「大正時代って不思議」、『怜々蒐集譚』溝口琢矢インタビュー(上)

溝口琢矢さん=撮影・NORI

2019年2月16日(土)に新国立劇場 小劇場で開幕するキネマ(映画)&キノドラマ(舞台)連動興行『怜々蒐集譚(Reirei Syusyu Tan)』に出演する、溝口琢矢さんにインタビューしました。溝口さんは、NHK大河ドラマ『天地人』や仮面ライダーシリーズ、『ドリフェス!』などで活躍し、2018年には舞台『ジョン万次郎』に主演したほか『宝塚BOYS』などに出演。今回の『怜々蒐集譚(Reirei Syusyu Tan)』では、石原理さんの人気漫画を題材に大正時代にくり広げられる謎をめぐる人間ドラマを描いたの中で、ストーリーを進めていく人物にあたる新人編集者の南くん役で出演します。

溝口琢矢さん=撮影・NORI

溝口琢矢さん=撮影・NORI

――今回、どのような心構えでこの作品に臨んでいらっしゃいますか?

僕は、今回の役をいただいてからこの作品のことを知ったんですが、原作は漫画なんです。ですから、きっと、もともと漫画の方を先に知っていた方は、どういう舞台になるんだろうと思われたと思いますし、逆に、こういう舞台作品があると聞いてから漫画原作と知った方は、ある意味、今どきの流れに乗ったと思われるかもしれないんですけど、僕が関わっている中で、とても心に響いたことがあるんです。それは、プロデューサーさん(Zu々主宰 三宅優)の言葉なんですけど「原作がたまたま漫画だっただけ」とおっしゃっていて。どういうことだろうと思って話を聞いていたら、「原作がなんであれ、舞台にしたいものをする」って。そういう信念がかっこいいなあと思いました。その後、台本を読んだときにもとにかくこの作品の中にある世界観をお伝えしたいんだなという強い意志を感じましたし、何より面白そうだなと思いました。

――やりがいがありそうですね。

はい。今回の形態がまず面白くて。キネマとキノドラマと、ふたつあるんです。そういうシステムは演じるどころか聞くのも初めてなのでまったく未知なんですが、ひとつ思ったのは、“映画のお芝居”と“舞台のお芝居”は、演じる側としても全く違うだろうということ。その違いを一気にお見せできることは役者冥利に尽きると思います。同時期に、しかも同じキャラクターで観ていただけるという嬉しさがありますし、そこをしっかりと見せられるかどうかが僕らにかかっているかなと思います。

<溝口琢矢(みぞぐち・たくや)プロフィール>
1995年5月9日生まれ 東京都出身。2007 年俳優デビュー。主な出演作に、NHK大河ドラマ『天地人』(2009年)、仮面ライダーシリーズなど。5次元アイドル応援プロジェクト『ドリフェス!』では『DearDream』のメンバーとして声優として、またキャストとして活動しライブイベントにも多数出演。2018年は舞台『ジョン万次郎』(EX THEATER ROPPONGI)主演、舞台『宝塚BOYS』への出演等、数々の大舞台を経験している。テレビドラマ・アニメ・映画・舞台と幅広い活動を展開。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、背景となる大正時代についてや、ロケ先でのお話などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2月8日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、新人編集者の南くんと自身について、共演する味方良介さん、藤原祐規さん、鯨井康介さん、野尻大介さんらについて語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■明治と昭和の間にあった、日本に実在したエアポケットのような時代

■触れるものは触って確かめたくなるんです。触ると記憶に残るかなって

■それを知っているか知らないかということは、必ず伝わりますよね

■とても人間性のあるストーリーをどう伝えるか。もがくと思います

<キネマ(映画)&キノドラマ(舞台)連動興行『怜々蒐集譚(Reirei Syusyu Tan)』>
【上映・上演】2019年2月16日(土)~2月27日(水) 新国立劇場 小劇場
公式サイト
https://www.zuu24.com/rrsysy/

<関連リンク>
溝口琢矢 公式Twitter
https://twitter.com/5mizo_taku9
溝口琢矢 公式ブログ
https://ameblo.jp/mizotakudays/

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溝口琢矢さん=撮影・NORI

溝口琢矢さん=撮影・NORI

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■明治と昭和の間にあった、日本に実在したエアポケットのような時代

すごく好きな世界だなって改めて思います。読み合わせの時に原作者の石原先生にお話を伺う機会があったんですが、その時に、大正時代という時代背景について、先生がどんな気持ちで、どんな意図で書かれたかということを直接聞くことができたんです。そういうことを知っているだけでも、舞台に乗るものが変わってくると教わってきたので、頭の中にメモするような気持ちで聞いていました。服装にしても、スーツの人もいれば着物の人もいますし、そういう入り交じった、不思議な魅力のある時代。フィクションのようにも思えますが、明治と昭和の間にあったほんの十数年、日本に実在したエアポケットのような時代であると。ロケをしたお宅が実際にその時代に建てられた建物だったんですが、そこを管理されている方から『ここはこういうふうに使われていて、こういうところです』というような話をうかがって、日本に住んでいながらもこんなに知らないことがあったのかと、本当に貴重な体験をさせていただきました。

