2018年12月8日(土)にシアタークリエで開幕し、福岡、愛知、大阪でも上演されるミュージカル『オン・ユア・フィート!』に出演する、渡辺大輔さんにインタビューしました。この作品は1980~90年代に活躍した「グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーン」のヴォーカル、グロリア・エステファンの栄光と挫折の半生を描く日本初上陸のミュージカルで、渡辺大輔さんは地元で名の知れたバンドのプロデューサーであり、グロリアの夫となるエミリオ・エステファン役を演じます。(上)(下)に分けてお届けします。
――稽古が始まって数日と伺っていますがこのカンパニーはいかがですか?
始まったばかりという感覚はそこまでないです。とてもアットホームな温かいカンパニーですよ。久しぶりにご一緒する方もいますし、引き続きの方もいらっしゃいます。その中で、演出の(上田)一豪さんがとにかく明るい方なので、リラックスしながら楽しくシーンを作っているという感じですね。
――歌稽古は先に始まっていたそうですが、音楽についてはいかがですか?
自分の中ではもっと「歌いこんでいかないと」という感覚があります。
――事前に楽曲をかなり聴いていたんですか?
どういう世界観、音楽、ノリなのかと、ご本人たちのものはもちろんのこと、ブロードウェイ版も事前に聴きました。どの楽曲も素敵なんですよ。よく知られているのはアップテンポのものだと思いますが、エミリオのナンバーはバラードが多いです。自分の思いを吐露するような、その思いのほとんどが歌詞に含まれているような楽曲です。日本語版にアレンジされた楽曲も本当に素晴らしいなと思っています。
――日本語に訳しても素晴らしいんですね。
そうなんです。日本語で感情や情景を伝えようとすると、どうしても外国語より文字数が増えてしまうと思うんです。原曲では英語やスペイン語のイントネーションに合ったメロディラインがついていますが、日本語で演じる場合にはそのメロディラインを感じさせないような表現をしていきたいと思っています。
――いわゆる既存の楽曲を使ったカタログミュージカルで、アーティスト自身の半生を描くという点で『ジャージー・ボーイズ』や『ビューティフル』とも共通すると思いますが、ご覧になったことはありますか?
残念ながら拝見していません。カタログミュージカルではないのですが、実在の人物の半生を描いた物語という点で、昨年『ソーォス!』という舞台に出演させて頂きました。『オン・ユア・フィート!』とは今もご健在の方という点でも共通していますね。
<取材協力>
ヘアメイク:高橋純子
スタイリスト:永尾将宗
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、エミリオ・エステファン役について、ラテンミュージックについて、時代背景などこの作品の深い部分について語って下さったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。11月30日掲載予定のインタビュー「下」では、『1789』『タイタニック』に出演し、これから『オン・ユア・フィート!』さらに『ロミオ&ジュリエット』再演と出演が続いて「ミュージカル俳優になってきたね」と言われるようになったという渡辺さんが今、考えていることや、「この業界に入って学んだ」ということについて語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■ラテンの血が自分たちのなかに流れているという感じになればいいよねと
■残してきた人たちの気持ちも大事にしたい
■どの国でも男って不器用で子どもだなって思いました
■役者は色々な人の人生を生きられるので、学ぶことは多い
<ミュージカル『オン・ユア・フィート!』>
【東京公演】2018年12月8日(土)~2018年12月30日(日) シアタークリエ
【福岡公演】2019年1月4日(金)~6日(日) 博多座
【愛知公演】2019年1月9日(水)~10日(木) 刈谷市総合文化センターアイリス大ホール
【大阪公演】2019年1月17日(木)~20日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
<公式サイト>
ミュージカル『オン・ユア・フィート!』
https://www.tohostage.com/onyourfeet/
<関連リンク>
渡辺大輔 公式ブログ
https://lineblog.me/watanabe_daisuke/
GOODLUCK 渡辺大輔 オフィシャルファンクラブ
http://watanabedaisuke.net
