舞台『絢爛とか爛漫とか』が2019年8月20日(火)から9月13日(金)まで、DDD青山クロスシアターで上演されます。舞台は昭和のはじめ、登場人物は4人の若き文士たち。あまたのカンパニーが繰り返し上演してきた作品を、1993年に初演を手がけた鈴木裕美さんが再び演出します。鈴木さんと、出演キャスト4人が参加した合同インタビューをお届けします。安西慎太郎さんが古賀大介役を、鈴木勝大さんが泉謙一郎役を、川原一馬さんが加藤常吉役を、加治将樹さんが諸岡一馬役をそれぞれ演じます。
――鈴木裕美さんヘ、1993年の初演から愛され続けている今作について今のお気持ちをお聞かせください。
鈴木裕美:「チラシの裏にコメントを」といわれて、そこにも書いたのですが、初演は26年前で、それは一番若い安西くんが生まれた年だと聞きました。3人も赤ん坊の頃。一人一人が大人になる時間の間にすごく、いろいろな方たちがこの作品を愛して上演してくださいました。その間に、私は演出家としてどのくらい大人になれたか、進歩ができたかなというところが、自分自身でも試されてしまうなと。私はこの作品がとても好きなので、緊張するところもありますが、せっかく若い、新しい方たちとできるので、新しい本の読み方もできるんじゃないかと。脚本の飯島(早苗)はそう書いてなかったかもしれませんが、いまの方たちが読むと、そう読めるんじゃないかという発見もあったらいいなと思いますし、とても楽しみにしています。
――続きまして、キャストの皆さまにお伺いします。ご自身の役柄をふまえて、今回の作品の魅力についてお伺いできますでしょうか。
安西:まず、裕美さんがおっしゃっていましたが、26年の歴史があるこの作品に出られることをすごくうれしく思います。個人的に、僕は裕美さんとずっとご一緒したいという思いがありまして、今作でそれが叶い、素敵なキャストの方々も揃っているので、わくわくしています。作品については、おもしろい戯曲ですので、しっかりとカンパニーでセッションして、おもしろがりながら作っていけたらなという思いです。
鈴木勝大:昭和の初期で、物書き志望の人たちの話なんですが、時代も職業もいまの僕とは違うんですが、読んでいると勝手に友達の会話を聞いているような気持ちになるんです(笑)。このうだうだしている様など、僕の身の回りにもたくさんいるんですよね。目標や夢があるのに、なかなか手を伸ばせないとか、言い訳をしているところとか、すごく身近に感じてしまったりするので、早く稽古や本番を通して、ほかのキャストの方がこの役を演じている姿に会いたいなといまから楽しみですね。
川原:まだ稽古にも入れていないので、表面上をつづっただけで、理解できてない部分もありますが、脚本を読ませていただきました。やはり昨年、裕美さんとやらせていただいたときに、「俺ってこういう役できるんだな」ということを初めて感じました。そして、裕美さんが今回「これは一馬ならいいんじゃないか」と思ってくださった部分もあるのかなと。僕自身それを再発見できましたし、想像できてしまう部分もあるので、とにかくこの4人で自主練して頑張ろうと思います(笑)。
加治:初めて読ませてもらったとき、ものすごくおもしろいというのが第一印象でした。そのあとに追いかけてきたのは、これは昭和初期といえでも、どの時代にも通ずるものだと。バックボーンとして昭和初期とありつつも、人間のお話なので、モダンボーイといえども、代表する男像のパターンがしっかりと描かれているなと思いました。僕の役は「非凡な才能をもち、破天荒で自由に生きる諸岡」と書かれていて、とても自由にやらせていただける役どころですし、年は一番上になりますが、裕美さんと4名とで遊びながら、また令和に通ずるこの作品をお届けしたいと思います。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、鈴木裕美さんから各キャストに期待されることやエールを、キャストの皆さんから鈴木裕美さんについてどう感じているかなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月7日(水)掲載予定の「下」では、時代をまたいで上演されているこの作品について、昭和初期を舞台でリアルにみせることや演劇の魅力などについて伺った合同インタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■鈴木裕美:一馬のことはよく知っていて、今回演じる役は、まあ合うだろうなと(笑)
■安西:どうなっていくか未知数ですが、いろんなことを含めてすごく楽しみです
■鈴木勝大:楽しみな気持ちと恐怖(笑)。自分にとって大きな2ヶ月になるんだろうな
■加治:僕が聞いた中で、裕美さんと出会って変わったという俳優が100%なんです
■川原:(裕美さんと仕事をした経験から)追い込まれて泥沼化する日が…自主練を!
