砂利道でも被災地でも車椅子をラクラク「引ける」、画期的な補助装置「JINRIKI」

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

2016年4月21日から23日までインテックス大阪で開かれた総合福祉展「バリアフリー2016」。今年も、福祉車両、車椅子、介護ベッド、入浴機器、トイレ設備など福祉・介護用品が一堂に展示されていました。その中でぜひご紹介したいと思った製品のひとつがこちら、けん引式車いす補助装置「JINRIKI」(じんりき)です。

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

コンピュータ制御の最新鋭機器、デジタル製品のたくさん並ぶ「バリアフリー2016」の中で、なるほどと膝を打ちたくなったアイデアは、究極のアナログ装置でした。電気も電池も要らない、どんな車椅子にでも簡単に装着できる「JINRIKI」です。

車椅子と言う器具は、なだらかな舗装道路なら、簡単に押すことが出来ますが、少しでも段差があったり、砂地だったり、雪道だったり、でこぼこ道だったりするととたんに機動力が失われます。車椅子のスムーズな移動を助ける装置が「JINRIKI」というわけです。これまで押すだけだった車椅子を、「JINRIKI」を装着して、人力車の要領でけん引します。その際、車椅子の前輪を浮かせるので、楽に走行できるというわけです。

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

こういうちょっとした段差を、車椅子の後ろから押してみると、小さな前輪が引っかかって、なかなか前に進むことが出来ません。ところが、車椅子に取り付けられているパイプを人力車のように引いてみると……。

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

早すぎて写真がぶれるくらい、あっという間に段差も坂も乗り越えてしまいました。

「JINRIKI」を製造・販売している「株式会社JINRIKI」の作った動画をご覧ください。

詳しくは、「JINRIKI」のホームページをご覧ください。→ http://www.jinriki.asia/

小さい頃から、障害のある弟さんの車椅子を押して一緒に遊びに行っていた中村社長は、「車椅子って不便だなあ」と思っていたそうです。どうしたら、原っぱや砂浜を車椅子で楽に行くことが出来るのだろうと考えていた中村社長。「JINRIKI」の原型となるアイデアは早くにもっていました。でも、モノづくりをしたことがなかった中村さんが、「そうだ、やっぱりあのアイデアを活かした製品を作ろう」と思ったのが2011年3月11日の東日本大震災の時。緊急避難をするときの役に立ち、人の命を救うような製品を作ろうと脱サラをして、会社を作ったのが始まりとお聞きしました。

「今使っている車椅子につけてもらうことが、一番のこだわりです。今あるものに着けるということであれば、資源を大事にすることにもなるし、無駄なコストをかけずにすみます」

「JINRIKI®QUICK」のパイプを専用バッグに入れて背負っている中村社長 2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

「JINRIKI®QUICK」のパイプを専用バッグに入れて背負っている中村社長 2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

熊本で大きな余震が続いていた4月、「JINRIKI」は被災地の、瓦礫が散乱している道で威力を発揮。車椅子ユーザーの移動だけではなく、水など重たい物を運ぶのにも重宝されているというお話もされていました。熱意あふれる説明の中に、暖かい優しい心が伝わってくるような、素敵な社長さんでした。

アイデアニュースをご支援してくださる方は、有料会員登録(月額300円)をしてくだされば幸いです。有料会員になると、アイデアニュースのすべての記事の全文をお読みいただけます。アイデアニュース有料会員登録は⇒ここをクリック
アイデアニュースの介護・医療関係の記事一覧は こちらをクリック

<ここからはアイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分です>

■バーを跳ね上げたままにできる「JINRIKI」と簡易着脱型の「JINRIKI QUICK」

■パイプを持ち運びするため作られた専用バッグもあります

■震災の熊本でも威力を発揮。自分の車椅子で逃げられることが希望につながる

■市町村の窓口に相談すると、割安で入手できる場合があります

アイデアニュース有料会員登録は⇒ここをクリック

■バーを跳ね上げたままにできる「JINRIKI」と簡易着脱型の「JINRIKI QUICK」

どんな車椅子にも取り付けられるけん引式車椅子補助装置は2種類。まずは、使わない時はバーを跳ね上げたまま使用して乗り降りできる「JINRIKI」(39,800円:税別メーカー希望小売価格)

株式会社JINRIKIホームページより

株式会社JINRIKIホームページより

もうひとつは簡易着脱型の「JINRIKI QUICK」(じんりき クイック、29,800円:税別メーカー希望小売価格)です。けん引のバーは組み立て式で、持ち運んで使えます。

株式会社JINRIKIホームページより

株式会社JINRIKIホームページより

■パイプを持ち運びするため作られた専用バッグもあります

この画期的な「JINRIKI」を開発した中村正善社長自らが、バリアフリー展のブースで解説をしておられました。

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

中村社長が背負っているのが、「JINRIKI QUICK」のパイプを持ち運びするため新しく作られた専用バッグ。常に「JINRIKI」を車椅子につけておくことも出来ますが、このようにバッグにいれて持ち運び、必要な時にワンタッチで装着できるというわけです。このバッグは前の部分がこういうふうになっていました。

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

2016年4月22日「バリアフリー展」にて=撮影・松中みどり

この小さなフックにけん引のバーをセットすれば、両手が空くのでより便利になっているということでした。

■震災の熊本でも威力を発揮。震災の熊本でも威力を発揮。自分の車椅子で逃げられることが希望につながる

熊本で大きな余震が続いていた4月、「JINRIKI」は被災地の、瓦礫が散乱している道で威力を発揮。中村社長は、「こういうときこそJINRIKIを利用してほしい」とおっしゃっていました。車椅子ユーザーが緊急避難するとき、水や支援物資など重たい物を運ぶのにも使える「JINRIKI」は、三重県、熊野市、愛知県など各自治体で災害時要援護者対策用資機材に指定されています。自分の使い慣れた車椅子で避難できる。それは、緊急時、障害を持っておられる方の希望につながる大切なことだと思います。

「JINRIKI」リーフレットより

「JINRIKI」リーフレットより

「JINRIKI」リーフレットより

「JINRIKI」リーフレットより

■市町村の窓口に相談すると、割安で入手できる場合があります

この製品は、障害者総合支援法が定める「補装具支給制度」の補装具とはまだ認められていませんが、「特例補装具」と判断されれば、購入にかかる費用が支給されます。また、「日常生活用具」として、費用が支給される可能性があります。加えて、介護保険制度を使って福祉用具としてレンタルすることも出来ますので、こうした制度をよく調べて、市町村の窓口に相談してください。個人で購入するよりも割安で入手できます。

「JINRIKI」のホームページ ⇒http://www.jinriki.asia/

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA