「自分を信じてあげてもいいんだなと」、『ゴースト』咲妃みゆインタビュー(上)

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

2018年8月5日(日)にシアタークリエで開幕し、大阪、福岡、愛知でも上演されるミュージカル『ゴースト』でモリー役を演じる咲妃みゆさんに、インタビューしました。(上)(下)に分けてお届けします。

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

――稽古が始まって2週間くらいと伺ったのですが、今の心境はいかがですか?

もう、毎日のお稽古が本当に濃くて、1日があっという間に過ぎていきます。この作品に時間を費やすほどに、私もこの作品の虜になっていくと言いますか。本当に素敵な作品に出演させて頂けるのだなと、日々感じています。

――稽古が実際に始まって、心境は変わっていっていますか?

演じさせて頂くモリー・ジェンセンという役に抱いていた、芯の強い女性というイメージは変わらないのですが、役と向き合うことで、その芯の強さの中にも色々なカラーがあるんだなと感じていて、本当に学ばせて頂くことが多いです。この女性の生き方を追求できること、そして、この作品に携われることは、自分の、咲妃みゆの人生においても、とても価値のある時間になるんじゃないかと思います。今が既にそうなので、今後も楽しみです。

――色々な色があるというのは、それはモリーの中にということですか?

モリーの心情の変化ももちろんそうですが、登場人物皆さんの心情の変化や、直面する現実など、色んなものが入り混じっている作品なので、ご覧いただくお客様は目が足りないぐらいお忙しいのではないかと、一出演者としては思いますね。Wキャストで出演させて頂きますので、(秋元)才加さんが演じていらっしゃるときは、客観的に場面や作品を見ることができて、そのときに、見えてくる作品の面白さや深さを感じます。登場人物のだれもが一生懸命生きている作品なので、きっとお客様の心に深く届く物語になるのではないかなと思います。

――今回の日本版のミュージカル『ゴースト』は、芝居としてすごく心情を丁寧に描いていると伺っていますが、演出のダレン(・ヤップ)さんとお話されていて、印象に残っていること、大事にされていることは?

ご一緒させて頂く前から、とても素敵な方だという評判しか伺ったことがない方とご一緒できて、しかも、その評判をはるかに超える素晴らしい方だと毎日感じています。彼の人柄が、何て言うんでしょう……表情や言動にすべて現れていて、もう素敵なところしか見つからないですね。演技へのアドバイスも、例えば「僕はこう思うよ」「こういう経験をしたことがあって、そのときの感覚と似ているなと僕は感じる」と、ご自分の経験をもとに色々とお話を深めてくださいます。

さらに、「どう思う?」と聞いてくださったり、不安なところやわからないところがあったら何でも、いつでも相談してほしいと常に言ってくださるので、演出家さんという偉大な方なのに、自然体でお話しさせて頂いています。役に挑むにあたって、心地よく物語に集中できる環境を、ダレンさんご自身が作り出してくださっている感じがします。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、宝塚歌劇団で女性を演じてきた感覚と『ゴースト』の稽古でモリーを演じる感覚の違いや、共演する浦井健治さんについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月3日掲載予定のインタビュー「下」では、共演する平間壮一さんについてや楽曲について、この1年を振り返っての思いなどを伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■周りの方がどうしたらお芝居しやすいかへ、意識が向いてしまう自分がいた

■よく見知った方とお芝居させて頂くときとは違うものが生まれています

■浦井(健治)さんが、目の奥の優しさで包んでくださるような感覚が…

■「男性の方も人間なんだ」と(場内爆笑)。とても素敵な方ばかりです

<ミュージカル『ゴースト』>
【東京公演】2018年8月5日(日)~8月31日(金) シアタークリエ
【大阪公演】2018年9月8日(土)~9月10日(月) サンケイホールブリーゼ
【福岡公演】2018年9月15日(土)~9月16日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【愛知公演】2018年9月22日(土)~9月23日(日) 刈谷市総合文化センター アイリス

<公式サイト>
ミュージカル『ゴースト』
http://www.tohostage.com/ghost/

<関連リンク>
咲妃みゆオフィシャルサイト
https://sakihimiyu.com
咲妃みゆ公式ブログ
https://lineblog.me/sakihimiyu/
咲妃みゆInstergram
https://www.instagram.com/miyusakihi/
咲妃みゆFirst Bloom Twitter
https://twitter.com/miyu_firstbloom

