阪急阪神ホールディングスグループの1つとして2020年4月に設立された「株式会社タカラヅカ・ライブ・ネクスト」の旗揚げ公演で、2021年4月に宝塚歌劇団を退団した彩凪翔さんの退団後初の主演舞台作品、The Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXT!!『アプローズ』~夢十夜~が、2021年9月8日から9月9日まで東京の日本青年館ホールで上演され(スペシャルゲスト:彩輝なおさん)、9月23日(木・祝)からは兵庫の宝塚バウホールで9月26日(日)まで上演されます(スペシャルゲスト:水夏希さん)。9月25日(土)16:00公演はライブ配信されます。アイデアニュースでは、8月16日と17日に彩凪翔さんのインタビュー上下を掲載し、9月9日に公開舞台稽古の動画を掲載しましたが、さらにテキストと画像によるレポートで、『アプローズ』~夢十夜~を紹介します。
このステージの主人公は、舞台に夢見る若者「翔」。19世紀初頭に開場した古いオペラハウス「アプローズ座」を訪れた翔は、劇場の眠っていた時間を目覚めさせ、夢追い人たちの魂に出会うのでした。夢見る者たちが出会うとき、そこには情熱が生まれます。そして、新たな夢を呼び覚まします。
時には、心にそっとしまい込んでいた夢を再び蘇らせることでしょう。もしかすると夢とは、たとえ個人的なものに思えて孤独なような気がしていても、その気持ちを抱くだけで、多くの人と繋がれるものなのかもしれません。「私の夢」という思いは、これまでに出会った多くの人の夢によって支えられているような気がします。
あるいは、叶えられなかった人の夢をも含んでいるのではないでしょうか。翔と夢追い人たちの「夢十夜」に、そして、多くのファンの夢が乗せられた彩凪翔さんの新たなステージの始まりにアプローズ=喝采を送りながら、自分の中にも新たな夢が生まれ、眠ってしまっていた夢が目覚めたかのような幸福感を覚えました。
※こちらは東京公演開幕時の彩凪翔さんと、作・演出の三木章雄さんのコメントです。
<彩凪翔コメント>
宝塚歌劇団を卒業して5ヶ月ほど経ちました。私自身にとっては新たな冒険であり、タカラヅカ・ライブ・ネクストの旗揚げ公演でもあり、主演させていただくことを大変光栄に思うと共に責任を感じています。新しいことを始める時、新しい作品に挑む時は、いつも必ず試行錯誤します。今回の作品は、これまでとは違った環境で、お衣裳や魅せ方、色々なことを出演者全員で相談して作り上げた大切な作品となりました。出演者一人一人の素晴らしいパフォーマンスをご覧いただいて、明日への希望を感じ、明るい気持ちになっていただけたら嬉しいです。最高のメンバー、最高のスペシャルゲスト、そして最高の生演奏でお届けいたします。楽しみにしていただいているお客様に、素敵な時間をお届け出来るよう、心を込めて演じさせていただきます。
<作・演出 三木章雄コメント>
「アプローズ」は、タカラヅカ・ライブ・ネクストの旗揚げ公演として、彩凪翔を中心にした8人の卒業生と、ゲストの元トップスター彩輝なおを日本青年館ホールに、水夏希を宝塚バウホールに迎えて贈る小さなミュージカルショーです。卒業生たちに新たな一歩を踏み出す場所と機会を提供するという理念のタカラヅカ・ライブ・ネクストの誕生ということを踏まえた物語はやはり、夢を追う!がテーマです。19世紀初頭から続く古いオペラハウスを舞台に、長い旅の末、そこにたどり着いたスターになる夢を抱く若者 翔と、彼を迎える200年間愛する舞台に棲みつき見果てぬ夢を見続ける「夢見るものたち」が出会い、互いに競演し稽古し切磋琢磨し、信頼関係を築くまでの、十夜のエピソードをショーアップしてお目にかけるものです。夢と野心に燃えて劇場に現れる若者 翔は彩凪翔。夢に生きるナイーブでエネルギッシュな姿は正に彼女がタカラヅカで生きて来た軌跡に重なります。バークレーに学んだジャズピアニスト栗山梢の音楽、ドイツで研鑽を重ねたコンテンポラリーの森優貴の振付。宝塚歌劇出身者に新たな光を与えるスタッフを得て、彼女たちの新生面を御目にかけるステージになればと。タカラヅカも、ライブも、ネクストも、皆様には見えたのでしょうか? アプローズを!よろしくお願いいたします。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、彩凪翔さんが「幸福の王子」のツバメ役を演じたシーンについて、スペシャルゲストの彩輝なおさんとの共演シーンについて、また共演キャストの皆さんとのシーンの様子などについて紹介したルポの全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「幸福の王子」でのツバメ役。夢追い人たちが応援し「ツバメのように青空へ!」と
