「愛情を大切にしていけば、きっとハッピーエンドが」、長尾哲平インタビュー(下)

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

ブロードウェイミュージカル『BKLYN-ブルックリン-』が、2018年9月19日(水)~9月24日(月)まで、東京・上野ストアハウスで上演されます。「WEST」チームのストリートシンガー役、長尾哲平さんのインタビュー後半です。

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

――長尾さんの「ストリートシンガー」役は、役所的には、ストーリーテラー?

そうです。僕がストーリーテラーとして説明して、「彼らがいまこうなっていますが、こんなことになりました」と進めていく感じの劇中劇で、ちょっとお客さま巻き込み型というか。僕、小劇場が本当に好きなんですね。大劇場だと舞台と客席が遠いじゃないですか。

――そうですね。

だからやっぱり壁があるというか。でも小劇場って、やっぱりお客さまにちゃんと伝えられる空間なので、下手したら本当にお客さまと目を合わせて「今から劇、始めるよ」って言っても成り立つ。表情ひとつがちゃんと伝えられるから、余計にハードルは高いんですけど、もともとその小劇場という空間が好きで。『BKLYN』ってオフブロードウェイで、小さな空間の中で5、6人で演っているので、やっぱり、お客さまという、伝えられる人たちの存在が感じられる空間というのが良いですよね。ちなみに、向こうでは「ストリートシンガー」は黒人の方が演ってるんですよ。

――では、オーディションは、もう「ストリートシンガー」狙いで?(笑)。

そうです! ブロードウェイでも黒人の方が演ってるから「ストリートシンガー」を演りたくて(笑)。

――作品が生まれたオフブロードウェイと同じく小劇場での上演で、箱いっぱいに広がるキャストの迫力ある歌声が想像できて、ものすごく楽しみです。皆さん、マイク要らないんじゃないですか?(笑)。

あははは!(笑)。でも一応マイク付けるんですよ。

――生演奏で歌われますしね。

以前「劇団SET(スーパー・エキセントリック・シアター)」でストレート芝居を演った経験から思うんですけど、ミュージカルでもお芝居をキチンとしないと、やっぱり成り立たないじゃないですか。成り立たないというか、伝わらない。ちゃんと伝えたいものがあるときに、物語がある以上は、キチンとその心を作ってお芝居しないと、伝えたいことも伝わらないですから。やっぱり歌があるからといって、歌だけに頼っても駄目だし。技術的に下手くそでも駄目なんですけど、でも歌だけ聴かせても良くはないし。今回小劇場での上演なので、だからそこは余計に大事にしたいなと思っています。当たり前の事なんですけど、“いかに自分がストリートシンガーとしてそこに立てるか”ということを今回の目標として、舞台上でしっかり立ちたいなって。もし、お客さまに長尾哲平じゃなくて、ストリートシンガーと思って観てもらえたら、きっと伝わると思うんです、…っていう思いです(笑)。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、この作品で共演する吉田純也さん、青野紗穂さん、エリアンナさんについてのお話や、長尾さんが東宝芸能に入るきっかけになったミュージカル『Time Flies』での石井一彰さんとの出会いなどについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■結構本当に両チーム違うんです。それは多分、それぞれがちゃんと存在しているから

■青野紗穂さんとエリアンナさん、「化け物」2人の本気のバチバチを早く観たい

■石井一彰さんに「面白ぇ」って言われ(笑)、東宝芸能のオーディションを受けて

■『BKLYN』は僕のやりたいこと、伝えたいことが全部詰まった愛の溢れる作品

<THE MUSICAL『BKLYN-ブルックリン-』>
【東京公演】2018年9月19日(水)~9月24日(月) 上野ストアハウス
脚本・作詞・作曲:マーク・ショーンフェルド&バリー・マックファーソン
演出:奥山寛
CAST:
RiRiKA/青野紗穂、エリアンナ/塚本直、尹嬉淑/香月彩里、染谷洸太/高橋卓士、長尾哲平/吉田純也

<関連サイト>
『BKLYN』公式サイト
https://www.scoreproduce.com/bklyn

<関連リンク>
長尾哲平 Twitter
https://twitter.com/Teppei1219
長尾哲平 東宝芸能オフィシャルサイト
https://www.toho-ent.co.jp/actor/profile.php?id=8899
Score Produce Twitter
https://twitter.com/Score_Produce

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長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

※ここから有料会員限定部分です。

■結構本当に両チーム違うんです。それは多分、それぞれがちゃんと存在しているから

――「EAST」と「WEST」2チームでの上演になりますが、ご自身が舞台に立っていないときは、別のチームのお芝居を観ていらっしゃると思いますが、いかがでしょう?

