「代役の方の手を握りすぎよと」、『アナスタシア』内海啓貴インタビュー(上)

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

【2020年4月8日、編集部追記】ミュージカル『アナスタシア』大阪公演につきましては、新型コロナウイルスに関する政府による緊急事態宣言の発令、及び地方自治体の自粛要請を受け、全公演中止されることが、4月8日に発表されました。中止によるご入場券の払戻しにつきましては公式サイトをご確認ください。
公式ページ 
https://www.anastasia-japan2020.jp/

日本初演のミュージカル『アナスタシア』が2020年3月9日(月)から3月28日(土)まで東急シアターオーブで(※3月13日(金)~3月19日(木)・3月28日(土)の公演は新型コロナウイルスの影響で中止となりました)、4月6日(月)から18日(土)まで梅田芸術劇場メインホールで上演されます。ディミトリ役を演じる内海啓貴さんにインタビューしました(海宝直人さん、相葉裕樹さんとトリプルキャスト)。(上)は合同インタビュー、(下)はアイデアニュースの独自インタビューです。作品について、ご自身についてうかがいました。(この取材は昨年11月に行われた製作発表時に実施したものです)

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『アナスタシア』は、2017年にブロードウェイで生まれたミュージカルの日本初演です。第70回アカデミー賞 歌曲賞、音楽賞にノミネートされたアニメ映画「アナスタシア」に着想を得て制作されました。1918年、帝政ロシア時代の最後の皇帝ロマノフ2世をはじめ一族が殺害されたというニュースがあふれる中、皇女アナスタシアだけは難を逃れて生き続けているという歴史上の謎「アナスタシア伝説」にもとづいた物語で、記憶を無くした主人公アーニャが、自分の過去を取り戻し、愛する家族と自分の心の帰る場所を見つける旅路を描いた、大人から子供まで楽しめる愛と冒険に満ちた作品となっています。ブロードウェイ公演は、2017年3月にプレビュー公演を経て、4月24日に開幕。以降、2019年3月まで2年間にも及ぶロングラン上演となりました。ブロードウェイで高く評価された本作を、本国クリエイティブ・スタッフ&日本キャストで上演します。主演のアーニャ役は、葵わかなさんと木下晴香さんがダブルキャストで務めます。

――まず製作発表での感想はいかがですか?

初めての歌唱ありの製作発表でしたので、緊張が今まで3本指に入るなかのひとつです(苦笑)。これまで初日の記者会見はあったのですが、歌唱はありませんでした。でも、何が心強かったというと、海宝さんと相葉さんが隣にいてくださって、歌の途中に目を合わせたりできたこと。本来はソロ曲の「My Petersburg」ですが、製作発表だけの曲になったんじゃないかなと思います。

――おふたりと一緒に歌ってみていかがでしたか?

おふたりは「本当に緊張した」とおっしゃっていましたが、僕には憧れのおふたりだったので出番前は本当に緊張していたのですが、歌い始めたら楽しいなと思えて。3人でひとつの事を表現していることが、すごく嬉しくて楽しかったです。

――製作発表のための歌合わせで初めてお会いしたとのことですが、練習自体はどうでしたか?

練習は1時間あったのですが、最初は会ったこともなく、相手の歌を聞いたこともなく、とりあえずパート分けのところを歌ってみようかと言って、一発で綺麗にいったんです。「じゃあ終わりで」と言われて、3人が「いやいや! もうちょっと歌わせてください」と言って(笑)、そこから15分ぐらいであっという間に終わりました。

――それまでの練習は?