■夢見ることの大切さ、夢に向き合う尊さを教えてくれた、彩輝なおとの共演シーン
■音花ゆり、貴千碧、透水さらさ、風馬翔、星乃あんり、笙乃茅桜、星吹彩翔、見どころ山盛り
■タカラヅカに、ライブに、ネクストに。彩凪翔の夢十夜のその先に。心からのアプローズを
<The Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXT!!『アプローズ』~夢十夜~>
【東京公演】2021年9月8日(水)~9月9日(木)(スペシャルゲスト:彩輝なお) 日本青年館ホール(この公演は終了しています)
【兵庫公演】2021年9月23日(木・祝)~9月26日(日)(スペシャルゲスト:水夏希) 宝塚バウホール
公式サイト:
https://www.takarazuka-live-next.co.jp/stage/2021/applause/
<ライブ配信>
【日時】2021年9月25日(土)16:00公演(スペシャルゲスト:水夏希)
https://www.takarazuka-live-next.co.jp/system/information/11
※アフタートークショー(彩凪翔、音花ゆり、透水さらさ MC:星乃あんり)あり。アーカイブ配信なし
配信チケット:
ライブ配信視聴券:4,000円(税込)⇒[Go Toイベント]適用で3,200円
公演パンフレット郵送サービス付きライブ配信視聴券:5,500円(税込)⇒[Go Toイベント]適用で4,400円
視聴チケット購入ページ:PIA LIVE STREAM(ぴあ)https://t.pia.jp/pia/events/pialivestream-userguide
<キャスト>
彩凪翔
音花ゆり、貴千碧、透水さらさ、風馬翔、星乃あんり
Guest:笙乃茅桜、星吹彩翔
Special Guest:彩輝なお(日本青年館ホール公演)、水夏希(宝塚バウホール公演)
<スタッフ>
作・演出:三木章雄
音楽:栗山梢
振付:森優貴、風馬翔
美術:大橋泰弘
衣装:大津美希
照明:氷谷信雄
音響:遠藤充
歌唱指導:彩華千鶴
舞台監督:中倉康次
協力:宝塚歌劇団
主催:タカラヅカ・ライブ・ネクスト/梅田芸術劇場
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■「幸福の王子」でのツバメ役。夢追い人たちが応援し「ツバメのように青空へ!」と
一人称は「僕」で統一されており、宝塚歌劇団の男役としての雰囲気も纏っている主人公「翔」。「この容姿でも、スターになるためには努力がいるの?」と無邪気に問いかけ、風馬翔さん演じる夢追い人の魂に「甘い!」と叱責されるシーンが最初の方にあります。「夢を見るなんてつまらない、僕は夢をつくる者になるんだ」。最初はそう豪語していた翔の成長物語です。
劇場で出会った夢追い人たちに出会い、彼らに叱咤激励されながら翔は次第に憧れの舞台へと近づいていきます。「この容姿があれば大丈夫だろう?」と言っていた頃の翔は姿を消し、ダンスや歌に励み、ついに「幸福の王子」での「ツバメ」役で初舞台を踏むのでした。懸命に取り組むほどに「全然できない」という思いを知った翔。そんな姿を、夢追い人たちは応援し、「ツバメのように青空へ!」と送り出します。スターになった翔は遂に、「アプローズ座」柿落としの舞台に立ったスターであるジュリエッタの魂に出会うのでした。
演じて、踊って、歌って。作品そのものが、「これぞShow!」であり、その要素全てを主人公として表現してくださった彩凪翔さん。終盤に全員で歌い踊る「Show must go on」。歌詞に含まれる「ショウ」の音を聴きながら、Showと翔、彩凪翔さんご自身が重なりました。そして、タカラヅカ・ライブ・ステージという場に引き継がれ、また新たな魅力を生み出していくであろう「宝塚歌劇」という名のShowそのものも。そのすべての「ショウ」が進みゆくことへの希望を、主人公の翔として彩凪さんは体現されていたのだと思います。
■夢見ることの大切さ、夢に向き合う尊さを教えてくれた、彩輝なおとの共演シーン
東京公演のスペシャルゲストである彩輝なおさんとの共演シーン。ここは「夢舞台」と題されており、まさにその通りでしょう。出演されているご本人の夢が叶っている瞬間を拝見できるということは、かくも幸せなものなのかと、気づけば私も涙がこみ上げていました。夢を見ることの大切さ、夢というものに向き合う尊さを教えてくださるだけでなく、夢が叶う瞬間も見せていただけたステージでした。
そして、このコーナーでは「一人の彩輝なおさんのファン」としての彩凪さんを拝見することができました。トークでは、彩凪さんのファンっぷりが炸裂。彩輝さんとの初稽古は宝塚音楽学校の稽古場で行われたそうです。その際に「ここが職員室でね…」と、当時の様子を思い出しながら彩輝さんがツアーをしてくださったときのこと。「さえこさん(彩輝さん)は、この部屋をお掃除されていたんだなあと、想像しながら歩いていて。完全にファンですよね(笑)」と自らおっしゃるシーンもありました。
