「笑って欲しい」、『NEW YEAR’S Dream』玉野和紀・大野拓朗・平野綾鼎談(上)

玉野和紀さん(左)と大野拓朗さん(右)と平野綾さん(中央)=撮影・NORI

新春の2021年1月5日(火)から1月11日(月・祝)まで明治座で上演される『NEW YEAR’S Dream』の構成・演出・脚本・振付の全てを手がけられ、出演もされる玉野和紀さんと、出演キャストの大野拓朗さん、平野綾さんの3人にお話を伺いました。この作品は、2019年夏に上演された『Summer Night’s Dream』の第二弾となるもの。『CLUB SEVEN』などで知られる玉野ワールドには今回が初挑戦となる大野さんと、2020年9月の『Gang Showman』に続いて玉野さんの作品に出演することになった平野さん。お3方に『NEW YEAR’S Dream』がどのような作品になるのか伺いました。12月18日(金)掲載予定の鼎談インタビュー「下」では、それぞれの2021年の抱負などについても伺いました。

玉野和紀さん(左)と大野拓朗さん(右)と平野綾さん(中央)=撮影・NORI
玉野和紀さん(左)と大野拓朗さん(右)と平野綾さん(中央)=撮影・NORI

ーー「Dream」シリーズとしては2019年夏の『Summer Night’s Dream』に続く第二弾ですね。

玉野:そうですね。今回は新春ということで、『NEW YEAR’S Dream』と銘打っています。内容は、ミュージカルで活躍されているみなさんのお得意なミュージカルナンバーと、僕がみなさんにやってもらいたいと思うナンバーを足し合わせた感じですね(笑)。

ーー足し合わせた感じ!

玉野:そう、もうちょっと具体的に言うと、かっこいいミュージカルナンバーと、ちょっとふざけた感じのコメディっぽい「昭和歌謡」ですね。

大野・平野:(笑)。

ーーお稽古はこれからですか?

玉野:これからですね。今はちょうど、音楽の打ち合わせが終わったタイミングです。全体の台本はもうできているので、キャストごとの歌い分けの台本をこれから作っていきます。キャストもそれぞれ、今は大野くんみたいに本番中の人もいるもんね!

大野:すみません。

玉野:いやいや、なんで!(笑)。僕たちは、一つの劇団ではないから、全員のスケジュール合わせは、みんないつでもOKというわけにはいかないですよね。今は個別に音楽監督と歌稽古を始めてもらって。並行して、そろそろ振り付けの稽古を、これも個別に僕と始める。で、あとで合体して、12月の中旬くらいから全員での本稽古ですね。

ーー大野さんも平野さんも、作品の全容はもう、把握されているんですか?

平野:香盤表とセットリストをいただいているので、全体の流れや、こんな曲を今回歌わせていただくんだなというところまではわかります。でも、謎の言葉だらけで、なんだろこれ、って(笑)。すごくさらっと書いてある「亀」とか(笑)。

玉野:「亀」ね。2幕の頭にね、浦島拓朗くんが出てくるの(笑)。乞うご期待です!

大野:そう、何するんですかねー? 浦島拓朗! 亀を助けるんですか?(笑)。

玉野:で、竜宮城に行くんですよ!(笑)。

大野:おお、乙姫がいるわけですね?

平野:そう、姫たちがいるの。アイドルユニットみたいなの?

大野:あら!

玉野:「乙姫シスターズ」(笑)。そんなのもありあり。

(一同爆笑)。

大野&平野:楽しみー!

ーー実際のところどうなるのか、楽しみですね。例えばその「亀」の全容は、稽古場で初めて明かされることになるんですか?

玉野:僕の作品の作り方はいつもそうですね。『CLUB SEVEN』も同じ。最初にまず香盤を出演者に渡すんですよ。場面ごとの繋ぎの意味を、みんなが具体的に知るのは基本的に稽古場ですね。だからみんな、香盤表を見ながら、これ何だろう?って思ってそうな…。あ、でも、さっきね、ある場面について綾ちゃんにその「繋ぎ」のタネ明かしをしたところで。

平野:そう、そうなんです! あー!そういうことだったんですね!って。香盤表を見ながら、ちょっと謎に思っていたところがあったんですけれど、ようやく解消されました(笑)。

玉野:台本もそのうち渡すし、場面ごとのセリフももうできてはいるんですよ。長いセリフはなくて、歌でどんどん繋ぎながら展開していくステージを考えています。スタッフにはもう、全体のイメージは送っていて、セットなどの準備も始まっていますね。小道具とか衣裳とか。

大野:衣裳も結構着替えますよね? すごいなあ。

玉野:そうだね、そこまでの早替えはないけれども。

平野:全ては玉野さんの頭の中なので(笑)。体現されているのを早く見たいですね!

