2022年3月から4月に東京・名古屋・大阪・長岡で、音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』が上演されます。本作は、第二次世界大戦末期の上海を舞台に、人種やイデオロギーの壁を乗り越えコンサートを開催しようとした人々を描く物語です。日本軍の支配下にも関わらず、租界という名の治外法権が存在し、嵐の中の台風の目のように様々な国の文化が行き交い育まれていた当時の上海。同時に日本軍に対抗する中国国内の政治勢力の思惑も蠢き、“魔都”とも称される都市でした。その上海にやってきた「蘇州夜曲」や「別れのブルース」などのヒット曲を世に送り出した新進気鋭の作曲家・服部良一を中心に、音楽を通じて絆を結び合う人々の葛藤と夢を描くドラマとなります。演出を務めるのは、河原雅彦さんです。
アイデアニュースでは、黎錦光(れいきんこう)を演じる、白洲迅さんにインタビューしました。インタビューは、上、下に分けてお届けします。「上」では、作品や役のこと、久しぶりの舞台出演について、舞台に感じる魅力、役づくりや演出の河原さんとお話していること、共演者の松下洸平さんとのことなどについて話してくださった内容を紹介します。
「下」では、松下洸平さんが演じる服部良一と黎錦光との関係性が、実際の白洲さんと松下さんの関係性にリンクすると感じること、共演者の山西惇さんと山内圭哉さんの素晴らしさ、稽古しながら感じていること、30歳をむかえる今の思い、今後の抱負、挑戦してみたい役、本作への思いについて伺った内容や、お客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは、2月初旬に実施しました)
ーー今、お稽古の進み具合はいかがですか?
1幕まで、全部荒通しができた段階です。
ーー今、1幕まで終えられて、白洲さんご自身は、どのような手応えを感じていらっしゃいますか?
「やっぱり舞台って難しいな」というのが、正直な感想ですね。
ーー舞台へのご出演は、久しぶりですよね。
「何が難しいのか」ということすら、「一個一個噛み砕いていかないと」と思って、日々稽古に臨んでます。言葉をやり取りしながら、どの場面で、どんな感情が起こって、どのような思いが生まれるのかとか。一つ一つをしっかりと受け止めていかないとなと。こういうところが、映像との違いだと感じています。
映像の場合は、印象付けたいところを、カメラが顔をアップにして映してくれるなど、カメラもストーリーを伝える役割を担ってくれています。でも舞台は、人の目を自分で引きつけねばならないので、一つ一つの心情を、より大事にしないと伝わらないなと。稽古が始まって、難しいと感じているのはそこだと思います。今は、いろいろと試している段階ですね。
ーー白洲さんが、舞台作品に感じる魅力や、取り組みたいと思われるのは、どのような点にありますか?
本番ももちろん大事なのですが、僕の中で一番に魅力的に思うのは、「稽古期間」です。今回の作品では、1ヶ月以上ですし、これくらいたっぷりと時間をかけて、「ああでもない、こうでもない」と、ディスカッションしながら作品を作り上げていくこの時間が、とても贅沢だなと思うんです。
特に、ドラマの現場の場合には、台本をいただいて、自分で読み込んで、解釈をして、現場に入る。そこで、みんなで合わせながら進むので、話し合いをする時間は、ちょっとしかないんです。もちろん、一瞬の集中力が求められたり、舞台とは違った面白さがあるのですが、しっかりゆっくり時間をかけて作品を作っていると、「本当にモノを作っているなあ」と、より感じます。
ーー今回の『夜来香ラプソディ』について教えてください。まず、白洲さんが演じられる黎錦光(れいきんこう)という役について、お伺いさせてください。
黎錦光は、中国人の才能ある作曲家です。タイトルにも入っていますが、「夜来香」という曲の作曲家です。当時でいうと、若手の作曲家になるんですかね。
ーー作曲家という役を演じるにあたって、いかがですか?
そこが、難しいんですよね!(笑)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、役づくりや演出の河原さんとお話していること、共演者の松下洸平さんとのことなどインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月7日掲載予定のインタビュー「下」では、松下洸平さんが演じる服部良一と黎錦光との関係性が、実際の白洲さんと松下さんの関係性にリンクすると感じること、共演者の山西惇さんと山内圭哉さんの素晴らしさ、稽古しながら感じていること、30歳をむかえる今の思い、今後の抱負、挑戦してみたい役、本作への思いについて伺った内容やお客さまへのメッセージ、などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■李香蘭についての書籍に登場する黎錦光から、イメージを膨らませていけたら
■河原さんが「この時代の人の生きる熱量を出すには、思い切り苦しく、楽しく」と
■気心知れている洸平くんと、こんな序盤から、役や作品について熱く語り合っている
■洸平くんが、熱量高く演じている服部良一さんは、ものすごく「音楽バカ」
< cube 25th presents 音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』 >
【東京公演】2022年3月12日(土)~3月27日(日) Bunkamuraシアターコクーン
【愛知公演】2022年4月3月(日) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大阪公演】2022年4月7日(木)~4月10日(日) サンケイホールブリーゼ
【新潟公演】2022年4月16日(土) 長岡市立劇場 大ホール
公式サイト
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/cube25thpresents
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※白洲迅さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月6日(水)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、よろしくお願いいたします。
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■李香蘭についての書籍に登場する黎錦光から、イメージを膨らませていけたら
ーー難しいですか?