また、稽古中に彩輝さんが「ジャワの踊り子」の「恋を呼ぶ歌」を歌われたときのこと。曲が終わったらすぐにMCとしてスタンバイすることになられていた彩凪さんでしたが、号泣しながら聴き入るあまりに、なんと出番を忘れてしまったそうです。ちなみにこの曲のリクエストは、彩凪さんによるものとのことでした。ふと関西弁も飛び出すなど、トークコーナーでもチャーミングな魅力たっぷりの彩凪さんでした。
■音花ゆり、貴千碧、透水さらさ、風馬翔、星乃あんり、笙乃茅桜、星吹彩翔、見どころ山盛り
主人公の彩凪さんはもちろんのこと、共演されたキャストの方々も、歌にダンスに実力派揃い。これぞ宝塚!というステージでした。在団時代にエトワールとして活躍された音花ゆりさんに、透水さらささんの圧巻のソロナンバーも印象的です。「Jupiter」や「Amazing Grace」などの名曲もまた新たな響きとなり、心揺さぶられました。
貴千碧さんのダンスの見どころも盛りだくさんです。「幸福の王子」の中では、恐らく「死」と「天使」を象徴していると思われる役で登場されます。「ツバメは凍え死んだ」「天国で幸福になった」などと、歌やセリフなどの言葉では語られませんが、理解するのではなく感じ取ることができるシーンとなっているのは、ダンスだからこそだと思いました。「翔」とのダンスシーンも迫力があります。
そして風間翔さん。芝居でもダンスでも大活躍です。彩凪さん演じる「翔」とのやりとりでは、コミカルなシーンも一番多いですが、甘さに気づかせ、翔の成長のきっかけとなる重要な役どころでもあります。また「こっぺりあ」の場面では、機械仕掛けの人形オランピア役を演じています。ダンスから目が離せません。星乃あんりさんは、「風車」のシーンではとてもキュートで可憐な芝居を見せてくれます。風を探していると語る彼女は「昼の星も、冬のたんぽぽの根っこも、大事なものは目に見えないけれどちゃんとあるの」というメッセージを翔に伝えます。
続いて登場するのは、笙乃茅桜さん。「チュチュ」と名乗る彼女は、まさにチュチュを着けて登場します。アプローズ座のバレリーナだったのでしょう。彼女はいつも明るく一生懸命。翔に「どんな小さなことにもありったけの力を使うの!」というアドバイスをします。「幸福の王子」の舞台を成功させた翔が去った後の舞台に登場し、「翔はもう来ないのね」と一人ワルツを踊る姿が切ない余韻となります。星吹彩翔さんは、「こっぺりあ」のシーンに注目です。表情豊かな歌声とダンスによって、コミカルな中にもどこか物悲しさをも感じました。
■タカラヅカに、ライブに、ネクストに。彩凪翔の夢十夜のその先に。心からのアプローズを
演出を手掛けられた三木先生が開幕に際して発表されたコメントは、このような問いかけで締め括られていました。「タカラヅカも、ライブも、ネクストも、皆様には見えたのでしょうか?アプローズを!」。
見えました。見せていただきました。これは、翔が夢追い人たちの魂と出会い、そしてスターとなる物語です。翔の姿に、タカラジェンヌたちの姿が重なりました。宝塚歌劇団を夢見て、タカラジェンヌとなり、そして卒業される。
数々のタカラジェンヌたちがそれぞれに夢見て、夢をつくりながら積み上げてこられた時間を思いながら、この物語は「宝塚歌劇団」そのものをも表しているように思いました。きっと、「アプローズ座」ならぬ「宝塚大劇場」「東京宝塚劇場」にも、多くの夢追い人やスターたちの魂が生きているのではないでしょうか。
タカラヅカに、ライブに、ネクストに。彩凪翔さんの夢十夜のその先に。心からのアプローズを送りたいと思います。
バウ公演を2回観劇することができました。
タカラヅカ・ライブ・ネクスト様の旗揚げ公演で主演という大役を、彩凪翔さんが「翔」という役を通して務めていらっしゃる姿にグッときました。歌・ダンス・お芝居を通して「夢を創る者」としての姿を感じることができました。
キャストの皆様も実力派揃いで、歌にダンスに見所がたくさんでした。
翔くんのこれからの活躍と、タカラヅカ・ライブ・ネクスト様による公演が楽しみです!
バウホールの6公演を劇場で、1公演を配信で観ました。
4月以来のキラキラした翔くんの男役にときめきました。懐かしさと同時に芝居もダンスも歌も毎日更新してくる姿に感動しました。そして新しい男役とも違う柔らかい表情もかいま見ることができました。水さんの後輩への愛情を感じました。
そして、出演者のパフォーマンスの高さとチームワークの素晴らしさに、魅せられました。感謝をお伝えしたいです。翔くん始めみなさんの未来に幸あれです。