今回みんな本当に素晴らしいんですけど、僕とWキャストの(吉田)純也さんがすごい良い声なんですよ! しゃべっただけで、声がもう本当に素晴らしくて。やっぱり純也さんは話すと存在感があるから、でも「負けないようにしよう」とかっていう感覚はあんまりないんですよ。何て言うんだろう、結構本当に両チーム違うんです。それは多分、それぞれがちゃんと存在しているからだと思うんですけど。本当に声ってしゃべると大事じゃないですか。みんな声が「あ!今あの人がしゃべったな」って、すごい分かるくらい素敵で。だからあんまりその、Wで純也さんに絶対負けない、みたいなのは、本当にないですね。お互い、本当に多分違う色を目指してるし、そうだな、とも思うし。ただ、観ていて「そこすごく良いな」って感じたものを盗んじゃおうかな、みたいなのはありますね。

――チームで色が違うということですが、演出もチームごとに変わりそうですか?

昨日から立ち稽古でまだ始まったばかりだから、僕もそこはちょっとわからないですね。それこそ、ストリートシンガーとブルックリンで、WESTチームの僕と紗穂(青野紗穂さん)のバランスと、EASTチームの純也さんとRiRiKAさんのバランス、そこに僕のチームだと、パラダイスとしてエリ(エリアンナさん)が入って、そこのバランスとかも、もう多分両チームが違うので。

――かなり違いそうですね。

フェイスも違うんですよ、尹嬉淑さんと香月彩里さん。このお二人も全然違うし、とても素敵だし。だから、両チームなんかそんな感じがしますけど。

――全く違う組を作ろうという話ではないけれど、それぞれでちゃんと成立しているんですね。

違うチームというか、多分それぞれで、「私はここは負けないようにしよう」みたいなのはあるとは思うんですよね。やっぱり純也さんも本当に歌も上手いし、そこは僕も歌しっかりやんなきゃな、とも思うし。だけど別に、「比べて云々」とかいうのはないです。

――WESTのテイラー役の高橋卓士さんは、演出の奥山寛さんとともに、2016年にミュージカル座で上演された『BKLYN』の経験者ですね。

そうです。だからいろんなところでフォローに入ってくれたりはしますね。やっぱり流れが分かっているから。多分、一番空気感とかは分かっていらっしゃるんじゃないかな。頼りになるテイラーです!

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

■青野紗穂さんとエリアンナさん、「化け物」2人の本気のバチバチを早く観たい

――先日Twitterで「BKLYNで共演する化け物2人」と、青野紗穂さんとエリアンナさんをご紹介されていて、お二人への並々ならぬリスペクトを感じました(笑)。

そうそう(笑)。紗穂は『RENT』(2017年)で共演して、本当に仲良くさせてもらっているんですけど、紗穂はミミ役で、舞台自体が2作品目くらいで、やっぱりすごいいろいろと考えて演っていて。僕はSwing(全キャストの代役を担う)だったので、結構サポート側に回っていたのと、もともとお節介なので(笑)、彼女の話を聞いたりとかしてたんですよね。まだ二十歳じゃないですか、若くてこのビジュアルで、なめられがちだったりもするんですけど、でも全然本人はプロ意識も高くて、二十歳には見えなくて。まだ伸びしろはいっぱいあるんだろうけど、やっぱり歌も素晴らしいし、でも本人はすごく悩んで頑張って演ってて。だから多分、最初と最後で、一番変わったのは紗穂じゃないですかね、若いって意味でもそうだし。僕も、彼女に支えられてもいました。エリはもう、化け物じゃないですか(笑)。

――エリアンナさんとは初共演になるんですか?

初共演なんですけど、エリちゃんは飲み友達で(笑)。ちょいちょいご飯行ったりとかしてて。知り合ったのはエリが出演していた『ラディアント・ベイビー』(2016年)で、僕が作品を大好きすぎて2回観に行って、大号泣しながら楽屋に行ってたんですよ。そのときに「よく観に来る人」って認識されたみたいで(笑)。『ラディアント・ベイビー』のメンバーは『RENT』にも何人か出てるんですね。『RENT』って、やっぱりちょっと特別で、エリもすごい遊びに来てくれてて、個人的にはすごいノリも合うし、なんか「絶対仲良くなれるな、この方」って思ってて(笑)。彼女はすごい「色」もあるし、存在感と実力も本当に素晴らしいじゃないですか。イケメンとか美女とかはいっぱい居ますけど、そういうのではなく、キャラもあって、実力もあって、ちゃんとした「本物」というか。

