2022年3月から4月に東京・名古屋・大阪・長岡で、音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』が上演されます。本作は、第二次世界大戦末期の上海を舞台に、人種やイデオロギーの壁を乗り越えコンサートを開催しようとした人々を描く物語です。日本軍の支配下にも関わらず、租界という名の治外法権が存在し、嵐の中の台風の目のように様々な国の文化が行き交い育まれていた当時の上海。同時に日本軍に対抗する中国国内の政治勢力の思惑も蠢き、“魔都”とも称される都市でした。その上海にやってきた「蘇州夜曲」や「別れのブルース」などのヒット曲を世に送り出した新進気鋭の作曲家・服部良一を中心に、音楽を通じて絆を結び合う人々の葛藤と夢を描くドラマとなります。演出を務めるのは、河原雅彦さんです。
アイデアニュースでは、李香蘭(りこうらん)を演じる、木下晴香さんにインタビューしました。インタビューは、上、下に分けてお届けします。「上」では、お稽古のこと、李香蘭について調べながら感じたこと、稽古が進む中でイメージしていた李香蘭像が変化してきたこと、作品のあらすじや、今に響く台詞があること、共演者の松下洸平さん、白洲迅さん、山内圭哉さん、山西惇さんのことなどについて話してくださった内容を紹介します。
「下」では、2021年12月に上演された『彼女を笑う人がいても』で、初めてストレートプレイに挑戦したときのこと、その時に、演出の栗山民也さんに教えていただたいたこと、ストレートプレイを経て、今回の作品に出演するにあたって変わったこと、ミュージカルで歌うときに大事にしていること、劇中で「李香蘭」として歌うこと、『彼女を笑う人がいても』で二役演じた際に「声」について感じたこと、演出の河原雅彦さんと役作りの上で話していること、2022年の抱負について話してくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは、2月初旬に実施しました)
ーー今、お稽古はいかがですか?
1幕をどんどん進めていて、繰り返しながらやっている状態です。まだ手探りな感じもありますが、松下さんが「今はまだ固めずに試せる時期だよね」とおっしゃっていたので、私もいろいろチャレンジしながら、自分なりの李香蘭像をみつけていけたらいいなと試している状況です。
ーー今、ご自身で思われている李香蘭像はいかがですか?
事前に調べている時には、ご本人のお写真や歌われている姿から、ミステリアスで妖艶な、かっこいい女性というイメージが割と強かったんです。でもお稽古しながら、よくよく考えてみると、それは女優として表に立っている姿なのだと感じました。
今回の劇中では、舞台に立っていないプライベートな時間も多く描かれています。ですから、表舞台に立っているときに感じる印象は、そこまで気にしなくてもいいのかなと演出の河原さんとお話しています。
ーーオフの部分も見えてくる李香蘭ということですが、彼女は木下さんからご覧になって、どのような女性ですか?
まず、すごく落ち着いた頭のいい方だなという印象でした。後々、いろいろな活動もされていて、人のためにご自身の能力や賢さを生かしていらっしゃる方だというイメージを、一人のミュージカルファンとして持っていたので、年齢を調べたときに最初びっくりしました。この作品で描かれるのは、彼女が24、25歳の頃になりますし、例えばよく見る写真など、「この時まだ、22、23歳なの?」と、すごく衝撃を受けました。もっと大人っぽく見えていたので。
ーーとなると、木下さんと、ちょうど同じくらいの年齢になりますね。
そうなんです。意外と同じくらいなんだなと思った時に、李香蘭さんほどではないですけど、私も普段、大人っぽく見られちゃうなあと(笑)。そういう部分は、私自身が落ち着いて見られる要因を探って自覚した上で、生かして演じられたらいいのかなと思っています。
ーー木下さん、ぴったりですね。
頑張ります。
ーー今回の作品は、物語の詳細は、まだあまり世の中に出ていないですよね。どのようなお話ですか?もしも伺えることがありましたら、可能な範囲で教えてください。