大野:(遮るように)いやいやいやいやもう、本当にびっくりですよ! 香盤表! 亀もそうですが、平野さんと「恋人役」って書いてあって。お互いにそれぞれ昭和歌謡を歌うシーンなんですけれども。

平野:あ、そうそう!(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、玉野さんの稽古場の雰囲気や、ショーの楽しさ、大野さんが女装で登場する予定であることなどについも話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。12月18日(金)掲載予定の鼎談インタビュー「下」では、ショーの技術の継承についてや、2021年の抱負、アイデアニュース有料会員用に色紙にサインを書いていただいた際の様子など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■玉野:前振りなしで「恋人役」になる。だから、どう作り込んでいくかが面白い

■平野:玉野さんの稽古場は本当に自由! 好き勝手やらせてもらいました

■大野:コメディは本当に難しいんです! 『プロデューサーズ』もそうですし

■玉野:こんな世の中だから笑って欲しい。女装もします(笑)

<『NEW YEAR’S Dream』>
2021年1月5日(火)~1月11日(月・祝) 明治座
公式サイト
https://www.meijiza.co.jp/info/2021/1/

<関連リンク>
玉野和紀 公式サイト「玉野和紀ワールドへようこそ!」
http://tamatap.net
玉野和紀 公式Blog「玉野和紀の独り言」
http://tamatap.net/mono/
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https://ohnotakuro.com/
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玉野和紀さん(左)と大野拓朗さん(右)と平野綾さん(中央)=撮影・NORI
玉野和紀さん(左)と大野拓朗さん(右)と平野綾さん(中央)=撮影・NORI

※ここから有料会員限定部分です。

■玉野:前振りなしで「恋人役」になる。だから、どう作り込んでいくかが面白い

大野:ね、「恋人役」だけ書いてあるから、これどういうことだ?っていう(笑)。

玉野:ショーだから前振りが何もなくて、いきなりその「恋人役」のシーンにぽんってなるんですよね。だから、どう作り込んでいくかが面白い。どういう恋人にしよう、どんな性格にしようっていくらでも作れるんですよね。

大野・平野:あー! 確かにそうですよね!(深く頷く)

玉野:で、そこでさらに、今回の見所でもある「昭和歌謡」をどう歌おうかとなるんですよ。ミュージカル風にも歌えるし、語りみたいにもできるし、その人の物真似的でもいいし、昭和歌謡的に歌うのもあり。やろうと思ったら、いろいろやれる。ここが面白いし、この面白さが稽古場で初めて生まれていくんですよね。こっちの方が面白いねとか、お互いに見つけながらね。こんな男がいてもいいじゃないか、とか。

大野:稽古場、めちゃくちゃ楽しそうですね!(笑)。

平野:そう、私、玉野さんのお稽古場はまだ2回目ですが、とても楽しいです!

断言!(笑)。

大野:いやあ、楽しみ!(笑)。

玉野:その中で、また新しいみんなが見えてくると面白いですよね。いつものカッコ良かったり素敵なみんなはもちろん、ここでしか見えない姿を見せたいですよ。その新しい姿を引き出すには時間が必要だし、みんなで集まって一緒に稽古しないと生まれないんですよね。

玉野和紀さん=撮影・NORI
玉野和紀さん=撮影・NORI

■平野:玉野さんの稽古場は本当に自由! 好き勝手やらせてもらいました

ーー豪華なキャストが集結しての稽古場ですよね。

玉野:持ち味がまたそれぞれ違うから面白いですよね。実際に稽古をしながら、顔を見ながら調整していくんですよね。稽古が開始したら、どんどん一体感も生まれてくるし、方向性も決まってくる。どうなるかなっていうのも、毎回僕も楽しみなんですよね。

平野:私、連続でありがたいことに、この一つ前が『Gang Showman』で玉野さんの現場だったんですよね。もう、本当に、稽古場は自由で!好き勝手やらせてもらいました。そろそろ怒られるかな、止められるかな、と思いながら(笑)。玉野さん、めちゃくちゃ優しいんですよ。でも、好きにしていいよっておっしゃりつつ、最後はビシッと締めてくださる。

