2021年7月3日(土)から7月11日(日)まで東京芸術劇場シアターウエストで上演される『Being at home with Claude ~クロードと一緒に~』に主演の「彼」役で出演する溝口琢矢さんにインタビューしました。この作品は、2014年の日本初演以降、若手実力派俳優によるダブルキャストやスウィッチ・キャスティングで上演が続けられてきましたが、5回目の上演となる今回、初めてシングルキャスト(リーディングを除く)として溝口さんが「彼」を演じます。インタビューは上下に分けて2日連続で掲載し、「上」では『クロードと一緒に』との出会いや、作品作りの今を。「下」では俳優を志したきっかけや、歌の活動について話してくださった内容をお届けします。
ーーこの作品との出会いについてお聞かせください。
以前出演させていただいた『怜々蒐集譚』(2019年上演)の頃に、同じZu々の作品で『クロードと一緒に』という作品があるよというお話を伺って、松田凌さんが演じていらっしゃった公演を見に行かせていただきました。
ーーご覧になっていかがでしたか?
「やりたい」と思いました。ただ、今すぐこれをやる覚悟といえるものはなかったんです。もしこの先、もう一度チャンスをいただけるのであれば、その時には是非よろしくお願いします、というお話をしました。
ーーそういうことを経ての、今回のオファーだったのですね。
そうです。あれから2年半くらい経ちました。
ーー決まった時はどんなお気持ちでしたか?
本当にありがたいと思いました。「嬉しい」というよりも、「がんばります!」という感じです。
ーー今回の『クロードと一緒に』は、これまでとは違うところがいくつかあるそうですね。
これまでと一番違うところはノーカット版であるということですね。そして、演出の田尾下哲さんが、フランス語と英語の脚本とこれまでの日本語訳を見ながら、あらためてご自分の解釈で全て日本語に翻訳されたんです。それを今回の上演台本として使うんです。
ーーTwitterではオンライン稽古が「楽しい!!!」と呟いていらっしゃいましたね。
今まで約一か月弱くらい本読みをやって、僕が疑問に思ったことと、田尾下さんやプロデューサーさんが疑問に思ったことを、互いにぶつけ合っているんです。気になるところをお互いに挙げていって精査している感じなので、読み込めば読み込むほど“ここも実は面白いんだ”という発見がすごくあります。
舞台を初めて見た時に捉えきれなかった部分がたくさんあって、“これはやる方もとても面白い”と思いました。実際に本を持ってみて、当時感じた「やりたい」とか「楽しそう」という想いが、より増したという感じなんです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『Being at home with Claude ~クロードと一緒に~』の中で共感したセリフや、稽古で重視してきた「根っこ」の部分、初めて金髪でキービジュアル撮影をしたことなどについて話してくださったインタビュー前半の内容を掲載しています。6月15日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、俳優の道を進むことになったきっかけ、最近「大人っぽくなった」と言われることについて、舞台と同時にライブがあった2021年4月や、今後学びたいことなどを語ってくださったインタビューの後半の全文を紹介します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■「彼」と刑事。騙そうと思ってなくても、話が合わないときにものすごいジレンマが
■36時間にわたる取り調べの最後の一時間。そこに至る積み重ねが膨大なので
■初めての金髪。ふわふわした感覚や撮影へのちょっとした不安が、いい具合に
■撮影後に密を避けて外に出てから戻ったのは、みなさんにご挨拶したかったから
<『Being at home with Claude ~クロードと一緒に~』>
【東京公演】2021年7月3日(土)~7月11日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
公式サイト:
https://www.zuu24.com/withclaude2021/
<関連リンク>
Being at home with Claude ~クロードと一緒に~Twitter
https://twitter.com/withClaude
溝口琢矢Twitter
https://twitter.com/5mizo_taku9
溝口琢矢 Instagram
https://www.instagram.com/mizoguchi_takuya_official/
溝口琢矢オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/mizotakudays/
溝口琢矢アミューズWEBサイト
https://www.amuse.co.jp/artist/A8326/
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※溝口琢矢さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは7月14日(水)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■「彼」と刑事。騙そうと思ってなくても、話が合わないときにものすごいジレンマが
ーー読解を進めていく中で、好きなセリフや難しいと思うセリフはありましたか?
