俳優の榊原利彦さんのインタビュー、後半です。2006年からは劇団「THE REDFACE」を主宰し、演出や主演を務めている榊原さん。(下)では、「THE REDFACE」を立ち上げたきっかけや劇団の特徴、今後の展望などについて話を伺いました。また、5月22日(水)には、2019年4月13日に横浜市開港記念会館で上演された「THE REDFACE」の舞台『Carmen Operacomic』(カルメン・オペラコミック)の公演ルポを掲載します。
――劇団「THE REDFACE」を立ち上げられたきっかけは?
単純に舞台をやりたかったということもあり、自分たちで作ろうということになって、妻であり脚本家の榊原玉記と2人で始めました。一時期、劇団で人数を増やしたこともありましたが、芝居がままならない形がすごく多かったので、公演ごとにキャスティングをする形が主流です。どんどんクリエイティブになっていかなきゃと思い、衣装や舞台監督もすべて自分たちでやっています。僕自身の考えていることが複雑だから、外部からスタッフを呼んできてもスケジュールが組めなかったりしたので、脚本は玉記が全作品書いて、演出は僕が手がけています。
――演出だけでなく主演もされているわけですよね。
最初はね、自分で主演はやらないと決めてたんですよ。「主演できる場所がないから劇団を立ち上げた」みたいなことを陰でいわれて、悔しい思いをしたことがあって……。僕としては単純にもっとすごい舞台を作りたいという崇高な信念でやり始めたので、自分は表に出ず、どんどん若手の役者に出てもらっていたんです。でもね、ある程度公演数を重ねていくうちに、お客さまから「サカキさんの芝居が見たくて来てるのに、サカキさんが出ていなくて面白くない」と言われるようになっちゃってね。そういうことなら、と、応援してくださる皆さまの声に応えて、最近では自分も出るようになったわけ。
――「THE REDFACE」のネーミングの由来は?
よく酒を飲んで顔が赤いから(笑)。REDFACEのヤツらは、みんな酒飲みばっかりなんだよね。
――これまでの公演回数と作品数は?
今回の「カルメン」の公演を入れて、77回です。1年に5〜6本打っている時もあったから。作品数は、再演しているものも多いので、小さい公演も入れたら、だいたい20作品くらいかな。書き下ろしもあるしね。2人とも同じものを見ているから、かゆいとこがわかるというか、両方の才能が融合された感じかなあ。
――レッドフェイスならではの特徴は、どういうところですか?
照明と舞台装置が簡略化されているところです。照明に頼るというのがあって、後は段差でしか表現できないものを空間で作っていく。それでいて、視覚の効果を大事にしています。どういうふうに見えたらいいのか、全体的にこういう色を使っていたらきれいだということを考えてやっている劇団は多いと思うんだけど、俺の場合、例えば9人出ていて、そのうちの2人をクローズアップしたいとなったら、そこにピンを思いっきり入れちゃうわけ。話の主軸が誰になっているのかを、お客さまがきちんと目で追いかけて理解できるような作り方です。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、榊原さん自身の演劇理論や「カルメン・オペラコミック」について、今後の展望などインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。5月22日(水)には、2019年4月13日に横浜市開港記念会館で上演された「THE REDFACE」の舞台『Carmen Operacomic』(カルメン・オペラコミック)の公演ルポを掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■どうしてこうなのか。できる役者っていうのは、必ず答えを持っているんです
■『カルメン・オペラコミック』は、ビゼーの生涯とオーバーラップするのが面白い
■「サー・トーマス」って俺に似ているんです。ひねくれているし、意地悪だし(笑)
■ちゃんとしたバックボーンの中でリリースして、大人が楽しめる舞台を作っていきたい
<『Carmen Operacomic』(カルメン・オペラコミック)>
【愛知公演】2019月1月14日(月) 愛知県芸術劇場 小ホール(この公演は終了しています)
【神奈川公演】2019年4月13日(土) 横浜市開港記念会館(この公演は終了しています)
THE REDFACE 今後の予定
<舞台『七慟伽藍 其の二十』>
【神奈川公演】2019年6月29日(土)~6月30日(日) 横浜情報文化センター 情文ホール
公式ページ
https://theredface.stage.corich.jp/
CoRich舞台芸術!のページ
https://stage.corich.jp/stage/100113
<関連ページ>
榊原利彦 オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/sakaki-blog/
榊原利彦 公式ツイッター
https://twitter.com/4g5gtv
榊原利彦 公式Facebookページ
https://www.facebook.com/sakakibara.toshi/
『THE REDFACE』 公式ページ
https://theredface.stage.corich.jp/
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■どうしてこうなのか。できる役者っていうのは、必ず答えを持っているんです
劇団によっては稽古の際にエチュードから始めるところもあるみたいだけど、俺は「1回読んだらすぐ立つぞ」といった感じで始めます。すると役者たちが「まだ本読みしかやっていないのに、覚えるまで待ってくださいよー」とか言うわけ。「じゃあ、覚えてからね」と言って、覚えてから立つとするじゃない?そしたら全く違う芝居になっていたりしちゃうわけ。そうするとそれが脳裏に焼き付いて、こびりついて取れなくなってしまう。だから、「覚える覚えないの前に、どうしてこれがこうなっているのかを理解しないまま勝手にやらないでよ」と。俺は舞台に関してはとても厳しく、怒鳴りつけることもあります。今回出ているワカ(今若孝浩)なんて、何回俺に怒鳴られたことか……(笑)。
――厳しいからこそみんなついてくる?