玉野:そうだ、前の稽古場では、「綾ちゃんそれ、喋りすぎ!」っていうシーンがあったね(笑)。そんな被せると、向こうのセリフが聞こえない!っていう。

平野:そうそう、ちょっとやりすぎてやばーい!ってなって(笑)。そうやって個性をうまく引っ張ってくださるので、それを役づくりにつなげていきましたね。前回は、もう本当に、いろいろ引き出していただきました。今回のセットリストを眺めながら、次はこういう面にスポットを当てていただけるんだなあと、すごく楽しみなんです。特に「昭和歌謡」!(笑)。

玉野:浦島拓朗もなー!どう弾けんのかなー!1幕目はね、大野くんと綾ちゃんの二人が出てくるのが、さっき話に出てきた「恋人役」のところだもんね。2幕目は、頭から大活躍でしょう!浦島拓朗!(笑)。

大野:(大笑い)。いや、僕、どんどん楽しみになってきてますよ!めちゃくちゃ楽しみに!昭和歌謡を歌う浦島拓朗。

ーー具体的な曲名はネタバレになるから触れませんが、「昭和歌謡」は、今回の見所ですよね。

玉野:昭和歌謡っていいんですよね。ストーリー性があって、お芝居もできるでしょう。歌詞をそのまま利用して、うまく物語にできるように作っているんです。前回の『Summer Night’s Dream』でも、キャストみんなで弾けましたね。いい歌を歌っている人がいるかと思えば、同じ舞台上で同時進行しているスケッチコメディーがあったり。

ーー客席が笑いで湧いてましたよね(笑)。ドッカン!

大野:いい歌を歌っているのに笑われるなんて(笑)。

玉野:演出しながら、前回は「なごり雪」とかもやったんだけど、雪の結晶役とかね。着ぐるみ的なのを衣裳でつけるんだけど、ポイントは「顔を絶対に出す」こと(笑)。例えば、今回の亀でも、全部亀になり切っちゃうと面白くないでしょ。

大野:確かに!(笑)。小学校の学芸会的なことですよね!

玉野:そう、そのアナログ感がね。表情が見えるから面白いの。大野くんと綾ちゃんのシーン、本当に楽しみだなあ!

平野綾さん=撮影・NORI
平野綾さん=撮影・NORI

■大野:コメディは本当に難しいんです! 『プロデューサーズ』もそうですし

ーー玉野さんのステージには、コメディ要素が欠かせませんね。

玉野:コメディができる人はすごく面白いし魅力的ですよね。笑わせるよりも、泣かせる方が簡単なんですよ。

大野・平野:わかります!もう、本当わかる!

玉野:今回の『NEW YEAR’S Dream』もショーですが、ショーというのは、1曲変わるだけで、ステージの雰囲気が、ガラッと変わるんですよね。それが面白さだと思うんですよ。今笑った!と思ったら、次の瞬間、パッとカッコよくなる。その落差というか、緩急。

ーー冒頭でおっしゃっていた、「キャストのみなさんの得意なミュージカルナンバー」と「玉野さんがみなさんにやってもらいたいこと」の話に通ずる部分ですかね。

玉野:そうです。意外とみんな、自分でいいなって思う自分の姿やイメージよりも、他人が「これをやった方がいいな」って思ったものの方が良かったりすることがあるんですよね。

大野・平野:(うん、と深く大きく頷く)

玉野:意外と、自分のことって、自分でわかっていなかったりするんですよ。だから、僕はいつも作るときは、キャストのいつもの素敵なものも、もちろん見せるけれども、「こんな意外なところを見せたらお客さんが喜んでくれるかな」という視点でアプローチしていくんです。

ーー「昭和歌謡」しかり、コミカルな部分も必見ですね。

大野:いや、コメディは本当に難しいんです! 今出ている『プロデューサーズ』もそうですし! 僕、M1グランプリにも出てるんで(笑)、お笑い大好きですし、吉本新喜劇も7年間くらいずっと欠かさず毎週見ていたり。

玉野・平野:え、そうなの!?(笑)。

大野:はい、なので本当に僕のコメディ要素にぜひご期待ください! …でも、自分でやるのは本当に苦手なんですよ(汗)。玉野さんにたくさん教えていただいて、コメディの真髄に触れられたらいいなあと思っています。あれ、平野さんは、コメディ自体は結構されてますか?

平野:コメディは、最近多くなってきましたね。たぶん、王道のヒロイン向きじゃないって気づかれたんでしょうね(笑)。

大野:いやいや(笑)。

玉野:そういえば、『Dream』シリーズも『CLUB SEVEN』もですが、コミカルなシーンは同じことをやっていても、ウケるところが毎回違うんですよね。何で?ってなりますよ。

大野:あれ、ほんっとにもう、何でなんですかねー?

