「楽屋に慈英さんの写真を」、『ビッグ・フィッシュ』川平慈英&浦井健治対談(上)

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が2019年11月1日(金)から12月15日(日)まで、東京、愛知、兵庫で上演されます。2003年に公開されたティム・バートン監督の同名映画を元に2013年にアメリカでミュージカル化されのちにブロードウェイで上演、2017年に日生劇場で日本初演されました。今回は劇場を移し、シアタークリエで“12 chairs version”が上演されます。主演でエドワード・ブルームを演じる川平慈英さんと、その息子ウィル・ブルームを演じる浦井健治さんの合同インタビューをお届けします。(下)有料部分では、アイデアニュース独自に伺ったインタビューを掲載します。

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

――それぞれエドワードとウィルを演じられるわけですが、再び臨まれるにあたり、役づくりに関して深めていきたいところや、改めて向き合って大切にしたいと思っているところはありますか?

川平:僕は何度も言っていますが、本当にいい役に出会ったなと思っています。ハードな役なのでコンディションを万全にして、最後まで生き抜くということが一番のテーマですね。初演の残像はまだ残っていますし、ゼロからのスタートではないので、それを逆手にとって、より心身ともに楽にハマるように、エドワードの役を演じていきたいと思います。前回は息があがったりしていたところもあるので、やはり生き急いでいたのかな(笑)。クールに歌うところなども、もう少しエンジョイしながら深めたいですね。より自分自身が表現者としてエンジョイできるようにしたいです。

浦井:やはり慈英さんが演じる、父親のエドワード・ブルームが、あまりにもすばらしくて。再演では曲も増えますし、父親から愛情をどういう風にかけられたかを、その父親はどんな父親だったのかを、もっと深めて理解して、更にもがいていこうと思います。そして、サンドラ・ブルーム役の霧矢大夢さんはもちろん、ジョセフィーン・ブルーム役の夢咲ねねさんとは、共演も多くなって、阿吽の呼吸ができるようになってきているので、白井(晃)さんの演出にみんなで立ち向かっていけたらいいなと思います。親子と、夫婦、ふたつの絆を大切に再演は挑みたいです。僕は本当に慈英さんのことを尊敬していて、楽屋の鏡前には慈英さんの写真を置いているんですよ(笑)。

川平:厄除けみたいな?(笑)

浦井:自分の中ですごくいい刺激になっているんです。

――再演ですが、初めてご覧になるお客様へ向けて、それぞれエドワードとウィルのキャラクターについて、説明して頂けますか?

川平:エドワードは破天荒で、大ホラ吹き。煮ても焼いても食えない、めんどくさい男です。ただ自分の中で筋は通っていて、それだけに家族にとっては扱いづらい存在です。妻は非常に献身的に愛情を注いでいますが、息子にとってはやっかいな親父。息子に人生を謳歌する術を自分なりのスタイルで伝えたいと思っているけれど、ビッグマウスが徒になってどうにも反りが合わない。でもその数々のほら話が、最後には奇蹟を起こすという。大まかにいえば、そんな感じでしょうか。

浦井:ウィルはそんな父親に育てられて、ずっと夢物語を語ってもらいながら育てられてきた息子ですが、かなり真面目で、几帳面で、現実主義。父親とは間逆の方向に進んでいます。そんななかで、ついに自分にとって大切な結婚式のときに起きたある出来事で、父親とは絶縁状態になってしまう。「堪忍袋の緒が切れる」じゃないですけど、そうなってしまうくらいの家族のわだかまりが出来てしまう。でも、それがなぜ起こったのかということを探っていくウィルの旅があり、ウィル自身もそんな旅の中で成長していきます。最後には父がなぜそんなことをしていたかを理解して、それを今度は自分の息子にどう伝えていくかを考えていく。誰しもに起こる人間ドラマを描いた作品であり、そのドラマを、白井さんの演出によって背負わせてもらっている役だなと思います。