それまでの練習は個人でやっていました。僕はオーディションが遅くて7月だったんです。その時にこの「My Petersburg」と、アーニャと一緒に歌うデュエットソングの2曲をオーディションをしていたので、その頃から歌ってきた曲です。でも、歌詞が実は変わっているんですね。だから、もう頭がぐちゃぐちゃで(苦笑)。歌詞がちゃんと100%落としきれた状態での製作発表ではありませんでしたので、その緊張もあったと思います。

――オーディションの時のお話をもう少し伺いたいのですが。

僕は皆さんと違って、海外のクリエイティブスタッフの方がいないオーディションだったんです。僕は映像で海外に送るというオーディションでした。これまで沢山のオーディションを受けてきましたが、一番楽しかったですね。僕ひとりに対して1時間40分くらい使ってくださって、歌の代役の方も来てくださって、芝居の代役の方も来てくださって、全部やり終わった後にちゃんとダメ出しもくださった。「じゃあここをこうしてみて」ともう1回やって、そこをどんどんクリアしていくという形でした。これまでのオーディションは「ここがダメだったな、ここが出せなかったな」というのが多かったのですが、『アナスタシア』のオーディションに関しては、自分のできる事を全部出し切ったなと思えたんです。終わった後、初めて楽しかったなと思えた。もちろん受かりたい気持ちはありましたが、落ちても役者としてすごく充実した1時間40分だったなと思えました。

――やり切ったオーディションだったんですね。ダメ出しはどんな事だったのですか?

もちろん、台詞のディミトリらしさもありましたし、歌が多かったですね。ここのピッチをこうしてとか、音程が下がり気味だから次に直してとか。でも、本当に最初のほうは緊張していたんです。「My Petersburg」を歌う時に、アナスタシアの代役の方に、このサンクトペテルブルクを紹介する、この街で育ったんだと伝えながら歌ってくれと、それは自由芝居でやってくれと言われて、「わかりました」と。そうしたら、不安だったのか、半分以上、代役の方の手を握っていたんです(笑)。終わった後のダメ出しが「あなた、手を握りすぎよ」と(現場爆笑)。「ああ、ごめんなさい!」と、そこからスタートしました(笑)。「すみません、不安だったのでつい…」と。

<取材協力>
ヘアメイク:沖山吾一
スタイリスト:Die-co★
衣装:ARCHETIPO(アルケティポ)/NOVARESE 銀座(ノバレーゼ 銀座)03-5524-1117

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ディミトリがどんな男の子だったと思っているかや、自分と共通する部分、共演者についてのお話などが出た合同インタビューの全文と写真を掲載しています。2月21日(金)掲載予定のインタビュー「下」には、アイデアニュースの独自インタビューとして伺った、幼いころの内海啓貴さんのことや、20歳のころに仕事から離れて戻ってきた過程について、転機になったと思うという『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』(2017年~2018年)出演について、自分の強みと思うことなどのお話の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■ディミトリも自分探し。僕は業界を一度辞めていて、ちょっと似ているかも

■トリプルキャストは、震えました。大好きな先輩と共演できる、同じ役で!

■落ち込んでいる時にひびく台詞や歌が、このミュージカルには必ずある

<『アナスタシア』>
【東京公演】2020年3月9日(月)~3月28日(土) 東急シアターオーブ
※3月13日(金)~3月19日(木)・3月28日(土)の公演は新型コロナウイルスの影響で中止となりました
【大阪公演】2020年4月6日(月)~ 4月18日(土) 梅田芸術劇場
※全公演中止となりました
公式サイト
https://www.anastasia-japan2020.jp/

<関連リンク>
内海啓貴_サンズエンタテインメント
http://www.suns.fm/akiyoshi-utsumi/
内海啓貴のオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/utsumi-akiyoshi/
内海啓貴 twitter
https://twitter.com/utsumi_akiyoshi

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内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■ディミトリも自分探し。僕は業界を一度辞めていて、ちょっと似ているかも

――安心感があったんですね(笑)。役としては?

役としては、そういう情熱的な事ではなく、もっとアーニャが興味を持つような芝居がしたかったです。自分から行きすぎと言われたので、「次、気をつけます」と。どんどんディミトリらしさが出ていったのかなとは思います。

――ディミトリはどんな男の子だと思っていますか?

