「稽古が嬉しくて泣きそう」、『Fly By Night~君がいた』遠山裕介インタビュー(下)

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

2020年9月1日(火)から9月13日(日)までシアタートラムで、9月19日(土)から9月22日(火・祝)まで横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで上演される新作ミュージカル『Fly By Night~君がいた』に、新進作家のジョーイ役で出演する遠山裕介さんのインタビュー、後半です。『Fly By Night~君がいた』は、conSeptが手掛けるミュージカルドラマシリーズの第4弾で、主人公ハロルドを内藤大希さん、その父親マックラムを福井晶一さん、ダブルヒロインのダフネとミリアムを青野紗穂さんと万里紗さん、ダフネに恋する新進作家を遠山裕介さん、ハロルドの第2の父親的な存在であるサンドイッチ屋のオーナー・クラブルを内田紳一郎さん、物語を進行するナレーター役を原田優一さんが演じます。作品について、役どころについて、演出の板垣恭一さんについて、コロナによる自粛期間を経て稽古を始めて感じていること、お客様に伝えておきたいことなどを伺いました。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

――『Fly By Night〜君がいた』のお話を伺います。人数としては小規模なカンパニーですが、大きい作品の主役を張るような方々が集まって、結構濃厚な印象です。

濃いメンバーですよね(笑)。

――どんな作品の魅力や特徴を感じていますか?

この作品は、テーマが「つながり」ということで、それぞれの人生がどこかでつながっているんですよね。僕はこれを読んだ時に、すごくいいな、家族って温かいな、恋愛はこういうこともあるな、キュンキュンしちゃうなと思いました。最初のダフネとハロルドのシーンを、「ああ、いいな」って。人間は、つまづいたりしたときでも、何か目に見えない力で支えられていると思うんです。たとえばそれは親でもいいと思うんですが、自分が苦悩しているときに、近くにはいないんだけれど、遠くで見守ってくれているから、それが自分の支えになる。恋愛だったらお互いに好きだと言ってなくても、何か感じるものがある、そういうつながりがあるんだなと思いました。この作品は、見えないけれどもどこかで人とのつながりが支えになっている、そういうことを感じられるのではないかと思います。いろんな人に当てはまる作品になるんじゃないかと思います。

ーー人と人とのつながりが、見える形だけではなく、見えないところもふくめてつながっていることで、人生が動いていくんじゃないかと。

そうなんです。見えないものとのつながりです。

ーー出演者のみなさんとそういう話をされましたか?

みなさんとはひたすら笑い話をしているんですが(笑)、だんだん役に対しての作り方などが固まってきました。ジョーイとダフネは恋愛をしますが、好きになったりするのも、何かの繋がりがあるから好きになるわけで。ジョーイは脚本家で書きたいけれど書けない、ダフネは夢に向かって走るけれど上手くいかない。そういうのが繋がりになっていくように、そこで惹かれ合うふたり。そんなつながりの話はしました。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『Fly By Night〜君がいた』で遠山裕介さんが演じる新進作家のジョーイ役について、青野紗穂さんが演じるダフネに出会うことでジョーイがどう変わって行くか、演出の板垣恭一さんについて、コロナによる自粛前の『アナスタシア』以来の舞台となる今回の作品の初日の立ち稽古で感じた想い、お客様に伝えておきたいことなどについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■ジョーイは、お坊ちゃん。脚本家の子供で、色々書くんですが、うまくいかない

■音楽がすごくキャッチ―。ちょっと聞いただけでも口ずさめるくらい、いい曲だらけ

■初日の立ち稽古をやっている時、嬉しくてしょうがなくて。泣きそうになって

■演劇を観るのをやめないでくださいね役者は命を懸けて伝えたいと思っている

<ミュージカル『Fly By Night~君がいた』(全20公演)>
【東京公演】2020年9月1日(火)~9月13日(日) 東京・シアタートラム、
【神奈川公演】2020年9月19日(水)~9月22日(土) 横浜・赤レンガ倉庫
劇場観劇Ticket:9000円(全席指定・税込)
公式サイト:
https://www.consept-s.com/fbn
生配信料金:1回5500円(東京初日のみ3000円)
配信サイト:streaming +
形態:全公演リアルタイム生配信 (終演後4時間まで見直し可能)
販売専用URL:
●9月1日~2日、9月8日~22日分の公演(イープラスへの会員登録が必要)
https://eplus.jp/fbn-streaming/
●9月3日~6日分の公演(楽天への会員登録が必要)
http://r-t.jp/fbn

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遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■ジョーイは、お坊ちゃん。脚本家の子供で、色々書くんですが、うまくいかない

――ご自身が演じるジョーイ役についてはいかがですか?

僕の役どころは、ちょっとおかしなヤツです。お坊ちゃんで、できそこない(笑)。

――物語の主軸になる三角関係や親子関係とは、ちょっと違う立ち位置ですよね。

ジョーイと、内田さんが演じるクラブルは、結構面白い、飛び抜けてるキャラクターなんだろうなと思います。ジョーイ・ストームズは、ニューヨーク生まれのニューヨーク育ち、脚本家、芸術家系なんです。兄弟もいるんですが、みんな芸術に携わっていて、お坊ちゃんに育っています。医者の子は医者、脚本家の子供は脚本家だろう、と育てられてきて、色々書くんですが、どうもうまくいかない。いくつか作品をやっても、うまくいかないんです。その中で、「何かおかしいな」と思う。自分の中で、「本当に自分は脚本家なのか?」「この道でいいのか?」という葛藤を描いている感じです。その中で女優を目指しているダフネに出会い、「この作品ゴミだね」と言われて、「君が本当のことを言ってくれたの?」と気づく。それがきっかけで、自分の中での気持ちが変わっていき、ある作品を作ってみるんです。ダフネに出会うことで、自分のやりたいこと、むしろやらされていたことなどに気づいていきます。そして、ジョーイにも、ダフネにも、どんな未来が待っているか……。

ーー役者の方々による舞台転換が多いと伺っていますが、その見え方などはいかがでしょうか?

真ん中で芝居をしているのに、その場に関わらない役のみんなが、なぜそこにいるんだろうと、これがつながりなのかなとみえるシーンがいくつかあります。お客様の捉え方次第で面白いんじゃないかと。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

■音楽がすごくキャッチ―。ちょっと聞いただけでも口ずさめるくらい、いい曲だらけ

ーーこれまでさまざまな作品をやってきて、今回新しいなと思ったことはありますか?

舞台を観て共感できるとか、その役に感情移入できるのが、すごくいいことだと、板さん(演出家の板垣恭一さん)が言ってらっしゃって。映像ならば主人公がいて、その主人公を軸に物語が動きますが、舞台の場合は主人公だけではなくその周りの人も舞台上にいるので、なぜこうなったのかとか主人公以外の役からもいろんな人生が見えるじゃないですか。悪役でも、嫌なヤツで終わるかもしれないところを、舞台だといろいろ見えて好きになってしまうとか。悪いけれど、こんな裏があったのかとか。この作品は群像劇で、登場人物がたくさんいるので、その誰かにお客様に共感していただけたら。楽しい人間、落ち込んでいる人間、それぞれが成長していく様を見るのが、生で観る楽しさなんじゃないかなと思います。

ーーそれぞれの人生のどこに気持ちが沿うのか。

これが本当に観劇ならではですね。

――この作品で、遠山さんが観てほしいと思うところは何ですか?

僕自身が観ていただきたいのは、主軸に三角関係の3人がいて、その周りで動く面白い人、みたいな役たちですね。さっきも言ったように、クラブル、ジョーイ、マックラム、それぞれが急に出てくるインパクトのあるやつ、というか。面白くもあり、お客様の気持ちを掴む役でもありたいと思っています。

――ジョーイ自身の人生も、出会いで変わっていきますものね。

実際にそうだと思いますが、「なんだこいつ」みたいになってるシーンもありますし、「この人、ちょっとキュンときちゃうな」というのもありますし。そんなところが出せたらいいなと思ってます。

――音楽に関してはどうですか?

すごくキャッチ―で、多分、ちょっと聞いただけでも口ずさめるくらい、いい曲だらけなんですよ。ハロルドが一番最初に歌う曲も、歌詞が面白いんですが、曲がすごくいい。本当にいい曲だらけ。僕が歌う曲も、曲の流れが面白いです。音楽は本当に初めて聞いても入ってきますし、ポップ、ロック、カントリー、ジャズのテイストが混ざってる感じです。本当にすーっと耳に入ってきます。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

■初日の立ち稽古をやっている時、嬉しくてしょうがなくて。泣きそうになって

――今年は『アナスタシア』以来で舞台に立つことになると思いますが、今思っていることをお聞かせください。

自粛期間に、ライブ配信などもしましたが、やっぱり生で観てもらうのは、お客様にも、ものすごくいいことだと思うんです。僕たちも、生でのお客様の反応があってのお芝居なのかなと思います。呼吸などを感じて欲しかったりするので、劇場に来ていただいて、そのよさを今一度観ていただけたら、すごく嬉しいと思います。自粛期間で、ひとついいなと思ったことがあるんです。普段劇場だったら200人のお客様にしか観ていただけないですが、ライブ配信することで、何千人、何万人という人に観に来ていただけるので、この機会にミュージカルの世界を、もっと皆さんに知っていただき、さらに好きになっていただけたらと思います。

――久しぶりの稽古はいかがですか?

初日の立ち稽古をやっている時に、嬉しくてしょうがなくて。「みんなとお芝居できてる!」って、ほんとにヤバかったんですよ。泣きそうになって「これこれ!」って。一緒に作り上げるというのは大変ですが面白い。それと、『アナスタシア』の時は海外のレプリカ作品だったので、いろいろと細かく決まっていました。今はゼロから作っていますので、その喜びを実感しています。

――なるほど。

全員のパワーがすごいんじゃないかと。出演者も久々に舞台に立つ方が多いと思います。だから、よりパワーがあって、盛り上がると思います。劇場でも配信でも両方楽しめると思いますが、できれば劇場に来ていただいて、生で、耳で、目で、あと呼吸、空気、色々感じて欲しいですね。この作品は特にそうかもしれません。緊張感、楽しさ、本当にすべて味わえる作品だなと思っています。観終わった後、「はっ……!」となって、どこか考えさせられる作品だと思うので、やっぱり生で観たほうが、心に来るものは強いと思います。お待ちしています!

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

■演劇を観るのをやめないでくださいね役者は命を懸けて伝えたいと思っている

ーー最後にお客様に伝えておきたいことはありますか?

演劇を観るのをやめないでくださいねと。この時期は観劇自体が怖いかもしれませんが、役者たちも命を懸けて、皆さまに伝えたいことをエンターテインメントとして表現したいと心から願っているので、配信でも、生でも、ぜひとも観てほしいです。そして、コロナが終わったら、いっぱい観にきてください。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

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“「稽古が嬉しくて泣きそう」、『Fly By Night~君がいた』遠山裕介インタビュー(下)” への 3 件のフィードバック

  1. yururi2323 より:

    貴重なお話をたくさんありがとうございます。
    現在に至るまでの様々な経験が積み上げられた今回の作品、アナスタシア以来の舞台上で生き生きとした遠山さんに元気を貰えました。
    これからも色々な作品で活躍されることを期待しています!

  2. an より:

    素敵なお写真とインタビューありがとうございます。
    この世界に入る前、SEをされていたとはびっくりしました。
    『Fly By Nigh』は実力者揃いの贅沢な舞台。5ヶ月ぶりの生の舞台は本当に幸せな時間でした🌃✨
    ノリノリだけど繊細なジョーイをたくさんの方に観ていただきたいですね🎵

  3. NUJ より:

    素敵な記事をありがとうございました。又、違った感じで作品を観る事が出来そうで次回劇場へ行くのがまた楽しみになりました。

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