2022年2月1日(火)から2月13日(日)まで東京・日本青年館ホールで、2022年2月24日(木)から2月27日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールで、日本初上演されるミュージカル『The View Upstairs-君が見た、あの日-』で、ウェス役を演じる平間壮一さんとパトリック役を演じる小関裕太さんにインタビューしました。合同取材と独自インタビューの内容を、上下に分けてお届けします。写真は、上下全て独自撮影です。「上」では、お互いの第一印象、作品への思い、ビジュアル撮影に臨んだときの気持ち、この作品で伝えたいことなどについて、合同取材で伺った内容と独自写真を紹介します。「下」は、有料部分が独自インタビューです。無料部分では、お互いの魅力、印象に残っているお互いの出演作品、タイムスリップしたら行きたい時代などについて、有料部分では、平間さんと小関さんが今年を振り返って思うこと、「演じる」ということなどについて話してくださった独自取材の内容と写真を紹介します。
ーー今回、お二人は恋人になる役を演じられます。普段から親交があるとのことですが、お互いの印象を教えてください。
平間:裕太の第一印象は、「宇宙人」でしたね。
小関:(笑)
平間:人目も気にせず、下駄を履いて稽古場に来ていたんです。
小関:「初めまして」は、僕が小学校5年生くらいの時でした。舞台『FROGS』の時です。
平間:5年生だったんだ!
ーーそんな昔からのお知り合いなんですね。
二人:そうですね。
平間:人目を気にしない子で、自分の道を行くといいますか、「自分が良いと思うものは良い」というのを、ちゃんと持っている子だなと。その時の自分には、そういうところがなかったので、尊敬しました。
小関:壮一さん、あんなにキャップたくさん持っていらっしゃるのに!僕はすごく個性がある方だと思いました。
平間:(笑)。僕はちょっと壁を乗り越えたところにいたので、「あーいいなー」って思って見ていました。
小関:嬉しいです。
ーー小関さんからご覧になられた平間さんの印象は、いかがでしたか?
小関:「お兄ちゃん」「優しい」という印象が、すごく強かったです。壮一さんは、5歳上なんです。小学校5年生にとっての5歳上というと、当時壮一さんは10代後半でいらしたので、「だいぶお兄ちゃん」という感じでした。壮一さんの世代の方がご飯に行っていると「いいなあ。でも、僕みたいな子供が入っちゃいけないよなー」って、ちょっと早めに帰っていました。僕が10代後半になってから、『ハンサム』(※アミューズの若手俳優たちによる、ファンに感謝を伝えるイベント。通称ハンサムライブ)の時に、1回ご飯に行ったことがありました。嬉しかったです。
平間:舞台を観た帰りだよね。
小関:水田航生くんと。
ーーそんなお二人が、今回「恋人になる役」と聞かれたとき、いかがでしたか? 子どもの頃からよくご存知の間柄なので「よかった」と思われたのか、「ちょっと照れる」という感じだったのか、どちらでしたか?
小関:僕は、「照れ」でした。
平間:気心知れている裕太だからこそ、安心しています。『RENT』では、「恋愛じゃないところも求め合って、惹かれあって、全てを理解してくれる男同士ならではの、寄り添える」という自分なりの感覚で演じました。その経験がなかったら、「同じアミューズで、小さい頃から知っている裕太か!やりにくいなあ」と思ったかもしれません。僕と裕太は、同じ事務所でずっと前から一緒にて、好きとか嫌いとかではないところにいるんです。「何ができるからいい」とか、「何ができないからダメ」ではないところが、僕が『RENT』で感じた感覚に似ていると思っています。「好き!胸が熱くなってキュンキュンする恋愛」だけではなく、安心してその人の近くにいられるという感覚が、ちょうどいいなと思いました。
ーー本作は、日本初演ですよね。作品は、映像などでご覧になられたことはありますか?
