犬猫の殺処分ゼロへ、フェリシモ猫部の「にゃんずフェスタ」レポート

猫部ポスター=撮影・堀内優美

株式会社フェリシモの「フェリシモ猫部」が主催する「第1回KOBEにゃんずフェスタ」が2015年5月31日(日)、フェリシモの総合物流センター・エスパスフェリシモ(兵庫県神戸市須磨区)で行われた。この催しは、フェリシモ猫部、神戸新聞ミントクラブ、地域猫活動に携わる市民ボランティアが協働で企画し、地域猫活動の推進やボランティアへの支援を呼びかけようと実施したもの。

「フェリシモ猫部」は、株式会社フェリシモの猫好きの社員が部活動として創設したのもので、今年で5年目を迎える。猫と人とが共に幸せに暮らせる社会を目指し、「犬猫の殺処分ゼロ」を目的にスタート。これまでにも猫雑貨の販売収益から「わんにゃん基金」を立ち上げ、動物愛護ボランティア活動の支援に取り組んできた。

会場内の「フェリシモ猫部」ポスター=撮影・堀内優美

会場内の「フェリシモ猫部」ポスター=撮影・堀内優美

CFV事業本部猫部グループの西尾聡子さんは「弊社では物を作って販売する仕組みがあるので、その仕組みを基金に乗せることができればと思い、『基金付きの商品』を販売しはじめました。今回のフェスタでは、100点以上ある猫雑貨から、人気商品の一部を展示販売しています」と話す。

会場では、フェリシモ猫部の人気商品の販売の他、公募で選ばれたアーティスト達による猫作品の展示販売が行われ、各出展ブースでは個性的な「猫ちゃん」がずらりと並んでいた。さらには、アニマルコミュニケーターの岩津麻佳さんによるワークショップ「アニマルコミュニケーション入門」や、ドキュメンタリー映画「みんな生きている~飼い主のいない猫と暮らして~」(泉悦子監督、2014年、日本映画)の上映も行われた。

■フェリシモ猫部のグッズ販売

「フェリシモ猫部」では、通販でも特に人気を集めている商品を実際に手にとって購入できるよう展示販売した。

「がま口ポーチ」は、猫にもある人格ならぬ「猫格」を22匹の表情で作られた商品。ポーチサイズと小銭入れサイズの2種類から選べる。

「にゃんそうこう」は漫画家の山野りんりんさんがツイッターで「こんなのがあったら面白いな」とつぶやいたことから生まれた、猫のひっかき傷をかわいく隠す絆創膏だ。「私がやりました」「ニャに者かによる傷」といった6種類のイラストとコメントが入っており発売当初は、「お一人様につき1つ」と設定されるほどの人気だったという。

また、猫足デザインの「ルームソックス」や、「猫耳ターバン」はなりきりのコスプレとしても楽しめる。癒しグッズの「アイクッション」や、午前中で完売したマシュマロ菓子「ニャシュマロ」など、ユニークな商品がずらりと並ぶ。

■猫作家やアーティストのオリジナル作品販売

フェルトで作った猫たち(マルハウス)=撮影・堀内優美

フェルトで作った猫たち(マルハウス)=撮影・堀内優美

「マルハウス」は、ウール100パーセントのフェルトで作った猫のオブジェや置物を展示販売。作家の酒井聖洋さんは6年前、フェルト教室で犬を作ってきた妻の美恵子さんから影響を受け、猫作品を生み出した。「我が家にいる猫がモデルです」と美恵子さん。これまで創作した点数は1000点以上。小さな作品を作るのにも数日かけ、大きいものだと1ヶ月以上かかることもあるという。「一匹ずつ子供を生んでいる感覚で愛情こめて作っています」。立体的でリアルな猫たちの表情は、まるで生きているかのように愛らしい。

「猫山商会」は、手作りの猫スタンプを展示販売。制作者の加藤浩志さんの話によると、招き猫のスタンプ台などが人気を集めているという。要望に応じていろんな猫を形どったスタンプに名前や言葉を入れてもらうことができ、見ているだけでも楽しい。

コースニャー(みみずく)=撮影・堀内優美

コースニャー(みみずく)=撮影・堀内優美

手作り雑貨「みみずく」は、飼い猫「こてつ」を看板に、猫が使うグッズとしてネクタイや首輪、人間が使う猫グッズとして、ブックカバー、ポーチ、通帳ケース等を販売。中でも「コースニャー」という名のついたコースターはユニークで、色ごとにコレクションしてみたくなる。

猫物ショップ「意匠屋」は、実際に猫が遊べるダンボールのおもちゃを販売。組み立て式の飛行機と潜水艦に、猫が入って遊べるようになっている。また今回の出展にあたり、猫に付ける「バンダナ」や、首輪代わりになる「シュシュ」も特別に手作り販売。シュシュには小さな小判の飾りがさりげなくついているなど、こだわりが感じられる。

イラストと粘土の猫やさん「花にゃんこ堂」は、和テイストをモチーフに、粘土で作った置物や、オリジナルのイラストをプリントしたトートバッグやランチバッグ、文具等を販売。ランチバッグは出展後すぐに完売、粘土でできた猫たちは一点一点表情が違っていて愛らしく、とても印象的だった。

猫の歯磨きも(YS)=撮影・堀内優美

猫の歯磨きも(YS)=撮影・堀内優美

Y&S株式会社のブースでは、猫用の歯磨き「デンタアプローチ ペティ(ジェルタイプ)」が販売された。3才以上の猫にみられる歯周病の予防に効果的な商品として、人間が使う商品から生まれたという。これまでもメディアでとりあげられ、猫への愛情と飼い主の思いに配慮された商品だ。