戦時下の1944、45年の上海という厳しい状況下で、「夜来香ラプソディ」という音楽会を開くために、作曲家と歌手、そして音楽を愛する人たちが奔走し、突き進んで行く物語です。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品のあらすじや、今に響く台詞があること、共演者の松下洸平さん、白洲迅さん、山内圭哉さん、山西惇さんのことなどについて話してくださった内容など、インタビュー前半の全文を掲載しています。3月3日掲載予定のインタビュー「下」では、2021年12月に上演された『彼女を笑う人がいても』で、初めてストレートプレイに挑戦したときのこと、その時に、演出の栗山民也さんに教えていただたいたこと、ストレートプレイを経て、今回の作品に出演するにあたって変わったこと、ミュージカルで歌うときに大事にしていること、劇中で「李香蘭」として歌うこと、『彼女を笑う人がいても』で二役演じた際に「声」について感じたこと、演出の河原雅彦さんと役作りの上で話していること、2022年の抱負について話してくださった内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■音楽への熱い思いが語られ、コンサートシーンもある作品。重く感じずに観に来て
■コロナと戦争は異なるが、響く台詞がたくさん。今に当てて書かれたような作品
■芝居の熱量で振り回してくれる松下さん。芝居でのぶつかり方が素敵な白洲さん
■山西さんの明瞭な台詞、山内さんの説得力。素敵な先輩方との勉強になる稽古場
< 音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』 >
【東京公演】2022年3月12日(土)~3月27日(日) Bunkamuraシアターコクーン
【愛知公演】2022年4月3月(日) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大阪公演】2022年4月7日(木)~4月10日(日) サンケイホールブリーゼ
【新潟公演】2022年4月16日(土) 長岡市立劇場 大ホール
公式サイト
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/cube25thpresents
『夜来香ラプソディ』 関連記事:
- 「1年単位で物事を考えてきた20代。30歳からは、10年スパンで」、白洲迅(下) 2022年3月7日
- 「やっぱり舞台って難しいな」『夜来香ラプソディ』、白洲迅(上) 2022年3月6日
- 「大事にしてきたことが、意外と間違っていなかった」木下晴香(下) 2022年3月3日
木下晴香 関連記事:
- 『ザ・ビューティフル・ゲーム』 、全キャスト発表 2022年11月4日
- ミュージカル『 アナスタシア 』再演決定、2023年9月・10月に東京・大阪 2022年9月9日
- 「念願が叶った『シラノ・ド・ベルジュラック』」、古川雄大(下) 2022年3月31日
※木下晴香さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月2日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、よろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■音楽への熱い思いが語られ、コンサートシーンもある作品。重く感じずに観に来て
ーー物語の背景となる時代を踏まえると、重めなのか意外と明るいシーンがあるのかどうなのかなと想像していたのですが、作品のトーンはいかがですか?
史実に基づいたところがたくさんあるので、登場人物が各々抱えている葛藤や暗くなりそうな気配、2幕で何かが起こるのかなという雰囲気は漂っています。
でも1幕は、松下さんが演じる服部先生と、白洲さんが演じる黎先生が出会って、音楽に対する思いを熱く語り、通じ合うなど、明るいエネルギーが爆発しているシーンもあります。コンサートの開催を目指して、コンサートのシーンも間に挟みながら進んでいく構成になっているので、重く感じずに観に来ていただきたいなあと思っています。
■コロナと戦争は異なるが、響く台詞がたくさん。今に当てて書かれたような作品
ーーもちろん戦時下とは全く異なりますが、今も大変な時代にエンターテインメントを届けていらっしゃる状況かと思います。お稽古をしながら、登場人物たちに共感するところもありますか?
まさにそうで、今の私たちにすごく響く台詞がたくさんあるんです。コロナと戦争はもちろん違いますが、最初、台本を読み始めた時に「今、この時代に公演を観に来てくださる皆さんに向けての台詞なのかな」と思ったりしました。時代として抱えている問題は違っていても、音楽の力や、エンターテインメントを育てたいという思いは、コンサートを準備している登場人物たちと、稽古している私たちとで、通じる部分がいろいろあるなと感じています。
ーーお稽古をしながら、みなさまでもそういうことをお話されていますか?
