、やっぱり死ぬまで歌っていたいな。たとえお仕事じゃなくてもいいんです。お散歩しながら口ずさむだけでもいい。音楽が大好きなので、死ぬまで音楽には携わっていたいです。
――きっとファンのみなさんも、今の壮さんのお言葉に喜んだと思います!
そうでしょうか(笑)えへへ。
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<取材を終えて>
サバサバとした豪快な持ち味で、男役をとことんまっとうしてきた壮さん。特にサヨナラ公演で演じた前田慶次の男らしさは、今も目に焼き付いて離れません。けれど卒業して1人の女性に戻った今は、爽やかさにまろやかな女らしさが加わって、もうあの馬にまたがった姿を重ねるのが難しいほど、綺麗でカッコいいお姉さんになっていました。現役時代からお人柄の良さが感じられましたが、こうしてお話ししていると、優しさだけではなく、人への気配りを欠かさない温かさや頭の回転の良さが率直に伝わってきます。これからの壮さんが、ますます楽しみになりました。(さかせがわ猫丸)