<『絢爛とか爛漫とか』>
【東京公演】2019年8月20日(火)~9月13日(金) DDD青山クロスシアター
公式サイト
http://kenran.westage.jp
<関連リンク>
舞台『絢爛とか爛漫とか』
http://kenran.westage.jp
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■鈴木裕美:一馬のことはよく知っていて、今回演じる役は、まあ合うだろうなと(笑)
――鈴木裕美さんから、各キャストに期待されることやエールを一言ずつお願いします。
鈴木裕美:いろいろなところでお目にかかっていて、お目にかかり方はそれぞれ違うんですが、一馬とだけははっきりご一緒したことがあるんですが、皆さんとはお仕事をしたことがなくて。ご一緒させていただきたいと思っていましたので、とても楽しみです。一馬のことはよく知っていて、今回演じる役は、まあ合うだろうなと(笑)。
(一同笑)
川原:ありがとうございます(笑)。
鈴木裕美:安西くんと鈴木(勝大)くんは逆の役でもおもしろいと思い、逆もいいかと思いましたが、最終的にこちらの方が収まりがいいかなと(笑)。私はものすごく泉がかっこいい役だと思っていて、もちろん古賀がダサい役なので(笑)。主人公というものはダサくないとね。それで、どちらがいいかなと思ったのですが、多分どちらのよさもあると思うんです。鈴木くんも安西くんも、どちらもダサいところと、かっこいいところがあると思います。ただ、今回はどちらを強調するかという感じで、「鈴木くんがかっこいい方がいいか」と。泉は非常に頭がいい役で、冷静で場が読めていて、私としてはこの男はかっこいいと思っている。バイオリンを聞かせたり、やさしいところもあるじゃないですか。最後も結局好きな女と一緒になっているという、山ちゃん(山里亮太)的なかっこよさがあるじゃない。
(一同笑)
加治:NOWですね。
鈴木裕美:だから、こっちかなと。古賀はとてもグズるんです。どちらのグズるところも、「お前こうなんだよね」と手を差し伸べるところもおもしろそうだと思い、悩んだ結果こうなりました。諸岡には、やはりある種の強さ、朗らかさ、生き抜く強さがほしかったんです。加治さんは以前飲んだりしていて、非常に強い、明るい。全然一緒に仕事をしていないのに、私と一緒に仕事をしている俳優が呼んだらすぐにひょこひょこやってくる。
加治:そうなんです(笑)。
鈴木裕美:そういう生きる強さみたいなものがある方だなと思って。
加治:ありがとうございます!
■安西:どうなっていくか未知数ですが、いろんなことを含めてすごく楽しみです
――キャストの皆さまは、鈴木裕美さんとご一緒されるにあたってどう感じていますか?
安西:先ほども申し上げたんですが、ずっとやりたいと思っていまして、今回ご一緒するにあたって、いろんな方から裕美さんの情報を入手しようと思ったら、「とても演劇というものを熟知されている方で、なお挑戦し続けている方」、そして「怖い」とお聞きして(笑)。でも、どういう怖さかわかりませんが、なにかを作るうえで、必要な厳しさがある方なのかなと僕は思っています。どうなっていくか未知数ですが、いろんなことを含めてすごく楽しみです。
■鈴木勝大:楽しみな気持ちと恐怖(笑)。自分にとって大きな2ヶ月になるんだろうな
鈴木勝大:念願かなってという思いです。裕美さんとは以前オーディションでご一緒させていただきました。それも特殊な環境の中で、本当に毎日すごい台詞で(笑)。相当な労力と時間を割いて見てくださった思い出があって。そのときに僕にだけでなく、いろんな人に裕美さんがかけていた言葉で、いまもすごく心に残っている言葉がたくさんあります。今回は約1ヶ月という稽古期間があるので、そういうものを自分も、もっと密度の高い環境の中で体験していけるんだなと思うと楽しみです。でも、川原さんにまたビビらされてしまう(笑)。
(一同笑)
川原:俺らのときは、っていう話です(笑)。
鈴木裕美:(笑)。
鈴木勝大:いまは楽しみな気持ちと、ちょっとした恐怖(笑)。でも、すごくわくわくしていますし、自分にとって大きな(稽古と本番の)2ヶ月になるんだろうなと思っています。
■加治:僕が聞いた中で、裕美さんと出会って変わったという俳優が100%なんです
川原:やはり一度一緒にやらせていただいたのは、すごく僕の中で大きくて。僕自身、プライベートでは特に感情表現ができるタイプではないので、それを知ったうえで今回この作品をやらせていただけることに、まず感謝です。本当に裕美さんの演出を受けたことで、僕自身の心が浄化されたことが、去年たくさんありました。今回も、形的には青春群像劇ですが、すごく熱い夏がはじまりそうだなというわくわくと、僕自身も挑戦させていただきたいという思いがあり、そして裕美さんは絶対的に信じられる演出家だなと。絶対に見捨てないし、裏切らない。やはりその責任感をもっていらっしゃる方。言葉にすると軽いかもしれませんが、すごく僕自身は重いことだなと思っています。絶対に面白い作品になると思います。僕ら次第、僕次第だなと(笑)。
(一同笑)
加治:責任重大だな(笑)。
川原:がんばります!
