「本気を見せないと」、エン*ゲキ #04『絶唱サロメ』池田純矢インタビュー(上)

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

《演劇とは娯楽であるべきだ》の理念のもと、 池田純矢さんが作・演出・出演を担う企画『エン*ゲキ』の第4弾、『絶唱サロメ』が2019年10月5日(土)~10月13日(日)まで、東京・紀伊國屋ホール、10月下旬には大阪・サンケイホールブリーゼで上演されます。「松岡充さんを主人公とした作品を描きたいという思いから生まれた」というこの作品について、キャストについて、池田純矢さんに思いを語っていただきました。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

――オスカー・ワイルドの『サロメ』を取り上げようと思われたきっかけは?

もともと好きな戯曲ではあったんです。今回『絶唱サロメ』というタイトルで、原案オスカー・ワイルドと書いているんですけど、原案というか「ピースのうちのひとつ」としてであって、原作物をそのまま演るわけではないので翻訳劇でもなく、完全オリジナルの新作として上演するんです。もともと好きな題材で、この妖艶な、ちょっと耽美な世界観というのは、どこかで使いたいなと思っていた部分ではあったんですけど、最初からこれを演ろうと思っていた訳ではなくて、僕が松岡充さんと出会って、お仕事も一緒にして、プライベートでも仲良くしていく中で、どうしても、「この人を主軸に描いた物語を創りたいな」と思ったんですね。松岡さんはすごく素敵な方なんです。やっぱりその、ひととなりもそうですけど、ステージでの存在感というか、スター性がやっぱり飛び抜けて美しい存在で。でも、ちょっと言い方が難しいんですけど(笑)、“俺が思う松岡充のカッコイイところ”を僕が今まで見た松岡充さんのお芝居では観たことがなかったので。

――池田さんが思う「松岡充さんのカッコイイところ」を。

「僕はこういう松岡さんの姿が観たい! じゃあ、どういう話が良いんだろう?」と思って考えていたときに、やっぱり音楽という要素はとても重要だと思って。やっぱり音楽無くしてあの人を語ることは出来ないですから。それで、「まずは音楽だ! でも、僕は演劇が演りたい」と思って、演劇と音楽の新しい形の融合ってないのかなと考えて。「ミュージカルを演る? でもそれはミュージカルが上手い人が演ればいいじゃない。じゃあ音楽劇を演る? でもそれは音楽劇が好きな人が演ればいいじゃない」って思って。そうじゃない“なにか”、自分だからできる音楽と演劇の融合ってないのかなと考えたときに、ひとつの思い付きがあって、それを表現するために『サロメ』という題材がとても合っているなと思ったので。そこからですね、この作品が生まれたのは。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、出演者について伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2月22日掲載予定のインタビュー「下」では、自分自身が作品に出演することについてや、“原案 オスカー・ワイルド”の意味、この作品で挑みたいことなどについて話してくださったインタビューの後半の全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■「松岡充主役」で台本を全部書いて、「これを演りたいんです! 出てください!」って

■(豊原江理佳さんは)今回描こうとしている異質な部分に、本当に上手くはまってくれた

■(納谷健さんは)当時演っていた舞台とか、いくつか拝見して、とても実力のある方だなと

■(小浦一優さんは)キャラクター性とお芝居から繰り出される角度のセッションが面白い

■(吉田仁美さんは)本当に独特な個性を持っているんです。彼女は代役が意味をなさない

■(鈴木勝吾さんは)僕が持っている一番強いカード「エース」。単純に本当にすごい役者

■(シルビア・グラブさんには)ダメ元で、僕がご本人に電話して「ちゃんとします」って

<エン*ゲキ #04『絶唱サロメ』>
原案:オスカー・ワイルド 作・演出:池田純矢 音楽:和田俊輔
【東京公演】2019年10月5日(土)~10月13日(日) 紀伊國屋ホール
【大阪公演】2019年10月下旬 サンケイホールブリーゼ
一般発売:2019年7月予定

<関連リンク>
エン*ゲキ
http://www.enxgeki.com/
株式会社バール 池田純矢
https://ba-ru.com/actor/ikeda_junya/
池田純矢 Twitter
https://twitter.com/junya_ikeda2710
池田純矢 オフィシャルブログ
http://www.diamondblog.jp/official/junya_ikeda1027/

