「表現したいものをミュージカル曲で」、平方元基『コンサート』インタビュー(上)

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さんが、『平方元基プレミアムコンサート2017 ~Wonderful Memories~』を12月21日(木)に、めぐろパーシモンホール大ホールにて開催します。スペシャルゲストは日野真一郎(LE VELVETS)さんと上原理生さん。主にミュージカルナンバーで構成するコンサートになるそうです。コンサートの内容や、今の思いを伺いました。(上)(下)に分けてお届けします。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

――昨年のコンサートとは違った構成になるんですね?

昨年は、ミュージカルのお客さんだけではなく、他のお客さんにも楽しんでもらおうと思って、自分が普段聞いている曲や、ポップスや歌謡曲も多めに選曲しました。終わって振り返ると、みんなが知っている曲を僕が歌っても、お客さんに合わせたような感じになるなと反省したんです。もちろん知っている曲なので飽きないとは思うんですが。

――お客さんに寄せている感じ?

そうですね。自分がやりたいと思ったことですが、「平方じゃなくても別にいいよね」と。やはり僕はミュージカルというものがあって、この世界に生かされているんだということをとても感じたコンサートでもあったので、もし次にやれるとしたらミュージカルの楽曲を多めにやりたいなと思いました。

――なるほど。

その方が自分の中で表現したいものが出るんじゃないかと感じたんです。色々な曲を並べたときに、自分がこの職業をやらせて頂いている中で、ファンの人たちや僕を知っている人たちが、その時々の歴史や思い出と共に蘇るじゃないですか。匂いや音楽などの五感で覚えていることはずっと蘇ることが出来るから、「Wonderful Memories」という副題もつけさせてもらったんです。

僕は自分の歌や声があまり好きではなかったので、コンサートというものに対して、正直すごく臆病だった時期もあって、それを取り払うことが出来たのが昨年のコンサートでした。ならばミュージカルのコンサートで、もう再演出来ないかもしれない作品や年齢的に次はやれないかもしれない作品もありますし、色々な思い出たちをお客さんと共有しながら、歌いたいと思っています。決して舞台だけの思い出ばかりじゃないかもしれないですよね。「あの時はこんな楽しいことがあった」「あんな辛いことがあった」とか。色々なものを乗り越えて、色々なことがあったけど、「今とても楽しい時間を共有出来ているよね」というコンサートにしたいと考えています。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、スペシャルゲストの日野真一郎(LE VELVETS)さんと上原理生さんについて、またこれまで出演した『ロミオ&ジュリエット』『ダンス オブ ヴァンパイア』『王家の紋章』『スウィート・チャリティ』『スカーレット・ピンパーネル』などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。10月6日掲載予定のインタビュー「下」では、『キス・ミー・ケイト』や、以前出演したテレビドラマの『東京リトル・ラブ』などについて伺ったインタビューの後半の全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■今まで感じた人の優しさ、温もり、怖さなどを、楽曲で紡いでいけると面白いなと

■昨年の『ブロードウェイ・ミュージカルライブ』で、3人が同じ楽屋だったんです

■何の音を落としたかという所じゃない表現の方が、最終的には大事じゃないかと

■「総合芸術」に辿り着くには、坂道や障害を乗り越えなければ。覚悟が出来た

<平方元基プレミアム・コンサート2017 ~Wonderful Memories~>
【東京公演】2017年12月21日 (木) めぐろパーシモンホール 大ホール

<関連リンク>
平方元基オフィシャルサイト http://www.horipro.co.jp/hirakatagenki/
平方元基Twitter https://twitter.com/hirakatagenki?lang=ja

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平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■今まで感じた人の優しさ、温もり、怖さなどを、楽曲で紡いでいけると面白いなと

――楽曲の構成はどのようにされているんですか?

基本的には自分が演じたものから選びたいと思っています。自分が東京に出てきてから今まで感じた人の優しさ、温もり、怖さなど……役を通してコンサートの楽曲を紡いでいけると面白いなと。一つの物語ではないですが、一つのテーマとして構成したいなと思います。ただ時系列で羅列するのではなく、何かそこにトリックが隠されているというか、セットリストのナンバーの並びに僕が込めたこだわりはありますね。

――それは自由に感じてほしい?

