明日に笑顔を(3)介護保険の認定調査、サービス内容、保険給付対象の福祉用具

「明日に笑顔を」アイキャッチ=イラスト素材:パンコス(http://www.pancos-sozai.com/)

笑社会保険労務士事務所の清水恵美子です。兵庫県川西市で介護事業所支援専門に活動している社会保険労務士です。前回、介護に直面した時心配になるお金の話について、事故や病気で病院にかかった場合をお話ししたのですが、今回は、介護保険を使うための認定調査、サービス内容、介護保険給付対象となる福祉用具をお伝えしたいと思います。

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 ■介護保険を使うには

まず、介護が必要になったら要介護認定を受ける必要があります。市町村の窓口に申請をすると、調査員さんが訪問調査に来られます。74項目の調査項目を聞き取り、その結果でコンピューターによる1次判定が行われ、その結果と主治医の意見書を基に介護認定審査会で認定委員によって最終決定されます。

厚生労働省のホームページによると、要介護度は7段階に分かれており、その認定の基準は以下のようになっています。

厚生労働省のホームページより

厚生労働省のホームページより

この時間の介護を必要とする状態を具体的に言うと以下の表のようになります。

堺市ホームページより

堺市ホームページより

74項目の調査項目は全国一律です。中には、ホームページで調査項目を公開しているところもありますので、認定調査を受ける前に、どんな調査項目があるかを把握しておきましょう。

参考:大阪池田市ホームページ

介護保険〔要介護認定・要支援認定・要介護更新認定・要支援更新認定〕申請書)
⇒ http://www.city.ikeda.osaka.jp/shinseisho/hokenfukushi/1418723381879.html

訪問調査では次のような内容の質問をします
⇒ http://www.city.ikeda.osaka.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/29/situmonnkoumoku.pdf

■どんなサービスが必要なの?

具体的には、どういったサービスが必要となるのでしょう?場面ごとに見ていきましょう。

1、退院をして自宅へ帰る場面

自宅までの移動は?⇒

・車いすのレンタル利用や介護用の靴、杖などの購入

・介護タクシーの利用

自宅に着いたら?⇒

・玄関の形状によってスロープを設置したり、手すりの取り付けなどの工事

・屋内の段差解消のためのステップや置型手すりのレンタル

2、自宅に帰って生活する場面

トイレにひとりで行けるのか?⇒

・手すりの設置(工事又はレンタル)

・居室にポータブルトイレを設置する

・リハビリパンツやおむつの利用

・訪問ヘルパーさんの利用

お風呂に一人で入れるのか?⇒

・手すりの設置(工事又はレンタル)

・浴槽に入りやすくする踏み台等や介護用風呂椅子の購入

・訪問ヘルパーや訪問入浴の利用

・デイサービスの利用

食事の支度はできるのか?⇒

・訪問ヘルパーの利用

・配食サービスの利用

身体機能が衰えないようにしたい⇒

・リハビリ中心のデイサービスの利用

・訪問リハビリの利用

■介護保険給付対象となる福祉用具

(1)車いす

(2)車いす付属品

(3)特殊寝台

(4)特殊寝台付属品

(5)床ずれ防止用具

(6)体位変換器

(7)手すり

(8)スロープ

(9)歩行器

(10)歩行補助つえ

(11) 認知症老人徘徊感知機器

(12)移動用リフト(つり具の部分を除く)

(13)自動排泄処理装置

この中で(7)~(10)に関しては、軽度者(要支援1、2、要介護1)の方も利用できますが、それ以外のものは、介護保険の適用がありませんのでご注意ください。

介護保険が適用になれば、その費用の1割(一定以上所得のある方は2割)で利用することができます。我が家では、最初は、工事はせずにレンタルの手すりやステップを活用しました。怪我の場合は、状態が大きく変わることがありますし、生活していく中で本当に必要な工事がわかると考えたからです。もう1点、自費扱いになりましたが介護用のベッドもレンタルしました。1カ月当たり1,000円程度です。ステップや手すりは、種類によりますが数百円で、2点使用しても千円もかかりませんでした。

福祉用具に関しては、基本レンタルとなります。

今回は、介護保険を使うための認定調査、サービス内容、介護保険給付対象となる福祉用具についてお話ししました。次回は、訪問介護、ショートステイ、デイサービスについてお話ししたいと思います。

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■要介護認定を受ける上での注意点

■退院後に必要な対応

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■要介護認定を受ける上での注意点

訪問調査の段階で気を付ける必要があるのですが、介護を受ける方の気持ちとしては、「あなたは元気で大丈夫」と思われたいということです。

私が両親の介護認定を受けたり、色々な方のお話しを聞いて思ったのですが、いくらお年を召していても、「介護」という言葉に少なからず抵抗があります。ご本人にとって介護認定を受けるということは、自分の老いや衰えに烙印を押されるような気持になるようで、ついつい頑張っていつもと違う自分を演じてしまいます。家族は出た結果を見て、これでは希望のサービスが使えないと頭を抱えることになりかねません。

その場合、ご本人に「希望のサービスを使うために普段通りにしていただくことが必要」とお話しするとともに、家族が普段の様子を記録しておき、こういうことに困っているということを調査員さんに伝える、本人の前で話しにくい場合は、手紙にして渡しておくことも大切です。特に認知症の場合、どんな周辺症状に悩まされているかということは、訪問時だけではわかりませんし、他人の前ではしっかりしていたりしますので、調査項目以外できちんと伝える必要があります。また、主治医の意見書との整合性が問題になりますので、日頃から主治医の先生に困っていることを相談しておくことが重要になります。

■退院後に必要な対応

まず、入院前のイメージを捨てることです。入院するということは想像以上に身体機能を衰えさせます。今までは難なくできていたことができなくなっていたり、頭の回転が鈍くなっていることもあります。以前の両親と同じだと思って対応していると、イライラしたり困惑することになります。

退院して、最初に対応が必要なのは、簡単に上がれていた上がり框が上がれなくなっていたり、ちょっとした段差につまづいてしまったりするようになっているので、退院前にケアマネさんと福祉用具の方、工務店さんなどに現地を確認してもらって、どういった工事や介護用品が必要なのかを打合せ、ケアマネさんにプランを立ててもらい、準備をしておくことです。介護認定が出るまで1カ月程度かかるので、早めに認定を受けておく必要があるのはもちろんですが、退院までに間に合わなくても暫定的に介護保険を使うことができるので、退院までに入居できる状態にしておけるようタイムスケジュールを調整しましょう。ただし、状態をよく見極めて必要なサービスを利用しないと、非該当になった場合は全額自己負担になってしまうので注意が必要です。

また、母が入院していた病院の場合、リハビリを担当して下さっている理学療法士さんから、自宅の階段や上がり框の段差やお風呂のバスタブの高さなどの聞き取りがありました。入院していた病院が遠方だったため、計測したデータと写真をお送りしたのですが、本来は、現地を見に来て下さるというお話しでした。実際の高さを想定したリハビリを実施し、その高さまで足が上がるように訓練するのだそうです。それにより、どの程度まで回復が見込めて、どの程度の補助が必要なのかがわかります。病院によってやり方が違うかもしれませんが、こちらからお願いをしてみても良いのではと思います。

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