「今に当てて書かれたみたいだね」という会話もありました。台本の中の登場人物たちが、本当に熱く、音楽を信じていて、その力がすごいので、キャラクターたちに勇気をもらいながらお稽古しています。
■芝居の熱量で振り回してくれる松下さん。芝居でのぶつかり方が素敵な白洲さん
ーー共演者のみなさまの中でも、特に松下さんと白洲さんとは、一番よく関わるシーンが多いのではと思いましたが、印象に残っていることはありますか?
お二人と共演できるのを、すごく楽しみにしていたので、今、間近でお二人のお芝居を感じられることがとても幸せです。松下さんのお芝居の熱量には、いい意味で、とても振り回していただいています。台本について話している時など、お芝居から離れているときにも、いろいろな案を出してくださったりと、優しいお兄さんです。お世話になってばかりです。
白洲さんとは、結構雑談をさせていただいているのですが、すごく話しやすい方で落ち着きます。白洲さんには、結構クールなイメージを持っていたので、お芝居の時に松下さんにぶつかっていかれる姿が素敵で、とても印象に残っています。
■山西さんの明瞭な台詞、山内さんの説得力。素敵な先輩方との勉強になる稽古場
ーー公式で配信されている動画では、山西惇さんとの共演が楽しみとおっしゃっていました。実際に、お稽古でご一緒されていかがですか?
山西さんはもちろん、本当に今回、みなさまと共演させていただけて幸せなんですよね。テレビや舞台で拝見してきた方々がたくさんいらっしゃって、「私、今その方たちと一緒に喋っている」と思うありがたい日々です。
山西さんは、以前ご出演の舞台を拝見した時に、全ての台詞があまりにも明瞭に聞こえて、ドーン!と衝撃を受けた俳優さんです。稽古場でも「どうなっているの?」と、気付いたらじっと拝見している私がいます。台詞には、強弱や抑揚がいろいろとありますが、どのシーンを拝見していても、声を張り上げているわけではないのに、伝わる言葉が耳に届くそのすごさ。山内さんも、特別なことをされているわけではないのに、説得力がすごいんです。松下さんも、皆さんもそうおっしゃっていますし、素敵な先輩方ばかりで勉強になっております。
※木下晴香さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは4月2日(土)です。 (このプレゼントの募集は終了しました) 有料会員の方はコメントを書くこともできますので、よろしくお願いいたします。
夜来香ラプソディ東京公演を先日観劇しました。毎日色々なニュースを耳にする中、どんな状況にいたとしても昔も今も人の想いは変わらないのだなと、登場人物から勇気と明日への活力をもらえた作品でした。
木下晴香さんのインタビューとてもうれしいです!
実在した人を演じるということで難しい部分もあったのかなと思うのですが、「夜来香ラプソディ」に臨むにあたっての意気込みや出演者とのエピソードなどを知られて面白かったです。
「わたしも(李香蘭と同じく)大人っぽく見られちゃうんです」と話す晴香ちゃん、とってもチャーミングですね(笑)
彼女の舞台にかける想いはもちろんのこと、素の表情が知られるとっても素敵なインタビューでした。
観劇後に、読んでおかなければ、と遡って拝見しました。いいインタビューをすれば、思慮を重ねた深いコメントで返してくれる人ですが、そんなインタビューですね。
共演の皆さんも素晴らしいのですが、晴香ちゃんの気品と透明感のある佇まい、進化する歌と芝居がやみつきになる舞台で、5回も観劇してしまいました。東京楽日前の土曜夜公演の最後のシーン、下手から二人を見つめる晴香ちゃんの右頬を涙がつたったのが印象的でした。
現在出回っている雑誌記事は稽古前が多いのですが、こちらの記事はお稽古の様子などが知れて嬉しいです。早く見たい気持ちが高まりました。
今回、初めましての晴香ちゃんの歌が楽しみです。
座長の松下洸平さんの話も聞きたいなぁ。
とても貴重なインタビューで読み進めていくことでどんどん晴香ちゃんの演じる香蘭が楽しみになります!
彼女を笑う人がいてもを経て更に成長された演技を早くこの目で見たいです
無事に開幕できることを祈っています