「自分は強く、自信を持っていると示す」、マリッサ・ウルスター インタビュー(下)

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

2018年6月から始まる『トリニティ・アイリッシュ・ダンス』日本公演でリードダンサーを務めるアメリカ人のマリッサ・ウルスターさんのインタビュー、後半です。今回の公演では、インドのボリウッド映画から影響を受けた作品や、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで上演されている人気の舞台「ストンプ」の振付師が手掛けた躍動感にあふれた作品なども披露されるそうです。

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

――「ソールズ」では、ダンサー一人一人の心の叫びが聞こえるような気がして、すごく物語性を感じました。

特別な物語があるかどうかは分からないのですが、私は、「自分は強くて、自信を持っている」ということを示すようにしています。先ほど言った「female empowerment(女性に力を)」を強く表現している作品で、女性が一つになれば、何でもできるということを伝えられると思っています。

――『トリニティ・アイリッシュ・ダンス』はストリートダンスやアフリカンダンス、フラメンコからも影響を受けていますね。ほかに影響を受けたダンスはありますか。

来日公演で披露する「ゴッデス」という演目はインドのボリウッド映画から影響を受けた作品です。私が大好きな演目の一つです。また、「トラック6」はコンテンポラリーダンスの動きが多い作品です。アイリッシュ・ダンスとは全く違いますね。アイリッシュ・ダンスは上半身や腕を動かさずに踊りますが、これはものすごく上半身や腕を使う。私たちにとっては新鮮で刺激的です。

――ほかには、ダンサー全員がドラムスティックで床を叩いて、日本の和太鼓を思わせるような演目もありましたね。

それは、「ブラックローズ」という作品で、明らかに日本の和太鼓から影響を受けています。日本の太鼓奏者はとても強くてパワフルです。私たちも、アイルランドから来て世界に二つしかないという特別に大きいドラムを使うんですよ。ドラムとタップでうるさいくらいの大きな音を奏でる予定です(笑)。

――アイリッシュ・ダンスは、14世紀にアイルランドがイングランドの支配下に置かれ、文化活動が統制されたり、アメリカに移住したアイルランド移民が土地になじめず苦労したりと、アイルランド人が経験してきた苦しみや悲しみがルーツにあります。そのあたりは踊っていてどうですか。

とても強く感じます。作品「リッスン」では、その苦しみや悲しみを私たちの身体を通して具体化し、皆一緒になり、限界を乗り越えて前へ進んでいこうという気持ちを表現しています。日本でも披露する予定です。この演目は私たちにとって、もう習慣のようになっていますね。

――とても力強い作品でしたね。一人ひとりの「声」を感じるような気がしました。

私たちのルーツに戻り、伝統的なアイリッシュ・ダンスのステップもたくさんある作品です。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、メンバー同士でどうやっていい関係を作っているかや、シューズの使い分けなどについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■ダンスは私にとって自己表現の場で、とてもクリエイティブです

■メンバーがお互いをサポートし、成長することが私たちにとっての賞

■伝統的な踊りとプログレッシブ(進歩的)なダンスのバランスを、体感してほしい

<『トリニティ・アイリッシュ・ダンス』>
【兵庫公演】2018年6月17日(日)14:00開演 兵庫県立芸術文化センター
【浜松公演】2018年6月20日(水)19:00開演 アクトシティ浜松
【東京公演】2018年6月23日(土)13:00開演/17:30開演(2公演)東急シアターオーブ
【横浜公演】2018年6月24日(日)14:00開演 神奈川県民ホール
【福岡公演】2018年6月26日(火)19:00開演 アクロス福岡
【熊本公演】2018年6月27日(水)19:00開演 熊本市民会館
【埼玉公演】2018年7月1日(日)15:00開演 ウェスタ川越 大ホール
【名古屋公演】2018年7月3日(火)18:30開演 日本特殊陶業市民会館
公演オフィシャルサイト
http://trinity-japantour.com/

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マリッサ・ウルスターさん=写真提供・キョードーマネージメントシステムズ

マリッサ・ウルスターさん=写真提供・キョードーマネージメントシステムズ

※ここから有料会員限定部分です。

■ダンスは私にとって自己表現の場で、とてもクリエイティブです

――「カーラン・イベント」はどういう作品でしょう。

ニューヨークのオフ・ブロードウェイで上演されている人気の舞台「ストンプ」の振付師が手掛けた作品です。リズムを中心にして、皆が、足はもちろん、手も打ち鳴らしてダンスする躍動感にあふれた作品です。

――マリッサさんは現在、アメリカ・ウィスコンシン州のマーケット大学で生物医学と心理学を専攻されています。何かダンスに役立つことはありますか。

今のところはありません(笑)。それぞれの科目はとても論理的で事実に基づいて実験するので、ダンスとは正反対です。ダンスは私にとって自己表現の場で、とてもクリエイティブです。学校の勉強とは違いますね(笑)。

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

■メンバーがお互いをサポートし、成長することが私たちにとっての賞

――『トリニティ・アイリッシュ・ダンス』のメンバーは皆、マリッサさんと同じような年齢の女性がほとんどです。メンバーは皆、仲がいいのですか。

もちろんです(笑)。女同士でけんかしたり、いがみあったりすることはないですよ。新しいメンバーが増えるときは、いい人でメンバーとうまくやっていけるかが非常に重要です。新入生が入る前には、カンパニーに来てもらって、皆とうまくやっていけるかどうか見極めるようにしています。私たちは、男性メンバーともお互いをリスペクトし合い、いい関係を築いています。

――ライバル心はないのですか。

同じような年ごろなので、もちろん競争心はあります。でも、小さいころから皆ダンスを始めて一緒に育っていますし、私たちは、賞を取るために競っているのではなく、「トリニティ」のチームとしていかに一つにまとまるか旅をしている途中なんです。競争といっても、メンバーにいじわるをするのではなく、お互いをサポートし、カンパニーとして成長することができるかなんです。成長することが、私たちにとっての大きな賞ですね。

――日本に来るのは今回で5回目だそうですが、お気に入りの街は?

札幌です。夏に日本に来たらものすごく暑いんですが、札幌に来ると涼しくて(笑)。京都もお寺があって美しいですね。

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

マリッサ・ウルスターさん=撮影・米満ゆうこ

■伝統的な踊りとプログレッシブ(進歩的)なダンスのバランスを、体感してほしい

――マリッサさんのダンサーとしての今後の目標を聞かせて下さい。

『トリニティ・アイリッシュ・ダンス』にいるだけで、予想していなかった色々な経験ができました。世界選手権で金メダルを取って、14歳で日本の初ツアーのメンバーに選ばれて参加するなんて夢にも思っていませんでした。それだけで本当に光栄です。十分すぎてほかに目標なんて考えられません(笑)。こうやって踊れるだけで幸せですね。これからも楽しく踊り続けたいです。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

伝統的なアイリッシュ・ダンスの踊りと、ほかでは見ることができない、『トリニティ・アイリッシュ・ダンス』独特のプログレッシブ(進歩的)なスタイルのダンスが見られると思います。その二つのバランスをぜひ、体感してほしいですね。靴も、ハードシューズで踊る力強くてリズミカルなダンス、ソフトシューズで踊るジャンプの高さを誇るアクロバティックなダンスと使い分けて踊っているので、それにも注目して楽しんでください。

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