宝塚歌劇団OGとヴォーカル・グループLE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)によるスーパーパフォーマンス『SHOW STOPPERS!!』が、2018年6月1日から東京国際フォーラムホールCで、6月19日から梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されます。この作品に出演する元宝塚歌劇雪組トップスター、壮一帆さんの取材会が、4月13日に大阪で行なわれましたので、ご紹介します。
――今回の作品に対して、楽しみにしているところ、期待していることなどありますか?
宝塚と違って外の世界はショー作品が少ないなかで、今は『GEM CLUBⅡ』に出演させて頂いており、それに続いて一味も二味も違うショー作品に出演させて頂くことは、とても嬉しく、楽しみです。歌って踊るということで、ワクワクしますね。
――ショーとお芝居はどのような違いがありますか?
大きく異なるのは、ショーはお客様と共に作る気がして、そこが好きな所でもあります。『SHOW STOPPERS!!』は宝塚OGの方が出演されますので、客席も宝塚時代の雰囲気と似ているかも知れませんね。当時を思い出すのかな、と今から楽しみです。
――宝塚OGの出演者には先輩方が多く、また学年差もありますね。
メインキャストの元男役では、最下級生です。1番近い貴城けいさんで、私の4つ上です。私は現役時代から「態度が大きい」と言われていたのですが(笑)、上級生と話すよりも下級生と話す方が気を遣っちゃうんです。気を遣わせたくなくて、気を遣っちゃう。上級生の方へは、私なりの最低限の節度を持って飛び込んで行かせていただいています(笑)。湖月わたるさんをはじめとして、皆さん雰囲気を楽しくしてくださるので、2回ほどお稽古しましたが、もう既に和気あいあいとして現場が楽しいです。
――LE VELVETSの方とは、お会いされましたか?
皆さんとお稽古でご一緒し、デュエットもあるので一緒に音合わせをさせていただきました。
――印象はいかがでしたか?
素敵な歌声でいらっしゃるので、緊張してしまいました。「きっとLE VELVETSのファンの方は、こういう所でドキドキするんだろうな」と思いながら、歌わせて頂きました。
<有料会員限定部分の小見出し>
■宝塚では男役は基本的にメロディライン、だからハモり慣れていなくて(笑)
■『レ・ミゼラブル』の歌があったりすると、キャホ♡ってなります(笑)
■現役時代とは違う雰囲気を、ファンの方がおもしろがって見てくださっている
■ファンの方が、想像の斜め上をいく姿を楽しみにしてくださっているのが、ありがたい
<SHOW STOPPERS!!>
【東京公演】2018年6月1日(金)~8日(金) 東京国際フォーラムホールC
【大阪公演】2018年6月19日(火)~24日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
<関連リンク>
梅田芸術劇場『SHOW STOPPERS!!』のページ
http://www.umegei.com/showstoppers/
SHOW STOPPERS!!公式Twitter
https://twitter.com/ShowStoppers_18
こちらは、梅田芸術劇場チャンネルに掲載されている『SHOW STOPPERS!!』のスポット動画です。
- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 「想像の斜め上をいく姿を楽しみに」、『SHOW STOPPERS!!』壮一帆インタビュー 2018年4月20日
- 生田絵梨花主演ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』、全キャスト発表 2022年9月9日
- 『盗まれた雷撃 パーシー・ジャクソン ミュージカル』、2022年9月・10月に東京・京都で上演 2022年6月20日
- 『夜来香ラプソディ』ビジュアル・キャスト・公演詳細を発表、最速先行12/24から 2021年12月22日
- 結成15周年のLE VELVETS、待望の4人全員で開幕した『Eternal』ライブ配信決定 2022年11月3日
- スターが日替わりで登場するバラエティショー『THE PARTY in PARCO劇場』、2022年11月開催 2022年9月13日
- LE VELVETSの2022年コンサートツアー『Eternal』、一般発売は8月27日から 2022年8月27日
- 【動画】芝居の説得力とリアルな美しさ、カヅラカタ歌劇団『ポーの一族』 2022年10月14日
- 城田優が演出と出演、加藤和樹・真彩希帆・sara出演、ミュージカル『ファントム』東京・大阪で2023年夏上演 2022年10月7日
- 男性2人による新作歴史ミュージカル『龍起伝 ~楠木正成と久子~』、大阪・神奈川公演も 2022年10月1日
※ここから有料会員限定部分です。
■宝塚では男役は基本的にメロディライン、だからハモり慣れていなくて(笑)
――もちろん女性として歌うのですよね?
そうなんですよ(笑)。音楽監督の吉田優子先生が、今回は男性との共演だから、必然的に女性パートを歌ってもらうことになるからということで、キー合わせをして音を決めているところです。OGだけの所や、ソロパートはオクターブの変更などできるのですが、男性とデュエットさせていただくナンバーは、私が下げてしまうと、男性パートも必然的に下がってしまい、それがベストなキーではなくなってしまったりするので、そこはお互い確認をさせて頂きながら決めて行きます。転調する曲は、その流れの中で自然にしたいので、その辺りはとても難しくて、とても時間がかかりますね。
――音取りに時間がかかるのですね?
そうですね。心地よくお客様にお聞き頂きたいというのが一番なのですが、実際に楽曲が難しいので、四苦八苦しています(笑)。わたるさんともお話させて頂いたのですが、宝塚では男役は基本的にメロディラインを歌うのでハモり慣れていなくて(笑)。これは時間をかけて歌いこまないといけないなと思っています。
■『レ・ミゼラブル』の歌があったりすると、キャホ♡ってなります(笑)
――第1幕でジェリー・ハーマンの名曲で綴る『SHOW TUNE』を上演されるのはなぜでしょうか?
(スタッフ):10年前、三木章雄先生が同じミュージカルショー『SHOW TUNE』を剣幸さんや麻路さきさん出演で手掛け、とても良い作品だったので、またいつか上演されたいとお考えであったためです。
――歌われるミュージカル曲の中で、親しみのある作品はありますか?
「ハロー・ドーリー!」など、聞いたことがある曲がたくさんあり、それを歌わせて頂くことで自分の技術や知識を高めることができ、嬉しいです。三木先生は、色んなジャンルの曲を本当に数多くご存知で、それを宝塚のショーにも盛り込まれていましたし、今回もたくさんの作品に出会えるチャンスを頂けて、とてもありがたいなと思っています。1幕はジェリー・ハーマン中心のミュージカル曲を、そして2幕では宝塚時代には歌う事が出来なかったナンバーを歌わせて頂くので、それも嬉しいです。ミーハーですが、出演した事がない『レ・ミゼラブル』などの王道のミュージカルナンバーがあったりすると、キャホ♡ってなります(笑)。
――誰もが知るミュージカル曲を歌うのは、ちょっと違うのでしょうか?
違いますね。出演していない作品のナンバーを歌うというのは、とても難しいので、しっかり歌い込んで、「なるほど、そういう風に歌うんだ」というところまで消化したいと、思っています。しっかりと勉強して自分の中で深く掘り下げて、単にショーの中の一曲として歌わせて頂くのではなく、自分だったらこういう風に歌うよ、という正攻法をお見せしなきゃいけないな、そこまで自分を追い込まなくちゃいけないなと、思っているんです。
■現役時代とは違う雰囲気を、ファンの方がおもしろがって見てくださっている
――『GEM CLUBⅡ』の東京公演も終えて、得たものや久しぶりのショーで感じたことなどありますか?
沢山ありますね。ショーの時、どういう身体の動かし方や見せ方をするかというのは頭の感覚や細胞が覚えているのですが、実際動くとなると身体が重くて。退団して4年間、レッスンには行っていても日常的にショーをやっているわけではなかったですからね。そんな自分に、当初はジレンマがあったりしましたが、徐々に感覚を思い出すと慣れてきて、身体も絞れてきました。でも現役時代とは違う雰囲気を、ファンの方がおもしろがって見てくださっているので良かったです。そういう感覚が冷めきらないうちに、踊りもあるという『SHOW STOPPERS!!』に出演させて頂く事に、よしっと思っています。
――男役の雰囲気を出したりするのでしょうか?
退団後女優になって、男役からのキーチェンジをするんです。でも今回は優子先生に「こういう作品において男役の発声を要求することは大丈夫かしら」と仰っていただいて、できれば私もどちらの声も使い分けたいと思っているので、「やってみます」とお答えしました。でも歌稽古当初は、今の発声法で歌うと、やはり当時とは違うので、「もうちょっと下に引っ張る、あの時の発声法で」って言われましたね。
――では、両方使いで。
お家芸だった方はできるのですが、対極で高い声のファルセットを出す曲になった時に、まだまだ自分の中で納得がいかない声質だったりするので、そこをいかにお聞かせすることが出来るかは自分の中での課題ですね。
――音の幅ですね。
ここまでしか出ないと決めてしまうのではなく、どうせなら全部やってしまおうという(笑)
――挑戦ですね。
挑戦です、本当に。
――LE VELVETSの方々は、クラシカルなイメージですが、宮原さんは水泳、佐藤さんは剣道が得意であったり、佐賀さんは、無名塾で役者をされていたり、日野さんは、学生時代ロックバンドを組んでいたことがあるそうで、皆さん、バラエティに富んだキャリアをお持ちなので、宝塚OGとの化学反応が楽しみです。
共演されたことがある方もいらっしゃいますが、私は皆さんが初めましてなんです。遠慮か、気を遣って下さっているのか、最初はOGオーラに若干押されているような(笑)。でも体育会系の方もいらっしゃるとのことで、すぐ打ち解けられそうで楽しみですね。
――その中で壮さんはどんな存在で居たいと思いますか?どんな自分を発揮したいですか?
一個人として輝きたいなというのはあります。パーソナリティみたいなものを女優として表現したいと思いますし、みなさんと一緒に並ばせて頂いていますとかではなく、そこでもちゃんと壮一帆としての個性を出すことが出来ればいいかなと思います。
――OGの中に入ったら、引っ張っていってもらおうではなく、私が引っ張りますみたいなことはあるのですか?
今は基本的にそういうのがないんですよね、座長さんも様々ですし。宝塚はピラミッドが確立されているので、みんな進むべき方向が合った上で作品を作っているのですが、外の世界に出て、今回はこういうやり方なのか、こういうカンパニーの雰囲気なのかと、その都度違うと感じています。どれが正解とかはないと思うので、宝塚を経験した上で私は自分の職務を全うする意識でいます。でも、わたるさんが姉御肌でいらっしゃるので、必然的にそうして下さると思いますが、そこに頼ろう、引っ張って頂こうではなく、自分の足で歩みつつ、でも示して下さる方向性に、いい状態で乗っていこうというのは思います。でも甘えてはいけないので、上級生が決めて下さるのを待つのではなく、まずこれをやってみたらどうだろうっていう自分のアプローチも出しながら、作品を作る上で皆さんと方向性を定めていく作業という、そういうのを感じますね。
――退団して4年が経過して感じたことですか?
そうですね、今更ながら人との距離感がよくわからなくなってきていて、ちょっと思春期みたいな(笑)。今まで女性ばかりの中で生きてきて、宝塚は体育会系だから割と全部さらけ出して、みんなでぶつかり合って「よしやっていこう」みたいなことが多かったのですが、やはり芸事の世界はとても繊細だし、俳優さんも色んな方がいらして、ぶつかるだけではダメなんだということも正直あるので、今それを目下勉強中です。
――壮さんがフルオープンでいってしまうってことですか?
いっちゃうんですよ。宝塚であれば受け止めて頂けていた事が、外では通用しないことは、頭では分かっていたんですが…。ただそれはそれで、今いい勉強の期間なんだなと思っています。
■ファンの方が、想像の斜め上をいく姿を楽しみにしてくださっているのが、ありがたい
――この4年間は、とても多彩でしたね。
私はこういう運命なんだと思いましたね(笑)。宝塚で二番手の時には、動物、妖怪、悪役、友人、世代も人種も超えて色んな役を演じて、退団してもこういう感じなんだなと思って。自分が全て選んでいるわけではないのですが、それを楽しんでいる自分がいます。
――それがパーソナリティにつながるのですね
つながっているといいなと思います。いい意味で壮一帆というアーティストがイメージ作られるといいなと思います。ファンの方も嬉しいことに「次はどんな斜め上の姿を、見せてくれるのですか」と、想像の斜め上をいく姿を楽しみにしてくださっているので、ありがたいですね。やめた直後はどういう路線に進むか悩むこともありましたが、これ程にも色々な役をさせて頂くと、ファンの方も「次何やるの?」って(笑)。
――個性豊かな役が多い中で苦労とかありますか?
全部苦労しています。どんどん女心がわからなくなってきました。宝塚では男役というベースがあった上で、脚色をして演じてきましたが、今はその根底の自分の中にある女性のベースを作っていくところだから。先輩や共演者の方など、色々な方に聞きにいっています。そして皆さん答えてくださる事が、とてもありがたいです。
――今後、どんな役に挑戦してみたいですか?
そうですね、役柄もそうですが、舞台にも様々なジャンルがありますよね。ストレートプレイをやっていたら、そろそろショーもやりたいななど考えたりするので、それをバランスよく、色々やっていきたいというのはあります。役柄においては、なんでもやります。
――なんでもできる壮さんだからこそ、なにかやりたいものがあるのかなと。
勝手ですが、『ベルサイユのばら』に何度か出演させて頂いて、また『勇者ヨシヒコ』(勇者ヨシヒコと導かれし七人)でオスケル役をやったので、あとは演じるとしたらマリー・アントワネットだななんて(笑)。王道ミュージカルをやらせて頂きたいと夢は大きく持ち、グランドミュージカルにも挑戦したいと思います。
――今回のスペシャルゲストに関してはいかがですか?
舞台上でご一緒させて頂いたことがあるのは、春野(寿美礼)さんなのですが、姿月(あさと)さんも、大和(悠河)さんも、北翔(海莉)さんも普段から話す機会はあったので、それぞれに楽しみです。タカラジェンヌって本当に個性豊かだから(笑)。個人的には、同時期にやめた男役トップもそうですが、100周年で共にトップであった方がどういう風に変化されているか、また元男役の方たちが女優になられてどういう風に変わっているのか、自分のことも含めて興味津々です。自分より先輩だったり若かったりする方たちも見て、研究しています(笑)。
――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
今回のショーにおいて、壮一帆というパーソナリティをどれだけだすかということを念頭に、宝塚時代の良き雰囲気を自分自身で楽しみながら、お客様に最高のパフォーマンスをお見せできるよう、頑張ってお稽古してまいります。お芝居やミュージカルとは違う、ショーの楽しさを、お客様と共有していきたいと思っておりますので、楽しみに会場へお越しいただければと思います。
――ありがとうございました。
現役時代は男役として魅力的な低音の歌声の壮さん。女優さんとしての歌声、現役に近い歌声、男性とのデュエット、未経験のミュージカル楽曲にも挑戦されるのですね。その上で今度の舞台でも壮さんらしく輝いてくださると期待に胸が膨らみます。
歌声の話を詳しく取材してくださって、とても興味深い内容でした。ありがとうございます。
壮さんにとっては久しぶりに演出の三木先生や音楽監督の吉田先生など、気心の通じる宝塚のスタッフさんや温かいファンに囲まれ素敵な舞台になりそうですね。