小関:観たことは全くないんです。楽譜や楽曲を通して、作品を知っていっています。演出家の市川洋二郎さんは、イギリスに住んでいらっしゃるので、実際に作品をご覧になったこともあるそうで、LINEで連絡をとりながら「この作品にどう向き合えばいいのか」「どういう舞台なのか」などを教えていただいています。
平間:こういうセットになりそうなんだなとか、歌はこういう感じなんだなと、まだフワッとした状況です。
ーー情報が少ない中ですが、この作品のどのような点に魅力を感じられていますか?
小関:最初、作品が持っているメッセージや、僕が演じる役がどういう人物なのかということを知って、「今やるべき作品で、自分を見つめ直し、大きく変わるきっかけになりそう」だと思いました。27歳に差し掛かろうとしている2022年に、もう一度自分自身に向かい合える作品になりそうだと思いました。
平間:最近、台本を読ませていただいたんです。僕自身が、「自分をわかってもらいたい」みたいな思いで仕事をしている面もあるので、登場人物たちが「一生懸命生きている」というところに、意味を感じましたし、この役を演じられるのはすごく嬉しいことだと思っています。
小関:プロットや、大まかな企画書などに目を通して、直感的にこの役をしたいと思いました。まずは曲を聴いて、「素敵だなあ」と思ったんです。自分がどういう作品に出会って、自分の感覚がどう変わっていくかを実感するのが好きなので、未知の感覚ですが、「時間を費やす意味がある」と思いました。ちょっと偉そうに聞こえてしまうかもしれませんが…。「一回作って崩して、また作って崩して」という作っていく過程が好きなので、今回も、稽古期間が長めなので楽しみです。
ーー曲への感想は、いかがですか?
平間:英語では、感情が高ぶってきたタイミングと楽曲がバチっと合っているんです。今回、それが日本語になって、どうなるのかなと楽しみです。
小関:歌詞も、演出の市川さんが訳されているんですよ。文化や、70年代ならではの考え方や、当時の服の流行などもよくご存知なので、歌詞の母音が日本語でも、英語の歌詞と合っていて。早く歌ってみたいと思っています。
ーー先日、作品のビジュアルが発表されていました。今、服装の話も出ましたが、舞台衣装もビジュアルのイメージと同じ雰囲気になりそうですか?
小関:ビジュアルはビジュアルで完成させようと、レスリー(レスリー・キーさん)と演出の市川さん主導のもと、作っていました。レスリーさんは、「このチラシを見て、観たいと思わせて、舞台を観てガッカリさせたい」と(笑)。それくらい、ハードルを上げて、気合入れて撮影していると、冗談交じりに言っていました。
二人:(笑)。
<取材協力>
ヘアメイク:Emiy(エミー)
スタイリスト:吉本 知嗣 Satoshi Yoshimoto
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ビジュアル撮影に臨んだ時の思い、この作品のテーマ、この作品を届けるために必要だと思うこと、上演にあたって楽しみにしていることなどインタビュー前半の全文と独自写真を掲載しています。12月16日午前11時0分掲載予定のインタビュー「下」では、無料部分に、合同インタビューの続きと独自写真、有料部分では、平間さんと小関さんが今年を振り返って思うこと、それぞれにとっての「演じる」ということなど、独自インタビューの全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■小関:ビジュアル撮影には、「壮一さんを落とそう」という思いで臨んだ
■小関:「多様性」は便利すぎる言葉。この作品が持つテーマの一つは「孤独」かなと
■平間:セリフの裏の感情がある。「人間って、本当に繊細な生き物だよな」と
■平間:心をさらけ出さなくてはいけない舞台。失敗しながら作れるカンパニーに
<ミュージカル『The View Upstairs-君が見た、あの日-』>
【東京公演】2022年2月1日(火)~ 2月13日(日) 日本青年館ホール
【大阪公演】2022年2月24日(木)~ 2月27日(日) 森ノ宮ピロティホール
公式サイト
https://theviewupstairs.jp/
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※平間壮一さんと小関裕太さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは1月15日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■小関:ビジュアル撮影には、「壮一さんを落とそう」という思いで臨んだ
ーービジュアル撮影には、どのような気持ちで臨まれましたか?
