2021年6月4日(金)から6月13日(日)まで本多劇場で上演され、6月12日(土)にはライブ配信も実施されるミュージカル、A New Musical『ゆびさきと恋々』の稽古取材会が5月21日に開かれ、ヒロインの雪役を演じる豊原江理佳さん、逸臣役の前山剛久さん、りん役の林愛夏さん、エマ役の青野紗穂さん、桜志役の池岡亮介さん、京弥役の上山竜治さんのキャスト6人と、演出・脚本の田中麻衣子さん、手話指導の三浦剛さんが囲み取材に参加されました。当日のお話の一部を紹介します。
<雪役の豊原江理佳さんのお話>
このミュージカルは、聾者の女の子と、聴者の男の子のラブストーリーになっています。初めは、声を出せないっていうこととなると、コミュニケーションをとることがすごく不自由なんじゃないかという風に感じていたんですけれども、今は全くそういう感じではなく、むしろコミュニケーションとることの可能性の大きさや、何よりも人に伝えたいという気持ちが一番大切なのだということを、毎日この稽古場、そして作品から学ばせていただいています。
最初は漫画を通して「この人はこういう人」と自分の想像の中で作っていたんですが、稽古が進んでくると、自分の中で役ができてきたりいろんな役の方のパーソナリティもわかって、みんな一人で歩き始めて立体的になってきていて、漫画がベースですが、オリジナリティのある作品になってきていると思います。作品を観て劇場を出たお客様が、この作品のテーマのひとつだと思っている「大切な人に伝えたいことを今伝える」ということを、行動に移してもらえるきっかけになれればいいなと思います。
<逸臣役の前山剛久さんのお話>
最初漫画を読んだとき、すごく綺麗な世界感だなと思いました。必要以上に言葉はなく、恋が始まったことも、言葉で表現するのではなく、そこにすごく繊細な魅力っていうのを感じました。雪は、言葉は喋れないけど、耳は聞こえないけど、自分の内面を歌で表現するところにこの作品の魅力がすごく詰まってるんじゃないかなと思います。
僕らの芸能の仕事は、心を治す仕事だと常々思っています。どんな人も平等なんだよということを、この舞台を通して僕たちは伝えたいし、芸能やエンターテインメントは必要なんだということを、この作品で伝えたいなと感じています。壮大かもしれないけれども、生きててよかったとか、舞台があるから生きれるなと思ってくれたら、それが一番望むことです。言葉がなくても繋がっていることを伝えていきたいと思いますので、楽しみにしていただけたら幸いです。
<りん役の林愛夏さんのお話>
雪が勇気を出して、自分自身で世界を広げていく姿に、元気と勇気と希望と、本当にすてきなものをたくさんいただいたので、それをミュージカルという形でお客様にたくさんお届けできたらいいなと思っています。私は身近に聾者の方がいなかったので、どのようにコミュニケーションを取るのか知らず、漫画を通してこうやってお話をすることを知り、最近は、江理佳と対面して喋らずにLINEだけでトークしました。
実際に、りんと雪の日常を体感し、作品の見せ場を構築している感じです。稽古場でりんとして大学生として生きられることがすごく楽しく、コロナで大学に行けない人もいたり辛いこともあると思いますが、私たちが演じる日常の切り方いろんな部分を通して、皆さんの幸せや、人生っていいな、素晴らしいなっていうことをお届けしたいなと思っています。
<エマ役の青野紗穂さんのお話>
この手話を使ったミュージカルは、新しい世界をみせてくれる舞台だなと思っています。初めて読ませていただいた時は、キュンキュンが止まらないというか、学生時代を思い出すというか、ピュアな自分に戻れる時間でした。私の役は、雪ちゃんとかりんちゃんに比べると大人っぽい役ですが、大学にいたときに、クラスに一人、学科に一人、こういう女の子いたなって、「ザ・女の子」のもどかしい気持ちを表現した女の子だなと思っています。そこをどう表現すればいいか、考えていきたいなと思っています。
この舞台に参加させていただいて、人の伝える力って、いろんな物を飛び越えて行ってしまうようなエネルギーがあると思っています。人のあったかみをもらえるような、エネルギッシュな舞台になっているので、配信や、劇場に足をお運びになってご覧ください。
<桜志役の池岡亮介さんのお話>
悪い人が出てこない作品で、スッとキュンキュンできるストーリーなので、それを僕たち人間が演じてもっと身近に感じていただけたらなと思っています。今回のミュージカルは手話もあるので、いろんな表現の仕方があって、自分の中にこんなにも溢れてくる感情があるんだなって、手話を使っていて特にそう思います。そういう強い思いを伝えられるのは、繊細で美しい原作があるからだなと思います。
桜志もそうなんですけど、伝えたいことがあるのにちょっと言葉足らずで素直になれない人たちが多いけれど、それを懸命に乗り越えようとする姿を僕自身も見てすごく勇気をもらえます。この作品を見てもらったら、絶対温かく優しい気持ちになれると思うんで、ぜひ癒されに来てください。
<京弥役の上山竜治さんのお話>
バリケードを作ったり、他国の王妃を暗殺したりというのが最近の役ですが、今回は、恋仲になるかもしれない役で、こんなにキュンキュンする役は初めてかもしれません。京弥という役は、みんなのバランサーみたいなバーの店主で、本当はハンサムで優しいイメージなんですが、ちょっとこうお尻をプリッとさせたりしています。そういう振り付けとかもあったりしますが、あくまでも振り付けなので、理解していただきたいです(笑)。
演劇やミュージカルは、すごく魔法の使える芸術だと思っています。聾者の方を主人公に、漫画ではそれを心の声を書き出しているんですけれども、ミュージカルでは心の声を歌にできる。この作品をミュージカルにする意味をすごく感じながら毎日やっています。配信でも思いは届くと思いますので、ぜひ楽しみに観劇していただけたらと思います。
<演出・脚本の田中麻衣子さんのお話>
音楽の荻野さんと、脚本の飯島さんはじめ、プランナーの皆さんと原作を大切にしたいという想いと、森下先生が他の作品でも書かれているテーマは何だろうというのをゼロから相談しながら、丁寧にこの作品の目指すところを他の作品も含めて読み取ろうとしました。
聾者の方が主人公で、私も知ろうとしましたし、稽古場の中でも今みんなで本当に知ろう知ろうとしています。そして、想像しようとしています。いろんな手段を使いながら、どうやったら知ることができるか、伝えられるかということを模索する日々です。難しいことですが、知ろうとする私たちのこの行為自体が、きっと作品のとっても大事な根幹になると思います。
<手話指導の三浦剛さんのお話>
妻で実際に聾者の忍足亜希子と夫婦で、今回、手話指導を担当させてもらっています。ミュージカルでリアルに見える雪という聾者を、夫婦でいろいろ考えています。手話なのに、聾者なのに、なんでミュージカル?と思う人もいると思います。そこに挑戦する意味があると思いますし、雪役の豊原さんは、妻としょっちゅうテレビ電話で会話をして、実際のリアルな聾者といっぱい触れ合っています。
今までの聾者を扱った作品って、かわいそうだったり、ちょっとお涙頂戴みたい的なものがありますけど、この原作には一切そういうことがない。なんて前向きな作品なんだろうと思って。今回は、聴こえない方のために、字幕のタブレットサービスもあります。こんなご時世ですけれども、劇場で皆さんに元気になって帰ってもらえるように、作品を作っていきたいと思います。
<A New Musical『ゆびさきと恋々』>
【東京公演】2021年6月4日(金)~6月13日(日) 本多劇場
公式サイト
https://yubisakimusical.westage.jp/
チケット 8,800円(全席指定・税込)
聴覚障がいのあるお客様を対象とした「タブレット型字幕ガイド付きチケット」ネット予約
https://l-tike.com/yubisaki-guide
<A New Musical『ゆびさきと恋々』ライブ配信>
配信日時:2021年6月12日(土) 18:00開始 ※アーカイブ配信あり
視聴券購入URL:
https://w.pia.jp/t/yubisakimusical/
販売期間:2021年5月15日(土)10:00~6月18日(金)21:00
料金:3,500円(税込)
配信サイト:PIA LIVE STREAM
<キャスト>
雪:豊原江理佳
逸臣:前山剛久
りん:林愛夏
エマ:青野紗穂
桜志:池岡亮介
心:中山義紘
京弥:上山竜治
アンサンブル:渡辺菜花、金井菜々、大津夕陽
ピアノ:森本夏生
チェロ:白神あき絵
<スタッフ>
原作:森下suu「ゆびさきと恋々」(講談社「デザート」連載)
脚本:飯島早苗
音楽:荻野清子
演出・脚本:田中麻衣子
振付:前田清実
美術:松岡 泉
照明:中川隆一
音響:清水麻理子
映像:ムーチョ村松
衣裳:KO3UKE
ヘアメイク:武井優子
歌唱指導:やまぐちあきこ/柳本奈都子
手話指導・監修:三浦 剛/忍足亜希子
稽古場ピアノ:森本夏生
演出助手:相原雪月花/元吉庸泰
舞台監督:山本圭太
主催・企画・制作:ワタナベエンターテインメント
<関連リンク>
「ゆびさきと恋々」(講談社「デザート」):
https://go-dessert.jp/kc/renren/
ワタナベ演劇公式ツイッター:
https://twitter.com/watanabe_engeki
ワタナベ演劇 スタッフ公式インスタグラム:
https://www.instagram.com/watanabe_engeki_staff/
#ゆびさきミュージカル
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