当時のロシアはとても貧しく、ニコライ2世の殺害事件の後のサンクトペテルブルクは、すごくアングラな場所だったらしいんです。ディミトリは、そこでお父さんが亡くなり、ひとりで生きてきて、この「My Petersburg」の日本語歌詞にもあったように、殴り蹴られ、パンを盗んで生きてきたという、本当に貧困のなか一人で生きてきているので、自立している男の子であり、その反面、アーニャやウラドと接する時、最初の1幕はすごくチャーミングな部分もあり、人間味があって、アーニャと出会って愛を知って、人間としても成長していく物語。そういう成長物語が作品の魅力なのかなと思います。自分も役者としてこの作品を通してディミトリと共に成長していきたいです。

――荒んだ子供時代を経ているにも関わらず、チャーミングな部分があるというのは、元々の彼らしさなのでしょうか?

(少し考えて)台本を頂いていないので、まだそこまでわかりませんが、僕がチャーミングだなと思ったのは、映像を見たら、シンプルにそういう場面があったんです。元々こういうチャーミングな人なんだろうなという部分もありますし、生きてきたなかでそういう人たちに出会ったからそうなっていったのかは、まだ僕は決めていません。ただそういう人間らしさもあったので、そこも演じていけたらと思います。

――自分と共通する部分はありますか?

ディミトリもこの旅で、多分アーニャと一緒で、自分探しじゃないですが、自分の生き方を探しているんだろうなと思ったんです。僕は今でこそ「ミュージカル大好きです!」と言っていますが、20歳の頃、この業界を一度辞めているので「どうしよう、何をしようかな」という時期ももちろんありました。朝起きて、ノートに自分の好きな事や嫌いな事を書いていって、その結果、表現する事が好きだったんだな、歌う事が好きだったんだなとわかって、ギターを持って自分の曲を路上で歌ったりしていたので、路上でアングラな感じはすごく似ているなと思います(苦笑)。オーディションを受ける時、そういう部分は、ちょっと似ているかもと思いました。しかも、オーディションを受ける時にこの曲を聞いて「絶対に受かりたい!」と思いました。衝撃が走りましたね。

――それはメロディに? 歌詞に?

メロディですね。この『アナスタシア』の楽曲は、曲を聞くだけでいろいろと自分のなかで世界が広がるというか、そういう力を持っていると感じました。もっと知りたくなった。最初に曲を聞いた時に、歌っている人の熱量や後ろの音で、すごく素敵なミュージカルだと思ったんです。いざ、映像を見た時に、曲と演者の熱と、そして何より後ろのLEDの美しい世界とうまくマッチングしていて、すごく鳥肌が立ったのを覚えています。

――作品全体の印象としてはいかがでしたか?

『アナスタシア』ならではの壮大感というか、映像を見て初めてこんなに心動いたので、きっと実際に舞台を観終わった後には、観た人の背中を押すことのできる作品だなと思いました。愛の力や、役ひとりひとりの成長物語など、この作品を観て何かを感じない人は絶対にいないんじゃないかと思ったんです。人それぞれ伝わり方は違うと思いますが、心に残る作品だなと思いました。

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

■トリプルキャストは、震えました。大好きな先輩と共演できる、同じ役で!

――おふたりのアナスタシアは、初めてお会いしていかがでしたか?

綺麗だなと思いました(照)。

――素直ですね(笑)。短い時間でしたが、印象は?

まだご挨拶した程度ではありますが、話している言葉に強さがあって、アーニャっぽさがすごくあったと思います。木下さんは、ディズニー実写映画『アラジン』を観ていたので、「あ、ジャスミンの声だ」と。ミーハーですみません(笑)。ふたり違う良さを持ったものが作り上がるんじゃないかと、本当にすごく楽しみになりました。

――ご自身の役がトリプルキャストは初めてですか?

初めてですね。

――どんな風に思ってらっしゃいますか?

(三浦)宏規君に聞いたら、「稽古を観る時間も多くなって、自分の役を客観視できるから、いろいろ勉強になるよ。そういう捉え方で来るんだとか、良いところだけを盗んで自分なりの(ディミトリ)を作ればいいんじゃない?」と。お前、レミ(『レ・ミゼラブル』)やったんだなと(笑)。

(現場爆笑)

歌合わせをして初めて(他のふたりの)歌を聞いた時に、そこでブレスしたり、そういう表現をするんだとか、自分ではこういう表現にしようと決めていたものと違う表現がそれぞれにあって、良いものをたくさん聞けるので、僕はwin-winなんじゃないかと思います(笑)。

――頭が3つになるということですものね。自分だけじゃない考えが聞ける。ちなみに、歌の解釈の違いで「えっ」と思ったことはあります?