玉野:空気だよね、きっと。ゼロコンマ何秒のニュアンスというか。こればっかりは、何回やっても同じ反応を客席から引き出すことができないんですよ。もちろん、客席にいらっしゃるお客さんも毎回違う方々ということもありますが。でも、いつも通りなのに、今日はここがウケなくて、ここでウケるんだ!という難しさがありますね。僕、そういえばコメディに憧れて、吉本新喜劇の「うどん屋」の役をさせていただいたことがあるんですよ。

大野・平野:へー!

玉野:いやあ、同じ舞台に立たせていただいて嬉しかったですね。彼らは、同じところでちゃんと客席から毎回、笑いがくるんですよ。同じことやるのに、それが毎回きちんと面白い。見る側も「出るよ出るよ!」ってわかっているのに。これは、なんでですか?って出られている役者さんに、聞いたことがあったんです。

ーーどんな答えだったんでしょうか。

玉野:悩みながら、「これ!」と見つかるまでずっとやり続けるのだとおっしゃっていましたね。自分の芸を見つけるには、とても時間がかかるものだと思うんです。立っているだけで面白い吉本のみなさんはもちろん、立っているだけでカッコいい宝塚のみなさんも同じでしょう。何年も何十年も芸を極めてこそのものだと思うんです。だから今回の『NEW YEAR’S Dream』では、いつものみなさんとは違うところにも、チャレンジして欲しいんですよね。そこからまた、極めていくきっかけにもなって欲しい。

大野拓朗さん=撮影・NORI
大野拓朗さん=撮影・NORI

■玉野:こんな世の中だから笑って欲しい。女装もします(笑)

ーーそのきっかけになっていく、稽古場での作り込みが楽しみですね。

玉野:そうなんです。やっぱり、個々がソロでそれぞれ練習してきて、いきなりゲネプロ!となると、作り込めないですからね。寄せ集めみたいになって、見ている方も飽きてしまう。カンパニーって、どうしても一緒にやらないと、一体感が生まれないんですよね。劇団ではないので、知らない人ばかりが集まっているから、やっぱり一緒に対面で作りながら「あ、こういう人なんだな」とわかったりするんです。そうやって、カンパニーの色が出てくるんですよね。

ーーカンパニー色が育つ中で、コメディ面もますます面白さが増しそうですね。

玉野:それもありますし、あと最近、コメディ面では「ウケない面白さ」も考えることがあるんですよね。おー!客席が引いてる引いてる!って(笑)。やりながらそれを楽しむ。コメディはね、徹底的にやり切るか、こうやってウケないことをやって全力で逃げ出す方法もある(笑)。

大野:滑り笑い的な(笑)。

玉野:そこで鍛え上げられた人たちがたくさん出るのが、今回の『NEW YEAR’S Dream』。エレガントでカッコいいのはもちろん、お茶の間のお笑いコントも。このメンバーがやるから面白い!という物を見せたい。こんな世の中だから、新年、笑って欲しいですね!そのためには女装もしますよ!(笑)。

大野:書いてください、女装がありますよ!(笑)。

ーーみなさんがTwitterでも楽しみにされている「あれ」ですかね!

大野:ね、ありがとうございます!

玉野:大野くんと僕もあるんじゃないかな!(笑)。綾ちゃんはね、変なのないね。

平野:ないですね(笑)。

玉野:今の綾ちゃん、コキンちゃんみたいな声になってたよ(笑)。

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“「笑って欲しい」、『NEW YEAR’S Dream』玉野和紀・大野拓朗・平野綾鼎談(上)” への 3 件のフィードバック

  1. このはな より:

    ご時世的に配信で、記事となった『NEW YEAR’S Dream』を観劇致しました。
    インタビューのこの部分はあのシーンの事なんだな、ととても楽しく拝読しました。
    観客を楽しませる為にも、カンパニーの皆さんがアイデアを出したりたくさんお稽古をして楽しく歌ったり踊ったりお芝居されたんだなぁという事がわかりました。
    一体感のある楽しいカンパニーだったと思います。
    素敵な記事をありがとうございました。

  2. パルやん より:

    Gang Showmanに続き、玉野さんの演出に綾さんが出演されるのが今からとても楽しみです。
    豪華なショーになるにちがいありません!
    無事上演できることをいのりつつ、今から新年が待ち遠しいです。
    綾さん大好きです!

  3. よーこ より:

    玉野さんはクラセンで、いつも楽しいし、綾ちゃんもいろんな顔を持っていて、大野君もプロデューサーズで笑わせていただきました。シリアスも大好きですが、年始めで大笑いで始められたら最高です。楽しみにしてます!

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