平間:まだ台本を読んでいなかったので、裕太がかけがえのない人で、心許せる唯一の存在であるというキーワードを元に、自分の想像で臨みました。台本を読んだ今振り返ると、違っていたところも合っているところもありましたが、うまい具合に、その時自分で想像したことを出せて良かったなと思っています。メイクのキラキラ部分が炎を表していたりと、よく見るとすごくこだわっているんですよ。みなさんが考えながら、大切にされている作品なのだと思いました。
小関:ビジュアルのメイクでは、「火傷の跡」や「美しさ」がモチーフになっています。これは、演出の市川さんのアイデアなんです。
ーー小関さんは、どのような想いで撮影に臨まれましたか?
小関:本当にこの時は情報がなかったので、とにかく「壮一さんと落とそう」という思いでしたね。
平間:落ちました!
小関:やったー!(笑)
ーー大成功ですね。
小関:当日、そんな話は全くしていないのですが、役柄的に、僕はいろいろな人を虜にして魅了するというところだけは分かっていたので、撮影の時だけは、壮一さんがお兄ちゃんということは忘れて、どうやったら恋愛感情に取り込めるかという思いで挑んでいました。主導権が僕にあるのかなと思って。
■小関:「多様性」は便利すぎる言葉。この作品が持つテーマの一つは「孤独」かなと
ーー撮影の時には、台本がまだ無かったとのことですが、今、台本を読まれた上で、この作品をお客さまにどのように届けようと思われていますか?
平間:普通にそのまま演じると、お客さまは「驚いてしまう」一面もあるのではと思っています。登場人物たちは、舞台となる「アップステアーズラウンジ」だけでは、自分の姿をさらけ出せるわけです。登場人物たちは、思うがまま、本能のまま、下ネタも言いますし。でも、このラウンジから一歩外に出たら、彼らはこの姿ではないということを、お客さまも想像してくださったら嬉しいなあという思いです。外に出た姿は、ほぼ作品の中では描かれませんが「一歩外に出たら、この人たちは本当の自分を隠して生活しているんだな」と。そうしなければいけなかった「酷さ」が伝わる舞台にしたいと思いました。
小関:最初は「多様性」という言葉がハマる、今にぴったりの作品だなと思ったんです。でも、ここのところ「多様性」は便利な言葉になりすぎてしまって、すごく軽くなってしまったなと感じていて。今は、この作品が持つテーマの一つは「孤独」なのではと思っています。作品では、1970年代のこのバーは、どういう存在であったのかが描かれます。性別だけではなく、障害やコンプレックス、引け目に思っていることや、誰かに言われた小さな嫌味、ちょっと傷つくこと。そういうことに対して、みんなどことなく悲しいとか孤独だとかを感じるんじゃないかなと。ですから、見終わった方の孤独に寄り添えるようなアプローチをしたいなと思っています。
■平間:セリフの裏の感情がある。「人間って、本当に繊細な生き物だよな」と
平間:「人間が出る」舞台だなあと思っています。セリフが全てではなく、裏の感情がある作品です。「自分が外で言われたら傷つくな」と思うことを、ラウンジで相手に言うシーンもあります。でも、それはお互いにみんな弱い人間だからこそ「そういうひどい言葉に慣れたい」という思いがあって言い合っているのかもしれないなとか。傷つけるつもりではなく、それが日常になってしまえば、別にいいじゃないですか。傷つくわけでも、嫌だと思うわけでもなくなります。でも、セリフの字面だけを聞いていると「うわあ、すごくひどい人」という感じです。悪気がなくても、本人は、気にしちゃう言葉もありますよね。「人間って、本当に繊細な生き物だよな」と思わせる舞台だと思います。
ーーそういうことを表現するためには、どのようなことが必要だと思われますか?
小関:「孤独」に寄り添いたいという思いで、ここから情報を集めていきたいとは思っているのですが、「孤独」を表現しようとは思っていないんです。1970年代らしさは、ファッションなどからも見て取れると思いますので、見た目も作っていきたいですが、今はまだ時間があるので、内面をこの役に寄せていきたいですね。「綺麗になりたい」という思いを、いろいろな角度から知ろうとしている最中です。内面をしっかりと作って「なる」ことを大切にしたいと思います。
■平間:心をさらけ出さなくてはいけない舞台。失敗しながら作れるカンパニーに
ーー今回、出演にあたって楽しみにされていることは何でしょうか?