多分観てもらったら何となく分かると思いますし、その「何となく」で僕は十分なんです。それをわかってほしいとは思っていないかな。

――もしかしたら観終わって振り返った時に「こうだよね」という場合もあるでしょうし。

そうそう! 何かそれを一致させようと、すごく一生懸命に聞いてくれる人もいるし、「こうだったよね」と持ち帰る人もいるし、僕はそれはその人それぞれの楽しみ方だと思っています。ただ、あえてそこで僕が答え合わせをするようなことはしない。

――では、100%ミュージカル楽曲という事でしょうか?

100%ではないですよ。箸休めといったら失礼ですが(笑)、ミュージカルのコンサートはビックナンバーが続いて重くなってしまうので、他の曲も入れています。でも、基本的にはミュージカルの楽曲で構成されているし、「こんな曲も歌うの?」というものもあります。年末なので、特に。

――季節的なものという事ですね。

この3人でしか出来ないような珍しいものもチャレンジ出来たらと思っています。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■昨年の『ブロードウェイ・ミュージカルライブ』で、3人が同じ楽屋だったんです

――ゲストは上原さんと日野さんですね。上原さんは『ロミオ&ジュリエット』でティボルト役をダブルキャストでご一緒されましたよね。日野さんとの接点は?

昨年の『ブロードウェイ・ミュージカルライブ concept version vol.1 トニー賞vsアカデミー賞』で、この3人が同じ楽屋だったんですよ。その時からとても仲が良くて、何かやれたらいいねと話していたんです。しーたん(日野)とは、お芝居は一緒にやったことはないので、どういう風に表現を作ってくるのかわからないですが、普段からプライベートでもとても仲が良くて。理生は、逆にプライベートでそんなに会う訳ではないですが、一番最初の作品でWキャストを一緒にやりましたし、一番最近の作品『スカーレット・ピンパーネル』で僕がやった役を理生がやるとどうなるのかなと、そういう縁も感じていて、その間の空白の何年間かを、お互いが楽しめるといいなと思います。

――先日『スカーレット・ピンパーネル』の上原さんの取材をしました。

理生は、ロベスピエールがとても合っていると思います。革命家といったら、理生というか。

――革命家をコンプリートするとおっしゃってましたよ(笑)。

プリンス・オブ・ウェールズもしっかりやって欲しい!

――(笑)。

出会った時と今とでは、理生の印象も全く違います。正直、この世界に生き残るか、生き残らないかという時から始めているじゃないですか。これからもずっとそうですが、やはりその人その人の個性や特性がはっきりしていく中で、どこかで交わっていたというのはとても心強い仲間だなと思っています。今じゃ知りえない僕を知っていてくれていたり、僕も理生を分かってあげたり、だからこそ寄り添える人だと思いますね。何かものすごく革命家になった(笑)。でも、理生の色々な表現が観たいから、プリンス・オブ・ウェールズも僕は楽しみに待っているんです。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■何の音を落としたかという所じゃない表現の方が、最終的には大事じゃないかと

――ミュージカルデビューの『ロミオ&ジュリエット』から色々と拝見させて頂いていますが、昨年の『王家の紋章』のときに、「歌がめちゃくちゃ上手くなってませんか!?」と正直驚いたんですが、ご自身では何か感じていますか?

分からないんですよね……。でも、楽曲が合う合わないとか、お客さんの好き嫌いは正直判断の中にあると思うので、もちろん僕もお客様の前に立つのに鍛錬をするんですが。

――昨年の『王家の紋章』と『スカーレット・ピンパーネル』で驚きました。

例えばダブルキャストが多いじゃないですか。『スカーレット・ピンパーネル』はシュガー(佐藤隆紀)と一緒でしたが、歌い上げる感じで、きちんと音を守る彼がいて、そこに触発されて僕がこの役をやるならば、楽譜からはみ出すくらいの気持ちで歌えば、どこで何の音を落としたかという所じゃない表現の方が、最終的に舞台に立った時には大事じゃないかと思ったんです。

――それは佐藤さんが、完璧に歌われるから?

完璧にというか、芸大まで行って学んでいる彼と、片や僕はその道を選んできていないですから。これまでダブルキャストが多かったので、僕は比べられることに清々しちゃって、逆にどうでもよくなったという思いもあります。自分のやりたいことをやろうと。だから、ダブルキャストの相手も認められるし、すごく人を見る目が広くなりましたよね。

――「人は人」というか?

昔からそういう風に考えるタイプですが、気にする割合が減ったのかな。『王家の紋章』で宮野(真守)くんとやっている時もそうでしたね。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■「総合芸術」に辿り着くには、坂道や障害を乗り越えなければ。覚悟が出来た

――ちなみに、その前の作品は2015年11月からの『ダンス オブ ヴァンパイア』ですね。

『ダンス オブ ヴァンパイア』は、役がとてもチャーミングだったので、やりにくいということはあまりなかったですね。でも、当時はどう思っていたのかな……。

――『ダンス オブ ヴァンパイア』から昨年の『王家の紋章』まで半年しか経っていませんでしたが、2016年夏の『王家の紋章』の時にすごく思ったんですよ。

その時3つ作品が重なっていたんですよ。『王家の紋章』『スウィート・チャリティ』『スカーレット・ピンパーネル』の稽古と本番が重なっていて、もう本当に大変でした。3つやったからといって、僕の今の技量では300%にはなれない。それでも、300%にするためにはどうしたらいいかなと思っていた時期ですね。自分のキャパシティが期待されていたり、僕にやってほしいと頂いた役をしっかりやりたいのに、結局その不安やプレッシャーに打ち勝てない自分は小さいなと思っていましたね。

――その300%に近づけようとする意識が出した結果かもしれないですね。

自分では何か変わったという自覚は特にないんですが、お客様にそう思って頂けるなら嬉しいですね。そのために続けるんでしょうね。「あそこで上手くなったよね」とか「あそこは微妙だったよね」というのは、自分自身が決めることではないので。常に評価にさらされて生きていかなければいけないから、そのために頑張って続けるんです。月並みですが「諦めない」と思っていたと思います。だって、やるしかないんですよ。歌が上手くなってくださいと言われても、すぐには出来ないじゃないですか。一方で期待されている。その辛さはありますよね。

――(笑)。

お芝居も同様です。「ミュージカルは総合芸術」とおっしゃる方がいますが、本当にそこまで辿り着くのに、坂道や障害があるんだろうなと思います。でも、乗り越えなければ前がないですし、やるしかない。淡々とした覚悟が出来たというのはひとつ大きいかもしれませんね。どの機会も一生懸命取り組んでいます。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

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“「表現したいものをミュージカル曲で」、平方元基『コンサート』インタビュー(上)” への 3 件のフィードバック

  1. まな より:

    インタビュ-を読んでいて、岩村さんの言にも平方さんの言にもとても同感できる部分が多々あり、「そう思います。」「ほんとうに・・・。」とうなずきながら読ませていただきました。ふつうに素の部分の平方さんも大好きですが、役者として気骨のある、
    とても強い意志の持ち主のところが尊敬できるところで、ついていきたい、と思わせるなにかがあると思います。柔軟かつ骨太、ぶれない精神の持ち主で、人柄がすばらしいと思います。

  2. ねこぶ より:

    元基くんのミュージカルを観たのは王家の紋章が初めてでしたが、そこまでの道のりが感じられるインタビューですね。ますます応援していきたくなりました。
    実は戦国鍋TVでも元基くんを見ていたのですが、その時はどんな心境だったのでしょうか。たくさんの舞台俳優さんを知ることができたので、私には運命的な番組でしたが、出演者の皆さんにはどうだったのか、ちょっと聞いてみたいです。

  3. ヨシベエ より:

    元基くんが本当に真摯に役と向き合い、やれることにいかに全力で取り組まれて来たかがよくわかるインタビュー記事でした。
    もともと歌の上手い方でしたが、確かに『王家の紋章』の時に一段も二段もレベルアップしたように思いましたし、『スカーレット・ピンパーネル』の時には、単純に歌が上手いというより「言葉の表現者」として一皮向けた!?ような印象を受けました。
    まだまだ伸び代も多いように思いますし、この先どこまで進化していけるか、本当に楽しみです。
    これからもずっと応援しいきたいです。

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