「暗闇ってすごく面白い」、舞台『The Dark』出演 碓井将大インタビュー(上)

碓井将大さん=撮影・達花和月

英国の女優で劇作家のシャーロット・ジョーンズ作の舞台『The Dark』が、2017年3月3日から、東京の吉祥寺シアターで上演されます。アイデアニュースでは、この舞台に出演する碓井将大さんとプロデューサーの綿貫凜さんにインタビューし、作品の内容や碓井さんの役どころなどについてうかがいました。インタビューは「上」「下」2回に分けて掲載し、「下」には、碓井さんがこれまで出演された『ピアフ』や『CRESSIDA』などについてうかがったお話も掲載します。

碓井将大さん=撮影・達花和月

碓井将大さん=撮影・達花和月

『The Dark』は、2004年にロンドンで上演され、ウエストエンドの話題をさらった注目作。日本での上演は、今回が初めてとなります。同じ間取りの3軒のテラスハウスに生活している3つの家族。突然訪れた「闇(The Dark)」を境に、それぞれの秘密が明るみに出て…という物語。

翻訳は、小田島恒志さんと小田島則子さんで、演出は高橋正徳(文学座)さん。プロデューサーは綿貫凜さん。キャストは、中山祐一朗、小林タカ鹿、松本紀保、碓井将大、ハマカワフミエ、福士惠二、山本道子(文学座)のみなさんです。

では、ここから、碓井将大さんとプロデューサーの綿貫凜さんのインタビュー、「上」です。

■同じ間取りの家に住んでいる3家族。突然訪れた「闇」を境に、問題が浮き上がってくる

――シャーロット・ジョーンズの「The Dark」は、日本初演だそうですが、どのようなお話でしょうか?

これ自体は、同じような間取りのテラスハウスに住んでいる3家族の話で、突然訪れた「闇」を境に、それぞれの家族が持っている、向き合わなきゃならない問題とかが浮き上がってくる、っていうような話だと思うんですが、(綿貫プロデューサーに向いて)合ってるのかな?(笑)

綿貫:合ってます(笑)ミソとしては、3家族が同じ間取りの家に住んでいるということで、舞台上に6部屋があって、そこに7人が全員居るんですよ。それは、もう自分の家に居る、っていう体で、すれ違ったりはするんですけど、反応しない訳ですよね。皆自分の家に居るっていう状態なんです。

■碓井さんは、ひきこもりで、誰とも会話しないし部屋から出てこない

――では、全員が登場しているけれども、全員が絡むお芝居ではなく?

綿貫:そうです。最初は絡まないんです。この3家族が、例えば三十代の夫婦は子供が産まれたばかりで、ちょっと奥さんが育児ノイローゼで旦那さんが困っている、とか、碓井くんの家族は、彼がひきこもりで、誰とも会話しないし部屋から出てこないので、両親がそれを持て余しているっていう。それで、もう一つの家族は、独身の40くらいの息子と、過干渉の母親っていう。日本の今、現代で起きている問題が凝縮されている家族であるんですけど、そういう問題は表面的には見えないですよね、隣同士だけど。だけど、それが突然訪れる「闇」で、ある一家族の家に集まって全員が出会って。そこで、家族には話せなかった思いとかを、自分の悩みを他人に吐露していくっていう、そんな話なんですね。

――前半は客席からは3家族が全員見えているんだけれども、それぞれの生活を行っていると。

綿貫:そうです。ただ、面白いのが、例えばそれぞれの家族が、1階と2階で同じニュースを見ていて、1階のリビングの会話と、上の寝室の会話とが、まるで4人で話しているみたいになるんです。そういう風に、奇妙に混じり合っていくっていうところが、このお芝居の面白さですね。

■五感が一個無くなると、違う五感に頼ろうとする。そういうのが、すごく実験的

――では、そんなお稽古はどんな感じで進んでいらっしゃるのでしょうか?