ブレスの入れ方や伸ばす場所など、結構ありました。台本もまだ読んでいないからこそ、多分今はディミトリ半分、自分半分というのがある。芝居表現には自分が出ることが多いので、すごく新鮮でした。

――実際に演出チームが海外からやってきますが、稽古までに準備しておこうと思っている事はありますか?

歴史の勉強もそうですが、英会話に通い始めました。これからいろいろなグランドミュージカルにも出たいと思っているので、英語も必要かなと思います。ボイトレ(ボイストレーニング)にも通っているので、いろいろ頑張ります。

――ボイトレに通っていて、声が違うところから出るとか、自分でも手応えなど実感している事はありますか?

たくさんありすぎて。大きくいえば呼吸の方法でしょうか。呼吸の入れ方が全く違うんだと教えていただいたり、歌合わせの時に海宝さんの歌を聞いて、そこで響かせているんだ、自分もやってみたいなとか、ボイトレで教えてもらったからこそ、どこで響かせているのかもわかってきたり。

『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』の時も、共演者の方々に歌う姿を稽古場でずっと見ていたんですよ。「ここでこういう顔をするからここで響いて、今高音を出しているんだ、次じゃあやってみよう」みたいな。そういうポジションの位置をずっと見ていました。それは多分、僕が根本的に歌が好きだからだと思います。YouTubeでも、歌のうまい人を探して、「これうまいよ」とか三浦宏規くんにすぐLINEを送って。お互いに歌が好きなので、この間来日していた「ディカペラ」という、ディズニーのアカペラ集団がいるのですが、それに僕がはまって三浦宏規くんに送ったら「僕もちょうどはまっていた」と言うので、ふたりでシアターオーブに観に行きました(笑)。好きで追求しているからこそ、こういう風に繋がれたのかなと思います。

――ちなみに、オーディションの結果がわかったのはどのくらいのタイミングですか?

オーディション後、そんなに間を開けずに情報解禁だったので、もう気持ちがついていけませんでした。出ているキャストがすごい!みたいな(笑)。

――トリプルキャストは、見てびっくりでしたか?

見てびっくりでしたね。震えました。本当に大好きな先輩と共演できる、しかも同じ役で!って。

――じゃあご自身が一番驚いたかもしれない?

驚きましたし、何より親が喜んでくれたので良かったです。

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

■落ち込んでいる時にひびく台詞や歌が、このミュージカルには必ずある

――先ほどアナスタシアのおふたりのお話は出ましたが、他の共演者で楽しみにしている方はいらっしゃいますか?

もちろん、皆さんです(笑)。皆さんからたくさん学びたいです。

――アンサンブルの方でも知っている人はいますか?

共演は1度もないです。

――ひとりも!?

はい、今回ひとりもいないんです。

――この人の出ているこの作品が衝撃的だったとかは?

海宝さんの『イヴ・サンローラン』を観に行きました。その頃に、ミュージカルについていろいろと調べていたんですが、衝撃を受けたのが海宝さんだったんです。アルバムを聞いて、歌声が大好きになって。海宝さんが出演されていた、『恋するブロードウェイ』というコンサートにも、今出られるようになりました。昔の映像を見ていて、昔から素敵だったんだと思ったり。相葉さんは今出演している作品の先輩ですし、ふたりの後を追いかけている感じです。

――楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

『アナスタシア』ならではの煌びやかさ、華やかさがありますし、すごく楽曲も良いので、観劇し終わったお客様の心にも耳にも残るような作品じゃないかと思います。何より、落ち込んでいる時にひびく台詞や歌がこのミュージカルには必ずあると思うので、観てくださったお客様の背中を押せたらいいなと思います。ぜひ、シアターオーブ、梅田芸術劇場に来てください。

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

内海啓貴さん=撮影・岩村美佳

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