<取材協力>
スタイリスト(川平):関恵美子、ヘアメイク(川平):森川英展(NOV)
スタイリスト(浦井):壽村太一、ヘアメイク(浦井):山下由花

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、エドワードとウィルを演じることについて、川平さんから見た浦井さん、浦井さんから見た川平さんなどについて、藤井隆さんやROLLYさんについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月23日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、アイデアニュースで独自に伺ったインタビューの内容を掲載し、川平さんと浦井さんがぞれぞれ、年齢とともにエネルギーの出し方や表現したいものが変わっていくということなどについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■浦井:(ウィルを)あまり演じている感じはない、最後に慈英さんと対峙する場面では自然に涙が

■浦井:(ふたりで歌う新曲は)あれだけのハモリを最後にふたりで出来る、絶対に泣いちゃいますね

■川平:藤井(隆)さんは、相当ユーティリティプレイヤー的、実は、ものすごい引き出しを

■川平:心情をより太くしたヒューマンドラマになるんじゃないかな

<ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』>
【東京公演】2019年11月1日(金)~11月28日(木) シアタークリエ
【愛知公演】2019年12月7日(土)~12月8日(日) 刈谷市総合文化センターアイリス
【兵庫公演】2019年12月12日(木)~12月15日(日) 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/bigfish/

<関連リンク>
シアタークリエミュージカル「ビッグ・フィッシュ」のページ
https://www.tohostage.com/bigfish/
川平慈英|株式会社ケイファクトリー
https://www.k-factory.net/profiles/jay-kabira
川平慈英オフィシャルブログ[Yabadaba-Dooo!」
https://ameblo.jp/jayk-yabadabadooo/
川平慈英 Twitter
https://twitter.com/2013tabu
浦井健治オフィシャルファンクラブ”Kopi-Luwak”
https://www.fanclub.co.jp/k_urai/?id=8
ARTIST PROFILE|浦井健治-CANDID
http://www.candid-net.jp/artist_infomation/talentDetail.php?id=6
浦井健治&STAFFTwitter
https://twitter.com/Kenji_Staff

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川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■浦井:(ウィルを)あまり演じている感じはない、最後の慈英さんと対峙する場面では自然に涙が

――川平さんのエドワードが本当にぴったりだとおっしゃっていましたが、浦井さんはウィルを演じていて、ご自身でどう思いますか?

浦井:あまり演じている感じはないですね。白井さんがそこまでもっていってくださるので。だから、演じてはいるけれど、演技云々ではないところで最後の慈英さんと対峙する場面では、自然に涙が出てしまいましたし、それが初演の財産でした。今日も(川平さんが)楽しそうだなと思って、嬉しくなっていました(笑)。

――先ほど浦井さんが川平さんのエドワードをリスペクトしているとおっしゃっていましたが、川平さんから浦井さんはどういう風に思っていますか?

川平:やはり圧倒的なスキルの持ち主。本当にうらやましいものを持っているなと毎回思いましたね。それは稽古場から思っていました。“浦井健冶である由縁”というものを持っている。

浦井:いや、僕からすれば慈英さんが羨ましいです。動けて、歌えて、芝居ができる。本当のエンターテイナーですよ。

川平:もう、ハードル高くしないで(笑)。

浦井:(笑)。

川平:何とか11月を生き抜こうとしているところで。彼はエネルギーの使い方がピュアで、見ていてすがすがしいですよね。歌唱力も演技力も、「それはスターだな」と思う部分を持っている。今、何歳?

浦井:38歳になります。

川平:まだ顔芸とか勢いだけでいける年齢だね(笑)。

浦井:どういうことですか!(笑)。

川平:僕なんか30代の頃は歌もシャウトばっかりで、すぐ喉もつぶしてたから。勢いだけでやってたな。いまの若い人たちは、健ちゃんよりも下の世代の人たちも含めて皆うまい!

