「ショーアップする舞台に特化して」、DRUM TAO 岸野央明インタビュー(上)

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

2016年2月にニューヨーク オフブロードウェイでの公演を成功させた「DRUM TAO」。これまでに22カ国400都市で700万人に迫る観客を動員してきました。現在、新作舞台「DRUM TAO 舞響 〜Bukyo〜 踊る〇太鼓(おどるわだいこ)」が全国各地で上演されており、東京公演は2016年7月15日から7月24日までZeppブルーシアター六本木で開かれます。公演のテーマは「ハチャメチャに楽しい!」。アイデアニュースでは、DRUM TAO メンバーの岸野央明(きしの・ひろあき)さんにインタビューをしました。(上)(下)2回に分けて掲載します。(上)では、DRUM TAOの魅力やオフブロードウェイでの経験、新作舞台についてお届けします。

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

――DRUM TAOが立ち上がった経緯からお教え頂けますか?

僕自身、DRUM TAO結成10年頃に参加しているので、当初のことは聞いた話なのですが、僕なりにお伝えさせて頂きますね。元々、今もある鬼太鼓座(Ondekoza)という和太鼓集団から派生しています。派生したメンバーが、さらに枝分かれしていくなかで、ショーアップする舞台に特化してやりたいメンバーが集まって作ったのがDRUM TAOだと聞いています。

――脈々と続いているんですね。

辿っていくとひとつなんですよ。今は時間が経って、それぞれのグループの方向性が違いますが、使っている楽器は同じですし、根本的には一緒ですね。

――和太鼓がベースで他の楽器や踊りなど、何かが加わっているというところや、グループの力が結集されてパフォーマンスをするという共通点があるイメージです。DRUM TAOならではの魅力はどう考えられていますか?

作品づくりではものすごくこだわっています。全体のストーリーはありませんが、見ている人がそれぞれに感じるストーリーが生まれるように、演奏者というよりは役者という捉え方で演じてやっています。制作段階でもストーリーはありますが、作る段階ではあえて追わないようにしているんです。

DRUM TAO 公演より

DRUM TAO 公演より

■目指しているのはシルクドソレイユなどのノンバーバルなショー

――物語部分と、ショー的な部分があるんですか?

創りはじめる段階では、軸がないと難しいので物語はあります。創っていく段階ではそこを意識しないんです。僕らが目指しているのはシルクドソレイユなどのノンバーバルなショーです。だから、写実的だったり、ストーリーが明確なものより、単純に見て楽しい、感動するステージを目指しています。

――なるほど。

昨年の宮本亜門さんに作って頂いた作品はお芝居でしたが、初めてやったスタイルでした。セリフはありませんでしたが、あるような、ミュージカル的な演技なんです。今までのスタイルと違ったので、やる前は不安もありましたが、いい経験になりました。今年は今までのTAOスタイルに戻って創っています。

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

■ストーリーがあるかどうかではなく、クオリティが追いついているかどうか

――ファンの方の声はいかがでしたか?

昨年最初に上演したときは、お客さんも慣れていなくて、僕たちが芝居をすることに対して違和感があったみたいで。極端な声では「これがTAO!?」というぐらいの反応でした。僕らは通常ひとつの作品を5月にスタートして、12月まで上演するのですが、やるたびにブラッシュアップをかけていきます。最初と最後のではやっていることが同じでも、演じ方や演奏など改良を重ねていくので全く違うんですよ。昨年もそうやっていくうちに、NOという人はいなくなりました。結果的にいうと、ストーリーがあるかどうかなどの内容は関係なく、クオリティがそこに追いついているかどうかなのかなと思います。

――可能性的にはいろいろと広がったというか、ストーリー的なものもできるということですよね。

そうですね! 得たものは大きいです。

「DRUM TAO 舞響〜Bukyo〜踊る〇太鼓(わだいこ)」

「DRUM TAO 舞響〜Bukyo〜踊る〇太鼓(わだいこ)」

<DRUM TAO 舞響 ~Bukyo~ 踊る〇太鼓(おどるわだいこ)>
【東京公演】2016年07月15日(金)~2016年07月24日(日) 東京都Zeppブルーシアター六本木
[お問い合わせ] サンライズプロモーション東京0570-00-3337