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※渡辺大輔さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは12月29日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)
※ここから有料会員限定部分です。
■ラテンの血が自分たちのなかに流れているという感じになればいいよねと
昔実際に起こった出来事を時代を越えて物語にした作品は多いと思いますが、今も活躍されている方のストーリーをやるというのは、また違ったプレッシャーを感じます。ましてや『オン・ユア・フィート!』は音楽もご本人のもの。ミュージカル楽曲ではないので、ラテンのノリがとても難しくて。でも、このノリを自分たちのものにしてお客様の前でできたら、素晴らしいものになるだろうという予感はしています。
――ラテン音楽は確かにミュージカルと考えるとあまり思い当たらないですが、日本人って結構好きじゃないですか? たとえば宝塚でラテンのショーをやると結構盛り上がるんですよ。
確かに宝塚ではよくショーなどで使われていますが、他ではなかなか聞きませんよね。
――そうですよね。なぜか乗れてしまうというのは不思議ですね。
それがラテンミュージックのマジックなのかもしれないですね。多分、向こうの方々も自然と、流れてくる曲に合わせてステップを踏んでいるのだと思うんです。先日も朝夏(まなと)さんと話していたのですが、向こうの方々は生まれたときからラテン音楽が身近にあって、だから自然と歌えるし、踊れる。それはきっと当たり前のことなんじゃないかなと。
それを日本人の自分たちが表現するとき、「もっともっと完璧にやらなきゃ」というのは精神的に追い込んでしまうだけで、かえってこの作品の明るさにはマイナスで。なので、そこは徐々に慣れていきながら、ラテンの血が自分たちのなかに流れているという感じになればいいよねと。ミュージカルなのですが、お客様はライブに来た感覚になり、一緒に汗をかいて帰って頂く作品になるのではないかと思います。もちろんシリアスな部分や、ドラマチックなシーンもありますが、本作の要所要所に登場するラテン音楽でお客様を巻き込めたらと思います。
■残してきた人たちの気持ちも大事にしたい
――お客様にとっても新たな体験ができるという感じですね。シリアスなシーンもあるとおっしゃいましたが、グロリアやエミリオたちの人生に触れてみて、渡辺さんはどんな風に感じていますか?
グロリアもエミリオもつらい時代を過ごしてきて、キューバ移民としてアメリカにやってきます。2人の大変な努力と同時に、色々な方の協力を得てヒットを飛ばし、彼らの音楽が日本や海外へ広がっていくという輝かしいストーリーがありますが、一方で残してきた人たちがいるんです。その人たちのことを考えると……。
――キューバに残されてきた人たちですね。
はい。その方々のことを考えると、本読みですでに胸にグッとくるものがあったんです。エミリオには、「アメリカで成功したら呼び寄せるから」とキューバに残してきた親族がいるのですが、正直いつそうできるのかも分からないのに、まだ安全とは言えない国におじいさんなどを残していくというのは心苦しいのではないかなと。もしかしたら、死に目に会えないまま人生が終わってしまうかもしれない。
――もう会えるかどうか確約がないですもんね。
そうなんです。なので、残してきたエミリオ自身の気持ちと同時に、残された親族側の思いも入ってきて。いつ何に巻き込まれるか分からないという状況の中で生きていくことを考えると、心臓が押しつぶされそうな気持ちにもなります。待つことしかできない人たち。その人たちの気持ちも大事にしたいなと思います。
他にもエミリオで言えば、グロリアが事故に遭ってからの彼女とのやりとり、その中でのグロリアのお母さんとの関係性の変化など、ただお祭りのように明るいだけではないお話の部分からも、演じている僕たち自身感じるものが多いんです。自分たちがしっかりと描けば、きっとお客様もストーリーや音楽からその何倍、何十倍のものを受け取ってもらえると思っています。そうそう、エミリオは英語が下手な部分もあるので、そういうクスっと笑えるところもしっかりと。日本で上演する以上は、自分たちの使命を心に留めて、しっかりと伝えていきたいと思います。
■どの国でも男って不器用で子どもだなって思いました
――ラテンの音楽から入っていけるところと、物語として気持ちで入っていける部分と両方兼ね備えている作品なんですね。
どの国でも男って不器用で子どもだなって思いました。言語や国境、人種関係なく、どの国の男も女々しい部分があったり、強がっている部分があったりするというのは変わらないなって(笑)。
――ご自身の場面でも共感しますか?
