「諦めず鍛錬していくことしか自分には出来ない」、平方元基インタビュー(下)

平方元基さん=撮影・岩村美佳

『平方元基プレミアムコンサート2017 ~Wonderful Memories~』を12月21日(木)に、めぐろパーシモンホール大ホールで開く、平方元基さんのインタビュー後半です。有料部分では、これまでの経験を積んだご自身の変化や、今後に向けてお話を伺いました。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

――『キス・ミー・ケイト』を拝見しました。

ありがとうございます。

――全国各地で上演するというのは珍しい経験ですよね?

普段ミュージカルをやらない地方にも行ったのは、とてもよかったです。一長一短で、東京のお客さんは礼儀も正しいし、品があって、見方がちゃんとわかっているし、演劇に慣れているでしょう? 役者同士でよく言うのは盛り上がり方が全く違うねと。地方の人は舞台をあまり観たことがないから、スギちゃんや(川崎)麻世さんが出てきたら「キャー!」となる訳ですよ。それはやはり他の演者にも影響を与えるし、色々ないい所と特色があるんです。

――もう少し平方さんのナンバーも聞きたかったなと思いました。そう感じさせる力を持たれたんじゃないかと。

「諦めない」「自分のキャパを大きくしたい」と思うことを日ごろ鍛錬していく、心がけていくことだけしか自分には出来ないですよね。仕事や役をくださる方々は自分ではないですから。突然良い役をやるのではなく、満を持してやらせて頂いて、成果を出して、「よかったね」「やれるね」と言っていただける方が、僕はいいと思うんです。

――今の平方さんの、3年ぶりとなる『レディ・ベス』は、3年間の経験を経て見られるというのが楽しみです。

再演ですからね。

――ダブルキャストの古川さんも同様に多くの経験を積まれていますし、特にフェリペの登場シーンは今からワクワクします。

(古川)雄大は雄大で、色々な作品にチャレンジして、彼の性格ももちろんよく知っているので、ストイックに頑張っているんだろうと思います。育(山崎育三郎)も(加藤)和樹もみんなそうですよ。初演の稽古から考えると4年近く経っていますが、みんな色々な4年間を過ごしてきましたから。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、筆者が一番最初に平方さんを認識したテレビドラマの『東京リトル・ラブ』から、2018年には博多座公演『舞子はレディ』で故郷に凱旋するまでのことなどについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■どう頑張ればその役が映えて、その作品にきちんと参加出来るか考えるように

■自分がミュージカルをやっていることは正しいのかと、すごく思っていた

■(来年は博多座公演で故郷に)、ちゃんと感謝しないといけない時が来たんだなと

■僕が最後に歌う曲は「絶対これがいい」という曲。その意味が皆さんに伝われば

<平方元基プレミアム・コンサート2017 ~Wonderful Memories~>
【東京公演】2017年12月21日 (木) めぐろパーシモンホール 大ホール

<関連リンク>
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平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■どう頑張ればその役が映えて、その作品にきちんと参加出来るか考えるように

――皆さん、この3~4年で色々なキャリアを積まれましたよね。

僕はどちらかというと、「自分が自分が」とやるタイプではないですが、自分が得てきた知識や実力は遺憾なく発揮させてもらいたいなと思っています。それしかないと思うんです。色々なものが動いている中で出会った人たちなので、とても楽しみです。でも、あまり「頑張ろう!」という感じではなく、その場で受け入れたものをその場でやろうと。

――逆に初演当時は「頑張ろう!」という感じだったんですか?

頑張ろうというか、何て言うんだろう……「訳が分からないけど、頑張ろう」でしたね。

――その「頑張ろう」は、どういう所に向けた「頑張ろう」なんですか?

結局分からないままお客さんの前に立つ日々が始まって、お客さんが怖いとずっと思っていたんです。

――「敵」という感じですか?

それは評価されますし、最初はね。「敵」という言い方は相応しくないですが、きっと舞台に立ってやってみると分かりますよ。でも、上手いか下手かはお客さんが決めるし、好きか嫌いかも決めるのはお客さん。だから僕達は一生懸命やるだけです。一生懸命やっても、良くない時は良くないんですよ。でも、評価を間近で聞くことになるのが舞台の宿命ですし、褒めてくれたことをとても近くで聞けて嬉しいこともあります。初演当時はその距離感がまだ分からなかったんです。

――なるほど。

要は自分が頑張ろうが頑張るまいが、お客さんはその日の僕を見なくてはならないのだったら、自分がお客さんに向けて、お客さんの利益になることをやろうという「頑張ろう」でしたが、今もそれは変わりません。でも、どうやって頑張ればその役が映えて、その作品にきちんと参加出来るかという所まで考えるようになりました。一生懸命すぎて、本末転倒なことになって、自分も舞台に立つのがすごく嫌だなと思うこともありました。

――先ほどダブルキャストの相手を気にしなくなったというか、あまり意識を向けなくなったというのも今のお話に近いんでしょうか?

ダブルキャストは元々そんなに気にならないんですよ(笑)。

――(笑)。先ほどの佐藤さんの歌のお話とか。

自分を変化させようとは思いますが、役と違うなと思ったら結局台本に立ち返ります。僕はキャラクターの方が優先でいいと思ってしまうので。例えば、台本を踏み越えて自分を出してしまうのが「挑戦」と映る人もいると思いますが、役や作品との向き合い方としては、自分の信じる演出家や作品の中ではそういう向き合い方は学んでこなかったですし、そうではない方がいいと思ってきました。今もそう思っています。

結局、役をやっていれば自分に繋がっていますよね。お客さんが観た時に、この声でこの体でやっているからどうやったって自分の役になる訳じゃないですか。それをあえて、そこから先を考えずに決めていくのは違うなと感じていて。だからこそミュージカルの楽曲を並べて歌わせてもらった時に「すごく自分はわがままだったな」「この役について考えていたところに辿りつけなかったな」と思うんです。辿りつけていないけれど、当時は力技で何とか頑張って歌っていたなと思い出します。コンサートの構成を考えながら、今ならどうやってそこを埋められるだろうかと思い、一つ一つがしっかりと自分のピースになっている、ちゃんと大切な思い出になっていると思いました。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■自分がミュージカルをやっていることは正しいのかと、すごく思っていた

――やはり今歌うと変わりますよね。

変わりますね。

――何か思いが残っている役や歌はありますか? 「今ならもう少し出来たのに」とか。

そんなの全部!(笑)。

――(笑)。

役者はみんな、千秋楽が終わった後に思うんじゃないかなぁ。そのなかでもどれだろう……。やりたくなかった役もありますよ(笑)。

――やりたくなかった?

やりたくなかったというか、自分ではこうやりたいと思いながらも、演出家と戦って……というのはあるんです。それって建設的なことなんですよ。『エリザベート』や『ロミオ&ジュリエット』の2回目とか。

――2012年~2013年ですね。

先日のファンミーティングでも言ったんですが、自分がミュージカルをやっていることは正しいのかとすごく思っていたんです。サラリーマンをやっている友達がたくさんいる中で、逃げることとは違うんですが、一般的に見て、「もっとやりたい」とか「やりたいけど、やれない人もいるんだよ」ということではなく、もっと深い意味で劣等感があって、「僕はこんな素晴らしい人たちの中にいられない」と思っていました。

――与えられるものが大きすぎて、まだ自信がなかった?

自信はなかったです。今もないですが、あの頃よりはまだありますね。

――それは積み重ねた経験からでしょうか。

経験と、ファンの方の反応とか(笑)。

――(笑)。

やはりファンの方々は厳しいことも言いますが、最終的には背中を押してくれるんですよね。自分が頑張っていない時には、手厳しいことを言われるだけで終わる。けれど、きちんと向き合ってそういう言葉も受け入れつつ自分で消化した先には、温かく待っていてくれます。みんなで良かったねと手を繋いで。

――ある意味、どの俳優さんのファンになってもいいんですもんね。

そうなんですよね。

――今は同世代の俳優さんが沢山いるじゃないですか。選択権はファンの人たちにあって、その中で平方さんを選んでくれる人数が増えるというのはすごいことですよね。

ありがたいですよね。だから、こうやってコンサートも開かせてもらえるんです。本当は自分のことが好きではない分、「コンサートは自信がないな、嫌だな」という自分の声を聞き続けなければならないのは辛いこともあります。自分は歌手なのか俳優なのか、何なのか分からない。ガラコンサートに出させて頂けるようになった時には、役の中では歌えるけれど、いきなり歌ってと言われても歌えない、壮大なナンバーを「いきなりどうぞ」と言われてもと思いました。「人が死んでしまう時に歌う曲だけれど、どういう風に芝居をするの?」と葛藤しましたね。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■(来年は博多座公演で故郷に)、ちゃんと感謝しないといけない時が来たんだなと

――実は、一番最初に平方さんを認識したのは、テレビドラマの『東京リトル・ラブ』なんです。『ロミオ&ジュリエット』の発表で「あの俳優さんだよね」と思いました。

ありがとうございます。『東京リトル・ラブ』懐かしいですね!

――懐かしいですよね。毎晩10分ずつというのが面白くて(笑)。

なかなかゴールデンタイムの番組って仕事をしていると見れないと思うんですが、帰宅した時間ぐらいから始まるからちょうど良かったですよね。懐かしい! リリィちゃん。今だに連絡を取りますよ。

――舞台は『ロミオ&ジュリエット』で拝見して、次は確実にルドルフ役をやるだろうなと思いましたし。

当時、多分ファンの方にも言われたんですよね。「ルドルフをやるんでしょ?」と言われて、「ルドルフって何?」と思って。「ルドルフって何?どんな役?」と聞いたら、「何でそんなことも知らないの?」と言われました。今ならその流れは分かるんですが、当時は知らなかったですからね。

――あれから8年経って、来年の博多座公演『舞子はレディ』は、故郷に凱旋ですよね。ここまで来た今の思いをコンサートに向けて語って頂きたいなと思います。

福岡の博多座に帰られるというのは、すごく嬉しいです。あの頃の自分は本当に何もなくて、自信もお金も本当に何もなかった。大学も途中でやめてしまっていましたし。生きることをそんなに頑張っていなかったんです。その時に出会えた世界が今いる世界だから、あの頃の自分に常に「大丈夫だよ」と言えるような自分でいたいなと思います。あの頃の自分が今こうなっているとは思っていないですよね。

初めてミュージカルをやった時に握手会を開いた時も来てくれた人たちがいて、今はそれがきちんとファンクラブというものになっている。僕を「知っているよ」と言ってくれる人がいて、「あれよかったよ」と言ってくれる人が目に見えたり、手に取るように分かる舞台の世界に身を置いて頑張ることが出来ている。お客さんにも、会社やスタッフの方にも、舞台を制作してくれる方にも、こうやって話を聞いて記事にして載せてくれる方にも感謝しています。もちろん「ありがとう」と思っていたけれど、ちゃんと感謝をしないといけない時が来たんだなというのは、とても感じています。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■僕が最後に歌う曲は「絶対これがいい」という曲。その意味が皆さんに伝われば

――心から出る言葉として。

だから、本気で「ありがとう」と言える人には、僕も求めるし、求められたいです。8年前は「ありがとう」も照れくさくて言えなかったですね。だからといって、あんなことやこんなことがやりたいという夢も希望も持っていなかったんです。今も通過点ですが、こうやって立っていて、皆さんにも色々と思い出して欲しいですし、僕が立っていた舞台で一緒の空間で共有したことも思い出して欲しいです。僕の思い出もきっと曲に乗せて歌ったりもすると思いますが、そういう皆さんの生きてきた形が上手く絡まって、豊かな空間になるといいなと思っています。すごく優しいコンサートにしたいなと思います。

――その豊かな気持ちで年を越せたら、いいですよね。12月21日と言ったら、本当に年の瀬ですし。

そうなんですよね。僕が最後に歌う曲は「絶対これがいい」という曲なんです。その意味が皆さんに伝わればいいなと思います。

――それを温めて、来年また向かっていくという感じですね。

僕が出会った曲は全て好きなんですが、「その曲を一番最後に歌いたい!」というのが伝わったらいいなと思います。楽しみにしていてください!

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

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“「諦めず鍛錬していくことしか自分には出来ない」、平方元基インタビュー(下)” への 1 件のフィードバック

  1. まな より:

    インタビュ-中の、・・・本気で「ありがとう」と言える人には、僕も求めるし、求められたいです。・・・今も通過点ですが、こうやって立っていて、皆さんにも色々と思い出して欲しいですし、僕が立っていた舞台で一緒の空間で共有したことも思い出して欲しいです。・・・というところにじんときました。この前のファンクラブイベントにも行かせていただいたのですが、自分には厳しいのに、一方通行でなく温かい、優しい気持ちで「どうだった?」とベストを尽くして問いかけてくださるその空気に、こちらも感化されて、一生懸命なにかを感じ取ろう、わたしたちもベストを尽くして一生懸命エ-ルを送ろう、そして日常も頑張ろう、と(平方さんの舞台を観に行ったときとても強く思うことなのですが)強く思いました。とても貴重なインタビュ-を、どうもありがとうございました。また、いろいろなお話を聴けたらうれしいです。岩村さんが思っていらっしゃることも、私たちの思いととてもリンクしていて、それでいて応援する温かい強い波にもつながっていて、心強く励まされる気がしました。頑張ってください!!

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