絶唱サロメ 関連記事:

⇒すべて見る

池田純矢 関連記事:

⇒すべて見る

※池田純矢さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは3月21日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

※ここから有料会員限定部分です。

■「松岡充主役」で台本を全部書いて、「これを演りたいんです! 出てください!」って

――もともと、オスカー・ワイルドの『サロメ』がお好きだったことと、なにより松岡充さんとの出会いがきっかけだったのですね。松岡さんとは『不届者』(2017年)で共演されていますが、このときが「出会い」だったのでしょうか?

はい。『不届者』のときですね。

――その出会いがきっかけで、池田さんの中で、こう、バチバチバチっ! と。

そうですね。自分の頭の中で、もうすぐに作品が出来上がって。でもやっぱり自分も役者だからわかるんですけど、単純に「ねぇねぇ松岡さん、俺一緒に演りたいんですよ、一緒に演りましょう!」って言っても、演ってくれる人じゃないと思っていたので。演ってくれる人じゃないというか(笑)、そういうアプローチじゃないと思ったので。自分もちゃんと本気で何を演りたいのか、というのを伝えないといけないし、本当に本気でこれを演るんだっていう意志をまず見せないと、乗ってきて貰えないだろうなと思ったんです。まだ全然ご本人にお話もしていないし、事務所さんにオファーした訳でもない中で、僕は勝手に「松岡充主役」で、この物語を創ったんですよ。で、(台本を)全部書いて、台本持って「これを演りたいんです! 出てください!」ってお願いをして(笑)。

――もう当て書きで本を創られた。

そうですね。

――作品の構想は、松岡さんと出会ってすぐにできたのですか?

そうです。2018年の頭くらいには台本をお渡ししているので。

――すごいですね! 本当に松岡充さんの存在に触発されて、この物語は出来上がったのですね。

そうですね。なんか、やっと最後のピースが見つかった、というか。「音楽と演劇の融合」っていう部分で言うと、もともと演りたい分野ではあったんです。題材としては、松岡さんと出会う前からあって、そのときは全然『サロメ』じゃなかったんですけど。歌を歌う物語を創りたいけど、うまくピースがはまらないから実現出来てなくて。そこがやっと、「これだっ!」ってなったのは、その出会いがきっかけでした。

――松岡充さんというアクターを得て、ミュージカルでもない、音楽劇でもない「音楽と演劇の融合」が実現出来るようになった。

そうですね、はい。

■(豊原江理佳さんは)今回描こうとしている異質な部分に、本当に上手くはまってくれた

――ご出演のキャストについてお聞かせください。まずは豊原江理佳さん。

『エン*ゲキ』シリーズで初の試みなんですけど、ちょっと大々的にオーディションをやりまして。数百人応募いただいて、その中から決めました!

――『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』(2018年)のヒロイン役で拝見しましたが、フレッシュ、かつ力強くて、とても鮮烈な印象を受けました。

まず、綺麗なお顔をなさっていて、ヴィジュアルがとてもいいですし、あとやっぱり、ドミニカ共和国出身という、彼女自身が持っている力、雰囲気はすごく強いなぁと思っていて。日本人の俳優、日本で活躍している俳優で、その強さを持っている人って、なかなか居ないんです。そこが今回描こうとしている異質な部分に、良い意味で本当に上手くはまってくれたなぁと思っています。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

■(納谷健さんは)当時演っていた舞台とか、いくつか拝見して、とても実力のある方だなと

――納谷健さんについてお願いします。今回のキャストは、なんとなく『薄桜鬼』繋がりな方が多いですね。

おー! そうですね。でも僕、納谷君に関しては初めましてなんですよね。

――ご出演の時期が違うんですね。

はい。納谷くんは、今回キャスティングで入っていただいている方からの提案です。前回の『ザ・池田屋!』(2018年)のときも、キャスティングから名前が挙がった方がいらしたんですが、結果とても良くって。信頼していているその方から、台本を読んだ上で、「納谷くんがイメージに合うんじゃないか」っていう話を聞いて、「そっか!じゃあ観に行かないとな」となって。

――納谷さんの出演作品をご覧になったんですか?