この間までやらせて頂いていた『タイタニック』もそうですし、その前の『1789 –バスティーユの恋人たち-』でもそうですが、アイルランド人を生きようが、フランス人を生きようが、やはりどこかしらみんな強がったりしているなと。「そこは強がらないで正直なことを話せばいいのに」と思うところでも、口に出さなかったりする。役から学ぶことって多いですよ。「ここは強がっちゃいけないんだ」って。でも実際はなかなか難しいんですよね……。
――自分の人生に反映していく。
稽古場でも役者同士で作品について話し合う中で、女性から「ここでエミリオがこうだから、こうなっちゃうの」って言われると、「なるほど、女性はそういう風に考えているんだ」と思ったり。男同士では気付けない視点にハッとさせられたりします(笑)。
■役者は色々な人の人生を生きられるので、学ぶことは多い
――作品ごとに役たちから学んでいくんですね(笑)。
役者という職業は色々な人の人生を生きられるので、学ぶことは多いです。毎回違う現場ですから、色々な方との出会いもたくさんありますし。本当にプライベートでも仕事でも、実になることが多いです。
――観ている観客の方もそうだと思います。役の人生をみて、共感や学ぶというところは。
『オン・ユア・フィート!』の登場人物たちは、生き残るため・成功するためならある程度の困難は当たり前という感じなんです。辛い状況でも、もう一歩いったところに光が見える、やっとそこでスタートラインに立てるんだということを常に考え、チャレンジしていく。もちろん一歩引いて、周りを見渡すことも大事ですが、ひたすら前進する、常に挑戦し続けることで新しい自分や新しい道、いままで気付かなかった道が見えてくるというのは、エミリオやグロリア、この作品を通して感じられると思います。きっと自分と照らし合わせてみて、「チャレンジしてみよう」という気持ちになれると思いますよ。
――そこはきっと、共感できるんじゃないですか?
しかも、これがノンフィクションですからね。色々なことを感じて頂けたらと思います。
※渡辺大輔さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは12月29日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)
オン・ユア・フィート、先日観劇してまいりました。朝海さんの太陽のようなグロリア、渡辺さんの包容力あふれるエミリオ。ただのカタログミュージカルではなく、キューバ移民家族の苦しみや葛藤、音楽に対する情熱、深い家族愛が描かれた感動的なミュージカルです。「自分の足で立ち上がる」力強いメッセージ、前向きになれる作品です。
オン・ユア・フィート、とても楽しみにしています!
シングルになってしまいましたが、お身体に気をつけて、エミリオを生き抜いてくださいね!
今回も渡辺大輔さんを取り上げて下さりありがとうございます。
お写真もとっても素敵で嬉しいです。
記事を拝読させて頂き、1月観劇の大阪公演に向けて
ワクワク感が止まりません。
舞台の熱に巻き込まれて一緒に盛り上がって行きたいと思います。
これから後編を読ませて頂きます(#^.^#)
オン・ユア・フィート、日増しにワクワクしてきてチケット増やしちゃってます。
渡辺さんの舞台への思い、沢山聞けて嬉しかったです。
楽しみにしています!
大輔さんの舞台はいつも熱い思いが伝わってくるような気持ちになります。今回のオン・ユア・フィートも楽しみです。
オンユアフィートのチケット増し増し中です
狭い席で踊りまくってると思います。始めから立ち見席の方がいいのではとさえ期待してます。
こんにちは。お疲れ様です!
渡辺さんの作品に対する思いや、稽古場のお話も聞けて良かったです。
稽古場でのお話って、なかなか聞けませんものね。
ありがとうございます!
次のインタビュー記事(下)も楽しみにしています。