加治:先ほど裕美さんからもおっしゃられていましたが、多分共通の友人に誘われて「いまご飯食べてるからおいでよ」と言われ、初めて裕美さんとお会いしたんです。そのときの初めての印象が、“すごーいよく喋るお姉さん”。
(一同笑)
鈴木裕美:飲んでるときだから。
加治:もちろん! もちろん! お酒が入っているときですから、そうなんですよ。そのイメージのまま、仕事は今回初めてご一緒します。稽古場にいる裕美さんを見たことがないんですよ。もちろん作品は拝見していますが、裕美さんのイメージは、その10年前で止まったまま。「怖い、怖い、怖い」とはいろんな俳優から聞きますよ。
(一同笑)
加治:でも、僕が聞いた中で、裕美さんと出会って変わったという俳優が100%なんです。「裕美さんと出会えて変われた気がする」と同時に、「加治、お前は絶対に裕美さんとやった方がいい」と本当にいろんな先輩から言われて、今回その念願がやっと叶って、ものすごく楽しみです。怖い云々はあるかもしれませんが、それは皆さんに素敵なすばらしい作品を届けるうえで必要なことだと思うので、とにかくその怖さを楽しみながら、いい作品を作っていけたらと思います。だから、今回本当に裕美さんとご一緒できることに、非常にわくわくしています。
■川原:(裕美さんと仕事をした経験から)追い込まれて泥沼化する日が…自主練しましょう!
――鈴木裕美さんと川原さんは、一緒に仕事をされたことがあるということでお伺いしたいです。稽古場での鈴木さんは怖いというお話がありましたが……。
川原:僕だけ「怖い」というワードは出していないんですけど(笑)。
(一同笑)
川原:でも、単純に怖いということではなくて、それは絶対的に意味があることなんです。ただ、どんどんどんどん追い込まれていくと、思ってもいないことを僕が口に出してしまったり、人間追い詰められると、よくわからない行動をすることによって、さらに駄目になっていくという、泥沼化する日が稽古中に何回かあったので。そういうことですね(笑)。
鈴木裕美:昔、セラミックの歯を入れていたんですが、稽古中に頭にきて、それが過去に3回割れているんですよ。
(一同笑)
鈴木裕美:そうしたらかかりつけの歯医者さんが、「あなた、また割るから絶対にセラミックは入れてあげない。お金がもったいないから」って。金歯になってからは割れてないんですが、もし金歯じゃなかったら割れてた稽古場でした(笑)。
(一同笑)
鈴木裕美:私、人生で140本くらい芝居を作っているんですが、そのうち割れたの3回だけだからね。ポンコツがいるときがあるんですよ。
川原:本当に最初の2週間くらいは、稽古場に立てなかったので。
鈴木裕美:そういう役だった。やりたくないって。
川原:稽古を見ていればわかるのに、いざ立つと見えなくなるという、極度の状況だったので。そうならないように、皆で自主練しましょう!
加治:自主練がメインになってる(笑)。
(一同笑)
鈴木裕美:少し……ちょっと素人だったんだよ。
川原:会話ができない瞬間が何回かあったりしたので。
鈴木裕美:最終的には会話が成立するようになったね。
川原:いろいろありました(笑)。