浦井:本当に今、若い世代がすごく上手いし、活躍してますよね。

川平:偉そうにこの歳だから言わせて頂くと、皆スキルを持っていますよね。それだけに今の若いひとたちは大変だと思う。どんなことをやっても確実に一定のレベルは超えてくる。僕らが若いころは、ピルエットも回れない連中がいましたからね。まあ、それは置いておいて(笑)。

川平慈英さん=撮影・岩村美佳

川平慈英さん=撮影・岩村美佳

■浦井:(ふたりで歌う新曲は)あれだけのハモリを最後にふたりで出来る、絶対に泣いちゃいますね

川平:前回もそうですが『ビッグ・フィッシュ』チームは本当にいい座組みだと思ってます。皆それぞれの分野において、相当なプロフェッショナルが集まっている。だからこのチームは今回も素晴らしい化学反応を起こすだろうと思っています。今回白井さんが“12chairs”と名付けたバージョンで、12人のメンバーになり、それぞれのタスクが重くなりますけど。

浦井:慈英さんは初クリエなんですよね?

川平:そうなの。だから、クリエで体がどう反応するか今から楽しみです。

――おふたりの曲が加わるというお話ですね。

川平:新曲が2曲増えるので、減る曲もありますが、その辺りも白井さんが、どういう風に構築するのか楽しみですね。いろいろと作戦は練っているみたいです。その新曲が楽しみですね。元々はボーナストラック的な曲だったみたいですが、それを今度は本編に入れこむということらしいので。

――どこの場面に入るんでしょうか?

川平:おいしいところで、後半のほうです。

浦井:あるシーンが差し替わって、そこに入るんですよね。

川平:僕らふたりの、特にウィルのエドワードに対する感動的な思いが詰まっています。

浦井:あれだけのハモリを最後にふたりで出来るというのは、絶対に泣いちゃいますね。

川平:デュエットで、健ちゃんが歌って、僕がそれにフォローしていく。

浦井:やはりハモリになると、気持ちが同じ方向に向きますからね。

浦井健治さん=撮影・岩村美佳

浦井健治さん=撮影・岩村美佳

■川平:藤井(隆)さんは、相当ユーティリティプレイヤー的、実は、ものすごい引き出しを

――白井さんが取材会で、人数も少なくなって声は小さくなるけれども、雰囲気としては変わらないものを目指しているとおっしゃっていましたが、そうすると、ほかの方たちがかなり忙しくなりますか?

川平:そうなりそうですね。もちろん前回は僕も大変でしたが、今回は本当に皆さんも大変になるんじゃないかな。

浦井:医者役の人がもしかしたら藤井隆さんになるんじゃないかって。

川平:藤井(隆)さんは、相当ユーティリティプレイヤー的。僕はそれがめちゃくちゃ楽しみなんです。ものすごい引き出しを持っていますから。

浦井:お芝居もうまいです。

――芸達者な方たちが揃っていますよね。

川平:ROLLYさんもね。

浦井:あー! そこが医師というのもありかもです!

川平:おもしろい。ギリギリなところをいっているROLLYさんが見たい。

浦井:(笑)。

川平:人への観察眼が半端じゃないですからね。今回はより濃密になるんじゃないかな(笑)。

――川平さんの早着替えも大変そうでしたよね。高校生役もやられていて。

川平:いろいろ研究しました。どうやったら何秒早くなるだろうって。スタッフさんはやはりすばらしかったですね。コンマ何秒のために、いろいろと考えてくれました。

――パッと後ろを向いたら高校生というシーンもありましたね。

浦井:観ていて楽しかったですよね。

川平:慣れるのには相当時間はかかりましたね。どうやったら楽にやれるのかをギリギリまで考えていました。粘った方が絶対にエンターテイメントはおもしろくなると思います。

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

■川平:心情をより太くしたヒューマンドラマになるんじゃないかな

――エンターテイメントとして華やかなシーンも、すごく作品としても見どころだと思いますがいかがですか?

