那須家当主の那須正美さん・平野雅章住職・Lapis鼎談、「即成院」ルポ(下)

即成院の門=撮影:ひろよし

Lapisさんによる京都の「即成寺」ルポの後半です。那須家37代当主・那須正美さんと即成院・平野雅章住職、Lapisさんの3人による鼎談の様子を紹介します。ちなみにLapisさんは、数年前に即成院に来て、『那須与一にいつか会えますように』と願いごとをしたら、那須与一の里・大田原市→伝承館→館長とつながり、ついに37代目の当主にお会いできて、願いがかなったそうです。

平野雅章住職(手前)と話す那須正美さん=撮影:ひろよし

平野雅章住職(手前)と話す那須正美さん=撮影:ひろよし

那須:即城院は幼少のときからずっと知っていましたし、父からも「京都にはお墓があるんだよ」と聞いていました。

平野・Lapis:おぉー!

那須:父は那須家(本家)には生まれたけど、長男以外は継げないのですっかり分けられて育ったみたいです。だから父と私は那須家のことはあまりよく知らないんです。父の兄が36代当主の那須隆です。

Lapis:那須家36代当主さま!! 那須隆さんってお父さまの兄だったんですか?!

那須:はい、那須隆は子供がいなかったので養子をとるという話もあったのですが、色々ありまして…。子供を持つということを諦めてしまいました。そしてわたしに(跡継ぎの)話が来ました。

Lapis:そういえば、那須隆さんと一緒に写った写真がありましたね。

那須:3歳までは弘前に住んでいたんですけど、それ以降仙台に引っ越してから伯父と会ったのは5回くらいです。色々あった実家だったので、父もあまり帰らなかったみたいです。だから、那須家がどうのって話はあまりよく知らないんですよね。ただ、子供のときからずっとお墓がこちらにあるのは知っていて、いつかお参りに行こうと思っていました。今回お誘い受けて本当によかったなと。

Lapis:そうですね、住職も会いたいと言っていました。

平野:先代の住職は那須隆(36代目当主)さんと親交があったみたいですし、大田原市の与一まつりで講演を2回しています。あと、あちらのお寺や那須のご当家の方が「那須与一は即成院に眠っている」と認めておられるということをお話しできいたり、本で読んだりしていて私もそう話しています。実際に今日、初めてお会いできてうれしかったです。

那須:なかなかタイミングが合わず、気がつけばこんなに年月が経っていました…。

平野:総代さんのところにも那須があって、檀家さんに那須の関係の方が3件あります。そのうちの2つが那須の名前で、1つが総代しているところともう1つが、その方の先代が佛教大学で弓道の顧問をされていた方なんですよ。

Lapis:弓道!! さすが那須家。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、那須家37代当主・那須正美さんと平野雅章住職、Lapisさんの3人の鼎談の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■那須:与一は源頼朝の命令に逆らえず「死んだことに」と

■那須:那須与一伝承館にある刀は頼朝からいただいたもの

■平野:ずっとご当主の方にはお会いしたいと思っていた

■Lapis:数年前に即成院に来てお願いしたことが、かなった

<御寺泉涌寺塔頭「即成院」(そくじょういん)>
住所:京都府東山区泉涌寺山内町28
参拝時間:9:00〜17:00
即成院 公式ページ
http://www.negaigamatoe.com/

<与一まつり>
那須与一が幼少時代を過ごした栃木県大田原市で、武者行列などが行われます。
会期:2018年(平成30年)8月3日(金)~8月4日(土)
場所:栃木県大田原市中心市街地
出陣式・三献の儀:16:10~16:30
武者行列:16:35~17:55
大田原市観光協会のページ
http://www.ohtawara.info/spot_detail.html?id=70

<関連サイト>
Lapisさんにインタビューした記事
https://ideanews.jp/backup/archives/4171
大鎧を愛でる会
https://ameblo.jp/0327-15210/

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即成院の門=撮影:ひろよし

即成院の門=撮影:ひろよし

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■那須:与一は源頼朝の命令に逆らえず「死んだことに」と

那須「那須与一って、伝説上の人だと思われているじゃないですか、実際いたの?いなかったの?みたいな視点があって。源頼朝あたりが関係してると思うんですよね。あの人の命令に逆らうわけにはいかないけれど、逆らおうということになってしまったので、結局残ったうちの家の方では「亡くなったことにしましょう」としたそうです。私も聞いているのは「死んだことにしているんだよ」と教えられました。あとは命令もあったらしいんですよね。九州へ平家の追悼に行って来いと。

Lapis:那須与一の弟さんが行ってた…。

那須:あ、そっちの話は伝説らしいんですよ…。

Lapis:えっ、そうなんですか!