そうです。その当時演っていた舞台とか、いくつか拝見して、とても実力のある方だなと思って。で、まぁ作品のこととか、キャラクターをイメージしていく場で、「うん、合う!」と思ったので(笑)。今回是非お願いしようという形になりました。

■(小浦一優さんは)あのキャラクター性とお芝居から繰り出される角度のセッションが面白い

――小浦一優(芋洗坂係長)さんについては? 今回の作品で小浦さんに委ねたい部分はどんなところでしょう?

もう、ショー・ストッパーですよね、本当に! やっぱりエンターテインメントを創っていく中で、今回特に「音楽」というものがすごく密接に関わる作品になってくるんですけど、その、「音楽」というのをいろんな側面から見たときに、例えば松岡さんはロックバンドのヴォーカリストだとか、シルビアさんはミュージカルの方だとかいろいろある中で、やっぱり芋さんも音楽に関わって、ずっとやっていらっしゃった。ダンス、ラップもやってきてらっしゃった方なので、そういう部分で、やっぱりあのキャラクター性と、あの体型、あのお顔、あのお芝居から繰り出される、また違った角度の音楽とのセッションがとても面白いなぁ! と思ったのでお願いしました。

今回は、先に本があったので、「この役は誰が演るんだろう?」って思ってたんですよ。ぶっちゃけ一番難しい役だったから、「もしかしたら僕が演らなきゃいけないのかな?」とも思ってたんですけど…(笑)。たまたまプライベートで、芋さんと僕が2人で呑んでたときに、「ああァッ!」と思って(笑)。

――突然の閃きが!(笑)。

すぐさまプロデューサーに電話をかけて、「芋洗坂さんってどう思います?」って(笑)。それで、そのまんまその場でオファーしたという(笑)。「芋さん、スケジュール空いてます?」って(笑)。

――キャストの中でも異色というか、突出した個性をお持ちで、この役をどう演じられるのか、とても興味がわいています。

これは面白いと思います(笑)。

――小浦一優(芋洗坂係長)さんはタップもおやりになりますが、そのあたりの要素は?

期待して頂いて、大丈夫だと思います!

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

■(吉田仁美さんは)本当に独特な個性を持っているんです。彼女は代役が意味をなさない

――吉田仁美さんは、エン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』(2017年)にもご出演ですね。

そうですね。もともと『ミュージカル「薄桜鬼」』(2012年)の初演でご一緒して、それからずっとプライベートでも仲良くしていて。彼女は、本当に芋さんに負けないくらい独特な個性を持っているんです。多分、僕が個性が強い人が好きなんだと思うんですよね。誰でも出来る役じゃなくて、やっぱりその人じゃないと、という。『スター☆ピープルズ!!』のときに面白かったのが、スケジュールがNGで稽古に参加出来ないときに、大体代役を入れたりして稽古を進めようとするんですけど、彼女の場合は代役が意味をなさないというか(笑)。彼女じゃないと(芝居が)成立していないから、もう彼女が居ない日に、彼女が居るシーンを演るのはやめよう!と、思ったことがあります(笑)。

――それはすごいですね!

もう本当に強力な武器を持っている方なので、かつ、やっぱり彼女も、歌のお姉さんから始まり、今でいえばアニメソングをずっと歌ってらっしゃるという、ほかの方とはまた違うフィールドですが、「歌」というのを生業にしている人、という部分で、今回、この作品を創ろうと思ったときに、お願いしようというのは割と早い段階から頭にありました。

――吉田さんの役どころは、原作にはないオリジナル設定になりますね。

なにか、あってもいいかなと思って。それこそ日本人だって江戸の時代では男色は特別なことではなかったように、女性がとても淫乱なというか(笑)、そういう欲にまみれた女性が居たとして、それ(女色)をしてないことも無いだろうなと思ったので。だから別にそれが男性である必要はなくて。男性じゃない方が、より彼女の欲望みたいなものを表現出来るんじゃないかなと。女性役を女性が演じるという、真っ当なキャスティングなんですけれども、ただまぁ、関係性がいびつなんですね。