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咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■周りの方がどうしたらお芝居しやすいかへ、意識が向いてしまう自分がいた

――宝塚歌劇団を退団されて、初めてのミュージカルですよね。新しい要素が盛りだくさんだと思うのですが。

芯の強い女性という役は、在団中も演じさせて頂く経験はありましたが、ビジュアルも含めて今回は現代的な要素が多いですし、あまりお芝居お芝居とならずに演じることが目標です。ダレンさんからも「単純に、舞台上に生きている人たちの様子をお客様がいつの間にか見ているという状況だと思って、観ている方に思い切り提示することをいったん忘れてみて」と、お稽古の最初の段階で言って頂いたんです。そこから見えてくるものがたくさんありました。

初めてご一緒する方々と一から物語を作っていくので、私はガチガチに緊張していましたし、身構えていました。ですが、そういうところをほぐしていってくださったのが、ダレンさんであり、スタッフの皆さんであり、ご一緒させて頂くキャストの皆さんでしたので、びっくりするぐらい早く打ち解けさせて頂けたというか。もはや打ち解けざるを得ないぐらい(笑)、スピーディーにお稽古も進んでいきました。

しつこいようですが、このカンパニーの一員にならせて頂けたことを、本当に毎日感謝しています。この私が毎日早起きできているんです(笑)。お稽古場に行かせて頂くのが楽しみで……。

――早起きは苦手ですか?(笑)

あまり朝は得意ではないのですが(苦笑)、「今日も頑張ろう、今日もできる限りのことをやってみよう!」と。こうかな、ああかなと正解を探ろうとしていた自分が、とりあえず、正解はわからないけれど思ったことを「こうじゃないかな」と提示してみようという意識に切り替わったのが、今回のこの舞台でのお稽古、今まさにこの瞬間です。自分の中から湧き出てくるものを、信じてあげてもいいんだなと思うというか。「これをやったらどう思われるかな」「これはあまり役にそぐわないかな」「これはやりすぎかな」とか、そういうことを考えずにまずはやってみるという考え方で、今は挑んでいますね。

――これまでは、そういう風に、ものすごく考え込むほうだった?

そうですね。今ももちろん、まったく考えていないわけではないですが、考え方が、私個人の中ではとても柔軟になりました。演じる上での場面の環境や周りの方がどうしたらお芝居しやすいかということへ、役を深めていくよりも先にいつの間にか意識が向いてしまう自分がいたんです。その自分を完全に否定するわけではないですが、そういう方向性に癖づいていました。

でもそうではなくて、まずこの役に真摯に向き合って全力を注ぐことが作品のためになる、ということを教えてくださったのがこの『ゴースト』であり、ご縁を頂いた皆さんですね。

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

■よく見知った方とお芝居させて頂くときとは違うものが生まれています

――それはやはり娘役のポジショニングというか、劇団の中の、組織の在り方の違いというか、今は皆が個々で集まっている環境だから、という違いでしょうか。

そうだと思います。よく見知った方、何作もご一緒している方とお芝居させて頂くときに得る感覚とはまた違うものが日々生まれています。「あっ、そうか! そう来ましたか!」とか、「そういう表現があるんだ、じゃあこうしてみようか」とか。

――発見がいっぱいという感じですね。

そうですね。私自身が出演させて頂いている以外の場面も見学したくて仕方がないです。皆さんがどういった役作りをされていらっしゃるのかにすごく自分の意識が向いています。このキャストの皆さんが、私の第一のお手本の方々なので。

――皆さん、個々で生きていかなければいけないですものね。常に次が約束されているわけではなくて。

それぞれが輝いていらっしゃるのですが、決して一人よがりの輝きではないんですよ。ちゃんと、ギュッと凝縮された輝きを作り出せる方たちの集まりで、そのパワーと言ったらありませんよ!(笑)

――では、退団後一作目のミュージカルとしては良いカンパニーに出会われたと…。

はい!

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

■浦井(健治)さんが、目の奥の優しさで包んでくださるような感覚が…

――共演者の皆さんについて伺いたいのですが、相手役として浦井(健治)さんと一緒にお芝居を作られていて、いかがですか?