僕も共感するな、というセリフはひとつあります。要約すると「映画を見た時の感想って、人に話すまではしっかり覚えてるのに、人に話した瞬間にどこかに消えていくような気がする」という感覚なんですけど。“じゃあ喋らなきゃいいじゃん”という話ですが、僕、喋るのが好きなので、その映画の話題になったら喋りたくなってしまうんです(笑)。でも、その感情を口に出した時に「あ」って。薄れてしまうと感じることがあります。
友人と一緒に見に行った舞台を、あそこはどうだったかな、ここはどうだったかな、と、考察しあうことはすごく楽しいですよね。でもやっぱり「彼」が言う、自分が感じたものを口にするとちょっと薄れちゃうよね、という言葉はすごくリアルだなあと思いました。
他にも“この言葉だけに関しては、共感できる”という方、結構いるんじゃないかなと思います。人それぞれに刺さるリアルな表現というか、そういうのが結構ちりばめられていますね。
ーー難しい部分に関してはいかがでしょう?
セリフではありませんが、「難しい」と聞いて思い浮かぶのは、この作品の、言葉のやりとりですね。基本的には僕が演じる「彼」という役と、原田優一さんが演じる刑事とのやりとりが多いんですが、お互いに相手を騙そうとか、陥れたいという気持ちはないんです。だからこそ、話が合わないときにものすごいジレンマが生じるんですね。
「彼」も正直に全部言うタイプの人間ですし、怒ったことも言うし、嘘をついて相手を惑わそうとも思っていないんです。だから「彼」が理解不能なことを言った時に、刑事が混乱するんですが、この刑事というのがお客さんの目線になるので、もしかしたらお客さんも見ていて一緒に混乱してくるかもしれないんです。
でも、その時に覚えておいていただきたいのが、シンプルにその言葉を受け取ってほしい、ということなんです。
ーーシンプルにその言葉を…。
言い回しとかが難しく、セリフを例に上げてしまうとそのセリフがキーワードだったりする可能性が出てくるかなと思ったので、今は、そういう説明にさせていただきました。
■36時間にわたる取り調べの最後の一時間。そこに至る積み重ねが膨大なので
ーー「言葉のやりとり」といえば、他のキャストさんとの交流は、今どのようになさっているんですか?
実は、原田さん以外のお二人とはまだお話をしていないんです。最初に台本を読んだ時に、読解に力を入れたいと思って。田尾下さんも「『クロードと一緒に』は、読解がほぼ大半を占める」とおっしゃっていて。僕も、すごくそれを実感したんです。
この作品は、36時間にわたる取り調べの、最後の一時間を皆さんにお見せするというものなんですが、そこに至る積み重ねが膨大なので、それを理解した上で稽古に入ったほうがスムーズに行くと思いました。
オンラインの稽古も、本来はここまで長く続ける予定ではなかったんです。でも、オンラインだからこそできることもあるということを、このカンパニーの中で見出しました。
どの作品も「この作品はこういう作品だね」という理解をすると思うんですが、この作品で一番理解しておくべき人間が、僕なんです。これは嘘なのか、本当なのか。その根っこを間違えると、どんどん違う方向に行きかねないので、ストーリーはこういうことだよねという枠組みは、しっかりと決めました。
ーー今まさに「真実」を決めていらっしゃる段階なんですね。
はい。なので、それを踏まえてのキャスト同士の深い話し合いはこれからです。それぞれのキャラクター性も、稽古場で見出していくのかなと思っています。
■初めての金髪。ふわふわした感覚や撮影へのちょっとした不安が、いい具合に
ーーキービジュアル、かっこいいですね。撮影時のことをうかがってもよろしいですか?
