最先端の次世代移動手段「パーソナルモビリティ」に試乗

電動アシスト車いす JWスウィング

「心のバリアフリー」を開催テーマとしたイベント「医の知のみち STREET FES.」が2015年3月22日(日)、大阪市北区の複合商業施設、グランフロント大阪で開かれました。このイベントは、国家戦略特区を活用して「まちの賑わいの創出」を図る「道路占用イベント」として実施されたもので、グランフロント大阪北館西側の「いちょう並木」の歩道および車道が活用されました。

「いちょう並木」特設会場には、最先端の次世代移動手段「パーソナルモビリティ」に試乗できる「パーソナルモビリティ体験ゾーン」、障がいがありながら世界で活躍 するトップアスリートの皆さんが迫力のパフォーマンスを披露する「パフォーマンスゾーン」、健康をテーマにしたイベントや食材販売の「おさんぽみちゾーン」の、3つのゾーンが作られました。ここでは、「パーソナルモビリティ体験ゾーン」について紹介します。

@グランフロント大阪北館西側「いちょう並木」特設会場

3月22日に開催された「医の知のみち STREET FES.」@グランフロント大阪北館西側「いちょう並木」特設会場

  • 今回のイベントに出展したメーカーとパーソナルモビリティは以下の6社、8車種です。
  • ◆ HandBike Japan(埼玉)         ハンドバイク
  • ◆ ヤマハ発動機株式会社(静岡)     JW スウィング /  タウニィジョイエックス
  • ◆ RT.ワークス株式会社(大阪)      電動歩行アシストカート
  • ◆ 株式会社クラモト(東京)         Boogie-Woogie-Luggie
  • ◆ WHILL 株式会社(東京)         WHILL Model A
  • ◆ セグウェイジャパン株式会社(横浜)  Genny 2.0  /  Segway PT i2SE

筆者が試乗したのは、ハンドバイク、JW スウィング、電動歩行アシストカート、WHILL、Segway PT i2SEです。

まずはハンドバイク、とても楽しい乗り物でした。

20インチスポーツモデル ハンドバイク  /   20 インチ電動アシストモデル

20インチスポーツモデル ハンドバイク / 20 インチ電動アシストモデル

手でこぐ三輪自転車「ハンドバイク」は、日本初のハンドバイク専門ブランドで2012年4月に設立したに「HandBike Japan」の製品。一般道での使用をメインに開発された 3 輪のハンド バイクであり、障がいの有無に関わらず、子供から大人まで、誰にでも気軽に乗ることができ る新しい乗り物です。

事実、グランフロント大阪の特設会場では、広いコーナーをハンドバイクで楽しそうに走る若い人たちいました。障がいがあってもなくても、手でこぐ感覚は新鮮で快適、スピードも出ます。脚をレストに休めてゆったりと背中をもたせ掛けると、体全体で風を感じます。筆者は曲がる時がちょっと難しかったのですが、それもすぐ慣れました。

会社のコンセプトは「イージー&ファン」、障がい者 / 健常者という壁を越えて、いっしょに楽しむことができる乗り物でした。

次に試したのが、ヤマハ発動機株式会社(静岡)の  JW スウィングです。

電動アシスト車いす JWスウィング

電動アシスト車いす JWスウィング

2014年、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する『グッドデザイン賞』を受賞した「JWスウィング」は、人がハンドリムを漕ぐ力をモーターが補助する電動アシスト車いすです。

今回試乗してみて分かったのですが、歩いていると気が付かないようななだらかな坂も、ハンドリムを漕ぐ力だけで上がるのは大変です。一緒にいる人に、あるいはそばを通りかかった人に押して欲しいと頼むしかないような時、このJWスウィングなら大丈夫なのです。ヤマハパスでおなじみの「パワーアシストシステム」採用、上り坂も軽々となめらかに上ることができ、下り坂は自動的にスピードがコントロールされるので安心。

駆動輪が取り外せるなど、ユニットの着脱や折りたたみをワンタッチですることができ、クルマへの積載もラクラクです。付属の専用ソフトにより使用者の身体状況や使用環境に合わせて最適なアシスト力を設定できるほか、2種類のパラメーターを記憶させてボタン一つで切り替えが可能。つまり、その人に一番ぴったりあった強さのアシストで出かけることが出来るというわけなのです。

JWスウィングに乗れば、ひとりで自由にどこまでも行けそうな気がしました。

次に試したのが電動歩行アシストカート、これはぜひ母に使わせたいなあと思った製品です。

電動歩行アシストカート

電動歩行アシストカート=2015年3月22日、撮影・松中みどり

足元がおぼつかなくなってくると、買い物にはカートを使うという人が多いことでしょう。母もそうなのですが、買ったものを入れて重くなったカートは動きかしにくく、また思わず杖代わりに体重をかけて転んでしまったこともあります。

RT.ワークスの電動歩行アシストカートは、必要な方に『優しく寄り添い、靴のように必要な存在でありたい』という願いから作られました。 デザインが先進的で、カートを使うのに抵抗がある人も使いたくなるシンプルな外見です。

電動アシスト機能により、登りの時は楽に進むことができ、逆に下りの時は ゆっくりと進むので安心です。また、安全な 歩行ができるように、多彩なセンサーを搭載。 スマートフォンやクラウドにも無線通信でつながっ ていて、何かあったときには自動的に連絡。 GPS機能で現在地を把握できますし、歩行履歴管理機能が備わっているので、 1日にどれだけ歩いたかわかり、健康管理に役 立てることも可能。まさに、子どもたちが「父の日」「母の日」にプレゼントしたくなるカートだと思った次第です。

そしていよいよ、以前から乗ってみたかったWHILLに乗りました。

昨年11月に渋谷ヒカリエで行われた「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」に出かけて行ったとき、最も感動したモビリティがWHILLでした。人気だったので順番が回ってこなくて、その時に試乗が出来なかったのが残念でしたが、今回のイベントでは、その機動力や操作性の新しさを体験することが出来ました。

次世代パーソナルモビリティWHILL Model A(左からホワイト、ブラック)

次世代パーソナルモビリティ WHILL Model A

今までの車いすにはなかった革新的でシンプルなデザイン性の高さが、WHILLの第一の特長です。触ってみたい、乗ってみたいと思わせるカッコよさがあります。歩道での走行が可能なコンパクトな車いすなのです。操作はマウスコントロール、初めて乗った私も直感的に操作できました。

電動で座面が前後に15センチ移動するので、乗り降りもスムーズ、テーブルにつくときも調整が楽です。

次の特長は機動力です。4輪駆動を採用することで、芝生や砂利道、でこぼこ道もアクティブに進むことが出来ます。今回、いちょう並木特設会場に設けられた2.5~3センチの段差を楽々と乗り越えていったパワフルなWHILLは、最高7.5センチの段差を越えることが出来るのだそうです。

WHILLが得意なのは屋外だけではありません。24個の小さな前輪タイヤが最小回転半径70センチを実現し、小回りが利くので狭い室内も楽に移動が可能なのです。実際、WHILLに初めて乗った私でも、段の上でUターンをしたり、狭い場所で左右に移動することが簡単にできました。

また、Bluetooth 内蔵でiPhoneのアプリと連動し、遠隔操作を行ったり、好みの走行設定をしたりという新しい使い方が広がっていることも大きな特長でしょう。

WHILLのパンフレットによると、「100m先のコンビニに行くのをあきらめる。」という一人の車いすユーザーの言葉からWHILLの開発は始まったのだそうです。たった100メートルを移動する時にも、不安やリスクがある。それを解消するのが、スマートで機能的な、まったく新しいパーソナルモビリティ。作りたいのは電動車いすではなく、誰もが乗りたいと思うあたらしい移動手段。

WHILLを見た時の「カッコいい!」という感想、WHILLに乗った時のワクワク感や楽しい気分は、”車いす=障がいのある人のためのもの”といった既成の概念を越えていくと思います。

最後に試乗したのがセグウェイ Segway PT i2SEです。

セグウェイ試乗中=2015年3月22日、撮影・セグウェイ担当者

セグウェイに試乗中の筆者=2015年3月22日、撮影・セグウェイ担当者

セグウェイこそ、直感的に操作する乗り物。2001年、すでにこうした乗り物が登場していたことがすごいと思います。環境負荷が低く、走行・停止に優れていて、なんといっても乗っていて楽しいのです。

時間切れで少ししか乗れませんでしたが、自分の行きたい方へ眼をやり、わずかに体重移動をすることで操作する感覚は、他では味わえないもの。もっと練習して自在に運転したいと思いました。筆者は停止が苦手で、進行と反対方向に重心を移動して(かかとに体重をかけて)停止させると頭でわかっていても、自転車のブレーキの感覚でハンドルを握って止めようとしてしまいました。また試乗の機会をみつけて、練習したいと思ってイベントをさがしているところです。

これからやってくる超高齢化社会。電動アシストカートが欲しくなり、普通の自転車よりハンドバイクがよくなり、車いすユーザーになっていく・・・誰もがそうなる可能性があるのです。今は福祉としてとらえられていることが、少し先の未来では、普通のことになる。

目が悪くなればメガネをかけるのは当たり前です。メガネをかけている人を障がいを持っていると思わないし、メガネが福祉用具だとは思わない。むしろ、メガネはおしゃれの道具となってきて、目が悪いわけでもないのにファッションとして度のないメガネをかけたりする・・・それが未来のパーソナルモビリティの姿ではないかと私は思います。

最新式の車いすは、誰もが欲しい製品になる。おしゃれだからです。必要であると同時に、楽しみでもある。便利であると同時に、ファッションでもある。そんな未来を先取りしたイベントが「心のバリアフリー」をテーマにした本イベント、「医の知のみち STREET FES.」だったのです。

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