■(鈴木勝吾さんは)僕が持っている一番強いカード「エース」。単純に本当にすごい役者

――鈴木勝吾さんは、『エン*ゲキ』シリーズ全作品にご出演で、池田さんの相棒というか、盟友的存在ですね。

そうですね。僕が持っている、一番強いカード「エース」なので!(笑)。

――前作の『ザ・池田屋!』では、主演で舞台狭しと縦横無尽の大活躍をされていました。今回は重々しい感じですね。

本当に僕は、彼をすごい役者だと思っていて、「なんでまだ見つかってないんだ?!」というのが、僕の中で不満なので(笑)。

――だから、見つかるようにいろんな役どころをやってもらいたい?

はい。でも今回の役は、多分、彼の持っている役者としての芯の部分というのを、一番強く表現出来るのではないかなと、得意分野だろうと僕は勝手に思っているんです。彼も彼で、やっぱりもう三十になる年ですし、これから大人の俳優になっていくので。多分今までずっとこの役は、五十代とか六十代の方が演じる役だったと思うんですけど、でも、多分その当時のことを考えると、三十代は、全然ありだと思いますし。

――そうですね、現在より平均寿命も短い時代と思います。

時代もそうだし、実際問題、三十で彼が大人の役をまだ演ってないのが僕は不思議で、彼なら出来ると思ってますし、それがパワーになると思っています。僕は誰がなんと言おうと、この役は鈴木勝吾だろうと思っています。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

■(シルビア・グラブさんには)ダメ元で、僕がご本人に電話して「ちゃんとします」って

――シルビア・グラブさんとは過去に共演されたことがあるのでしょうか?

『七つの秘密』(2016年)という、G2さんの作品でご一緒しました。

――シルビアさんはものすごいパワフルな歌声をお持ちですね。

そうですね。もう、ミュージカル女優といえば、本当に一番に名前が挙がってもおかしくない方だと思うので。

――シルビアさんにお願いするというのは、最初から構想があったのでしょうか?

いや、無理だろうなと思ってたんですよ。

――出演していただくのが?

はい。なんとなく構想はありましたけど、しょっぱなから当て書きした訳ではなくて。でも僕が読み解くこの役は、“そういう”キャラクターだったので、「うわー、誰ができるんだろうなー」と思いながら、誰が演じるのが美しいんだろうなというのは、いろいろ考えたんですけど、やっぱり「ちょっと、ダメ元で1回言ってみっか!」と思って(笑)。

――オファーされたのですね(笑)。

僕がご本人に電話して、「もしもし、ヒマですか?」って(笑)。それで、「ちゃんとします。いきなり口頭で、こんなんですって言うのも失礼なので、ちゃんと、マネージャーさんにも送りますね」って。「出て欲しいと思っているキャラクターがあって、本を読んで貰ったら、多分わかってもらえると思うので、ちょっと、一旦送ります。」って言って。「(出演の)可能性のあるなしだけでも教えてください」って直接電話で言って、ま、そこから正式にお願いしたんです。

――そしたら!

「やるよ」って言ってくれて(笑)。正直今回の中で一番びっくりした部分ではありましたね(笑)。「あ!やってくれるんだ!」って(笑)。

――そうだったんですね! 今回は松岡さん、小浦さん、そしてシルビアさんと、それぞれに確立された方々をドンと据えた上で、かつ若いメンバーのパワーもあって、ものすごくバランス良さそうと感じています。本当にキャストを拝見したときに「これは面白いでしょ!」と思いました。

これはいいキャスティングになっていると、僕は個人的に思ってますね。面白いと思います!

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

※池田純矢さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは3月21日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

Follow me!

“「本気を見せないと」、エン*ゲキ #04『絶唱サロメ』池田純矢インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. かける より:

    アイデアニュースさんは池田屋のインタビューから登録させていただきましたが、今回もまた本当に素敵なインタビューで、ありがとうございます。役者の皆様のオファー話をくまなく聞けて期待に胸が弾みます。
    池田さんの思うサロメが形になっていく片鱗を伺えて楽しみです。インタビューもとても気持ちのいいテンポです。下も楽しみにしております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA