大阪の新世界を舞台に、見返りを求めない人情の男・勝吉とコオロギが、少年と恩師の娘を助けるために立ち上がる映画『ねばぎば 新世界』が2021年7月10日(土)から東京の新宿K’s cinemaで公開され、順次全国上映されます。この作品は、児童虐待を題材に国内外で話題を呼んだ映画『ひとくず』の上西雄大監督の最新作で、赤井英和さんと上西雄大さんのW主演で、小沢仁志、西岡德馬、有森也実、菅田俊、田中要次、堀田眞三、徳竹未夏、古川藍、神戸浩、坂田聡、ほかのみなさんが出演。2020年ニース国際映画祭で外国語部門最優秀作品賞(グランプリ)と最優秀脚本賞(上西雄大監督)を受賞し、2021年WICA(ワールド・インディペンデント・シネマ・アワード)で外国映画部門の最優主演男優賞(赤井英和さん・上西雄大さん)を受賞しました。この映画のストーリーと、6月23日に開かれた完成披露舞台挨拶の様子を紹介します。
<ストーリー>
舞台は大阪新世界。かつてヤクザの組を潰して廻っていた村上勝太郎(通称・勝吉=赤井英和)は、自身のボクシングジムを営んでいたが、練習生がジムで覚醒剤取り引きをし逮捕されたことでジムを畳む。その後、元犯罪者の更生プロジェクトを運営している幼馴染み・沢村源蔵の経営する串カツ屋で働き出す。ある日、勝吉は刑務所の慰問に誘われて訪れた刑務所で、かつて、共にヤクザを潰して廻った弟分・神木雄司(通称・コオロギ=上西雄大)と再会する。コオロギは悪い女に引っかかり、覚醒剤所持で服役していたが、間もなく沢村の協力で出所し、勝吉と共に串カツ屋で働き出す。勝吉はある日、少年・徳永武が逃げ出した宗教団体に捕まるところに居合わせ、武を助けるが、武は洗脳されており、また、母親が入信し、父親と別れさせられたショックから、口がきけなくなっていた。失読症で文字が読めないコオロギは、筆談で会話をしようとする武が書く文字が読めず、悔しい思いをする。また、その宗教団体には、かつて勝吉にボクシングと“Never give up(ねばぎば)”という言葉を教えた恩師・須賀田元(西岡德馬)の娘・琴音(有森也実)も入信していた。武と恩師の娘を助ける為、見返りを求めない人情の男・勝吉とコオロギは再びコンビで立ち上がる。
完成披露を迎えての思いを聞かれ、主人公の勝吉を演じた赤井英和は「この作品は、一昨年に撮った作品で、コロナ禍の中で、やっと7月に公開されることになりました。一人でもたくさんの方にご覧頂きたいと思います。」と挨拶。
勝吉とコンビを組むコオロギ役で、監督・脚本も務めた上西雄大は、「この作品で憧れの赤井さんとバディになれました。人間、生きて頑張っていればこういう日が迎えられると実感しています。今日この日を心から喜んでいます」と感無量の様子。
監督の上西は、本作制作の経緯について、「僕も関西人でして、関西人が『赤井さん』と言うときは、みんな自分の思い出だとか色んな想いが『赤井さん』に込められているんです。赤井さんは憧れだし、『どついたるねん』は何度も何度も観ました。映画を作るとなった時に真ん中に置きたかったのは、赤井さんのお人柄の魅力です。僕は昭和に、子供の頃観た映画がずっと好きで、それを追いかける想いでずっと映画を撮っているので、昭和の匂いを感じさせられるような痛快な作品にできればと思いました」と説明。
赤井は、本作の脚本について聞かれ、「僕は知能指数が低い分セリフ覚えが悪いんですけれど、今回勝吉のセリフはすっと入ってきました。勝吉の心が訴えられたかなと思います。」と自信を見せた。
赤井が、「(悪徳宗教団体)ラメクに殴り込みに行く前にコオロギと焼肉屋で乾杯しているシーンで、『お前のこと、俺は弟やと思っている』と言うところは、何べん見てもジーンときます。自分やねんけどね。大好きなシーンです」と話すと、『お前のこと、俺は弟やと思っている』と再現された上西は大感激で、上映後のお客さんは拍手喝采で大盛り上がり!
上西が演じるコオロギは、失読症で文字が読めないという設定。そのような設定にした背景を聞かれ、上西は、「コオロギというキャラは、僕の舞台の作品『コオロギからの手紙』で、貧しくて学校に行けずに字の読み書きができないヤクザのキャラクターなんですけれど、このキャラクターを赤井さんとしゃべらせたいなと思いました。コオロギは、一人だと歩いていけない人間だけれど、親分のそばにいると、力を発揮できて、悪に立ち向かうことができるという設定です」と解説した。
徳竹は、興信所の小百合役で、アクションシーンもあった。「そんなに専門的にはやっていないですけれど、空手やボクシングやテコンドーなどちょっとずつ経験はしていまして、興信所が攻められた時の相手役の木庭(博光)さんがプロレスもされているということで、思いっきりやってもいいんじゃないかなと思い、めちゃくちゃ力を入れてパンチを入れさせていました。」と血が騒いだ様子!
