宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場メインホール公演、ミュージカル・ロマン『炎のボレロ』、ネオダイナミック・ショー『Music Revolution! -New Spirit-』が、2020年8月29日(土)に開幕しました。『炎のボレロ』は、1988年に星組の日向薫さん主演で上演された作品の32年振りの再演。家族を殺した政権への復讐を誓って祖国に戻ってきた若い貴族が、恋を知り、仲間と出会う中で、復讐よりも大事なものに目覚めて行く姿を、鮮やかに描いていました。
『炎のボレロ』は「芝居とは人間を描くもの」を信条として、『あかねさす紫の花』など再演を重ねる数々の名作を生みだし、2019年に他界した柴田侑宏さんの作品。1860年代のメキシコを舞台に、当時の支配者であるフランス軍の傀儡政権側と、反政府側の住民の対立の中に咲いた2つの恋を中心に物語が展開します。
1つ目の恋は、政権側に家族を殺された青年貴族、アルベルト・カザルスと、政権中枢の貴族に嫁ぐことになったカテリーナ・ドロレスの恋。
密かに祖国・メキシコに戻ってきたアルベルトは、年に一度の太陽の祭りでカテリーナと出会い、またたく間に恋に落ちます。アルベルト役の彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんは、スペイン風の衣裳が、まるで精悍な闘牛士のように似合い、細身の剣を持って舞うシーンは、2009年の雪組公演『ZORRO 仮面のメサイア』で水夏希さんが演じたゾロように華麗です。嫁ぐのが嫌で病にかかっている振りをしている伯爵令嬢カテリーナ役は、潤花(じゅん・はな)さん。祭りでアルベルトと一緒に踊るシーンは、恋に落ちた2人の喜びを余すところなく表現していました。
もうひとつの恋は、アルベルト追跡の命を受けているフランス軍情報部大尉ジェラール・クレマンと、酒場で働くモニカの恋。
ジェラール役は、背筋を伸ばした軍服姿がこの上もなく似合う朝美絢(あさみ・じゅん)さん。余命わずかで生き急ぐ軍人という設定がクールな美しさを際立たせ、後半に披露する歌声は爽やかな高音が印象的でした。モニカ役は彩みちる(いろどり・みちる)さん。酒場で働く女性という設定で、店ではフラメンコ風の華麗なダンスを披露。ジェラールへの一途な想いを貫いて行きます。
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■官房長官役の久城あすと愛人役の千風カレン、人としての弱さも表現
■叶ゆうり、恋人たちの想いに理解を示して身を引く難役を表情で描く
■共和派の同志役の天月翼、汐聖風美、縣千、若いエネルギーをはつらつと
■情熱的なダンスときらめく恋物語。観ている側も幸せな気分に
<宝塚歌劇 雪組 ミュージカル・ロマン『炎のボレロ』 ネオダイナミック・ショー『Music Revolution! -New Spirit-』>
【大阪公演】2020年8月29日(土)~9月6日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2020/honoonoborero/
https://www.umegei.com/schedule/918/
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■官房長官役の久城あすと愛人役の千風カレン、人としての弱さも表現
官房長官のブラッスール公爵役を演じたのは、久城あす(くじょう・あす)さん。かたき役的な存在ではあるものの、愛人のオノリーヌ伯爵夫人役の千風カレン(ちかぜ・かれん)さんとともに、人としての弱さもしっかりと表現していました。
■叶ゆうり、恋人たちの想いに理解を示して身を引く難役を表情で描く
そのブラッスール公爵の息子で、カテリーナと結婚する話が進んでいるローラン役を演じたのは、叶ゆうり(かのう・ゆうり)さん。カテリーナをアルベルトに奪われながらも、恋人たちの想いに理解を示して身を引く難しい役を、人の良さそうな表情と柔らかな仕草で表現していました。
■共和派の同志役の天月翼、汐聖風美、縣千、若いエネルギーをはつらつと
反政府側の共和派でアルベルトを仲間に紹介するファノを演じたのは、天月翼(あまつき・つばさ)さん。同じく共和派のリンゴー役の汐聖風美(しおせ・かざみ)さんと、共和派リーダー、フラミンゴ役の縣千(あがた・せん)さんらとともに、はつらつとした演技で、祖国を変えて行く若いエネルギーを表現していました。
■情熱的なダンスときらめく恋物語。観ている側も幸せな気分に
作品を通して感じたのは、情熱的なダンスときらめく恋物語を観ていると、こちらまで幸せな気分になる、という当たり前のこと。新型コロナウイルス対策で大変な苦労を重ねながら美しい舞台を作り上げてくださっている皆さんに、あらためて感謝の念を抱いた公演でした。