――唯一無二の存在ですね。

そうです、そうです。それもあって「どっかで一緒に共演したいね」みたいな話はしてたんです。だから、今回の共演はびっくりして、「最高!」って思って。

――そして今回の作品では、青野さんとエリアンナさん、このお二人の役はバチバチの関係なんですよね。

そうです。バチバチです(笑)。だから早く二人の本気のバチバチを観たいなという(笑)。まだ今はみんないろいろと探り探りだったりするから。

――そこはとても楽しみですね。

ここの二人、見所だと思います。

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

■石井一彰さんに「面白ぇ」って言われ(笑)、東宝芸能のオーディションを受けて

――以前「劇団SET」に所属されていらっしゃったんですね。こちらに入られたきっかけが『レ・ミゼラブル』のオーディションだったんですか?

『レ・ミゼラブル』のオーディションを受けたことがあって、結果は落ちたんですよね。それがきっかけで、ちゃんと演劇の勉強をしようと思って調べてたら、三宅裕司さんの「劇団スーパー・エキセントリック・シアター」を知って、そのオーディション受けたら、拾ってくださって。どうして「SET」を受けたかというと、僕はもともと歌をやっていたので、歌プラスお芝居をやりたくて、そしてお芝居は笑いのある方がいいなと思って。ハッピーな方がいいじゃないですか。それで、歌もあって、笑いのあるコメディ劇団、というのでオーディションを受けました。

――何年くらいいらっしゃったんですか?

研修時代からすると3年くらいかな。

――劇団に入られる以前は?

ずっとゴスペルをやっていました。僕自身は、もともと歌も一人で歌うよりは、みんなで歌うコーラスが好きなんです。それでゴスペルのコーラスワークを学んでいて。大学卒業してから本格的にやり始めて、福岡で一年くらいやって、そこで出会った人に着いて東京に出てきて、コーラスを学びながら、というのが最初でした。だから、『BKLYN』もコーラスというか、3、4人で歌いながら、リードをみんなで回しながらというバージョンなので、モロに僕が好きな形態なんです。

――最初はゴスペルをやっていらして、「劇団SET」に入って演劇の勉強をされて、その後、東宝芸能さんに?

「SET」に入って、3~4年くらい勉強して、そのときに出会ったのが、石井のカズさん(石井一彰さん)なんです。カズさんと『Time Flies』(2014年)というミュージカルで共演したときに、すごいお世話になって、仲良くなって、カズさんに「お前面白ぇな」って言われまして(笑)。それから、今もちょいちょいご飯行ったりはするんですけど、あるとき、東宝芸能でオーディションがあって、合格して、それで東宝芸能入ったんですよ。

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

■『BKLYN』は僕のやりたいこと、伝えたいことが全部詰まった愛の溢れる作品

――いろいろお話有難うございました。最後にお客さまへのメッセージをお願いします。

『BKLYN』は僕のやりたいこと、伝えたいことが全部詰まっています。音楽のジャンル、5人芝居の構成もそうですが、人生、苦しい時の方が多いのが現実です。だからこそハッピーエンドを信じれば必ずそうなるから、ポジティブに生きていって欲しいと、そんな愛の溢れる作品です。劇中劇ですのでお客さんとも触れ合う機会があるかもしれません。まあ、あるんですけど(笑)。

フライヤーにハートが書かれていますが、人生本当にいろんなことがあって、理不尽なこともあるし、自分が一生懸命やって、本当に偽善ではなく、努力しているにも関わらず、それが打ち砕かれることは絶対あると思うんです。だけど、やっぱり前向きに生きて、愛情を大切にしていくと、きっとハッピーエンドがあるよ、という風に信じてもらえたら良いなと思います。何かを失う時というのは、多分、信じられなくなった時だと思うので、本当にそれぞれでいろんな人生があると思うけど、前向きに目の前の人を愛して欲しいなと思います。

劇場で楽しんで頂き、観劇後はじんわり暖かい気持ちになって頂けたら嬉しいです。「明日も頑張ろう」とか「ちょっと旦那とデート行こうかな」とか、「喧嘩したけど謝ろうかな」とか、そんな日常の、ちょっとした幸せを前向きにやろうかなって気持ちになってもらえるように頑張ります。

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

長尾哲平さん=撮影・伊藤華織

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