<DRUM TAO 舞響 ~Bukyo~ 踊る〇太鼓(おどるわだいこ)>(東京以外の7月の公演予定)
【岡山公演】2016年07月02日(土) 岡山県勝山文化センター ポンテホール
【兵庫公演】2016年07月03日(日) 兵庫県あましんアルカイックホール
【岐阜公演】2016年07月05日(火) 岐阜県飛騨市文化交流センター スピリットガーデンホール
【富山公演】2016年07月06日(水) 富山県南砺市井波総合文化センター メモリアホール
【愛知公演】2016年07月08日(金) 愛知県日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
【愛知公演】2016年07月09日(土) 愛知県アイプラザ豊橋 講堂
【静岡公演】2016年07月10日(日) 静岡県静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
【栃木公演】2016年07月26日(火) 栃木県那須町文化センター
【山形公演】2016年07月27日(水) 山形県米沢市市民文化会館
【秋田公演】2016年07月29日(金) 秋田県大館市民文化会館 大ホール
【青森公演】2016年07月30日(土) 青森県八戸市公会堂 大ホール
※8月以降も全国各地で上演予定。詳しくは DRUM TAO のスケジュールのページをご覧ください
http://www.drum-tao.com/main/archives/schedule

<関連ページ>
DRUM TAO ⇒http://www.drum-tao.com/main/
岸野央明ブログ ⇒http://tao-kishino.blogspot.jp/

<アイデアニュース関連記事>
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「大分がどこなのかもよくわかっていなかった」 DRUM TAO 岸野央明(下)(6月28日掲載予定)
https://ideanews.jp/backup/archives/23207

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

<プレゼント>

岸野央明さんのサイン色紙と写真1枚をセットにして、抽選でアイデアニュース有料会員(月額300円)3名さまにプレゼントします。応募締め切りは7月12日(火)。当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。応募は以下のフォームからお願いします。(このプレゼントは終了しました)応募の際に記入いただいたメッセージは、コメントのページ(⇒こちら)に掲載します。アイデアニュースの会員登録は ⇒ここをクリックしてください

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■知らない人はいないけれど、チケットに結びつかず。それが初日直前になって…

■寝ている間に全部売れてしまった。起きたら、「えーーー!!!」と

■1日目を見たブロードウェイのプロデューサーがアドバイス、2日目から観客の反応が爆発

■コシノジュンコさんは普通じゃない。衣裳とも思えないようなものができあがってくる

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――宮本さんと作られた作品でブロードウェイに行かれて、成功を収めたというのはすごいことだと思います。岸野さんも肌で感じてこられたと思いますが、まず今どう感じていらっしゃいますか。

もう、衝撃ですね。実際目の前に満席のお客さんを目の当たりにして、もちろん現実なんですが、信じられない感覚でした。

■知らない人はいないけれど、チケットに結びつかず。それが初日直前になって…

――どんなことが起きたのか、ぜひお話頂けますか?

他のメンバーは全米のツアー中で、僕は国内で仕事をしていたので、ニューヨークの前後だけ合流するスケジュールだったんです。早めに現場に入って、1週間ぐらいラジオやテレビなどのいろんなプロモーションを試行錯誤してやりました。みんなで街中でポスターを貼って、ビラを配ることもやっていましたし、タクシーの座席の電光画面に何万回も出したりして、宣伝のための投資もしたんです。

その結果、知らない人はいないけれど、直接チケットには結びつかず…。いよいよまずいなと話していたんです。僕自身は社長でもないので、正直そこまでプレッシャーではなかったです。ただ、社長とずっと行動を共にしていたので、伝わってくるものがありました。それでも、みんなで覚悟を決めてやっていることでしたから、腹をくくってできることをやろうと。初日直前になって「The Late Show with Stephen Colbert」という番組のオファーがあり、周りの人はすごいことだと騒いでいるんです。でも、僕らはどんな番組なのかもわからないですしね。これに出たら今苦労していることも報われると思うと言われましたが「ほんとかよ……」と(笑)。

――(笑)。

収録に行ってみると、収録段階からすごく力が入っている番組なんだと思いました。そして、最高の状態で収録させてもらいました。いろんな人にすごい番組だといわれたことが、実感できましたね。放送当日に収録して、その日の夜中の1時に放送されるんです。すると、翌朝までにチケットが売れてしまったんです。

■寝ている間に全部売れてしまった。起きたら、「えーーー!!!」と

――すごいですね!