それぞれの役が抱えている問題は結構大きいものが多いと思いますけど、日常の世界に、普通の現実世界にもあるような問題ばっかりだから…。僕らも昨日、電気を消して、本当に「闇」の状態で、稽古にあたったんですけど、そうするとなんか、こう…。人って五感が一個無くなると、違う五感に頼ろうとするっていうか。視覚がなくなったら聴覚とか嗅覚とか、あと触覚とか。そういうのが、すごく実験的な作品なんだなって、僕は思いますね。日本初演だから正解もないし、これから皆でこう、それこそ「闇」の中にあるものを皆でこう手探りしていって、何か一個の形をつくっていくっていう作業なのかなと思うな。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、インタビューの全文を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■小劇場、劇団、文学座…互いが持ち寄るものの料理を楽しんで

■正味2時間ぐらいの話。前後に起こったことを、かっちり考える必要が無くて観やすい

■人間って明るい中で生活しているから、暗闇だと、普段思わないことを思っちゃう

■画面との会話じゃなく、演劇は実際に人を見て、人から何かを自分の人生に持って帰る“体験”

<オフィス コットーネプロデュース『The Dark』>
【東京公演】2017年3月3日(金)~ 12日(日) 吉祥寺シアター
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/the_Dark/

<関連サイト>
オフィスコットーネ http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/
碓井将大 ツイッター https://twitter.com/masahiro_usui
碓井将大 オフィシャルブログ http://ameblo.jp/masahiro-usui-we
碓井将大(ワタナベエンターテインメント) http://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000026/

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※2月28日に掲載する予定の碓井将大さんインタビュー「下」では、この作品の見所のほか、碓井さんがこれまで出演された『ピアフ』や、『CRESSIDA』などについてうかがったお話を掲載します。

※アイデアニュース有料会員3名さまに抽選で、碓井将大さんのサイン色紙と写真1カットをプレゼントします。有料会員がログインすると、この記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは3月14日(火)です。(このプレゼントは終了しました。応募くださったみなさま、ありがとうございました)

※ここから有料会員限定部分です。

碓井将大さん=撮影・達花和月

碓井将大さん=撮影・達花和月

■小劇場、劇団、文学座…互いが持ち寄るものの料理を楽しんで

――設定では、碓井さんのご家族が、お父様役は福士惠二さん、お母様役は松本紀保さんで、お名前を聞いたときに、これはすごいな!と思いました(笑)。

そうですね。小劇場の人もいれば、(中山)祐一朗さんみたいに「阿佐ヶ谷スパイダース」とか劇団から来ている人もいるし、(山本)道子さんみたいに文学座から来てる人もいれば、僕のお父さんとお母さんみたいに、本当にバックボーンが違うところから来てる人が多いので、皆さん持ち寄るものが違うし。それを高橋(正徳)さんも楽しんで、料理してくれるかなっていう感じはすごくしますね。

――役者それぞれが持っている素材をそのまま、うまく物語の世界に拾ってきている最中、だと。

でも、僕とお父さん、お母さんは、役的には直接お話しするっていうことがあまりないので…。

■正味2時間ぐらいの話。前後に起こったことを、かっちり考える必要が無くて観やすい

――「ひきこもり」っていう。

そこに至るまでの過程とか、何でこういう風になったかっていうところを。これ正味一晩の話なので。時間が全然飛んだりしないので。

綿貫:一晩っていうか、本当に時間的には…

数時間とか、それこそ2時間とかに…。

綿貫:起きたこと、そうだよね。

――上演時間とあまり変わらない時間なのでは?

綿貫:上演時間は100分くらいなんです。

だから、観やすいというか、あまりこう、前後に起こったこととかを、こうかっちり考える必要が無いし、逆に僕らはそこに向かって前後どういう風な、人生の流れの軸の中で生きたかっていうことは僕らは必要ですけど、観る方は、『あ、もうほんとに今始まってから終わるまでは実際の時間の流れと同じなんだな』っていう風に観て貰えるかなと思いますね。

■人間って明るい中で生活しているから、暗闇だと、普段思わないことを思っちゃう

――丁度その時間を切り取った感じだけを、観客は楽しめるという芝居ではあるけれども、それぞれが抱えている問題が大きいというお話だったので、やっぱり客としてはそこを「何があったの?」って前のめりに聞いてみたい気もします(笑)そこは物語の中で明かされてはいくのですか?