もう…素晴らしいという言葉ひとつではもちろん語れない、魅力溢れる方なのですが、役と向き合う心や、作品全体像をいち早く掴むキャッチ力、あとは、こうしてみたらどうかな、という発想力。私がどういう挑戦を試みても、大きなお心で受け止めてくださる寛大さ等、色んな“浦井健治さん”の素晴らしさが、サム・ウィートという役にすべて詰め込まれているように思います。

浦井さんがどういうお気持ちを抱かれるかわかりませんが、すごく、サム・ウィートという役と浦井健治さんがリンクしてその場にいらっしゃる感覚を得ます。ダレンさんのお話、スタッフの皆さんのお話、キャストの皆さんのお話を真摯に聞いていらっしゃるし、ご自身が一番場面数も多く、お休みする間もほとんどない過酷なお稽古ですが、いつも穏やかに務めていらっしゃいます。もう素敵な面しかありませんね。

でもやはり、演じていく中で、ブワァッと感情が溢れ出て、目がバッと変わられる浦井さんも目の当たりにして「うわぁ~! これが役者さんか……!」と思います。浦井さんのスイッチの入る瞬間に立ち会えるというか(笑)、その瞬間を共有できていることに、「ありがとうございます! 私も頑張ります!」と思いますね。

才加さんとの恋人の関係性を拝見していても、とってもナチュラルにお二人ともその場に存在していらっしゃいますし、私とご一緒してくださるときも、目の奥の優しさで包んでくださるような感覚が、私にとっては新感覚です(笑)。やはり、男性の方とお芝居させて頂くのが初めてですので、実際に目にする光景が「ザ・新鮮」という(笑)。

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

■「男性の方も人間なんだ」と(場内爆笑)。とても素敵な方ばかりです

――目に映るもの、色々醸し出されるもの、すべてが新しい?

別に男性だからといって、警戒するわけではないですが、どういう存在なんだろうと考えてしまうほどに、宝塚という世界に没頭させて頂いてきたので。でも「あ、男性の方も人間なんだ」というか……。

(場内爆笑)

何も変わらない、人だ、と。何を怖がっていたんだろう、何を身構えていたんだろう、何の差を自分は勝手に想像していたんだろうと思いました。とても素敵な方ばかりです。

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

咲妃みゆさん=撮影・岩村美佳

※咲妃みゆさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは9月2日(日)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「自分を信じてあげてもいいんだなと」、『ゴースト』咲妃みゆインタビュー(上)” への 7 件のフィードバック

  1. さくら より:

    宝塚時代から咲妃さんの大ファンです。
    まだお若いのに、色々な役に没頭され
    ご本人は苦労されているとは思いますが、
    とても自然体で、観ている私が演じていらっしゃるお芝居の中に引き寄せられる感じです。
    インタビューもしっかりしていらっしゃって
    自分の考えをちゃんとお持ちの咲妃さんが益々好きになりました。
    これからも色々な役を演じて頂きたいです。
    残念ながら今回の「ゴースト」を申込んだのですが、再々骨折で手術を余儀なくされ長期入院しなければなりませんので、咲妃さんにエールを送りたいと思います。

  2. はしごん より:

    ゆうみちゃんの持たれている雰囲気そのままのインタビューをありがとうございます!
    浦井くんのことにも触れて、褒めてくださり、とても嬉しく思いながら読みました。
    映画も見ましたが、ミュージカル『ゴースト』楽しみにしています。

  3. おとく より:

    宝塚時代から大好きです。
    特徴的な歌劇のお芝居の中でも自然な演技でいつも引き込まれていました。
    そんな咲妃さんでさえ、まだまだお稽古の取り組み方に新しさを感じるなんて、
    やはり外の世界は奥深いのですね。

    男性について何を身構えていたのだろう、という疑問も、宝塚の世界にそれだけ没頭していたからなのですね。

    新しい世界に羽ばたく咲妃さんがどんどん遠い存在になってしまう寂しさはありますが、
    ずっとずっと見届けて応援していきます。

    公演の成功をお祈りいたします。

  4. 肯定ペンギン より:

    お芝居に対して直向きに臨むゆうみちゃん の姿を見ることができて嬉しいです!ghostは今週末に初日を迎えますが、ますます楽しみになりました。

  5. てんてん より:

    ゴーストで初めて咲妃さんを拝見します。
    繊細な演技をされる方と伺い楽しみにしています。
    映画も大好きなので8月はどっぷりゴーストの世界に浸りたいと思います(笑)

  6. まろん より:

    素敵なゆうみちゃんのお話を、たくさん引き出してくださってありがとうございます!
    舞台を拝見するのが、一層楽しみになりました!

  7. いぬぶ より:

    いつまでも天使のようなゆうみちゃんでいてほしいです。

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