古川は、お父さんが勝吉に救われた教師役。「貴重な経験をさせていただいたのが、スナックでボクシングをやるシーンで、赤井さんに直々にフォームを教えてもらいました。構えやパンチのやり方を丁寧に教えていただきました。」と感謝を述べると、赤井は、「手取り足取りね。足は取らんか」とジョークを飛ばし、会場は笑いに包まれた。
勝吉の家のシーンのロケ地は、なんと赤井のご実家だそう。「菅田俊さん演じる医者がスクーターでやってくるのは、飛田新地なんです。うちは飛田新地で商売していたわけではないんですけれど、もともと釜ヶ崎で漬物みその製造販売をしていました。地下鉄が通るからと立ち退きになったので、父親がもともと遊郭だった店を買って、中を改造して、実家になったんです。大阪の下町の人情味溢れる街です。」と紹介。
赤井のご実家での撮影について聞かれた古川は、「家の中は赤井さんのポスターやトロフィーがたくさんありました」と話し、赤井のちょっとしたミュージアムのようだそうで、徳竹も、「玄関入ったらすぐに大きな写真がありました」と話した。
最近、赤井英和の奥様のツイッターで、赤井のプライベートの愛らしい姿が人気だが、本作の撮影中に、赤井の愛らしい姿を目撃したか聞かれ、上西は「赤井さんはNGゼロなんです。僕の印象はプロ中のプロという感じですが、ずっとダジャレを言われるんです。でもツッコんだ方がいいのかなと思ったら、自分で落としてくれる」というエピソードを披露。徳竹が「終始愛らしいので、ダジャレでみんなが和みます。ダジャレがどんどん出てくるんで、私たちの頭がついていかなく、時間差で気づく感じです」と話すと、赤井は、ボクシングになぞらえ、「手数が勝負です。数うちゃ当たる」と話し、会場は笑いの渦に。
上西は、「NGゼロなので、3時間、5時間巻いて、赤井さんが『時間があるし、他のシーンを撮りましょうよ』と言って、僕がお金もらうシーンで使ったロケ地に、赤井さんが連れて行ってくれました。本当は別の場所で撮影するつもりだったんですが、『監督、ここから撮ったら通天閣がバーンと入りまんねん』と。」と話し、赤井曰く“何の障害なく、僕ら二人と通天閣”というアングルは、赤井のロケコーディネートの賜物だったことが判明。
最後に、赤井は、「主演の映画は15年ぶりですが、実家を使ったのは、デビューの『どついたるねん』以来31年ぶりの作品です。新世界、通天閣など生まれ育った街で撮れたというのも嬉しかったです。」、上西監督は、「赤井さんが『どついたるねん』以来のサンドバッグを打つ雄姿が観れます。赤井さんの人間の魅力を真ん中に置いて、“昭和の痛快”をこの作品で表現できたらなと精一杯作りましたので、劇場でご覧いただければと思います」と本作に込めた熱い想いを語った。
<映画『ねばぎば 新世界』>(順次全国上映)
7/10(土)~ 新宿K’s cinema (東京)
7/16(金)~ なんばパークスシネマ(大阪)、MOVIX堺(大阪)、京都みなみ会館(京都)
7/17(土)~ 第七藝術劇場(大阪)
8/6(金)~ 名古屋センチュリーシネマ(愛知)
公式サイト:
http://nebagiba-shinsekai.com/
公式ツイッター:
https://twitter.com/nebagibamovie
<キャスト>
赤井英和 上西雄大 田中要次 菅田俊 有森也実 小沢仁志 西岡德馬
坂田聡 徳竹未夏 古川藍 金子昇 神戸浩 長原成樹 リー村山 堀田眞三 伴大介 谷しげる 剣持直明
國本鍾建 上山勝也 柴山勝也 草刈健太郎
<スタッフ>
監督・脚本・プロデューサー:上西雄大
撮影:前田智広、川路哲也、下元哲
照明:小山田勝治
録音:廣木邦人
音楽:ナ・スンチョル
編集:目見田健 ナ・スンチョル
制作:徳竹未夏、中村秀哉
助監督:山中太郎、上林大地
題字:小林良二
アクション監修:リー村山
ヘアメイク:山畑里奈、南原彩
衣装:中谷昌代、西川莉子
主題歌:吉村ビソー「comme ca de大阪」
制作:10ANTS
配給:10ANTS 渋谷プロダクション
2020/JAPAN/Stereo/DCP/108min
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