2020年10月9日(金)から10月28日まで日生劇場で、続いて、富山、兵庫、福岡、名古屋で上演されるミュージカル『生きる』に、渡辺光男役で出演する村井良大さんにインタビューしました。黒澤明監督の映画『生きる』を初ミュージカル化した2018年の初演時には、日頃ミュージカルを観ない観客層までも動かし、観客が総立ちで前のめりのステンディングオベーションを送ったこの作品。メインキャストのほとんどが続投となるなかで、唯一の初出演となる渡辺光男役の村井良大さんにインタビューしました。上、下に分けてお届けします。
--ミュージカル『生きる』への出演が決まってどう思いましたか?
『生きる』と先日出演させていただいた『デスノート THE MUSICAL』は、共に梶山プロデューサーが作られている作品ですが、『デスノート THE MUSICAL』は大阪、福岡公演が中止になり、梶山さんにもお会いできないまま終わってしまって、すごく苦しい悲しい気持ちになったんです。今回また呼んでいただけて、あの時に果たせなかった思いが、もう一度ちゃんとできるんだと思えたことが何より嬉しかったです。
その後、演じさせていただく渡辺光男役について考えました。渡辺勘治役を演じる市村正親さんと鹿賀丈史さん、演出の宮本亞門さんなど、ほとんどの方々とはじめてご一緒させていただくのですが、みなさんは本番を経験されているので、分かっていることがたくさんあって、今回の再演で更に深みを増すと思うんです。でも、僕は何も知らないままに参加するので、努力しなければと。
--初演はご覧になりましたか?
映像で拝見しましたが、映像でもすごいなと思いました。これは泣くなと。すげぇいいミュージカルだなぁ!と、シンプルに思いました。
--「すげぇいいミュージカルだなぁ!」っていいですね!
もう本当に! 市村さんと鹿賀さんのあったかさというか、素朴さというか、お芝居の核がすごく素敵で、応援したくなっちゃいましたね。そして、「なんだよ!光男!」って思っちゃいますよね。最後まですれ違っちゃうというのが、昔からのドラマの作り方というか。そこがすごくいいなと思いました。
最初は、あの映画をどうミュージカルにするんだろうという興味が湧きましたが、見てみたらこんなにもミュージカルとして完成できてしまうのかと驚きました。でも、映画を観たときも、いろいろなところに歌が入ったりだとか、ミュージカル向きな作品だなと、ちょっと思ったんですよね。やはり皆さんブランコの写真を見ているから、ちょっと暗そうな話に見えると思うんですが、意外と明るい映画だなと思って。黒澤さんが撮る映画は内容が重いだけに、エネルギーがめちゃめちゃ眩しくて、明るく感じます。光の色が何色かわからないけれど、光が強いから、とにかく明るい。真っ赤だけれど、すごく明るいなって思うんです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、共演者のうち渡辺勘治役の市村正親さんと鹿賀丈史さんについて、小説家役の新納慎也さんと小西遼生さんのうち新納さんについて伺ったお話を掲載しています。8月8日(土)掲載予定のインタビュー「下」では、小説家役の新納さんと小西さんのうち小西について伺った部分と、新型コロナウイルスの影響による約2ヶ月の自粛期間で考えたことなどについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■レトロな感じですが、逆に音楽はポップなので、その対比もいいなと
■市村さんの勘治は近寄ってくる感じ。だから離れた方が効果的だと思う
■鹿賀さんの勘治は自ら離れていきそう。だから、攻めてみたい
■新納さんの小説家は、新納さん100で殴りにきたみたいな。それが武器
<ミュージカル『生きる』>
【東京公演】2020年10月9日(金)~10月28日(水) 日生劇場
【富山公演】2020年11月2日(月)~11月3日(火・祝) オーバードホール
【兵庫公演】2020年11月13日(金)~11月14日(土) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【福岡公演】2020年11月21日(土)〜11月22日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【名古屋公演】2020年11月28日(土)~11月30日(月) 御園座
公式サイト
http://www.ikiru-musical.com
<関連リンク>
村井良大(舞プロモーション)
http://www.my-pro.co.jp/aa/murai.html
村井良大 Twitter
https://twitter.com/ryota_muraidesu
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■レトロな感じですが、逆に音楽はポップなので、その対比もいいなと
--彩度が強い感じですか?
そうですね。だから、その明るさと音楽がミュージカル化してもマッチする。あとは、時代はレトロな感じですが、逆に音楽はポップなので、その対比もいいなと思いました。
--私は初演を、TBS赤坂ACTシアターの二階席の一番後ろで拝見したのですが、結構男性観客が多かったんです。ミュージカル観劇に慣れてはいない感じの男性が、ちょっと観てみようと来ている感じで。その観客達が、フィナーレで速攻スタンディングオベーションをしていたんです。なかなかない体験でした。
それはきっとその男性達に響いたんでしょうね。でも、響く理由がわかります。日本人の誰もが共感してしまう要素がたくさんありますし、男が観たら余計に響くだろうなと思いますね。非常に日本人向きですよね。
--日本人の機微に響く、そのポイントを突いてくるような。
そうですよね。だって、暗い話なんだけれど、ちょっと笑えるじゃないですか。あの感じがいいなと思いますし、誰もが共感してしまうような、市村さんと鹿賀さんのパワーもあると思うんですが。いい作品だなと、シンプルに思いますね。
■市村さんの勘治は近寄ってくる感じ。だから離れた方が効果的だと思う
--ご覧になって、市村さんと鹿賀さんの違いをどう感じましたか?