あの時は、ちょっとふわふわしていました。僕、この『クロードと一緒に』のキービジュアルの撮影の時に、人生で初めて、髪を金髪にしたんです。だから自分の視界に入ってくる髪の色とか光の吸収みたいな感覚が、髪が暗い時とはまったく違う気がして。
そのふわふわした感覚を伝えようとすると難しいんですけど、お酒を飲んだ時にアルコールが入っている感覚があるんですが、それにも似ていて。普段、今までとは違うものだからすごく敏感に感じていたのかもしれないんですけど、周りに対して、ちょっとした不安みたいなものがありました。写真に撮られるっていう行為も、金髪にしてからは初めてだったので、ちょっと不安があったりして。
だから、出来上がった写真を見た時に、「わぁ、いい感じ!」と思ったと同時に、その不安がいい具合にマッチしたんだなと思いました。力強くそこに立っていないというのが。
■撮影後に密を避けて外に出てから戻ったのは、みなさんにご挨拶したかったから
ーー撮影の日、ご自身の撮影が終わられてから、戻ってこられて他のキャストの撮影のお手伝いをなさっていたと伺いましたが。
手伝いというか、僕がちょっとお邪魔しに行ったという感じなんです。僕の撮影は朝だったんですが、一番最後になったらみんな揃うよと伺っていて。密を避けるためにも一回出まして、何時間後でしたかね、戻って。僕が、みなさんにご挨拶したかったというのが一番大きいんですけど。
ーーそれは大事なことですね。
戻ったら、原田さんがカメラチェックをしていたんです。原田さんが真ん中に立たれていて、他のお二人が両脇に立って残像になっている写真があるんですけど、カメラマンさんが試しに撮るとおっしゃっていたので、「僕、被写体やります」って。だから、自分の写真じゃないところに被写体じゃない僕が遊びで入ったという感じです(笑)。
ーーみなさん「お手伝いしてくれました」と、おっしゃってましたよ。
あはは、優しい。
ーーみなさんと交流したいというお気持ちがあったからもう一度現場に向かわれたんですね。
そうですね。現場での始めましての会話にはどうしても距離感が出ますし、お互いに気をつかってしまうだろうなと思ったので。僕はこういう人間です、というご挨拶だけはしておきたいなと思ったんです。
※溝口琢矢さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは7月14日(水)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
こちらの記事を拝読してから観劇させて頂きました。
シンプルにその言葉を受け取るという点を重視して、彼の想いを理解しようと努めながらの観劇でした。
溝口くんの仰っていたように共感出来るなという台詞も有り個人的に刺さる内容もありました。
また、キービジュアルの撮影時のエピソードにもほっこりさせて頂きました。
配信でもこちらの舞台を観劇して、まだまだ気になる部分への理解を深めたいと思います。
観劇前に読ませていただき、また改めて観劇後に読ませていただきました。
溝口さんがインタビューの中で”この言葉だけに関しては共感できる”と述べられていた通り、まさに自分に刺さるメッセージに出会うことができました。
舞台上では終始シリアスなシーンが続いていたので、インタビューで裏側の様子を知ることができより一層楽しむことができました。
なかなか劇場まで足を運ぶことが難しい状況ではありますが、それでも生で観たいと思わせてくれる素敵な記事をありがとうございました。
非常に興味深いインタビュー記事と素敵なお写真ありがとうございます。観劇直前に拝読させていただきました。
溝口さんの言葉を胸に覚悟して観劇したいと思います。
溝口さんの言葉選びはやっぱり魅力的だなと改めて感じました!
素敵なインタビューとお写真ありがとうございます。溝口さんがお話されている「感想を口に出すと薄まってしまうという感覚」が新鮮でした。感想を言語化することでより具体化できると思っていたので、抽象的な方が感想に深みを感じるという考え方もあるのだなと興味深く思いました。
オンライン稽古やビジュアル撮影のことなど、他ではあまり聞けない細かいところまでお話されていて、より観劇が楽しみになりました。
自分に刺さる台詞を探しながら観劇したいと思います。
後編のインタビューもとても楽しみです。
今回も素敵なインタビューをありがとうございます。印象的だったのが、「シンプルにその言葉を受け取ってほしい」でした。この作品は、彼と刑事のやり取りが多く、彼の言動に混乱してしまうかもしれないとあり、難しい物語のなかでつい言葉を読み解こうとしがちですが、シンプルにその言葉を受け取り物語を感じたいと思いました。後編のインタビューも楽しみにしております!
素敵なインタビューありがとうございます!
舞台上で話が噛み合わない時はシンプルにその言葉を受け取ることを念頭に置いて観劇しようと思います。
最近キャストの皆さんが上げてくださる稽古場写真の雰囲気がとても和気あいあいとしているのは、はじめましての時の気遣いのおかげもあるのかもしれないですね。素敵な作品になりそうでとても楽しみです!インタビューの後編も楽しみにしています。