那須:実際は那須与一本人が行けと命令されたらしいんですけど、行きたくない…。でも行きたくないが通用する相手ではない。

Lapis:そうなんですよね~頼朝に逆らうなんて怖すぎる…。

那須:父親、長男、与一が源氏方、真ん中が全部平家方だったんですけど、「恩賞のかわりに何がいいの?」と聞かれ、「実は匿っているんです、私は死んでもいいので助けてください」と言ったらしいんですよね。匿っているなんて、当時は厳しく罰せられるんですけど、特別にゆるしてもらった。けど、兄弟を助けてもらったのに命令にそむいて行きたくないは通用しない…ならば「死んだことにしましょう」と。

那須正美さん=撮影:ひろよし

那須正美さん=撮影:ひろよし

■那須:那須与一伝承館にある刀は頼朝からいただいたもの

那須:後の吾妻鏡(幕府の公式記録と言われている)に那須与一の名前が出て来ないから実在しないんじゃないかと言われていますが、頼朝が編成に加わったこともあったので、外れた人たち(存在がなかった事にされた人)がいたんじゃないかと。だから義経も色々な話がありますよね。

Lapis:確かに。那須与一は実際いたって信じています。

那須:まぁ、いたでしょうね、大田原市(栃木県)の那須与一伝承館にある刀は源頼朝からいただいたもので間違いないので…ということは、いたんでしょう。いたから渡されたんでしょう。

Lapis:那須家の方が全国にどれぐらいいるのかは把握しているんですか?

那須:家は長男以外は継いではいけないという決まりがあるので…祖父の代ぐらいまでは次男、三男に生まれた人は「那須」って名乗ってはいけないので変えています。父の年代くらいからこうなってきたので、実際「那須」の名前は私を含めて4人しかいないです。

Lapis:ええー!! 現代まで続いていて有名な武将なのでもっとたくさんいると思っていました、言われてみれば那須さんという苗字をあまり見かけたことないです。

那須:家系図を辿ればいるんでしょうけども、うち(那須家)ではないということになっているので…。

Lapis:厳しいですね…。

那須:私は時代の流れで『那須』という名前ですけれど、生まれる時代が違っていたら那須じゃなかったということです。

Lapis:有難い…那須さんの名前が続いていてよかった。

■平野:ずっとご当主の方にはお会いしたいと思っていた

Lapis:平野住職に伺いますが、このお寺に今まで那須家の方が来られたという記録などはありますか?

平野:いえ、残念ながら残っていません。先代が那須家の方と代々手紙でやり取りしていたというのはわかっているんですが、代がかわってもう10年くらいになります。その時に矢板のお寺で家系図や色々な資料を見せていただきました。ずっとご当主の方にはお会いしたいと思っていたので、ご縁が繋がればいいなと思っていました。今日は本当にありがとうございました。

那須:栃木県大田原市の、那須与一を全面的に出すというのは実は『那須与一公顕彰会』の方々の活動が始まりで、市全体で見直していこうと始まったみたいです。色んな方々の支えがあって私も今回念願の先祖の墓参りが出来てよかったです、ありがとうございました。

平野雅章住職(左)と那須正美さん=撮影:ひろよし

平野雅章住職(左)と那須正美さん=撮影:ひろよし

■Lapis:数年前に即成院に来てお願いしたことが、かなった

Lapis:那須与一顕彰会って、伝承館にある那須与一資料の裏に書かれていた団体ですね。弓道大会も主催していましたね。数年前にこのお寺の存在を知って、たまにお墓と仏様にお参りに来ていました。その頃は那須与一の子孫がいるといは全く知らずに手を合わせていたんですけど…その時にお願いしていたのは『那須与一にいつか会えますように』って事だったんです。まさか本当に会えるとは。即成院の阿弥陀如来さまと二十五菩薩さま、那須与一のお墓が私の願いを聞いて那須与一の里、大田原市につながり、伝承館につながり、館長、そして37代目の当主に会わせてくれたのだと思います。ありがとうございました。

「おみくじガチャガチャ」は、この中に入っています=撮影:ひろよし

「おみくじガチャガチャ」は、この中に入っています=撮影:ひろよし

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