川平:突拍子もないところでグルーヴ感があったりしておもしろいですよね。ニューバージョンは白井さんの演出次第で、そこは僕たちもまだあまりわかっていないので、逆に楽しみにしています。

――ダイナミックで華やかなシーンがクリエでどうなるのかが、逆に楽しみだなと。

川平:心情をより太くしたヒューマンドラマになるんじゃないかな。前回は物が飛んだり、視覚的にサーカス的な部分もありましたが、そこをもう少しストーリーテリングの方へ重点を置くのかな。そうかと思いきや、もしかしたら、もっとおもしろいことをやるかもしれませんし(笑)。

浦井:そうですね。

川平:そこが今、僕らの楽しみなところですね。

浦井:霧矢さんが「あの踊りを私一人に踊らせないで」って言ってました。

(現場全員笑)

川平:いろんなピースを組み合わせて、どんなパズルが完成するのか楽しみですね。

――凝縮された人数で描く絵は、初演時とはまた違った魅力がありそうですね。

浦井:そうなんですよ。初演時のメンバーでいうとすごく切ないエピソードがあって、(ドクター役を演じた)大谷さんは役者をお辞めになられたんですね。その辞めるときに、「『ビッグ・フィッシュ』に参加できて、僕は幸せだった。ありがとうございました」というメッセージをグループLINEに下さったんですけど、その後グループから退会してしまったので、連絡が取れなくなっちゃったんです。皆でそのあと、「あぁ……」ってなっちゃって。そういう思いもあるから、再演はいろんな思いも感じながらやりたいと思いますね。

川平:映画のエドワードを演じていたアルバート・フィニーさんが亡くなったんですよね。トニー賞のメモリアルシーンに出てきたんだよね。

浦井:そうでしたよね。

川平:だから、今回のステージは彼にもトリビュートしたいですね。

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

川平慈英さんと浦井健治さん=撮影・岩村美佳

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“「楽屋に慈英さんの写真を」、『ビッグ・フィッシュ』川平慈英&浦井健治対談(上)” への 8 件のフィードバック

  1. ガーネット より:

    浦井さん、川平さんのお互いをリスペクトされている様子と浦井さんの川平さんへの熱い想いが伝わってくる素敵な対談です。
    初演当時はお二人の直接対談はなかったと思うので、こういうお話が伺えて嬉しいです。お二人のデュエットが楽しみです。

  2. りこ より:

    初演はみられなかったので、再演嬉しいです。
    大楽に観に行きます!
    頑張ってください!

  3. ぽち より:

    今回もものすごく濃厚なインタビュー掲載ありがとうございます。お二人の熱い思いに今から再演が本当に楽しみです。このお二人の太陽のような暖かい笑顔見るだけで心からハッピーになれますね。本当に素敵な二人だと思います。

  4. ちょび より:

    初演は私がミュージカルにどっぷりはまるきっかけになった作品です。毎回嗚咽が出るほど泣いてしまいました。温かい感動が今も忘れられません。再演のお知らせを見た時、場所もわきまえず叫んでしまいました。心から嬉しいことでした。12人に凝縮された舞台、楽しみに開演を待ちます。素敵なおふたりの素敵な記事をありがとうございます。

  5. Memi より:

    インタビュー読みごたえありました。
    初演も涙しながら、観劇しました。再演がとても楽しみです。
    父子の素敵な物語を今回も楽しみにしています。

  6. もも より:

    初演のときは、本当に毎回涙涙で、でもとても暖かい涙でした。
    再演もどんなふうになるか楽しみですし、基本は変わらないと思うのでまた何回も涙しに行きたいです!

  7. ほりほり より:

    いつも素敵なインタビューを掲載いただきありがとうございます。作品を観る楽しみが増え楽しみです。。

  8. クリーム より:

    こんなに早く再演してくださるとは思いませんでした
    キャストさん減りクリエに劇場も変わりどんな風になるのかワクワク
    まだまだ先ですが楽しみでしかたありません

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