だから、寝ている間に全部売れてしまったんですよね。起きたら、売れたって。もう、「えーーー!!!」と驚きました。

――一晩で世界が変わるようなすごい経験で、ドラマのようなお話ですね。

本当に凄い経験でしたね。今だから笑って話せますけれど(笑)。

「2016年ニューヨーク公演」より

「2016年ニューヨーク公演」より

■1日目を見たブロードウェイのプロデューサーがアドバイス、2日目から観客の反応が爆発

――そして満員の観客の前でやった公演はいかがでしたか?

すごく良かったんですが、1日目は日本でやったのと同じものを上演したんです。楽曲の尺や、曲感のトランジッションなどそのままに。それを僕たちを担当してくれたブロードウェイのプロデューサーが見ていて、ニューヨーカー的には長いとアドバイスをもらいました。それを参考にしてテコを入れた2日目から観客の反応が爆発しました。

――翌日に対応できることがすごいですね。そんなに時間もないと思いますが。

時間はなかったですが、翌日、2〜3時間でリハーサルをし直して、本番にのぞみました。僕たちはそういうことには慣れているんですよ。

――その成功をもっての日本凱旋になりますね。その経験を経て、新作への思いはいかがですか?

前回は亜門さんが入られて創りましたので、制作段階から指示が多かったんです。亜門さんがダンサーだったこともあり、振付が細かくて、このタイミングでこっちを向くとか、すべて決まっていました。それまでの作品は自分たちですべて創っていたので、こういった演出は新鮮でしたね。今回はまたメンバーみんなだけで作った100%オリジナル作品なので、思い入れが強いです。はやく見せたいという思いと、お客さんの反応が気になります。

――前作を経て、お客さんにどう感じられるのかということですね。原点に立ち返って創るなかで、変わった点はありますか?

あります。お芝居というスタイルを一年やって、みんないろんなスキルを手に入れました。演じることもそうですし、創作部分でも振付や音楽など、それまで独自でやってきましたから、ミュージカルの作り方などを知りませんでした。亜門さんとやらせてもらうことでこういう創り方もあるんだと体験できたんです。今回それがうまくミックスできたので、いいものが創れたんじゃないかと思います。

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

岸野央明さん=撮影・岩村美佳

■コシノジュンコさんは普通じゃない。衣裳とも思えないようなものができあがってくる

――衣裳をコシノジュンコさんが担当されていることもTAOの特徴だと思いますが、コシノさんの衣裳で演じるというのはいかがですか? やはり違うものですか?

全く違いますね。普通じゃないですからね(笑)。衣裳とも思えないようなものができあがってくるんですよ。何かのオブジェなのかなと。

――どういうセッションでできあがるんですか?

最初にテーマをお伝えするんです。今回で言えば「ハチャメチャに楽しい」。さらに何にも属さない(日本でもなく、どこかの国でもなく、時代的に過去でも未来でもない)今までにない、というのがテーマです。衣裳だけでなく、舞台美術、照明デザインなど、すべてのセクションの方たちと最初の段階で打ち合わせして、方向性を出してもらい、何度かキャッチボールをしていくんです。「ちょっとそれは奇抜すぎます!」とか(笑)。「それぐらいがいいのよ」って言われると受け入れたり。

――調整はありつつも、テーマに対してコシノさんが自由に創られるんですね。

最初はそうですね。そこから詰めていき、最終的にはメンバー全員で試着して確認していきます。

――岸野さんは何を担当されているんですか?

楽曲と舞台セットです。今回プロジェクションマッピングを一緒にやる映像スタッフが入っているのですが、楽曲とリンクする部分が多いので、一緒にやっています。舞台セットに関してはデザイナーは別にいますが、自分たちで設営などもやるので、入り込んで一緒に設計します。

――分野ごとに担当がいるんですか?

はい。でも、みんなで関わってはいますね。

――自然に担当が決まっていったんですか?

それぞれ興味があるものに食い込んでいって、いつのまにかそこに入り込んだという感じで役割分担していきました。

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