平間:先輩たちが、こんなにも心をさらけ出さなくてはいけない舞台を、どのように稽古されるのだろうなということです。「後輩の前で恥をかきたくないな」と、僕自身も安全牌を狙った芝居をせず、みんなで失敗しながら作れるカンパニーにしたいなと思っています。
小関:そういう意味では、僕は一番年下なので、やりやすいかもしれません(笑)。恥を稽古場でかいて、さらけ出して、ズタボロになって、そこで見つかる物ってなんだろうなということが楽しみですね。約1ヶ月半の稽古期間と、1ヶ月の本番期間、どっぷりとこの作品と向き合いたいと思っています。多分、この作品に取り組んでいる期間は、すごく夜が長いと思います。
ーーそれは、眠れないということですか?
小関:お風呂に入っていても眠っていても多分考えていると思います。ミュージカルや舞台は、僕にとってそういう期間なんです。ドラマなどの映像作品は、「ひとこと覚えたら、忘れて次を」というスピード感なので、全然また違います。同じ作品、同じ役とこれだけの期間向き合えるのは、貴重なことだと僕は思っています。楽しみですね。
※平間壮一さんと小関裕太さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは1月15日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
大好きなおふたりの出会いから、今作の音楽やキービジュアルのお話まで、沢山知る事ができ、嬉しかったです!特に「多様性は便利な言葉になりすぎてしまった」と語る小関さんに強く共感しました。一人一人が抱えている”自分らしさ”や”孤独”を、何でも誰でもその一言で片付けられてしまう世の中で。そんな中、一人一人に寄り添うアプローチをしたい、と作品にかける強い思いが素敵だと感じました。決して昔話ではなく、現代にも繋がる問題が散りばめられている作品ではないかと思うので、観劇が楽しみでありつつ、しっかりと受け止めたいなという気持ちです。
おふたりの今作にかける【思いや理想】が心に伝わり、また私も誰かに何かで今作の魅力をお伝えできればと思えるような、素晴らしいインタビューでした!また村岡さんの文章、楽しみにしております!
お二人の想像力の豊かさ、思慮深さ、繊細な感受性を感じられるインタビューで、とても魅力的なお2人だと改めて感じましたし、役者という仕事の奥深さに感服しました。ゲイバーと聞くと馴染みがなかったのですが、小関さんがおっしゃっていた”孤独”へのアプローチを聞いて、私自身のこの作品への向き合い方が180度変わった気がします。
お2人ならでは距離感が素敵なインタビューでした。テーマの深い物語を役をどう演じていかれるのか、過程も含めてとても興味がありました。小関君の見ている方の孤独に寄り添えるアプローチをしたいという言葉、舞台を観劇して自分にどんな感情が芽生えるのか、楽しみにしたいと思います。お2人のお仕事に対するひたむきな想いを知ることがまた一つ出来ました。ありがとうございます。
小関さんと平間さんのインタビューありがとうございます!
チケットも既にとっていて、楽しみにしている舞台のひとつなので、お話がたっぷり聞けてとても嬉しいです!
同じ事務所で以前から関わりのある2人が今回の舞台で主演をつとめるということで、お互いの印象や、それを踏まえた上での役への思いが聞けてより舞台が楽しみになりました。日本語の歌詞がどのようになるのかもワクワクです!
作品へのお2人の想いが強く伝わる素敵な記事でした。カンパニーのみなさんが作り上げるアップステアーズラウンジを肌で体感出来ることがすごく楽しみです。
あのビジュアルにはそんな意味があったのですね…!観劇がますます楽しみになりました。サントラを聴くことしか予習が出来ていませんでしたが、世界観を想像しながら初日を待ちたいと思います。読み応えのあるインタビューをありがとうございました!