そうですね。明かされていくとは思う。その問題を抱えている状態と、その2時間を通してどういう状態になるかという、空間と時間の変化は勿論楽しめると思う。“起こる前と起こった後”と。で、それもさっき言ったみたいに暗闇ってすごく面白くて、普段思わないことを思っちゃうっていうか。もしかしたら、どうにかしてやれるんじゃないか?とか。それこそある人は殺意が芽生えたりとか、ある人は狂気じみたりとか、ある人は自分が持ってた闇を増幅していったりとか、例えば自分が子供に対して思っていた事がどんどん悪い方向に行ったりとか。なんか、面白いですよ、そういうの。人間って明るい中でいつも生活しているから、意外とその自分が経験したことのない、その空間とかシチュエーションに置かれたときにどうなるのか?っていうのって、すごく面白い実験的な作品なんじゃないかなと思う。

――ある意味、明るい世界というのは日常であって、その日常の中で、動き辛くて閉塞している状況のところで、光が消えて、今まで世界を構成していた1つの要素がポカーンと無くなってしまう。そこから何かタガが外れていく、という感じでしょうか。

うん。そうするとルールも無くなっちゃったりするし、今まで信じていたものが信じられなくなるとか。それは多分自分が生きてる中で使っているような感覚とか音とかそういうのが、非常に演劇っぽいなと思いますけどね。

碓井将大さん=撮影・達花和月

碓井将大さん=撮影・達花和月

■画面との会話じゃなく、演劇は実際に人を見て、人から何かを自分の人生に持って帰る“体験”

――そう言えば、動画(「The Dark」公式に掲載)では、「活躍します!」って元気に仰っていましたが(笑)。

あはは(笑)。活躍するんじゃないかな?でも。

綿貫:活躍してますよ(笑)。

(笑)。でもま、そうですね、観に来た人がやっぱり何か持って帰れるような作品がいいと思うんですよね。それが演劇の醍醐味だと思うし、映画館とは違うって言うか。生でやっぱり人間が息しているっていうか。

――今、目の前に生きている人たちが居る、と言うのが芝居の一番の醍醐味ですね。

若い人たちって、こう、考えることを遮断しちゃうから。例えばスマートフォンとか、僕もそうですけど、今目の前に居る人じゃなくて、画面と会話することによって、自分が心地いい環境に自分を置くっていうか、それで満たされていくみたいな。今、結構蔓延しちゃってるから。演劇は実際に人を見て、人から何かを持って帰るというか、自分の人生に持って帰る、みたいな、そういう“体験”だと思うんですよね。例えば、若い人が観たら、多分僕とかにフォーカスしてもいいと思うし、三十代の人が観たら、子供が生まれたばかりの夫婦にフォーカスしてもいい、二十年も一緒にいた夫婦とかだったら、僕のお父さんお母さん夫婦にフォーカスしても、楽しめる作品だと思います。

――そうですね。ところで、役の設定では10代だそうで。

うん、10代! そうそう(笑)。

綿貫:15歳です(笑)。

――15歳!(笑)。そして作品世界の時代背景や国などは…?

綿貫:現代です。イギリスで2004年に演っているので、イギリスですね。テラスハウスっていうこととかも。2004年って13年前なので、今は「LINE」とかになっていたりするんで「チャットで会話する」っていうのが、もう一昔前でちょっと古いなと思いつつも、そのまま使ってます。

碓井将大さん=撮影・達花和月

碓井将大さん=撮影・達花和月

※アイデアニュース有料会員3名さまに抽選で、碓井将大さんのサイン色紙と写真1カットをプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは3月14日(火)です。(このプレゼントは終了しました。応募くださったみなさま、ありがとうございました)

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“「暗闇ってすごく面白い」、舞台『The Dark』出演 碓井将大インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. YUI より:

    今までは大まかに3つの家族がシェアハウスしてて、闇を抱えてるってことしか分からなかったのですが、この記事で同じ時間にそれぞれの生活をしている、まるで本当の日常のような舞台が観れることをすごく楽しみになりました!!うまく言えないですが、現代の問題、それぞれ家族の闇がどう他の家族と関わってくるのか注目したいと思います。

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