たぶん、現代の作曲家役をとなっても難しいと思うのですが、今回、そこにプラスアルファして、「終戦間際の中国の上海」という要素が入ってきます。中国人の作曲家といっても、最初はなかなかピンと来なくて、あらゆる難しさが積み重なっています。
当時の作曲家の境遇は、どのようなものだったのだろうかとか。自由に音楽を作れない苦悩もあったと思うんです。
今回の作品には、そういうところが描かれています。現代の一般的な日本人の感覚のままでは通用しないので、もっといろいろなことを勉強したいと思っています。
台本も、その中の台詞も、知識がない状態で読むと「どういう気持ちなのか」と追いつけないところがたくさんあります。演出の河原さんやみなさんと「どういう風にここは思っているのだろうね」「時代背景を考えると、どうなのだろう」と、模索しながらです。
ーー白洲さんご自身が調べてヒントにされているのは、具体的にはどのようなことですか?
黎に関しては、ネットで調べても、すぐには出てこないんです。黎を主体として書かれている書籍や資料も、現段階ではまだ見つけられていなくて。でも、李香蘭である山口淑子さんについての書籍はあるので、その中に少し登場する黎から、イメージを膨らませていけたらいいなと思っています。
■河原さんが「この時代の人の生きる熱量を出すには、思い切り苦しく、楽しく」と
ーー演出の河原さんのお話も出ましたが、共演のみなさまと、お話しされていることはありますか?例えば、今回のお話を作っていくなかで、キーワードになるようなことなどがあれば教えてください。
河原さんが、特に声を大にしておっしゃっていることが一つあります。この時代に生きている人たちの「生きる熱量」は、僕ら現代人とは違うということです。戦時下や終戦の時代に、魔都と呼ばれる上海。当時、いろいろなことが複雑に絡み合って、大変な世の中であり、場所だったはずです。
明日が来るかもわからない状況の中で生きているから、苦しい時はものすごく苦しい。その分、楽しい時も、ものすごく楽しむのではないかと。だから、僕らが普段生きている感覚での「苦しい」「楽しい」ではなく、思い切り「苦しい」や「楽しい」を出していかないと、当時の雰囲気は出てこないだろうという話を毎回しています。想像しながら、なんとか膨らませていきたいです。
■気心知れている洸平くんと、こんな序盤から、役や作品について熱く語り合っている
ーー先日、李香蘭役の、木下晴香さんにもインタビューをさせていただきました。木下さんが、松下さんと白洲さんの熱い稽古をご覧になっていて、白洲さんについて「クールなイメージだったけれども、松下さんにぶつかっていく姿がすごく素敵だった」と。具体的には、松下さんとどのようなやり取りをされていますか?
喧嘩とかしているわけじゃないですよ!(笑)。もともと、気心知れているということもあって、こんな序盤からも、役や作品について熱くお互い語り合っているんですよ。そこを見てくれていたのでしょうか。
ーーきっと、そうでしょうね。
作品の中で、黎錦光は、洸平くんが演じる服部良一ととても仲が良くて、その分、ぶつかることもあるという関係性なんです。1幕の中でもぶつかるシーンがあり、河原さんも含めて、そこをどうしていくかを、二人で話し合っています。ちょうど昨日もその話をしました。
■洸平くんが、熱量高く演じている服部良一さんは、ものすごく「音楽バカ」
台本からは、黎錦光という人物は、ちょっと控えめな知的な人という印象だったんです。もちろん、それも大切にしていかなきゃいけないのですが、彼も、熱量としては、服部さんと同じくらいのものを持っているのだろうという認識で、改めて台本を読まねばならないと、実際に稽古場に立ってみて、感じています。服部さんは、ものすごく「音楽バカ」なんですよ。子どもみたいに純粋に喜び、嘆き、悲しむんです。
そこを、洸平くんがすごく熱量高く演じるので、黎はもう少し落ち着いた感じでいいのかなと思いながら稽古を始めたんです。でも、いざやってみると、それでは気持ちが通らなかったり、お互い気持ちが高まらなかったんですよね。そこをどうしようとか、そんな話をずっとしています。
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今まで詳しくミュージカルの事を詳しく掘り下げてのインタビューは初めてだったのでミュージカルの内容や役への考え方などミュージカルがさらに楽しみになるようなインタビューでした。ありがとうございます。開幕まで楽しみです。
素敵なインタビューとお写真をありがとうございます!何度も読み返したい記事です。私は地方在住で今回の舞台を観に行けないので、舞台に出演される白洲さんを取り上げて下さりとても嬉しいです!
読んでいて「贅沢な稽古期間を経て、出演者の皆さんや演出の河原さんと作り上げた舞台は素晴らしいものに違いない!」と観に行けないながらもワクワクして来ました!
何度も読むのでなかなか「下」に行けません!
これから読む「下」も楽しみです!
読み応えのあるインタビューと素敵な写真ありがとうございます。控えめで知的だけど、秘めた熱いものを持ってる白洲迅くんと黎錦光さんはどこか似ている印象を受けました。そんな黎さんを更に熱量を上げてどう演じるのか、楽しみです。
そして、河原さん松下さん筆頭に、深いディスカッションが出来てるという舞台、期待しかありません。
下のインタビューも楽しみにしてます。