ついてくるっていうよりも、ほしいものが向こうにもあるからだと思う。例えば、ワカが来てくれている理由も、わかっているようでわかっていないことや、どうしたらいいんだろうという疑問の答えを俺が持っていると思ってくれているようなんです。俺は結論が早いし、ある種の演技理論みたいなものがあるので。この作品はこうなんだと言ってても、実際に見ると、すごく細かかったり。芝居には俺の考えている理念と二股の理論があるように思います。ただ多くは、真ん中の当たり障りのないところを選ぶんです。だけど、結論を出すのに、どうしてこうなのかという、きちんとした答えがないと、どちらかに持っていけない。できる役者っていうのは、必ず答えを持っているんですよ。どうしてこうなんだと悩んでるうちに、今度は台本がおかしいということに気づいたりする。そういう時にちゃんと話をすると理解してもらえるし、こういう風にしようと話してる中で、セリフが変わることも実際にあるしね。このセリフは俺でしょう、こいつのセリフはこいつだったでしょうって。
■『カルメン・オペラコミック』は、ビゼーの生涯とオーバーラップするのが面白い
――今回の『カルメン・オペラコミック』の見どころは?
『カルメン』はフランスの歌劇ですが、この作品はビゼーの生涯とオーバーラップして展開されていくというのが圧倒的に面白い部分です。それで芸術を司る神なのか悪魔なのか、よくわからない「サー・トーマス」という男がナビゲーターになって出てくる。そこら辺に関していうと、オペラを初めて見た人でもよくわかる点がものすごいポイントです。以前見ている人たちから「実はカルメンちょっとわかりづらかった」「歌ばっかり聞いていても……」といった意見もありそういう感触があったんだけど、今回は「まぁ、いいから、来てみて」と。
で、今年1月の名古屋公演では、俺、自分の芝居のところのセリフとかも変えてみたんです。もっとわかりやすく噛み砕いた言い方にしようと思ってね、いっぱい工夫してきたの。そしたら「非常にわかりやすくなった」と言われて、大宴会が繰り広げられたわけ。ものすごく舞台と客席が融合して面白かった。また、名古屋では役者の評判が非常によかったです。すごかったよ。出番が少ないのに、アスカ(新宮明日香)とかワカ(今若孝浩)もすごく良かったし、ミツイ(三井伸介)も安定していたし、みんな芝居になると集中しちゃって、すごく嬉しかったです。
■「サー・トーマス」って俺に似ているんです。ひねくれているし、意地悪だし(笑)
――ご自身ってどんなキャラクターですか。
僕? こんな感じです(笑)。実は「サー・トーマス」って、俺によく似ているんですよ。ひねくれているし、意地悪だし(笑)。でも、実は人を冷静に見抜いて鋭いこと言っちゃったりとか、ぐうの音も出なくなっちゃったりするところとか、ね。
――次の公演予定などは決まっていますか?
今はね、まだオフィシャルにはできないことがほぼほぼなんだけど、『七慟伽藍』を10月か11月くらいに、福井県でやりたいと言ってて。本当は山梨公演も武田信玄のお膝元だからやりたいとは思ってるんだけどね。
■ちゃんとしたバックボーンの中でリリースして、大人が楽しめる舞台を作っていきたい
――今後の展望についてお話ください。
表舞台だけではなく、裏も全部作っていけるマルチなクリエイターになりたいですね。自分が作ってメインで出るっていうのはどうしても限界があるので、舞台からはける準備をしたいなと思っています。世の中の人にたくさん知ってもらえるように、キャスティングも含め、ちゃんとしたバックボーンの中でリリースしていくこと。それが展望かなぁ。よくみんな商業演劇がどうのと言ってるんだけど、もっと別の形態のものもできると思うので、そっちを目指そうと思っています。
――ファンへのメッセージをお願いします。
ずいぶん映像とか出ていないんですけど、こういう舞台活動もやっています。「THE REDFACE」は作り方に工夫をしていて、大人が楽しめる舞台。そこを見てもらえると思っているし、さらに楽しめる作品を作っていきたいと思ってますので、陰ながら応援してください。
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