――そのロケ先でのお話は、公式Twitterでもトピックスになっていましたね。

あれちょっと恥ずかしかったんですけど、公式のSNSを見てたら「僕のこと書いてある」って(笑)。本当に書かれていたとおりなんですけどね。僕は人と話すのが好きなので。あの時、たぶんそのおうちの管理をされている方と掃除などをされている方がいらしたんですよ。掃除などを担当されている方はきっと海外の方だなとは思っていたんですけど、とても日本語を流暢に話されていたので、最初はあまり意識していなかったんです。そうしたら、お話していくなかで僕より日本歴が長くて、僕よりも日本のことや、そのおうちのことにも詳しいことがわかって。その方から『ここはこういうふうに使われていて、こういうところです』とか。逆に知らないような日本のことを教えていただいたりしました。そういうことも含めて、日本の歴史ですよね。不思議な感覚でした。

溝口琢矢さん=撮影・NORI

溝口琢矢さん=撮影・NORI

■触れるものは触って確かめたくなるんです。触ると記憶に残るかなって

――好奇心ですね。

それが一番最初のロケ地でしたが、興味は尽きなかったです。初めて見るものが多かったのもありましたし、見慣れないものがあると、触れるものは触って確かめたくなるんですよ。『なんだろうこれ』っていう興味と『触って確かめたら自分の記憶に残るかな』っていう、その両方の感覚です。ちゃんと残ってるかはわからないんですけど、とにかくこの作品ではそこの時代に生きるので、触れておかなくちゃと。コーヒーカップなども、あまり見慣れないなと思いながら触れていました。普段コーヒーは飲んでいる方なんですけど、それすらも、あの空間の中で持つとものすごく震えたり、緊張感が増したりしていて、ああ、この空間にも慣れなくちゃいけないなって思った撮影だったことを覚えています。

スタッフ:今お話に出てきたコーヒーカップ、本当に大正か昭和の最初のものなんですよ

そうなんですね!? あのカップ、持った瞬間に持ちづらさとかがあったんです。カップ自体がめちゃめちゃ軽いのに中身が重たいので、震えたっていうか。ただただ持ちづらいなと思っていたんですけど。そういうことだったんですね! 現場では『これ持ちづらいですね』とは言えなかったですけど。

溝口琢矢さん=撮影・NORI

溝口琢矢さん=撮影・NORI

■それを知っているか知らないかということは、必ず伝わりますよね

――でも、その感覚が正解だったということですよね。先ほどの「触って確かめて、記憶する」という発言とものすごくリンクするなと思いました。

でも、それを知っているか知らないかということは必ず伝わりますよね、きっと。舞台上で、『あ〜、持ち慣れてないな』って。煙草と一緒ですよね。僕、煙草吸わないんですけど、吸う演技してって言われたら、『ああ、ぎこちないな』って思われるでしょうし。それと同じかなと思います。

――では、興味深いその空間から離れて舞台の上での演技にはなりますが、その時の感触と記憶をまとって演技されることになりますね。

がんばりどころですね。是非見に来ていただきたいです。がんばります!

溝口琢矢さん=撮影・NORI

溝口琢矢さん=撮影・NORI

■とても人間性のあるストーリーをどう伝えるか。もがくと思います

――溝口さんがこの作品で一番興味のあるのはどんなことですか?

“漫画原作の舞台”と聞いて皆さんが最初に抱く印象を裏切りたいんです。とても人間性のあるストーリーだと思っているので、その良さをどう伝えられるか。そこに興味があります。自分自身に対しても。きっともがくのだと思いますけど、それが楽しみです。漠然とこういう風にしようと思っている部分はたくさんありますし、想像を膨らませてはいるんですけど、正直なところ、全然まだ想像がつかないんですよね。やっぱりこれから自分の知らない世界がいっぱい待ってるなって思うと、楽しみです。舞台そのものが興味のかたまりと言ってもいいかもしれません。

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“「大正時代って不思議」、『怜々蒐集譚』溝口琢矢インタビュー(上)” への 5 件のフィードバック

  1. えりな より:

    とても読みごたえのある記事でした。素敵な記事をありがとうございます。
    キネマ、キノドラマ両方見てからこの記事を読んだのですが、観劇した時のことがよみがえってきました。ロケ地でのお話は、溝口さんのお人柄もよく伝わってきて、読んでいてほっこりしました。

  2. み き より:

    素敵な記事をありがとうございました。
    たいへん読み応えのあるお話を拝読出来て嬉しく思います。お写真もどれもとても素敵ですね。
    特にロケ地でのエピソード、好奇心が深めていく見聞と記憶のお話が印象的でした。
    そして何より作品そのものや世界観に向き合う真摯な姿勢に、観賞がより一層楽しみになりました。

  3. シマウマ より:

    彼の好奇心旺盛で真面目な素顔と役者としての矜持を感じるインタビューですね。写真もリラックスした表情がとても素敵です。

  4. こみえ より:

    ロケ地でのエピソードをたくさん読めて良かったです。
    舞台作品は演出の方や脚本、出演者によってがらっと色が変わるんだなあという感想を持ちました。映画作品と舞台作品、どちらも楽しみにしています!

  5. ゆう より:

    大変読み応えのある記事をありがとうございます。本作品は新しいものと古いものが入り混じった大正時代が舞台ということで、溝口さんをはじめキャストの皆さんはどのようにして「時代の空気感」を作っていくのか興味がありました。見て、聞いて、触れて、その時の感触と記憶をまとって演技することになる、というところになるほどと思うと同時に、実際に観劇して作品世界を体感する日が楽しみになりました。後編も楽しみにしています。

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