シルバーの猫アクセサリー=撮影・堀内優美

シルバーの猫アクセサリー=撮影・堀内優美

「LAGUZ」は、シルバー製品、天然石を用いたアクセサリーを販売。猫をモチーフにしたピアスやネックレス等、おしゃれなアクセントとして印象的だった。

トンボ玉で作った猫(ALIUM)=撮影・堀内優美

トンボ玉で作った猫(ALIUM)=撮影・堀内優美

とんぼ玉工房「ALLIUM(アリウム)」は、トンボ玉で作った猫アクセサリーをキーホルダー、ストラップ、チョーカーなど、好みに応じてアレンジしてくれる。中でも「肉球」をかたどったトンボ玉のアクセサリーはユニークだった。

■動物愛護や地域猫活動を学ぶ展示

「動物と共生するまちづくりの会」は、明石市で実施されている「飼い主のいない猫の避妊去勢手術に対する助成制度」の制定に伴い発足。避妊去勢手術をしては元の場所に戻し、排除ではなく小さな命と共生していける活動を展開している。メンバーの石津佐智子さんは「生まれた時から猫を飼っているので、少しでも動物愛護に貢献していきたい」と話す。

その他、近隣の愛護センターに収容された殺処分決定の犬猫や野良猫を保護し、適切な医療処置や飼い主を探す活動を行う「チーム命の輪」をはじめ、兵庫県下の市民ボランティア団体も多数参加し、メンバー手作りの猫雑貨や野良猫の写真パネル、絵葉書等が展示販売されていた。

「猫は人間と共存しながらも、しゃべることができない弱い立場。それでも世界中にいて、存在してくれているだけで人間を幸せな気持ちにしてくれる、まさに『平和の大使』です。生きてる猫達に感謝しながら守り、最終的には猫ちゃんから感謝状をもらえたら、そんな思いで今後もこういった活動を続けていきたい」と猫部グループの西尾さんは話す。

今回取材する中で感じたのは、猫好きな人は本当に心の優しい人ばかりだということ。それぞれの方が、それぞれの思いで猫に対する愛情を一生懸命伝えてくれたのが印象的で、猫を愛する筆者も幸せな気持ちを分けていただいた。こういった活動が広がっていくことで、猫をはじめとする全ての動物と人間が共存していくことを、一人一人が意識していけるような平和な社会が築かれてゆくことを願ってやまない。

フェリシモ広報部によると、2015年7月26日(日)には「第2回KOBEにゃんずフェスタ」が開催されることになった。当日は、猫雑貨販売に加えて、保護猫の譲渡会なども予定されている。

  • <第2回KOBEにゃんずフェスタ>
    開催日:2015年7月26日(日曜日)
    場所:エスパス フェリシモ(神戸市須磨区弥栄台2-7) →https://www.felissimo.co.jp/company/guide/002.html
    内容:猫雑貨販売に加えて、フリマ、ワークショップ、保護猫の譲渡会を予定 (映画上映はありません)

神戸新聞ミントクラブの記事<にゃんプロNEWS>はこちら →http://mintclub.kobe-np.co.jp/info/1206.html

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アイデアニュース有料会員向け【おまけ的小文】 会場で一目ぼれして私が買ったものと、飼い猫「ミーコ」(堀内優美)

猫好きの私にとっては、本当に幸せな取材で会場に着いたとたん、テンションが上がりました。あちらもこちらも、猫! そして、ついつい一目ぼれして、買ってしまいました。「マルハウス」さんの、フェルトで作られた猫の小さな壁掛け。

買ってしまいました=撮影・堀内優美

買ってしまいました=撮影・堀内優美

額縁から茶色い猫が顔をのぞかせています。さりげなく手が出ているのもユニーク。横からみるとこんな感じ。

横から見ると=撮影・堀内優美

横から見ると=撮影・堀内優美

真剣な眼差しがなんとも言えない哀愁を漂わせています。この他にもいろんなバリエーションがあったのですが「目が合った子をお迎えしてあげてください」との作家さんの言葉のまま、こちらを購入。部屋に飾ると、本物の猫のように存在感があり、ほっこり癒してくれます。

私は数年前「ミーコ」と名付けた猫を飼っていました。彼女は野良猫で、朝昼晩と同じ時間に現れては「にゃあ」と鳴き、エサを食べにやってくる要領のいい猫でしたが、なんとも愛らしく、気づいたら家族の一員になっていました。

すでにお腹が大きく、五匹の仔猫を生みましたが、我が家では六匹も飼うことができなかったので、友人たちに一匹ずつもらっていただきました。仔猫を引き離すと、母猫のミーコは悲しそうな声で一晩中鳴き、必死で仔猫たちを探していました。

本当に可哀想なことをしてしまったと母子を引き離すつらさを痛感し、去勢手術を受けさせ、その後は幸せに共に暮らしました。ミーコが亡くなってからはしばらく悲しみにふさぎこみましたが、その時元気づけてくれたのは友人たちの家で幸せに暮らす仔猫たちの成長していく姿でした。「ミーコの代わりに生きていてくれてありがとう」と、小さな生命に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

今回このフェスタを取材する中、殺処分されてしまう猫たちがいる状況に立ち向かって猫たちを守る活動をしている方々の姿に感動し、自分も少しでも役に立てたらという気持ちになりました。

このような活動の輪がさらに広がり、猫と人間が仲良く暮らせる社会が一日も早く訪れることを心より願っています。

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