市村さんは映画の勘治に近い感じなのかなと思って、鹿賀さんは勘治という人間をご自分なりに読み解いたらこうなった、みたいな感覚かなと思いました。僕の勝手な感想ですが。
--そのおふたりと息子役でご一緒されることについて、どう感じていますか?
対面して芝居をするときは、市村さんとはどちらかというと、近寄ってきたら離れる。光男が「お父さん、何やっているんですか!」と聞いて、「いや違うんだよ」と市村さんが近づいてきたら、離れた方が分かりやすいと思うんです。
--なるほど! 市村さんは、話を聞いてくれそうということですよね。
そう。だから、僕が「いや、聞かない」という風にした方が効果的じゃないのかな。いま、パッと思ったことですが。
■鹿賀さんの勘治は自ら離れていきそう。だから、攻めてみたい
--鹿賀さんは?
鹿賀さんが演じられる時は、鹿賀さん自ら離れていきそうな気がするんです。むしろ鹿賀さんのときは、攻めた方がいいのかな、と(笑)。
--鹿賀さんの方が黙々と自分の世界を生きているような感じがしました。
そうなんです。だから、鹿賀さんのときは、いじめてしまおうかと…。
--いじめてしまおうかと!(笑)
市村さんのときは、意地悪して……。
--なるほど(笑)。
その方が効果的な気がする。見ている方々が「光男、何だよ、もう」と思ってくれるように。だから、微妙なニュアンスを変えたり、芝居を変えたりするかもしれないです。亞門さんと作っていくなかでどうなるかわかりませんが、印象としてはそう思いました。
■新納さんの小説家は、新納さん100で殴りにきたみたいな。それが武器
--面白いですね。小説家役の新納慎也さんと小西遼生さんもダブルキャストになりますね。
新納さんは、新納さん100で殴りにきたみたいな。新納さんは、新納さんイズムですべてできるのがすごいんですよ。新納さんが持っている性質をご自身で本当に理解して、それを信じてやっているのが新納さんの一番の武器なんじゃないかな。その武器を『生きる』でもバリバリ出している。本当に素晴らしくて羨ましいです。御本人はすごくハッピーな方なので、そのハッピー感が出ているのがいいですよね(笑)。現場にいるだけで明るくなるので、すごく素敵。現場にいつもいて欲しい(笑)。新納さんがいるだけで安心します。
--(笑)。
ただ、役としてみると信用できない変なヤツ。うさん臭くて、正しい仕事をせずに稼いでそうな匂いがする。だから、距離をとってしまう。「何なんですか、あなたは」というのがぴったりな感じというか。芝居の絡みもそんなに多くないですし、光男は彼が小説家をやっていることすら知らないですが、「真面目にやってるの?」みたいな人をお父さんが近くにいるのを許していることで、お父さんに対しても「何やっているんですか?」と思ってしまう。でも、みんなそうなりますよね。
--そこに納得する。
同じ状況だったら、絶対そう思いませんか?
--思いますね(笑)。
自分のお父さんが、怪しげな風体の小説家と一緒にいたら、「あなた何者?」みたいに思いますよね。要は見た目で判断してしまうようなところが。
※村井良大さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは9月7日(月)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
村井さんが日生劇場に立つのをずっと待っていました!!
村井さんの作り上げる光男がとても楽しみです!!
アイディアニュース様素敵な記事と写真をありがとうございました!!
普段はブロードウェイを見ることが多いので、日本人向きだと聞いて余計に楽しみになりました。観劇する際は村井さんの役に対する思いや相手に対しての距離のとり方など思い出して見てみることで、また更に面白く感じることができるのかなと思います。興味深い記事をありがとうございました。
『生きる』公演とても楽しみです。
村井さんの、作品や役に対する考え、またお人柄などがうかがえてとても興味深い記事でした。ありがとうございます。
村井良大さんの日生劇場デビューを楽しみにしています。
光男の役どころを的確に捉えてらっしゃるのが感じられて、面白いインタビューでした。
正統派二枚目の素敵なお写真に圧倒されつつも、村井さんの作品や役に対する感性が率直な言葉で語られていて大変興味深く拝読しました。明日の下も待ちきれません。
「生きる」はまだ観たことがないのですが、このインタビューを通してどんな作品なのかイメージがどんどん膨らみ10 月の開幕がますます楽しみになりました。そしてこれはWキャストあらゆる組み合わせ全部を観なくては!と思いました。
日本人の心に響くミュージカルってどんななのでしょう。そういうのが観たかったのです。
そしてどんな風に、なんだよ!光男!って思わせてもらえるのかも楽しみのひとつになりました。